KEN's HISTORY

 

〜音楽家“村松健”の誕生〜
3才のときに柔道かピアノかの選択を迫られて迷わず始めたピアノをおもちゃ代わりに、音楽好きな両親のもとで東洋〜民謡やシマウタから、西洋〜クラシック・ジャズ・ブラジル音楽まで世界中のあらゆる美味しい音楽を浴びて育った村松健少年。初めての作曲は小3の時、子供の書いた詩にメロディをつけた「鉄棒」という曲。10代からスタジオミュージシャンとして活動するが、「〇〇風」のプレイを求められるたび、村松健のプレイを求められたいという思いを強くする。成城大学在学中の1983年、SONYからソロアーティストとしてデビュー。以来、自作自演のスタイルで送り出したCDは通算51枚、季節の彩りから生まれた優しくせつないアルバムは多くのファンに愛されている。

 

〜JAPANESE PIANO〜
世界にはたくさんの素晴らしいピアノ曲があるけれど、“田んぼの風景に似合うピアノ曲がなかったから”自分で作り始めたという音楽はいつしか「JAPANESE PIANO(日本語ピアノ)」と呼ばれ、心の琴線に触れる、初めて聞くのになぜかなつかしいメロディはCMやテレビ、ラジオ番組のテーマ曲などに採用される。これまで手がけたテレビCMはSONY、ミズノ、JR東日本、ミツカン、住友林業、富士通、アフラックほか多数。 氾濫する音の中のふと我に返るようなエアポケット感は、この時代における村松健の存在感そのものなのかもしれない。2000年代からはアニメ『スケッチブック~full colors~』『紅~KURENAI~』『うみものがたり~あなたがいてくれたコト』『ぼくは王さま』やNHKEテレ『モタさんの"言葉"』の音楽を担当。彼の真骨頂であるエモーショナルで叙情的なサウンドは、新たなカンバスを得て拡大を始めた。

 

〜リゾートミュージック〜
何にも属さない素顔の自分に戻る時間を音楽の中に求めていったこと、それがアルバム『緑の想い』や『SWIMMIN’』のようなリゾートミュージック(拠りどころの音楽)の探求へとつながっていく。そして都会の制作環境では、スタジオの扉を開けて一歩外に出た瞬間に、スタジオの中で探求していた音楽とは全く異質な雑踏に紛れてしまうことに次第に違和感を覚え始める。新たな制作環境を模索して、北海道や新潟の森、果てはアイルランドまで、現地に長期滞在してのレコーディングを繰り返していたのもこの頃。

 

〜奄美への導線〜
1991年、唄や蝶、精神世界に導かれて初めて奄美に渡り、毎年ミハチガツ(旧暦八月)のひと月を島で過ごすようになる。ウバァから唄を習い、はぶら(蝶)に逢いに森を彷徨い、太陽と共に寝起きする海辺の暮らし。魂の求めるまま、2004年ついに音楽制作の拠点を奄美に移す。当時、彼の周りにいた人々は一様に驚いたが、音楽に“心のリゾート”を求めてきた村松健にとって、それは当然の行動だったと言えるだろう。同年、暮らしの中に生まれる音楽の旬を届けるべく、KEENMOONレーベルを設立。それから20年、デビュー当初は作曲と演奏だけだったが、現在は録音からミックスダウン、マスタリング、パッケージデザインに至るまで制作の全ての工程を自らの手で行っている。

 

〜奄美三味線を作る〜
2005年発表のアルバム『88+3』より、島ではずっと伴奏楽器だった奄美三味線を、独特の軽やかでハイトーンな「音色」と、こぶし回しから生まれる「うたごころ」によって独奏楽器としてフィーチャー。ピアノやウクレレ、弦楽四重奏との共演や、パーカッシブなカッティングプレイなど、独創的なプレイで好評を博す。さらに自由な表現を可能にする楽器を求めて、ついに自ら材を削って三味線制作を始める。10年かけて自身の思いにかなう音色を持つ三味線が完成し、2016年に完全独奏アルバム『月精花神〜ANIMISM〜』『島暦三絃暮らし』を2枚同時発売。その後も更なる三味線探求は続いていて、毎年1月に新しい三味線を削るのが正月のならわしになっているようだ。

 

〜ライヴ・パフォーマンス〜
ホールやライヴハウスはもとより、月夜や夜明けの浜辺・森の中・古寺の境内・廃校・教会・美術館・古墳・お花畑などそのシチュエーションを生かした夢のコンサートで時空を共にする。彼が当日、演奏メニューを決めるのは、一期一会にその日、その場所でしか出来ないプレイを実現したいから。近年は、村松健の音楽に魅了された人々に支えられて、全国各地で公演を行っている。島では野外公演「うとぅぬうしゃぎむん」(島の言葉で”音の捧げもの")と12月のストリートライヴ「島ぬクリスマス」、また生の音楽に触れる機会の少ない島の子供たちに音楽を届ける「学校ボランティアコンサート」なども積極的に行っている。

 

〜ちがう色の絵筆〜
音楽活動以外ではテレビ埼玉「中山道 風の旅」群馬テレビ「三国街道風の道しるべ」などの旅番組に音楽担当兼旅人として出演。3つのエッセイ集や北海道新聞・南海日日新聞、月刊ピアノでエッセイを連載。現在はnoteで定期的にフォト&エッセイを発信している。また、あまみFMディ!ウェイブ「夕すだみにSLOW」、K-mix(静岡)「ミューグレ」、みのおFM「Voice in the wood」のパーソナリティをつとめる。

 

〜島の大切なもの〜
2018年より音楽を通じて島内外に奄美の自然・文化の情報発信をする奄美大島「唄島プロジェクト」の音楽プロデュースや、新しい時代の新しい博物館づくりを目指す奄美博物館の「お家で奄美デジタル博物館事業」の音楽やナレーションを担当。またシマウタに本来の遊びの心を取り戻すために新元一文と音楽ユニットA-pulseを結成し2022年4月にファーストアルバム『Ogya』を発表。自然と関わる中で生まれた遊び、人と人がお金を介さずとも繋がり、分かち合えるような共感能力…世の中から失われつつあるものが島にはまだ残っている。そういった目には見えない「宝物」を次世代に残す、アップデートして次世代に繋ぐ、そんな役割の一端を担っている。

 

〜Youtube始めました〜
2023年5月、Youtubeチャンネル“村松健のHealthy!”で月に一度、水曜夜22時に生配信を開始。アーカイブは音も映像も本人が納得するまでブラッシュアップしたものを1週間後にプレミア公開している。公開後も気になればそのたびアップデートするため、動画再生数はその都度リセットされてしまうのだが、再生回数より1本の作品としての完成度を求めるところがどうしようもなく村松健らしい。

 

〜40thアニバーサリー〜
2023年11月21日でデビューから丸40年。そこから1年間をアニバーサリーイヤーと銘打って、これまでやらなかったこと、やれなかったことにトライすると宣言。その第1弾として2枚の40周年記念アルバムを初のクラウドファンディング(目標額に達成済)で制作し、完成後には発売記念コンサートで全国を回る予定。

東京生まれ、奄美大島在住。

topへ戻る