★ 神奈川で何から始めたか? 今回のアジェンダ作りは、昨年12月24日に第一回が召集されました。最初 に鏑木が確認したのは以下の点でした。 「今回作るのは、本来のローカルアジェンダですね?」 本来のローカルアジェンダというのは、繰り返しですが、21世紀も人類が持 続可能であるために1992年のリオのサミットで作った計画、すなわちアジ ェンダ21を地域でどのように実践していくか、という計画です。しかし、神 奈川のローカルアジェンダはそうとはいえなかった。日本のローカルアジェン ダは、この「本来の意味」を見失っているものが多いです。 神奈川において、根拠となる神奈川県環境基本条例28条では、「県は、市区 町村および県民等と協力して、地球環境保全に資する行動に関する計画を定め る・・・」とあり、視点が地球環境に向いています。実際、1993年に作ら れたアジェンダは、「フロン」「温暖化」、「酸性雨」「熱帯林の減少」等の いわゆる「地球環境問題」に対する対策という色彩が強いものになっていまし た。本来のローカルアジェンダは、地域を持続可能なものにするための計画で す。「水」「大気」といったいわゆる「地域環境問題」を避けて通るわけには いかないわけです。 ここで、疑問があるかもしれません。「では県や市区町村が作る環境計画とど う違うのだ?」ということです。しかしこれは簡単なことなのです。かながわ 環境保全推進会議は、県も、県域の37市区町村も一会員です。ここで作った 神奈川「県域」の「社会計画」を、県や市区町村の「行政計画」に反映させて いけばいいのです。そのための仕組みが必要だとの議論になりました。 しかし、かながわ環境保全推進会議は「民意」によって選ばれた首長や議会で はありません。したがって、行政計画に規定することはできません。必要なこ とは、県と37市区町村にアジェンダの策定から深く参加してもらい、それぞ れの行政計画にフィードバックしてもらうよう働きかけることです。それがど うなっているかをチェックすることがとても重要です。 もちろん、まだ、県と37市区町村の行政計画に影響を与えるに至っておりま せん。アジェンダは完成していないのですから当然です。しかし、神奈川県の 各部局、市区町村との意見交換は開始しており、今後、楽しみです。 第二回の委員会では、鏑木は「ローカルアジェンダの作り方」という資料を提 出し、委員のみなさまにご説明しました。内容は基礎編とも重複するので省き ますが、強調したのは、「"持続可能な地域"というものはどういうものかを、 委員が共有しなければならない。」ということでした。 計画をたてるには、 たてる人々の中で、目指すものがどういうものなのか共有されなければなりま せん。このステップを省略して議論したために、堂々巡りになることが多いの です。 しかし、「持続可能な地域」について共通の認識を得るのは実は困難な仕事な のです。やり方を2つ提案しました。 (1)国連のアジェンダ21で何が要求されているかを学び、共有する。 (2)科学的に導かれた「持続可能な状態」を学び、共有する。 (1)は連続講座が必要で時間がかかるが、共有するのが容易です。(2)の 代表は鏑木が所属するナチュラルステップの4条件で、学ぶのは1時間ですが 抽象度が高く、議論につなげにくいという欠点があります。結果として、中途 半端ではありますが(1)も(2)もやりました。この点については次回以降 述べることとします。