ECUのプログラムでブースト圧の制御は、以下のように行っています。
エンジン回転数、アクセル開度から目標ブースト圧マップ(8x8)を参照して
目標となるブースト圧を決定する。
目標ブースト圧と現在位のブースト圧の差を調べ、
ブーストのレベル(4段階)を決定する。
レベルにしたがい、エンジン回転数の増減を加味して過給圧制御を行うPWMの補正値(D)を決定する。
エンジン回転数、アクセル開度から最大デューティマップ(8x8)を参照して、
過給圧制御を行うPWMの最大デューティ(M)を決定する。
前回計算時にセットしたPWMの設定値(B)に補正値(D)を加え、
最大デューティ(M)をオーバーしていたら最大デューティー値(M)に
クリッピングして新規のPWM設定値(B)とする。
マイコンのPWM設定レジスタにPWM設定値(B)を書き込む。
マップを変更してみた感じとしては、目標ブースト圧を高めに設定して
最大デューティでコントロールするのがやりやすかったように思います。
ただしPWMの補正値は段階的(4段階)なので、それを吟味する必要はあるでしょう。
また上の流れでは見て取れませんが(自分が使用しているデータの場合)、
目標ブースト圧からPWMの補正値を計算するルーチンは10回に1回、
最大デューティを計算して新規PWMを決定するルーチンは20回に1回、
の割合で呼び出されています。
これらのルーチンの呼び出し間引きで適切なブースト圧のオーバーシュート特性や
応答特性を決定しているようです。
気になる? 俗説
マフラーを変えると最大ブースト圧が変化すると言う人がいるが...
確かに排気の抜けは良くなるので制御系の応答特性は変化して、
オーバーシュートは出やすくなると思われる。
しかしブースト圧はインテークの圧力を基準に制御していることから、
発散しないかぎりは設定した過給圧に落ち着くはずです。
しかしそうならない場合には、どこかがおかしいはずなので、
ちゃんとトラブルシュートしましょう!
また純正の過給圧をコントロールするソレノイドバルブが
制御が追い付かないと聞くことがあります。
ソレノイド自身はまあ安定性のある部品で、
車載を考えられた設計であり値段もかなり張るんですが、
ソレノイドバルブ 16102AA012 A9211-B9403 7,480
16102AA013 B9404-C9608 6,800
圧力センサー 22012AA020 A9211-C9608 19,800
圧力センサーとソレノイドバルブだけで上の値段である。
もちろん純正の保守部品であり価格は高めではあるんですが。
これらの部品でブーストコントローラーを作ると、
すでに原価計算が成り立たないかも。
それだけ純正はしっかりした部品を使っているということです。
上記の問題はブーストアップをした時に、
関連するパラメーターを全て適切に書き替えれば良いのですが、
応答を考えずに一部のマップの変更で対処しようとすると
おかしくなるのは当然と言えば当然である。
(確かにそのようなROMが市販されていたりするのでこれらによって
上の噂が出るのではないかと邪推してます)
しかしちゃんとECUのプログラムを解析し、
設計意図を読み取りコントロールをさえすれば、
より細かい制御をECUで行え無駄な投資をせずに
思い通りの特性を作ることも出来る!(はず...)