タイポグラフィ・ジャーナル『ヴィネット』は書物、メディア、活字にこだわった双書です。



『ヴィネット』は、ときには時代を批評したり、提案したりするでしょう。
そしてときには時代の記録を美しく描写するでしょう。
好評裡に完結した『文字百景』シリーズを継承しながら、B5判という
大判の判型を選択して、混迷をつづけるメディアへの斬新な提案をこころみます。

 



『ヴィネット』最新号


12号
号数活字サイズの謎

板倉雅宣
112頁 定価・本体2800円+税

 明治最初期にもたらされたわが国の近代金属活字のサイズは、おもには号数と呼ばれた体系のもとにありましたが、その基準値があいまいであって、ときとして「大きさがあって寸法がない」とまで酷評されてきた歴史がありました。そのためにわが国の近代金属活字のサイズに俗説や通説がまかり通るという困惑すべき状況をもたらしたことも事実でした。
 たとえばこれまでの関連文献によると、初号−二号−五号の大きさの関係は倍数関係にあり、それぞれ44ポイント、22ポイント、11ポイントに相当するというものと、42ポイント、21ポイント、10.5ポイントに相当するとするふたつの組み合わせがありました。
 これらの俗説や通説にたいして、著者・板倉雅宣氏は徹底した資料収集と実測を重ねて、なぜこうした混乱がもたらされたのかを五号活字サイズを中心とし、また初号サイズまでをふくめて明快な解答を与えることに成功しました。





Vignette──ヴィネットはタイポグラフィの用語では印刷にもちいるちいさな装飾のことです。




12号のヴィネット
 1914年(大正3)に発行された東京築地活版製造所の見本帳『活字と機械』には、各種印刷機械や道具類とともに、号数体系とポイント体系の双方を含む、豊富なサイズ展開による印字見本が掲載されています。上図はそのなかの「各号及ポイント角」と題された頁から一部を原寸で抜き出したもので、本書のヴィネットはこのうちの五号活字を参考としています。「各号及ポイント角」の頁には、このように金属活字そのものをうつすことによって、25種類の活字サイズが紹介されています。ポイント体系として4─38ポイントまでの15種類、その下部に号数体系として八─初号までと新7号を含む10種類が図示されています。『活字と機械』のなかにはこのほかにも、小形二号とされた19ポイントや小形五号とされた9ポイント半などの印字見本がみられて、当時は実に多種類のサイズの金属活字が製造されていたことがうかがえます。
 慣れ親しんだ号数体系から、あたらしいポイント体系への移行がはじまったこのころ、活字サイズの仕組みを分かりやすく提示しようという工夫がみられます。





『ヴィネット』 既刊タイトル一覧

00 櫻痴、メディア勃興の記録者
片塩二朗

01 トラヤヌス帝の碑文がかたる
木村雅彦 
品切
02 中国の古典書物
林 昆範

03 和様ひらかな活字
板倉雅宣
 
04 活字をつくる
片塩二朗・河野三男

05 挑戦的和字の復刻
今田欣一

06 元朝体と明朝体の形成
林 昆範

07 活字、東へ
板倉雅宣

08 富二、奔る
片塩二朗

09 楷書体の源流をさぐる
林 昆範

10 石の書物──開成石経
グループ昴
11 和漢欧書体混植への提案
今田欣一



『ヴィネット』 既刊

10号
石の書物──開成石経
グループ昴
72頁 定価・本体2600円+税

グループ昴とは、既刊ヴィネット中国刊本三部作の著者である林昆範氏を師とした刊本学の学習会をもとにしています。日本語タイポグラフィの基礎づくりをこころみる、グループ昂の第1作目は、現代の漢字活字書体のみなもととなった石の書物として、837年に唐の都長安に建立された『開成石経』の歴史をひもときます。
11号
和漢欧書体混植への提案
今田欣一
180頁 定価・本体3000円+税

ヴィネット・シリーズ05号において『挑戦的和字の復刻』を発表し、同時にデジタル・タイプの「和字 Revision9」を発売した今田欣一氏がまたまた意欲作『和漢欧書体混植への提案』を発表しました。



8号
富二、奔る
平野富二没後百十年記念出版
片塩二朗
174頁 定価・本体3000円+税

なにもかもが草叢のなかからわきあがった明治の初期、小指のさきほどもないちいさな活字と、巨大な船をふたつともにつくったの面白い人物がいました。金属活字製造、活字版印刷、機械製造、造船、航海、海運、土木とその貢献はめざましいものがありました。そんな平野富二の実像に鋭くせまりました。
9号
楷書体の源流をさぐる
林昆範
112頁 定価・本体2900円+税

ヴィネット2号、6号につづく、林昆範氏三部作の完結の巻。
現在もちいられている楷書体活字とは、唐代の楷書の系譜にはなく、清代康煕帝の命名による軟字の系譜にあることを解明した衝撃的な書。



6号
元朝体と明朝体の形成
林昆範
160頁 定価・本体3000円+税

『ヴィネット02』に展開された、中国刊本千年の歴史探求をへて、東アジア漢字圏における印刷用文字活字の失われた輪をさぐる林昆範の鋭い視点は、ついにモンゴル族王朝の元朝に歩をすすめて趙子昂(ちようすごう)の行楷書がもたらした元朝刊本の書体と字様の展開を探求した。
 それにつづいて漢民族が権力を奪還した明王朝における官刻、藩刻、家刻、坊刻の研究をつうじて「明朝匠体字(みんちようしようたいじ)−−明王朝における職人書体」としての明朝体の登場までの歴史を豊富な図版と詳細をきわめた論文によって解明した。
漢字書体史研究に必備の研究書。
7号
活字、東へ
平野富二没後百十年記念出版
板倉雅宣
122頁 定価・本体2800円+税

長崎の「活版伝習所」によって本木昌造らのグループは、あたらしい金属活字製造法を獲得し、大阪・京都・横浜・東京に活字版印刷所を開設していった。その活字と印刷術は各地で花を開き、西欧技術の日本への移転を確実なものとした。日本近代工業の濫觴と足跡を豊富な図版を駆使して描ききった力作。



4号
活字をつくる
片塩二朗・河野三男
232頁 定価・本体3000円+税

活字とはなにか、どのように造ったのか。あいまいだった金属活字製造法に迫り、埋もれていた貴重な和様の古典資料を分析して鋭く肉迫。いま明らかになる初期鋳造活字の製法の謎。
5号
挑戦的和字の復刻
今田欣一
180頁 定価・本体3000円+税

仮名といわずそれを和字という筆者。古典のたかみにある名作和字の魅力を発掘して、その成立の背景と人物を探求します。また平成時代の電子活字に名作和字を甦らせるべく、復刻技法によって制作に挑戦する姿勢と実践を記した意欲作です。



2号
中国の古典書物
林 昆範
112頁 定価・本体2500円+税

文字の発生期から印刷の発明へ。悠久の歴史を有する中国の書物の歴史に、気鋭の研究者が挑んだ力作。
文字と書物はなにをどう伝達してきたのか。三回シリーズの幕開けです。
3号
和様ひらかな活字
板倉雅宣 
128頁 定価・本体2800円+税

わが国の活字版印刷の黎明期を飾った和様活字。その不思議なひらかな活字は明治の印刷をながくささえました。
徹底した調査、豊富な図版の標本採取によって圧倒する迫力で迫ります。



0号
櫻痴、メディア勃興の記録者

片塩二朗
160頁 定価・本体3000円+税

激動の明治初期に勃興した、新聞、活字版印刷、書物、雑誌を記録した福地櫻痴。忘却されていた記録を発掘してその原点に帰り、鋭く原点をえぐった渾身の力作。
1号
トラヤヌス帝の碑文がかたる

木村雅彦
76頁 定価・本体2600円+税
品切
ローマのトラヤヌスの碑文は西暦114年に建立されて、ローマ大文字の源とされるものです。ここから出発した欧文書体は数えきれないほどありますが、最近ではアラン・チャンによる三井住友銀行のロゴタイプが、このトラヤヌスの碑文から採取した書体になっています。
本書では18世紀のナポレオン3世による複製以来の拓本採取に成功して、その写真と拓本を大判折り込み2点を含む豊富な写真と図版によって、トラヤヌスの碑文の魅力をくまなく紹介しました。




『ヴィネット』は、年間12冊程度の不定期発行をめざしています。

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