1/72プロフィール紙飛行機
He70ブリッツ 高速郵便機
ドイツ 無塗装




実機について
黎明期の空に走る「稲妻」
1932年に初飛行したハインケルHe70ブリッツ(稲妻)は、高速郵便機として開発されました。
当時の航空界は、複葉機から単葉機への転換期にあり、
各国の技術者たちは「より速く、より遠くへ」飛ぶ術を模索していました。
空気抵抗を削ぎ落とす最新技術
He70はその答えのひとつでした。
高速化のカギは、空気抵抗を徹底的に減らすことでした。
本機には、そのための最先端技術が惜しみなく導入されました。
流れるような機体形状、全金属製の機体構造、楕円翼、逆ガル翼、片持ち式の主翼構造、引込み脚、
さらに機体表面を平滑に仕上げる沈頭鋲(皿リベット)などです。
その姿は、後の近代航空機の原型ともいえるもので、当時の戦闘機を上回るほどの高速性能を実現しました。
銀翼の時代
1930年代は流線型デザインが世界を魅了した時代でした。
航空機はその最先端に位置する存在であり、美しく磨かれた金属製高速機は「銀翼」と呼ばれ、人々の憧れを集めました。
He70はその象徴ともいえる存在でした。
それは単なる空を飛ぶ機械ではなく、人々が思い描いた「未来のかたち」でもあったのです。
世界へ広がった影響
He70が示した、徹底的に空気抵抗を減らすための空力設計は、
近代航空機のお手本として、世界各国の航空機開発に決定的な影響を与えました。
本機を入手したイギリスは洗練された空力設計を高く評価し、
日本海軍も機体導入と技術交流を通じて、その空力設計を学びました。
そして、ドイツではHe111爆撃機、日本では九九艦爆や、九試単戦(のちの九六艦戦)から零戦へと続く艦上戦闘機の系譜、
イギリスではスピットファイアなど、世界的な高速機時代の流れの中で、本機は重要な道しるべとなりました。
He70ブリッツは大量生産された主力機ではありませんでした。
しかし、その美しい銀翼が示した空力設計は、後の数々の名機へ受け継がれ、
1930年代航空技術の大きな源流の一つとなったのです。
設計
このプロフィール機は先に手がけた九九艦爆をベースに、楕円翼など各部をHe70ブリッツ本来の形に合わせて作り直しました。
まず、正面から見て緩やかな「W」字を描く逆ガル翼は、内翼を「へ」の字に折り曲げて下反角を与え、
さらに外翼に上反角をつけることで、その特徴的なシルエットを表現しています。


He70と九九艦爆は全体的な外形がよく似ていますが、
He70の主翼は前後方向の幅がより広く、水平尾翼は細長い形をしています。
丸みを帯びた楕円翼は、細長いテーパー翼と比べて翼面積を広くとれるため、翼面荷重を低く抑えることができます。
その失速しにくい穏やかな飛行特性は、紙飛行機としても優れた滞空性能を発揮します。
また、He70の三脚状の主脚は、細い支柱を何本も組み合わせる複葉機時代の名残を色濃く残したもので、
1930年代前半の初期の引込み脚に見られる特徴的な構造です。
その後、主脚は一本の太い支柱に集約され、1930年代中盤の固定脚と引込み脚が混在する過渡期を経て、
後半には引込み脚が世界の主流となりました。
このプロフィール機でも、その構造を簡略化して表現しています。ぜひ形にしてお楽しみください。
PDF図面
ドイツ 無塗装

PDFファイル:He70Blitz.pdf
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作り方
零戦21型とほぼ同じです。詳細は零戦21型の「
作り方」をご参照ください。
相違点のみ記します。
(機体)
- 主翼
内翼と左右外翼にそれぞれキャンバーをつける。
点線に沿って内翼に下反角を、左右外翼に上反角をつける。
その際、主翼前縁と後縁を同じ角度に調整する。
- 胴体内側 主軸
- 機首内側 主軸補強
- 胴体内側 主翼取付け部
- 胴体左側面
- 胴体右側面
- 機首外側 主軸補強
- 機首おもり
- 水平尾翼
細長く曲がりやすいため、折り目をつけて、まっすぐピンと張るように補強する。
中心線から左右に半分ほどの長さまで、主翼キャンバーと同様に浅く「へ」の字に折り目をつける。
折り目をつける場所は、昇降舵の線に合わせると目立たない。
水平尾翼を胴体に貼り付ける前に平らにのばす。
- 垂直尾翼
- 主翼上面/下面 補強
点線に沿って上反角をつけ、内翼と左右外翼のすき間をつなぐように、上面/下面から貼り付ける。
うち一つは、内翼下面の補強用であるため、点線に沿って下反角をつけ、
内翼中央のすき間をつなぐように、下面から貼り付ける。
上反角や下反角は、主翼前縁と後縁を同じ角度に調整する。
- 機首おもり先端
(ディスプレイスタンド)


- 胴体下部
- 左右主脚 前側
- 左右タイヤ 内側/外側
- 左主脚 後ろ側/主脚カバー
- 右主脚 後ろ側/主脚カバー
まず、後ろ側の支柱2本を点線に沿って印刷面が内側になるように折り、貼り合わせる。
さらに、主脚カバーと重なる支柱1本を、点線をガイドに貼り合わせる。
次に、主脚カバー下部を点線に沿って印刷面が外側になるように直角に折る。
その状態で、主脚カバーを(14)左右主脚 前側に内側から、印刷面の点線をガイドに貼り付ける。
最後に(14)左右主脚 前側を内翼の下反角の角度に合わせて整え、
三脚状の支柱の残り1本を主脚カバーに貼り合わせて固定する。
- 胴体下部 支柱
(13)胴体下部とののりしろを折る。
点線で二つ折りにして貼り合わせる。
(13)胴体下部に貼り付ける。
(ディテールアップ)
- エンジン排気管 左
- エンジン排気管 右
点線で折り、半円筒状に貼り合わせる。
(5)(6)胴体左右側面の排気管の印刷に合わせて貼り付ける。
- 胴体 空気取入口
飛ばし方
零戦21型と同じです。詳細は零戦21型の「
飛ばし方」をご参照ください。

このプロフィール機についての補足説明:
- 主翼の工作と調整
大きな主翼の左右で揚力のバランスがとれるように、
ていねいに作って調整することで、飛び方が安定する。
(注意点)
- 主翼の迎角とキャンバー、内翼の下反角や左右外翼の上反角をひかえめにする。
- 上反角や下反角は、主翼前縁と後縁を同じ角度に調整する。
- 主翼を胴体に貼り付ける際、水平尾翼、垂直尾翼を含む胴体に対し、
正確に直角、平行、水平となるように、いろいろな角度から眺めて確かめる。
- 主翼がぐらつかないように、主翼の根元から(4)胴体内側 主翼取付け部にしっかり貼り付ける。
- 翼端失速を防ぐため、左右外翼の翼端の前縁をねじり下げる。
- 水平尾翼の調整
水平尾翼の前縁をねじり下げ、迎角を主翼より小さくすると、
主翼より先に失速しないので、ピッチングの安定性が増す。
設計データ
He70ブリッツ 高速郵便機 プロフィール紙飛行機
- スケール
- 1/72
- 全長
- 17.5 cm
- 全幅
- 20.5 cm
- 全高
- 4.0 cm
- 重量 (W)
- 2.9 g
- 用紙
- 普通紙 両面厚口 A4サイズ コピー用紙
- 主翼面積 (Sm)
- 79.6 cm2
- 水平尾翼面積 (Sh)
- 20.8 cm2
- 主翼の平均翼弦長 (MAC)
- 4.2 cm
- モーメントアーム長 (L)
- 9.7 cm
- 翼面荷重 (W/Sm)
- 0.04 g/cm2
- 水平尾翼容積比 (Kh)
- 0.59
- 重心位置
- 主翼の空力平均翼弦の35%~40%
- 内翼の下反角
- 約5度
- 外翼の上反角
- 約10度
飛行データ
室内での一定の高さと距離5 mにおける、定常滑空テストの実測データです。
テスト環境や計測方法は、零戦21型の「
飛行データ」をご参照ください。
- 区間通過時間:
- 1.4 秒
- 沈下率:
- 0.56 m/s
- 滑空比:
- 1:6.7

重量計測には、吉田英一さんの「切り抜く科学工作シリーズ」より「
精密天秤 やじろべえ01(ゼロワン)
」を使わせて頂きました。
(完成 2026年6月5日)