馬具と短甲による日韓交差編年

－日韓古墳編年の並行関係と暦年代－

出典：土曜考古第27号，土曜考古学研究会，85-114（2003）

暦年代3部作の第1弾

1.はじめに

日韓の古墳編年は，近年多くの成果を挙げており，詳細な地域関係論や比較研究も可能となってきた。日本の古墳研究者の韓国考古学への関心は非常に高く，研究者の交流も頻繁である。しかし，日韓の並行関係や暦年代が総合的に論じられる機会は，さほど多くなかった。資料や学史が国や言語を隔てて膨大であるためである。

最近，尾野善裕〔1998；2001〕は古墳時代の暦年代論が脆弱であると指摘し，再考を迫った。尾野説は古墳研究者にも注目され，評論でも取り上げられた〔岡林孝作2000；君島俊行2000；利根川章彦2002；森本徹2002〕。しかし，尾野は基本資料や学史を消化しておらず，乏しい引用文献すら誤読し，さらには斎藤忠の発言を捏造するなど，議論として成り立っているとは言いがたい〔白井克也2002〕。自らの猿投窯編年と，その1段階が30年に相当するという未検証の仮説を延命させるため，学史を貶めていたのである。

本稿では尾野の限りない問題点をこれ以上あげつらうことはしないが，尾野が韓国の研究成果をも不適切に参照し，一部の評者が尾野説を韓国の研究成果と同列に扱ったため，日本の研究者の一部に韓国考古学の成果を不当に低く評価する現象さえ生じていることは，指摘しておきたい。これは必ずしも尾野1人の責任ではないが，研究業績の正当な評価が妨げられているとすれば，ゆゆしき問題である。

そこで筆者は，韓国考古学における編年研究の成果を紹介して日韓古墳編年の並行関係と暦年代を論じ，それによって日韓の古墳研究の到達点を再確認し，尾野論文に由来する韓国考古学への誤解を晴らそうと考えた。手始めに新羅・加耶・百済の土器編年と馬具編年を検討した結果，それらが極めて整合的であり，日本の須恵器・馬具・甲冑の編年と対比しても矛盾がないことを知った。しかし，土器と馬具の双方について論ずるには膨大な紙数を要するので，本稿では馬具の一部に関する編年と日本の短甲編年とを共伴関係によって対比し，日韓の交差編年を試みるにとどめる。土器編年と微細な暦年代比定は別の機会に譲るが，本稿の範囲内でも筆者の意図するところは充分伝わるであろう。

ただ，あらかじめ断っておくと，本稿では目新しい結論は出てこない。各地における相対編年の努力の結果，編年や並行関係，暦年代論などは，すでに妥当な結論が学史の中に準備されているからである。ただ，全体を通観した解説が欠けていたのみである。

2.新羅・加耶・百済の馬具編年

馬具は古墳に高い頻度で副葬され，広く同一型式が分布し，多くの部品で構成されるため属性や型式変化も細かい。さらに，先学の豊かな研究成果があり，編年指標としてふさわしい。類似の馬具の分布は往々にして土器の分布圏をまたがり，各地の編年や並行関係を傍証できる。

韓国では姜裕信〔1999〕や李蘭暎・金斗喆〔1999〕が総合的な研究をしており，馬具各部の型式学的研究も盛んである。日本の馬具全般については小野山節〔1959；1966〕，坂本美夫〔1985〕，千賀久〔1991〕の業績など数多く，各論に至っては枚挙に暇がない。日韓比較についても千賀久〔1979；1988；1994〕が早くから主要な論点を示し，金斗喆〔1996〕や桃崎祐輔〔1999〕の最近の研究も大いに参考になる。

以下，木心鉄板張輪鐙，鑣轡，f字形鏡板付轡，心葉形・楕円形杏葉，剣菱形杏葉について，簡単に整理する。

1) 木心鉄板張輪鐙

韓国の木心鉄板張輪鐙については申敬澈〔1986〕や崔秉鉉〔1992〕の研究の後，陜川玉田古墳群などで増加した鐙資料を柳昌煥〔1995〕が分類した。加耶の鐙を主な対象とするが，新羅や日本の鐙との関連も考慮している。詳細な属性分析により大別3型式・細別9型式を設定し，型式相互間の組列と変遷を整理するとともに，技術発展や製作地を考察し，加耶古墳の消長とも関連づけた。加耶の木心鉄板張輪鐙について，柳昌煥が取りこぼした問題を見つける方が難しいほどである。朴天秀〔1998〕はこの研究を評価するとともに，鉄製輪鐙などとあわせて加耶の鐙全般を8類型に再構成し，器台編年との対応を示して編年の傍証とした。

韓国での木心鉄板張輪鐙の分類は大きな成果を上げているが，柳昌煥の大別分類（IA式・IB式・IIB式）は，千賀久〔1988〕が編年指標を意識して日本の木心鉄板張輪鐙を分類した型式名（IA式・IB式・II式）と基準や用語が似ている。これは，日韓の木心鉄板張輪鐙の変遷に共通性があることを示唆する。柄頭形態も，IA式は丸く，IB式は丸いもの，隅丸のもの，角張ったものがあり，IIB式は角張るので，大別3型式が大まかな経時変化を示すことがわかる。本稿では，有効性の認められた柳昌煥の大別分類に倣う。その上で，筆者は鉄板の張り方が型式組列を構成すると考え，4類を設定する（第1表）。これを柳昌煥の大別分類と組み合わせ，「IA式a1類」のように呼ぶ。

a類は，鐙の周囲に鉄板を張るが，輪の前後面には鉄板を張らないものである。柄頭前後面に鉄板を張り，その下端から輪の上半まで逆T字形の鉄棒を鋲留して補強するa1類，前後面に鉄板・鉄棒を張らないa2類がある。a1類には短柄と長柄が，a2類には短柄のみがあり，踏込は広がらない。IB式a1類鐙のうち，慶州皇吾洞14号墳第1副槨（第1図8）と昌寧校洞3号墳（第1図9）の例は柄頭が丸く，短柄のIA式a1類（第1図1～3）に近い様相を示す。IA式a2類（第1図4）はIA式a1類が鉄板を欠いた形であり，派生型式か，あるいは破損例であろう。短柄のIA式a1類は柳昌煥IA3式に，長柄のIB式a1類は柳昌煥IB3式に，短柄のIA式a2類は柳昌煥IA2式に対応し，IA式a1類（IA式a2類）→IB式a1類という型式組列が想定できる。

b類は，鐙の周囲に鉄板を張り，柄から輪上半にかけて前後面に逆T字形鉄板を張るものである。柄前面に稜をなさず，中途で鉄板が途切れるb1類，柄前面に稜をなさず，鉄板が途切れないb2類，柄前面に稜をなし，鉄板が途切れないb3類があり，b1類は短柄のみ，b2類は短柄と長柄の双方，b3類は長柄のみがある。踏込の広いものはないようであるが，清州新鳳洞1992年98号墳の破損した木心鉄板張輪鐙は，復元次第でIIB式b2類の可能性を残す。長柄のIB式b2類は玉田8号墳（第1図15）と天安龍院里12号墳など数例に過ぎず，柄頭が丸く，短柄の特徴を残す。短柄のIA式b1類（第1図5,6）は柳昌煥IA1式に，短柄のIA式b2類（第1図7）は柳昌煥IA4類に，長柄のIB式b2類（第1図15）・IB式b3類（第1図16,23,24）は柳昌煥IB4式に対応し，IA式b1類→IA式b2類→IB式b2類→IB式b3類という型式組列が想定できる。

c類は，鐙全面に鉄板を張り，すべて長柄である。柄前面に稜をなさず多鋲のc1類と，柄前面に稜をなし少鋲のc2類がある。c1類には踏込が広がるものと広がらないものがあり，c2類は踏込が広がらない。IB式c2類（第1図17,18,20）は，鉄板の範囲を除けばIB式b3類に近く，玉田M1号墳ではIB式c2類の前面にa1類の特徴である逆T字形鉄棒を配した例もある（第1図17）。IB式c2類は複数組列が交錯した派生型式であろう。長柄で踏込が広がらないIB式c1類（第1図12～14,22）・IB式c2類は柳昌煥IB5式に，長柄で踏込が広いIIB式c1類（第1図19,21）は柳昌煥IIB5式に対応する。

d類は，鐙の周囲と幅広の踏込，さらに柄頭や柄と輪の接する位置のみ鉄板を張るものであり，長柄である。鐙側面に接する部分で鉄板の端をわずかに折る例が多く（第1図25,26），鉄板の端を曲線的に裁断する例（第1図27）もある。a類・b類・c類との違いは大きく，百済での出土が多いことからみても，系譜を異にするであろう。鉄板部分が少ないため，実際の出土例では柄の長さや踏込の幅が不明な場合もあるが，確実なIA式・IB式のd類は存在しない。今後検討を要する。IIB式d類は柳昌煥IIB1式に対応する。

以上4類を見渡すと，複数の型式組列に共通の変化や，型式組列相互間の関係変化が読み取れる。複数型式の木心鉄板張輪鐙が共伴する例もある。以下，事例が多く共伴遺物に恵まれた加耶を基準に，地域性に考慮しつつ鐙を時期区分する（第1図）。

まず，短柄（IA式）から長柄（特にIB式）への画期が確認できる。両者は共伴せず，a類・b類双方において，長柄の最初の数例のみ柄頭が丸い。地域を越えて同時に長柄化したと考えられ，IA式単純期（鐙I期）からIB式単純期（鐙II期）への移行を想定する。

鐙II期から登場するIB式では，柳昌煥の指摘どおり，a類は新羅の勢力圏（慶州・昌寧），b類は加耶と百済の勢力圏（陜川・原州・天安）に多く，地域差を示す。さらに，c類はIB式から登場するが，校洞3号墳（第1図9,12）や慶州皇南大塚南墳（第1図11,13,14）のように，新羅の勢力圏でa類とc類が共伴しており，鐙II期に新羅鐙の階層性が確立したと考えられる。IB式b2類は型式学的にも例の少なさ（玉田8，龍院里12，新鳳洞1992年93号墳）からも，鐙II期の早い段階に位置づけられる。

鐙II期の後，長柄で踏込が広がるIIB式の鐙が登場する。玉田M1号墳ではIB式c2類（第1図17,18）とIIB式c1類（第1図19）が共伴するが，前述のようにIB式c2類をa類・b類・c類が交錯して一時的に派生したものとすれば，IIB式出現時点で鐙II期の鐙の地域性・階層性が崩れたと考えられる。さらに，加耶では鐙IIB式d類が登場し，IIB式c1類・IB式b3類とともに，新たな鐙の階層性が成立する。これにより，IB式単純期（鐙II期）から，IIB式が登場し鐙の組列が交錯して以降の時期（鐙III期）に移行したと想定する。

鐙III期の加耶では，玉田M1号墳のようにIB式c2類が存在するがIIB式d類が確認できない段階と，IB式c2類が消滅してIIB式d類が成立しIIB式c1類とIIB式d類の階層性が確立した段階が想定できる。これにより，鐙III期を鐙IIIA期と鐙IIIB期に細分する。

加耶で鐙IIIB期に登場するIIB式d類は百済に多く，定型化している。百済から加耶に伝えられたのであれば，鐙IIIA期以前の百済にd類鐙が存在した可能性がある。新鳳洞古墳群では8例ものd類鐙（うち2点はIIB式）を出土しているが，同古墳群の造営開始は鐙II期まで確実に遡るので，百済のd類鐙に鐙IIIA期以前のものを含む可能性は否定できない。

一方，新羅ではd類鐙が少ないが，慶州月城路タ-6号墳の破片がIIB式d類に該当する。加耶における鐙IIIB期の様相が新羅に伝わったと考えられる。

いずれにせよ，鐙III期の様相は主に百済と加耶の馬具様相といえる。

また，鐙III期以前から鉄製輪鐙もあるが，木心鉄板張輪鐙が衰退した後に鉄製輪鐙が主流をなすので，これによって鐙IIIB期の後に鐙IV期を設定する。

2) 鑣轡とf字形鏡板付轡

韓国の轡については金斗喆〔1993〕の研究がもっとも充実している。これを参考に，新資料も考慮しつつ鑣轡とf字形鏡板付轡を鐙編年と対比する（第2図）。

鑣轡のうち，本稿では鐙を伴って以降のものを対象とする。資料は高句麗・新羅・加耶・百済に及ぶが，特に百済の新鳳洞古墳群で多く出土している。福泉洞48号墳，21・22号墳（第2図1），10・11号墳（第2図2）は鐙I期，皇吾洞14号墳，玉田8号墳（第2図3），龍院里12号墳は鐙II期，高霊池山洞32号墳（第2図6），玉田24号墳，龍院里1号墳（第2図4），新鳳洞1992年72号墳（第2図5）は鐙III期の例である。

鐙III期の鑣轡のうち，加耶の池山洞32号墳では木心鉄板張輪鐙IB式c2類（第1図20）を伴い鐙IIIA期，玉田24号墳では木心鉄板張輪鐙IIB式d類（第1図25）を伴い鐙IIIB期に，それぞれ位置づけられる。百済では龍院里1号墳や新鳳洞1990年B-1号墳のように，主に木心鉄板張輪鐙IIB式d類を伴う。鑣轡との共伴例からみても，鐙III期に百済ではd類鐙が多数存在したが加耶ではいまだ少数であったと考えられる。これは，木心鉄板張輪鐙IIB式d類が鐙IIIB期に百済から加耶に伝えられたという先の想定にも合致する。なお，鐙IIIA期の池山洞32号墳では，鑣に鹿角ではなくf字形の鉄棒を用いている（第2図6）。

次に見るf字形鏡板付轡は，これまでも日韓の馬具比較において重視されてきた。日本出土のf字形鏡板付轡については坂本美夫〔1985〕，宮代栄一〔1993〕，内山敏行〔1996〕の議論が詳細であり，当初の型式が韓国のそれに一致すること，日本では剣菱形杏葉と強固なセット関係をなすことが知られている。しかし，日本で多数出土する轡型式でありながら，韓国では存続期間が短い。

加耶で比較的古い形態のf字形鏡板付轡は福泉洞23号墳例（第2図7）であり，木心鉄板張輪鐙IIB式d類を伴う。これに次ぐ道項里22号墳（第2図9）では木心鉄板張輪鐙IIB式c1類と，下縁中央が突出し飾鋲を打つ扁円魚尾形杏葉を伴う。発達した段階の玉田M3号墳（第2図10）では楕円形鏡板付轡，木心鉄板張輪鐙IIB式c1類（第1図21），鉄製輪鐙，剣菱形杏葉（第4図4,5）が出土したが，f字形鏡板付轡と伴うのは鉄製輪鐙1対のみである。

鐙や伴出土器から見て，加耶の例はほぼ鐙IIIB期で，鑣轡に後続する。

百済では，鑣轡がいずれも百済熊津遷都（475年）以前，公州宋山里出土のf字形鏡板付轡（第2図8）〔伊藤秋男1979〕が熊津遷都以降と推定され，やはり鑣轡からf字形鏡板付轡への変遷が想定できる。百済でも鑣轡を鐙IIIA期以前，f字形鏡板付轡を鐙IIIB期に，大まかに対比できよう。ただし，百済では鑣轡とf字形鏡板付轡の使用階層がかなり異なっており，単純な移行を想定してよいか，今後の検討課題である。

海南月松里造山古墳（第2図11）では剣菱形杏葉（第4図7）と鉄製輪鐙を伴う。

以上より，加耶・百済のf字形鏡板付轡は鐙IIIB期に限られ，鑣轡からほぼ単純期をなして移行する。鑣轡が百済に多いこと，f字形鏡板付轡の登場と同時期にd類鐙が百済から加耶に波及することから，f字形鏡板付轡が百済で考案された可能性が考えられるが，加耶でd類鐙が登場する以前の鐙IIIA期に，加耶の馬具が新羅からの離脱傾向を示すことから考えて，百済との相互作用のもとに加耶で考案されたかもしれない。f字形鉄棒を鑣に用いる鐙IIIA期の池山洞32号墳例は，f字形鏡板付轡の先駆的形態ともみられ，鑣轡の最終段階に近い鐙IIIA期のうちに，最初のf字形鏡板付轡が製作されていた可能性がある。

f字形鏡板付轡の登場後も鑣轡が残る日本は，f字形鏡板付轡の考案地ではなかろう。

3) 心葉形・楕円形杏葉と鐘形・棘葉形杏葉

心葉形・楕円形杏葉は新羅を中心に分布し，MT15型式期以降に日本でも盛んに用いられた。韓国の心葉形杏葉について李尚律〔1993〕は，扁円魚尾形・剣菱形・鐘形・棘葉形の杏葉とともに，形態，製作技法や法量分布など詳細な属性分析を行い，変遷を整理した。日本の心葉形杏葉については岡安光彦〔1988〕，内山敏行〔1996〕の研究がある。ここでは李尚律の業績を参考に，韓国の心葉形杏葉を形態変化と紋様組列により整理する。

心葉形杏葉には法量や形態にかなりの差があり，また，鋲が少ないものから鋲を密に配するものまで，鋲数の差がある。紋様にもいくつかの種類があるが，形態・鋲数を同じくして紋様のみ異なる杏葉が伴出する例があることから，形態・鋲数は時期差を，紋様は階層差や同一セット内の部位の差などを，それぞれ反映していると思われる。杏葉の製作に当たっては紋様や縁金・鋲は地板形態に従属的な属性であり，所定の地板形態によって全体の工程が制約されると考えられるので，地板形態の共通性が同時性を示すことは充分に考えられる。そこで，地板形態・鋲数によって型式を設定し，紋様組列を組み合わせて細分・検証する（第2表）。

地板形態と縁金の鋲数を組み合わせて型式を設定する。縦長で小さく，鋲数の少ない心葉形1式，やや大型化して円形に近く，鋲が10個以下の心葉形2式，横長の形態になって鋲が多くなった心葉形3式，下部の突出が弱まって横楕円形に近く，鋲が密に配される心葉形4式である。また，楕円形杏葉は心葉形4式から下部の突出を失った形態で，縁金に鋲を密に配する。心葉形4式に後続するであろう。法量をみると，心葉形1式は小さく，心葉形3式は最大のものを含むが，心葉形2式・4式と楕円形杏葉の法量はそれぞれ幅があり，重複している。また，心葉形3式の杏葉は，縁金の鋲の間に紋様をほどこす場合がある（縁金紋様帯）。縁金の加飾傾向という点で，縁金紋様帯をもつ心葉形3式は心葉形4式に近いといえる。以上のように，心葉形杏葉は1式→2式→3式→4式の方向性を持ち，楕円形杏葉はさらに後続する。

次に紋様組列を分類する。李尚律は心葉形杏葉を素紋・三葉紋・十字紋・刺葉紋・忍冬楕円紋・龍紋に分ける一方，刺葉紋には十字紋に加飾したものと三葉紋に加飾したものがあると指摘した〔1993：124〕。本稿では，李尚律の刺葉紋を主たる意匠に基づいて十字紋と三葉紋に編入しつつ，その加飾性に考慮する。

紋様と形態・鋲数を組み合わせると，素紋・十字紋に心葉形1式・2式・3式・4式・楕円形，三葉紋に心葉形2式・3式・4式，龍紋に心葉形3式，楕円忍冬紋に心葉形4式と楕円形が，それぞれ対応する（第2表）。

十字紋・三葉紋にそれぞれ加飾した，いわゆる刺葉紋は心葉形2式に限られ，縁金紋様帯は三葉紋と龍紋の心葉形3式杏葉に限られる。龍紋心葉形杏葉はすべて3式である。心葉形2式・3式にそれぞれ特有の加飾傾向が読み取れ，しかもそれらは法量が大きめであることから，加飾傾向によって階層性をなしていた可能性がある。

心葉形杏葉の出土例は，1式は加耶，2式・3式は新羅に多く，4式は新羅を中心に加耶や全羅南道に及ぶ。龍紋心葉形杏葉がすべて3式に限られ，大邱地域に集中していることも興味深く，この地域の特殊な地位を示唆する。

2式以降，新出紋様の杏葉はまず新羅の王陵に出土するようである。心葉形杏葉の普及・拡散とともに，慶州では新出紋様の心葉形杏葉を採用して最高位を維持するという過程が想定できる。当初は素紋に対し十字紋，続いて三葉紋が上位とみなされたが，三葉紋も普及するに及んで2式のある段階で刺葉紋，3式のある段階で縁金紋様帯を派生し，4式で楕円忍冬紋を採用したのであろう。楕円忍冬紋の心葉形杏葉が新羅の外に普及する時点では，楕円忍冬紋の紋様は同じくしつつも地板形態を大きく変えた鐘形・棘葉形杏葉が最上位を占めたと考えられる。

この仮説を検証するため，心葉形・楕円形杏葉，さらに類似の紋様を持つ鐘形・棘葉形杏葉を，一部で土器編年も媒介にしつつ，鐙編年と対比してみよう。

心葉形1式の杏葉は例が少なく，素紋が大半である。釜山福泉洞35号墳で木心鉄板張輪鐙IA式a1類と，金海大成洞1号墳（第2表1）で木心鉄板張輪鐙IA式b1類（第1図6）と，福泉洞10号墳（第2表2）で木心鉄板張輪鐙IA式b2類（第1図7）と，玉田23号墳で木心鉄板張輪鐙IA式a2類（第1図4）と伴出しており，いずれも鐙I期に属す。

1式の十字紋心葉形杏葉は咸安道項里14-1号墳（第2表3）で内湾楕円形鏡板付轡を伴う。この轡は鐙II期・鐙III期に多いので，この事例は，心葉形1式がわずかに鐙II期以降に残ることを示すとともに，十字紋が鐙II期以降に位置づけられる可能性を示唆する。

心葉形2式の杏葉は大半が新羅で出土し，2式以降，馬装に杏葉を伴うことが多くなる。

心葉形2式の古い例として，皇吾洞14号墳第1副槨で素紋と十字紋の2式心葉形杏葉が木心鉄板張輪鐙IB式a1類（第1図8）と伴出している。慶州皇南洞110号墳では主槨で素紋の2式心葉形杏葉（第2表4）が出土し，副槨でIB式c1類と思われる木心鉄板張輪鐙や扁円魚尾形杏葉が出土している。心葉形2式は鐙II期初頭に扁円魚尾形杏葉などとともに登場することがわかる。また，三葉紋の2式心葉形杏葉も，後続する皇南大塚南墳で扁円魚尾形杏葉や木心銅板張輪鐙（第1図13），銅製輪鐙とともに出土している。

皇南洞破壊墳第II墓槨では十字紋の2式心葉形杏葉（第2表5）が鉄製輪鐙に伴っている。新羅IIA期新段階の土器も出土し，鐙IIIA期並行である。月城路タ-6号墳では2式の三葉紋心葉形杏葉（第2表6）がIIB式d類とみられる木心鉄板張輪鐙の破片と伴出しており，三葉紋の心葉形2式は鐙IIIB期まで確実に存在する。このほか，2式の三葉紋心葉形杏葉は，皇南洞破壊墳第I墓槨で鉄製輪鐙と伴出し，さらに校洞5号墳でも出土例がある。

以上より，心葉形2式は鐙II期とともに始まり鐙IIIB期に至る。鐙II期初頭に十字紋，つづいて三葉紋が登場する。事例は新羅に偏るが，加耶でも咸安末伊山34号墳で素紋の2式心葉形杏葉が出土している。加耶では鐙II期に扁円魚尾形杏葉，鐙III期にはおそらく剣菱形杏葉が用いられたようである（後述）。

心葉形3式の杏葉は慶州金冠塚，慶州金鈴塚（第2表9,11），大邱達西50号墳第2石槨（第2表13），池山洞45号墳1号石室（第2表12）などで出土している。金鈴塚では3式（縁金紋様帯あり）と4式の心葉形杏葉に類似する十字紋心葉形鏡板付轡，木心金銅板張輪鐙と鉄製輪鐙が伴う（第3図1～3）。木心金銅板張輪鐙は柄が短いが，装身具の配置や法量から被葬者は少年と考えられ，馬具のなかでも騎乗者の体型に制約される鐙は，小さめに作ったのであろう。IB式c1類に準じて扱う。

池山洞45号墳1号石室では素紋の4式心葉形杏葉と木心鉄板張輪鐙IIB式c1類が出土しており，鐙IIIB期の下限時期に近い。皇吾洞1号墳北槨では三葉紋の3式心葉形杏葉（第2表10）に鉄製輪鐙が伴う。3式の心葉形杏葉は例が少なく，4式との共伴例もあり，鐙IIIB期ごろ短期に存在したと思われる。特に，心葉形3式から4式に移行する鐙IIIB期末ごろ加耶に心葉形杏葉が波及することは重要である。

心葉形4式の杏葉は慶州天馬塚（第2表18），皇南洞151号墳（第2表15,16），池山洞45号墳1号石室，玉田M4号墳，M6号墳（第2表19），羅州伏岩里3号墳'96石室（第2表17）などで出土している。天馬塚で木心金銅板張輪鐙IB式c1類と鉄製輪鐙，皇南洞151号墳で鐘形杏葉（第2表23），伏岩里3号墳'96石室で木心鉄板張壺鐙やMT15型式の須恵器を伴っている（第3図4～7）。加耶では木心鉄板張輪鐙が衰退する時期で，玉田M4，M6号墳では鐙を伴わない。4式の心葉形杏葉は鐙IV期初めごろに用いられたことがわかる。心葉形杏葉が栄山江流域まで普及している点も重要である。

楕円形杏葉は昌寧桂城A地区1号墳第2棺（第2表20），皇吾洞33号墳西槨（第2表21）で出土している。皇吾洞33号墳で鉄製輪鐙を伴うが，この杏葉は破損しており，心葉形4式の可能性も残る。鐙IV期に該当する。

楕円忍冬紋の鐘形杏葉・棘葉形杏葉は慶州壺杅塚（第2表22）・銀鈴塚，皇南洞151号墳（第2表23），釜山杜邱洞林石5号墳などで出土している。壺杅塚・銀鈴塚で鉄製輪鐙を伴い，鐙IV期であろう。ただし校洞11号墳での共伴例（第3図8～11）からみて，鐘形杏葉自体は，心葉形杏葉2式やf字形鏡板付轡に並行する鐙IIIB期から存在したと思われる。

以上のように，鐙編年と杏葉分類は大まかに対応する。

特に鐙I期から鐙II期への画期は，心葉形1式から2式への画期に対応しており，この画期以降しばらく，心葉形杏葉は新羅にほぼ独占され，扁円魚尾形杏葉が新羅・加耶の首長墓に登場するなど，器種間・地域間の関係が変動している。鐙II期の新羅の馬具が高句麗の馬具に共通することもますます明らかとなった。

心葉形3式以降は，ほかの馬具との共伴関係からみて変化が早く，前後の型式が重なり合いつつ推移する。新たな紋様・地板形態が次々に登場し，最上位の杏葉型式が更新されていったのであろう。この現象が，心葉形杏葉が加耶・全羅南道・日本に波及する鐙IIIB期末以降に起こることは，偶然ではあるまい。鐙IIIA期以来独自性を示していた加耶に新羅の馬具が波及し，さらに鐙IV期の心葉形4式・楕円形や鐘形・棘葉形杏葉の段階になると，馬具による身分表示が細分化されたと考えられる。

4) 剣菱形杏葉

剣菱形杏葉もまた，日韓の馬具を比較する際に着目されてきた。日本ではf字形鏡板付轡との密接な関係が認められるが，韓国では剣菱形杏葉が少なく，f字形鏡板付轡とのセット関係は月松里造山古墳のみで知られている。

共伴する馬具をみると，百済の龍院里1号墳（第4図2,3）で鑣轡（第2図4）と木心鉄板張輪鐙d類を伴い，鐙IIIA期に位置づけられる。加耶の玉田M3号墳（第4図4,5）ではf字形鏡板付轡（第2図10），楕円形鏡板付轡，木心鉄板張輪鐙IIB式c1類（第1図21），鉄製輪鐙を，池山洞44号墳主石室（第4図6）では楕円形鏡板付轡，木心鉄板張輪鐙IB式c1類（第1図22）をそれぞれ伴い，鐙や土器編年を媒介に鐙IIIB期に位置づけられる。

剣菱形杏葉は鐙IIIA期の百済で考案された可能性が高いが，先行形態が明確でない。これ以前の杏葉が百済ではほとんど知られておらず，上位層の墳墓が未発見の可能性もある。

加耶では鐙II期に新羅同様の扁円魚尾形杏葉が登場するが，鐙IIIA期の玉田M2号墳では扁円魚尾形杏葉の下縁中央を突出させるなど，剣菱形杏葉との中間的な例がある（第4図1）。加耶で鐙IIIA期に剣菱形杏葉が考案されたか，あるいは百済の剣菱形杏葉の影響を受けて加耶の扁円魚尾形杏葉が変容したか，両様に解釈できる。いずれにせよ，鐙IIIA期に加耶の馬具が独自性を顕かにする過程で剣菱形杏葉が採用されたのであろう。

また，剣菱形杏葉がf字形鏡板付轡と同様，鐙IIIB期末を待たずして姿を消すことは，鐙IIIB期末に心葉形3式・4式の杏葉が新羅から加耶に波及することと軌を一にする。馬具における独自性の主張から，新羅の馬具秩序のもとに回帰したのであろう。

したがって，短期にしか存在しない剣菱形杏葉も，ほかの馬具の画期と対応する。

5) 馬具編年と各地の土器編年

新羅・加耶・百済土器の馬具について，いくつかの画期を見出した。本節では，共伴例によって新羅・加耶・百済の土器編年と馬具編年を対比し，編年を検証する。土器編年の詳細は別稿に譲るが，ソウル地域百済土器についてはすでに提示しており〔白井克也1992〕，新羅土器についても概要を示したことがある〔白井克也2000〕。錦江流域の百済土器と石室については吉井秀夫の編年〔1991；1993〕を用いる。

鐙I期の福泉洞48号墳（第1図5）は古式IIIa段階，大成洞1号墳は古式IIIb段階，皇南洞109号墳3・4槨（第1図1），福泉洞21・22号墳は新羅IA期，福泉洞10・11号墳は新羅IB期，玉田23号墳は高霊IA期・新羅IB期，玉田68号墳は高霊IA期，龍院里9号墳は天安II期である。

このほか，尚州新興里古墳群ナ地区ではIA式木心鉄板張輪鐙がいくつか出土している。同古墳群は新羅IIA期に新羅の影響を強く受けるが，IA式鐙の出土古墳はほぼその直前段階に該当し〔洪志潤1999〕，古式IIIb段階から新羅I期に並行すると思われる。

以上より，鐙I期は新羅・加耶で古式IIIa段階から新羅IB期・高霊IA期まで，百済で天安II期と並行する。

鐙II期の当初はIB式で柄頭の丸い鐙が想定される。皇吾洞14号墳，校洞3号墳は新羅IIA期古段階，玉田8号墳は高霊IB期，龍院里12号墳は天安III期である。

鐙II期の典型的な様相を示す古墳のうち，皇南大塚南墳，校洞2号墳，昌寧桂南里1号墳が新羅IIA期中段階，玉田28号墳が高霊IB期である。百済では原州法泉里1号墳（第1図16）がこれに当たる。

以上より，鐙II期は新羅IIA期古段階・中段階，高霊IB期，天安III期に並行する。また，土器編年で対比すると，a類鐙が鐙II期までで終了することが推定できる。

鐙IIIA期のうち，加耶の池山洞32号墳は高霊IC期と新羅IIA期新段階，百済の龍院里1号墳は天安III期である。鑣轡と三足土器がソウル夢村土城85-3号貯蔵穴と新鳳洞1990年B-1号墳で伴出しており，鑣轡の終末と三足土器の初現が重なるなら，鐙IIIA期が石村洞III式や錦江I段階と並行するであろう。すなわち，鐙IIIA期は新羅IIA期新段階，高霊IC期，石村洞III式，天安III期の一部に並行する。

鐙IIIB期の道項里22号墳は高霊IIA期並行，玉田24号墳は高霊IIA期，玉田M3号墳は高霊IIB期古段階，福泉洞23号墳は新羅IIB期，これに続く池山洞44号墳，玉田M7号墳，磻渓堤カA号墳は高霊IIB期新段階である。加耶で鐙IIIB期終末を示す池山洞45号墳と玉田76号墳は高霊IIC期である。

新羅では，3式心葉形杏葉を出土する金冠塚が新羅IIB期，心葉形3式の末ごろと思われる金鈴塚が新羅IIC期古段階であるから，これらが鐙IIIB期に並行すると思われ，福泉洞23号墳の年代と矛盾しない。

百済では，鐙IIIB期に位置づけられるf字形鏡板付轡が宋山里古墳群で出土しており，宋山里I段階に該当すると考えられる。

以上より，鐙IIIB期は新羅IIB期からIIC期古段階の一部，高霊IIA期からIIC期，宋山里I段階に並行する。

鐙IV期は加耶でも鉄製輪鐙が主流となる時期であり，4式心葉形杏葉，続いて楕円形杏葉や鐘形・棘葉形杏葉が登場する。加耶では高霊IIC期の玉田M4号墳，M6号墳で4式心葉形杏葉を出すが木心鉄板張輪鐙が廃れており，新羅では新羅IIC期古段階まで木心鉄板張輪鐙が確認でき，4式心葉形杏葉は新羅IIC期古段階の天馬塚以降，新羅IIIA期の皇南洞151号墳にも見られる。

楕円形杏葉を出土した桂城A地区1号墳第2棺は新羅IIC期新段階から新羅IIIA期，皇吾洞33号墳西槨は新羅IIC期新段階である。楕円忍冬紋の鐘形・棘葉形杏葉を出土した壺杅塚・銀鈴塚は新羅IIC期新段階，皇南洞151号墳，釜山杜邱洞林石5号墳は新羅IIIA期である。両者は同時期に並存する。心葉形4式の退化形である楕円形杏葉は，鐘形・棘葉形杏葉が最上位の杏葉として確立した後，下位の杏葉として位置づけられていたのであろう。

以上より，鐙IV期は新羅IIC期古段階の一部から新羅IIIA期以降，高霊IIC期の一部以降に並行する。

このように，新羅・加耶・百済において，馬具編年と土器編年はきわめて良好な並行関係を保っている。細部に検討の余地が残るが，以上を表にまとめた（第3表）。

6) 新羅・加耶・百済における馬具の画期

新羅・加耶・百済の馬具が，地域性を示しつつも画期を共有することがわかったので，以下，馬具編年のまとめを兼ねて，画期の背景を考察する。

鐙I期から鐙II期への画期は新羅・加耶・百済に共通し，これを境に新羅の馬具秩序が確立する。高句麗の馬具はこの編年に対応しないが，集安七星山96号墳などの馬具からみて，鐙II期の新羅の馬具は高句麗の強い影響によると考えられる。新羅では鉄製輪鐙も用いられるようになる。

鐙II期から鐙III期への画期は2つの側面をもつ。まず，鐙IIIA期の加耶は，それまでの馬具秩序を打破し，新羅の馬具型式を一部受け継ぎつつ独自性を示す。続いて鐙IIIB期に百済の馬具の影響が加耶に強く現れる。新羅では大きな変化を示さない。

鐙IIIB期から鐙IV期への画期は，新羅の馬具型式が加耶や栄山江流域に急速に普及して，加耶独自の馬具型式が衰退し，新羅の馬具秩序が整備される。

また，木心鉄板張壺鐙のうち玉田75号墳例は土器編年で高霊IIA期に当たり，鐙IIIB期初頭に遡るが，陜川磻渓堤タA号墳や伏岩里3号墳の例（第3図5）は杏葉や土器から見て鐙IV期である。韓国で型式変化を追えず，日本で考案されたものが韓国に伝わったのであろう。

3.日本との並行関係とその検証

日本には韓国から騎馬の風習や馬具製作技術が伝わった。日本における馬具の変化は，韓国での変化に倣うであろう。しかし，情報の精粗や遅延，さらには国産化に伴う独自の変化もありうるので，馬具の対比を即座に並行関係とみなすわけにはいかない。

馬具の変化と対比するため，本章では帯金式甲冑〔古谷毅1996：64-65〕，特に短甲に着目する。帯金式甲冑は，馬具登場前後に日本で数多く副葬されるが，韓国でも少数出土しており，それらは日本製か，あるいは日本の影響を受けているとみなされる。

日韓双方の古墳に，馬具と帯金式甲冑の共伴例がある。特に韓国では，これらに加え多量の土器も副葬されており，編年指標としてふさわしい。このような事例を対比すれば，日韓の編年を双方向的に対比・検証し，並行関係を知ることができるであろう。

韓国の馬具編年に対比する日本の古墳編年は，前方後円墳研究会のいわゆる「集成編年」を意識しつつ須恵器の型式名〔田辺昭三1981〕で時期を表現する。須恵器を編年の基軸と考えるからではなく，目印としての有用性に期待するゆえである。

1) 馬具による並行関係

鐙I期の様相はTK73型式期以降に見られ，新開1号墳南槨（第8図1～4）などが知られている。同墳の馬具は鐙I期末の福泉洞10・11号墳の馬具（第1図7，第2図2，第2表2）と対比されている〔申敬澈1986〕。

鐙II期の様相はTK216型式期の瑞王寺古墳から確認される。鐙II期の古い様相である木心鉄板張輪鐙IB式b2類に加え，鑣轡やTK216型式の須恵器が副葬されていた（第5図1～3）。しかし，韓国で鐙I期と鐙II期が単純期をなして移行するのに対し，日本では鐙I期の要素がTK216型式期にも残るようであり，鐙II期の様相はあまり強く現れない。韓国で鐙II期の画期に起こった社会的変動自体は日本に及ばなかったこと，この時点で鐙の国産化が始まっていたことを示すであろう。

鐙III期の様相はTK208型式からTK47型式期の日本の馬具に対応する。TK208型式期に，加耶・百済の新たな馬具様相である木心鉄板張輪鐙IIB式c1類，f字形鏡板付轡，剣菱形杏葉が日本に登場するが，加耶・百済の政治変動に連動した動きであろう。

鐙IIIB期は加耶に鐙IIB式d類が登場するが，日本では，天狗山古墳（第5図5～8）など，TK23型式からTK47型式期に鐙IIB式d類が見られるようである。日本の馬具様相が加耶経由で伝えられたのなら，鐙IIIB期がTK23型式からTK47型式期に対応するといえる。

鐙IV期の様相はMT15型式期以降に対応する。これ以後の日本出土心葉形・楕円形杏葉をみると，素紋・十字紋・三葉紋・楕円忍冬紋が揃い，地板形態・鋲数も心葉形3式以前のものがない〔岡安光彦1988；内山敏行1996〕。MT15型式期における心葉形・楕円形杏葉の輸入や技術移転が，韓国で心葉形4式が普及して以後であることを示す。また，心葉形・楕円形杏葉に遅れてTK10型式期に鐘形・棘葉形杏葉が登場する〔桃崎祐輔2001〕。韓国では鐙IV期初頭に4式心葉形杏葉，やや遅れて楕円形杏葉，楕円忍冬紋の鐘形・棘葉形杏葉が登場するので，日韓の杏葉の変遷は一致する。鐙IV期は新羅を頂点とする馬具様相が加耶に普及するので，日本への直接の情報源が加耶である可能性は充分考えられる。

以上のように，日本の馬具も韓国の馬具編年と画期をともにするが，情報伝達に時期ごとの多寡がある。

2) 韓国出土の帯金式短甲

次に，帯金式短甲の韓国での出土例と共伴遺物，土器編年による時期比定を挙げる。頸甲の分類は藤田和尊〔1984〕による。

三角板革綴短甲 玉田68号墳（第6図2）では木心鉄板張輪鐙IA式a1類を伴い，鐙I期，高霊IA期である。道項里13号墳（第6図1）では木心鉄板張輪鐙IA式a1類を伴い，鐙I期である。高霊IA期・新羅I期に並行すると思われる在地土器も伴う。福泉洞4号墳（第6図3）は新羅IIB期である。金海杜谷43号墳は未報告の竪穴式石槨墓で，横矧板鋲留眉庇付冑を伴う。

長方板革綴短甲 釜山蓮山洞8号墳は複室構造の竪穴式石槨墓で，長方板革綴短甲に三角板鋲留短甲，さらに金銅装の扁円魚尾形杏葉などを伴う。詳細が未報告であるが，墓制からみて鐙II期から鐙IIIA期に相当する。杜谷72号墳は未報告の竪穴式石槨墓である。

三角板鋲留短甲 釜山加達4号墳（第7図3）ではII-c頸甲を伴い，新羅IIA期古段階である。新鳳洞1990年B-1号墳（第7図2）では型式不明の頸甲，鑣轡，木心鉄板張輪鐙IIB式d類，さらに定型化しない三足土器と，TK208型式の須恵器に酷似する蓋杯が伴う〔酒井清治1993〕。鐙IIIA期である。咸陽上栢里古墳群では伴出遺物が明確でないが，古墳群は高霊II期からIII期にかけて存続したようであり，鐙IIIB期から鐙IV期に該当する。蓮山洞8号墳では長方板革綴短甲を伴う（前述）。

横矧板鋲留短甲 玉田28号墳（第7図4）では木心鉄板張輪鐙IB式a1類（第1図10）を伴い，鐙II期，高霊IB期である。池山洞32号墳（第7図5）では，やはり帯金鋲留式甲冑である横矧板鋲留衝角付冑，倭系甲冑と思われるII-b頸甲，鑣轡（第2図6），木心鉄板張輪鐙IB式c2類（第1図20）を伴い，鐙IIIA期，高霊IC期，新羅IIA期新段階である。福泉洞112号墳は新羅IIB期である。さらに，長城晩舞里で出土例がある。

三角板横矧板併用鋲留短甲 校洞3号墳（第7図1）では鑣轡，木心鉄板張輪鐙IB式a1類（第1図9）とIB式c1類（第1図12），三葉紋の2式心葉形杏葉を伴い，鐙II期，新羅IIA期古段階である。

以上の帯金鋲留式短甲は鋲が目立ち，韓国の短甲の伝統には見られない特徴である。

3) 馬具編年と帯金式短甲の対比

小林謙一〔1974a；1974b〕，吉村和昭〔1998〕，滝沢誠〔1991〕によると，三角板革綴短甲・長方板革綴短甲は鋲留技術が導入される以前から用いられ，鋲留技術の導入後も生産が続く。三角板鋲留短甲は三角板革綴短甲に鋲留技術が導入されたもので，TK73型式期に登場し，TK23型式期まで存続する。横矧板鋲留短甲は長方板革綴短甲の系譜を引き，三角板鋲留短甲の登場後まもなく生産が開始され，TK47型式期まで用いられる。

鐙I期（新羅I期・高霊IA期）の帯金式短甲はいずれも三角板革綴短甲であり，鋲留技術伝来当時の日本の武具・馬具の様相に近い。あえて言えば，TK73型式期の新開1号墳南槨（第8図1～4）の様相に近い。

帯金鋲留式短甲は鐙II期初頭（新羅IIA期古段階・高霊IB期）に登場し，大半は右前胴開閉式で少鋲化が始まっていて鋲頭が大きく，玉田28号墳や校洞3号墳では幅広の帯金も用いている。これらは日本の短甲製作に鋲留技術が取り入れられた後，しばらくして出揃う特徴である。韓国での土器・馬具の型式変化と対比すれば，鋲留技術の導入直後は帯金式甲冑の型式変化が急速であったことがわかる。この間の型式は日本でのみ出土している。李承一も，日韓の三角板革綴・鋲留短甲の変遷を整理し，鋲留技術導入直後の三角板鋲留短甲が韓国で出土していないことを指摘した〔2000：178〕。これは，帯金式甲冑が日本製であることの傍証となる。

鐙IIIA期（高霊IC期・新羅IIA期新段階）の帯金式鋲留短甲は，池山洞32号墳や新鳳洞1999年B-1号墳で鑣轡を伴っている。後者ではTK208型式の須恵器に酷似した土器も伴う。日本では下北方5号地下式横穴墓の様相に近く，同墳では素紋の2式心葉形杏葉も出土している（第8図5～11）。TK208型式期に相当する。

鐙IIIA期は加耶と百済の相互作用によって新羅の馬具様相との相違が顕著になるとともに，加耶・百済の馬具様相がTK208型式期の日本に強い影響を与えた。この時期に帯金式甲冑が百済にまで及ぶことは看過できない。

帯金式短甲は鐙IIIB期まで確認できる。日本の短甲はTK47型式期を下限としており，大きな矛盾はない。ぴったり一致するわけではないが，新沢510号墳の副葬品（第8図12～14）は，この時期の韓国の様相に近い部分がある。

資料数は限られるが，韓国出土の帯金式甲冑は日本における変遷に矛盾せず，馬具との組み合わせも日韓で整合性がある。異例に長期の伝世がされた場合も弁別できるであろう。

気になるのは，福泉洞4号墳にみるように，三角板革綴短甲が韓国で遅くまで副葬される点である。やや解釈に踏込めば，鋲留技術の導入後も，革綴短甲が鋲留短甲より高級な品として日韓いずれか，または双方で認識され，そのために伝世または少数生産が継続していた可能性があるかもしれない。

先に馬具から想定した並行関係は，帯金式甲冑によって双方向的に検証された。さらに，日韓の情報伝達が，精粗はありながらも急速であることが読み取れた。

4.暦年代の推定

1) 方法

日韓の古墳編年を史料と対比する場合，資料と論理の性格により，有効性の異なる3つの方法を弁別すべきである。

第1の方法は紀年資料，特に紀年墓によるものである。ただ，公州武寧王陵には馬具・短甲・土器がいずれも副葬されておらず，北燕馮素弗墓は地域を遠く隔てているし，釜山・金海地域で短柄の木心鉄板張輪鐙が数多く出土した結果，それらを馮素弗墓と同時期と決めつけたり，同墓を型式変化の起点とみなすことはできなくなった。紀年墓はきわめて雄弁であるが，例が少なすぎる。

紀年資料でも，遺物には伝世の可能性があり，年号や干支には候補が複数ある。本稿では，埼玉稲荷山古墳の辛亥年銘鉄剣に先験的に暦年代を付与することは慎む。

第2の方法は，遷都・領域論によるものである。高句麗や百済の遷都，新羅の領域拡大は『三国史記』『日本書紀』と金石文から確認でき，考古資料との対比にも困難が少ない。

第3の方法は，情勢論によるものであり，もっとも解釈が介在しやすい。うまく整合すれば興味深い歴史像を描くこともできるが，あくまでも歴史的解釈に基づいていることは肝に銘ずべきである。新資料の発見や文献解釈の変更によって，まったく異なる歴史像が描かれる場合すらある。第3の方法は，第1・第2の方法を駆使した後，次善の策や傍証として用いるものであり，本末顛倒は許されない。

第1・第2の方法による詳細な暦年代比定は，土器編年とともに別稿に譲るが，鐙IIIA期・TK208型式と鐙IIIB期・TK23型式の境界は百済熊津遷都の475年ごろに位置づけられ，鐙IIIB期・TK47型式と鐙IV期・MT15型式の境界は武寧王陵築造開始の510年ごろ以降，金官加耶投降の532年以前に位置づけられる。

以下，馬具に関わるいくつかの歴史的解釈に言及する。これらが第3の方法であり，次善の策に過ぎないことは，改めて明記しておく。

2) 鐙II期の画期

鐙II期に鐙の長柄化が広域に起こり，特に新羅に高句麗の馬具様相が強く反映される。李煕濬〔1995〕はこの現象を高句麗の広開土王が400年ごろ南征した史実と関連させている。一方，申敬澈〔2000〕は，広開土王の南征を大成洞古墳群の造営終了に対比している。両説の優劣は，現状の資料による限り，歴史的解釈としての妥当性に委ねられる。

金官加耶の王陵群と思われる大成洞古墳群は，鐙I期の中途で造営が終了する。李煕濬説では，広開土王南征時の金海地域には有力首長墓が未発見ということになり，広開土王陵碑に記す「任那加羅」は実体を失ってしまう。一方，申敬澈は広開土王の南征を金官加耶の滅亡原因と捉えており，ひとまず整合性がある。

したがって，鐙II期の画期は広開土王の南征と関連せず，南征以後の現象であろう。

筆者は，427年に高句麗が平壌遷都することを想起したい。広開土王代に五胡十六国と争い，中原を目指す傾向が強かった高句麗は，長寿王代に南下傾向を強め，平壌遷都で決定的となる。高句麗の圧迫下で馬具に変化が起こったのではなかろうか。その場合，鐙II期の画期は427年をやや遅れる時期が想定される。

3) 鐙IV期の画期

鐙IV期に新羅の馬具秩序が確立し，しかも加耶や栄山江流域に波及する。この現象は，史料によって跡づけられないだろうか。

新羅の法興王は520年に「律令」を定めた。「律令」とは京位と外位からなる官位制の確立を指すと考えられ，前後する時期の金石文，迎日冷水碑（503年）と蔚珍鳳坪碑（524年）の表記を比較することで実証される。この官位制の成立が鐙IV期の画期に対応しているのではなかろうか。また，522年に新羅と大加耶の通婚が成立することは，鐙IV期の馬具が加耶に普及し，加耶の馬具の独自性が克服されていくこととも対応する。

5.おわりに－暦年代論争とは何だったのか－

ここまで煩雑ながらも大雑把な議論をしてきたが，まとめると次のとおりである。

TK73型式は，鐙I期末に相当し，420年ごろから435年ごろである。
TK216～TK208型式は，鐙II期と鐙IIIA期に相当し，435年ごろから475年ごろである。
TK23～TK47型式は，鐙IIIB期に相当し，475年ごろから515年ごろである。
MT15～TK10型式は，鐙IV期に相当し，515年ごろ以降である。

冒頭に予告したとおり，日韓双方の既存学説を大きく外れる見解は導き出されなかった。ならば疑問が生ずる。日韓の並行関係や暦年代について，深刻な意見対立が存在するという事実は，いったい何なのか。

もはや，編年の小差が深刻な意見対立に至った学史をなぞる余裕はない。研究者の人間関係や心理状態にも及ぶ問題であろう。最低限の問題のみ指摘する。

宮代栄一〔1996〕と金斗喆〔1996；1998〕は馬具の年代について論争しているが，困惑せざるをえないのは，両者が互いの研究成果を評価・尊重し，双方の業績があるから自らの研究も成り立っている旨を述べていることである。詳細に示された型式編年も，微差はあるが共通点も多く，本稿でも大いに利用している。では，なぜ論争するのであろうか。

両者の所説から，稲荷山古墳鉄剣と辛亥年銘にかかわる論理のみを抽出しよう。

論理A：鉄剣をTK47型式に対比するなら，辛亥年は471年。〔宮代栄一1996〕
論理B：鉄剣をMT15型式に対比するなら，辛亥年は531年。〔金斗喆1996〕

両者は実は矛盾せず，いずれも本稿の並行関係・暦年代案と整合する。“場合分け”に過ぎないのである。論理Aは，1978年の銘文発見以来，多くの考古学者が共有したものであり，白石太一郎〔1979〕も銘文発見当初は同意見であった。白石の見解変更〔1985〕に倣って辛亥年銘鉄剣をMT15型式に対比するなら，辛亥年を531年とする論理Bは，実は少しも間違っていない。論争の本質は，“場合分け”によるすれ違いである。

論理A，論理Bに対比して白石の論理を示せば，次のとおりである。

論理C：鉄剣をMT15型式に対比するが，辛亥年は471年。〔白石太一郎1985〕

論理Cは，本稿の並行関係・暦年代案とまったく整合しないし，辛亥年銘の暦年代比定を所与の前提としてしまった以上，未検証の仮定に過ぎない。

白石は，1979年論文では従来の馬具研究などの成果から辛亥年銘鉄剣を471年とみなしたのに対し，1985年論文では辛亥年の471年を所与の定点とみなし，一方で銘文鉄剣に対応する須恵器型式をTK23～TK47型式からMT15型式に改めた。これにより須恵器の暦年代観を全体に引き上げたのである。しかし，辛亥年を471年に固定して考古資料の解釈を改めるなら，銘文発見時に辛亥年を471年と推定した根拠自体をも掘り崩してしまうであろう。辛亥年銘鉄剣を出土した礫槨がやはりTK47型式期に属すであろうことは，先の宮代に加えて，岡安光彦〔1988〕や坂本和俊〔金井塚良一（編）2001〕らも論じている。

さらに白石は，MT15型式期ごろの今城塚古墳を真の継体陵とみなしている。『日本書紀』に記す継体の没年はまさに辛亥年，531年であり，白石説ではMT15型式が2つの辛亥年に深く関わってしまう。苦しい論理と言わざるをえない。

もう一つの問題がある。金斗喆は，白石〔1985〕の暦年代観を日本の通説と認識している〔1996：96，138〕。確かに白石説は影響力が大きいが，それは日本の古墳研究のすべてではなく，白石説を容認しない研究者も少なくない。この点についての学的状況の認識差が，論争に影を落としている。宮代も問題に気づいていながら，何かタブーでもあるのか，注で岡安光彦の年代論を引き合いに出しただけで，問題の真の所在に触れずじまいである〔1996：30〕。すれ違いを繰り返した挙句，辛亥年471年説が日本考古学のドグマとなっているという確信ばかりが深まっていった〔金斗喆1998〕。

申敬澈〔2000〕は，日本にも白石説に対する異論があることを看破し，白石説に依拠した朴天秀への批判という形で，疑問を提示した。筆者と意見を異にする部分もあるが，妥当な指摘も多い。申敬澈説を尾野善裕のいいかげんな議論と同一視するかのような森本徹の評論〔2002：27〕は，誤解を招きかねない。

韓国の新出資料や研究成果に配慮せず日本の暦年代だけを操作する“一国暦年代論”に，もはや成立の余地はない。ある地域の暦年代を論ずれば，相対編年によって位置づけられたほかの地域の暦年代にたちどころに影響を与える。破綻した仮説〔白石太一郎1985〕には異を唱えざるをえない。

“一国暦年代論”を乗り越えるため，細分された研究分野の間でも，事実の共有や意思の疎通に努める必要があろう。

【本稿で取り上げた遺跡と出典】

中国遼寧省北票県: 北燕馮素弗墓〔黎瑶渤1973；穴沢咊光・馬目順一1973〕
中国吉林省集安県: 七星山96号墳〔集安県文物保管所1979〕

ソウル特別市: 夢村土城85-3号貯蔵穴〔夢村土城発掘調査団1985〕
忠清北道清州市: 新鳳洞古墳群1982年調査〔李隆助・車勇杰1983〕; 新鳳洞古墳群1990年調査〔忠北大学校博物館1990〕; 新鳳洞古墳群1992年調査〔車勇杰ほか1995〕
忠清南道天安市: 龍院里古墳群〔李南奭2000〕
全羅南道羅州市: 伏岩里3号墳〔遺跡調査研究室2001〕
全羅南道長城郡: 晩舞里出土品〔韓永煕ほか1999：92〕
全羅南道海南郡: 月松里造山古墳〔徐聲勲・成洛俊1984〕
江原道原州市: 法泉里1号墳〔宋義政・尹炯元2000〕
大邱広域市: 達西古墳群〔野守健・小泉顕夫1932〕
慶尚北道尚州市: 新興里古墳群ナ地区〔韓国文化財保護財団発掘調査事業団1998〕
慶尚北道慶州市: 金鈴塚・飾履塚〔梅原末治1932〕; 壺杅塚・銀鈴塚〔金載元1948〕; 天馬塚（皇南洞155号墳）〔文化公報部文化財管理局1974〕; 皇南大塚（皇南洞98号墳）南墳〔国立中央博物館1975〕; 皇南洞109号墳〔斎藤忠1937〕; 皇南洞110号墳〔李殷昌1975〕; 皇南洞151号墳〔文化公報部1969〕; 皇南洞破壊墳〔朴日薫1964〕; 皇吾洞1号墳〔文化公報部1969〕; 皇吾洞14号墳〔斎藤忠1937〕; 皇吾洞33号墳〔文化公報部1969〕; 月城路古墳群〔国立慶州博物館・慶北大学校博物館1990〕
慶尚北道高霊郡: 池山洞32号墳〔金鍾徹1981〕; 池山洞44号墳，45号墳〔高霊郡1979〕
釜山広域市: 福泉洞4号墳〔申敬澈・宋桂鉉1985〕; 福泉洞10・11号墳〔釜山大学校博物館1983〕; 福泉洞21・22号墳〔釜山大学校博物館1990a〕; 福泉洞23号墳〔李尚律1990〕; 福泉洞35号墳〔申敬澈1986；李尚律1993〕; 福泉洞48号墳〔釜山大学校博物館1990b〕; 福泉洞112号墳〔宋桂鉉ほか1996〕; 蓮山洞8号墳〔申敬澈1988；釜山広域市立博物館福泉分館調査保存室2001〕; 杜邱洞林石古墳群〔朴志明・宋桂鉉1990〕; 加達4号墳（旧金海加達1号墳）〔金斗喆1986；宋桂鉉・洪潽植1993〕
慶尚南道昌寧郡: 校洞2号墳，3号墳，5号墳〔沈奉謹ほか1992〕; 校洞11号墳〔穴沢咊光・馬目順一1975〕; 桂城A地区1号墳〔鄭澄元1977〕; 桂南里1号墳〔李殷昌ほか1991〕
慶尚南道金海市: 大成洞1号墳〔申敬澈・金宰佑2000〕; 杜谷43号墳，72号墳〔釜山広域市立博物館福泉分館調査保存室2001〕
慶尚南道咸安郡: 末伊山34号墳〔朴東百ほか1992〕; 道項里13号墳〔（社）慶南考古学研究所2000〕; 道項里22号墳〔李柱憲2001〕
慶尚南道咸陽郡: 上栢里古墳群〔金東鎬1972〕
慶尚南道陜川郡: 玉田M1号墳，M2号墳〔趙栄済ほか1992〕; 玉田M3号墳〔趙栄済・朴升圭1990〕; 玉田M4号墳，M6号墳，M7号墳〔趙栄済ほか1993〕; 玉田8号墳〔趙栄済1988〕; 玉田23号墳〔趙栄済ほか1997〕; 玉田24号墳〔趙栄済ほか1998〕; 玉田28号墳〔趙栄済ほか1997〕; 玉田68号墳〔趙栄済ほか1995〕; 玉田75号墳，76号墳〔趙栄済ほか2000〕; 磻渓堤古墳群〔国立晋州博物館1987〕

埼玉県行田市: 埼玉稲荷山古墳〔埼玉県立さきたま資料館1980〕
滋賀県栗東市: 新開1号墳〔西田弘ほか1961；小野山節1966：10〕
奈良県橿原市: 新沢510号墳〔奈良県立橿原考古学研究所（編）1981〕
岡山県吉備郡真備町: 天狗山古墳〔村井嵓雄1972〕
福岡県筑後市: 瑞王寺古墳〔川述昭人（編）1984〕
宮崎県宮崎市: 下北方5号地下式横穴墓〔野間重孝（編）1977〕

【文献】

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