★ 市民の「参加と合意」の手法 − シナリオワークショップ  合意形成の手法、最終回はシナリオワークショップです。これも、コンセン サス会議同様、DBT(Danish Board of Technology)が開発してきた手法です。 フューチャーサーチに似ていますが、フューチャーサーチが、個人の体験や認 識から出発するのに対して、シナリオワークショップは、専門家が用意する 「シナリオ」を出発点とするところが大きな違いです。  この手法は、地域の関係者による対話をベースに、地域の将来ビジョンやニ ーズを議論して、その技術的・社会的解を探ることが目的で通常、「地元住民」 「技術専門家」「地方政府官僚・地方議会議員」「企業の代表」という4つの 異なる社会カテゴリーから合計20〜30人が参加して2、3日の会議を行ないま す。  特定の課題について、前もって与えられたシナリオをベースに議論が進めら れます。特徴的なことは、シナリオへの批判を通じて、参加者の知識や経験が 交わされ、それが未来へのビジョンや行動計画を形成する上での基礎となるこ とです。  言い換えると、シナリオワークショップは次の3つのフェーズからなります。 ・批判 ・ビジョン ・行動計画  難しいのはシナリオの作成です。専門家によって作成されますが、シナリオ は、その課題に対する典型的な4つの技術解を図示します。「都市のエコロジ ー」の場合、 ・問題解決への主役はだれか?市当局か、それとも個人レベルか、その中間か? ・どの程度「進んだ」技術を利用するか?環境問題の解決にあたるのは、人か、  技術か? という2つの軸で、それぞれ“high”と“low”という2つの選択を組み合わ せた4つのシナリオが作成されるのです。 ハイテク・中央管理型; ローテク・中央管理型; ハイテク・自律分散型;都会型ディンクスコミュニティ ローテク・自律分散型;パッシブ・ソーラーコミュニティ どのシナリオが「正しい」ということはありません。これは市民が検討するた めの「タタキ台」であり、市民が知識を得るための「鳥瞰図」でもあるわけで す。  このような洗練された「仕掛け」を用意することにより、市民は知識を得、 対話を十分に行ない、自分たちのための行動計画を作ることができるのです。  シナリオワークショップはまだ日本では行なわれておりません、来年、首都 圏で実施の予定ですが、まだ詳細は決まっておりません。決まったら、お知ら せいたします。  さて、10回で「街づくり」の基礎編が終了しました。ここで、少しお休み をいただき、今後どうするかを考えたいと思います。「応用編」に入っていく のもいいですが、「基礎編」をふまえて、どこかで実践を試みるのもおもしろ いと考えております。  今後、どうするか? みなさまのご意見をお寄せくださいませ。 講座についてのご感想・ご質問もいつでも歓迎です。あわせて kabu@ops.dti.ne.jpまでお気軽にどうぞ。