先日、某芸能プロダクションの赤ちゃんモデルのオーディションに行ってきた。 大いに笑って頂いて結構。親ばかと言われる行動は一通りしておこうという、確たる信念に基づいてのことだ。 ではその顛末をご紹介しよう。 まず、朝刊のTV欄の左下の広告をチェックする。1週間くらい眺めていると幾つかのプロダクションが登場する。その中で0歳モデルを募集しているとこに絞り、応募した。 ここですでに写真&プロフィールと併せて700円前後の切手を同封しなくてはならない。我が家は2個所に送ったと思う。すると、書類選考に通ったらカメラテストに来てくれとFAXが届くのだが、1個所は平日だったのでここでキャンセル。書類選考自体は常識的に合格するはずだ。問題となるのは極端な遠距離で、都内に来るのに何時間も掛かるような所の人だけ落ちるらしい。 そして次のカメラテストだが、これがチト高い。恐らく平均で7000円前後かかるのではないか。それでも「合格」という言い方をされるとなんとなく嬉しいもので、我が家のように「まあ、記念のつもりで」と受けに来るのは結構多いはずだ。そう考えれば、テストを土日にするのは正解だろう。親ばか相手にそこそこの稼ぎにはなるはずだ。 この予想は当日実感したが、まさにドンピシャリ。最寄り駅を降りると小さな子どもを連れた親子連れがワラワラいる。最初は「もしかしてあの人達も…」なんて思ったが、みんながみんな同じ方向に歩いて行くのだから疑いの余地はない。 「結構いるなあ」とキョロキョロしてると、みんな同じ事考えているようで、どこを向いても目が合う。互いの親ばかを恥じているのか、大抵苦笑いになる。ところが中には、サッと相手の子どもに目をやり、「よしっ!ウチの子の勝ち!」ってな笑顔を見せる母親もいたりしてかなり笑える。 事務所の中はそんな親ばかどもで一杯であった。1人の子どもに大人が2人は付いてくるので殊更大勢に見えるが、それでも1日で子ども数十人の撮影となりそうで、しかもそれが毎週あるというのだからいい商売である。 写真代を前払いしてスタジオの前で待っていると、笑顔の練習でもしているのか、ある父親がようやく首が据わったくらいの赤ん坊を抱えて、「ホラホラ**ちゃーん、高い高いでちゅネー」と耳まで届かんばかりに口を引き伸ばして笑っていたのだが、目だけがやたらと真剣で見ている方としてはかなり不気味である。ところが肝心の赤ん坊がウンともスンとも言わない。泣きこそしないが笑う気配もない。ひとしきりトライして諦めがついたのか「いつもはあんなにニコニコちゃんなのに…」とひとりごちた。まるで、子どもに向かってというより、周りにそれとなく伝えるように…。 そこでゆうたが呼ばれ、スタジオ入りとなった。(前編終わり) |
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