ある一定の集団の中で、毎回主人公を変えつつ連作でその集団を描いていく、というスタイルは多分小説でもマンガでも昔からあるものなのだろう。これもその一つで、この場合、描かれる集団は隣り合った高校3校の生徒(とその家族)。
多分、私の好きなマンガ家の中でも、世間の評価・知名度と一番かけ離れているのがこの人だろう(かけ離れていてもこの程度、とも言えるが)。正直なところ、何故このマンガがそれ程知られていないのか理解に苦しむが、かと言って自分でも「これを読まずして少女マンガを語るべからず」などと強弁出来る訳でもないのが苦しいところ。
他人や世間との距離の取り方に悩む青少年、などと書いてしまうといかにもありがちだが、このシリーズのキャラクター達は皆、他人と積極的に合わせるでもなく、突っ張るでもなく、微妙な距離の取り方をして悩んでいて、その描き方もドライなところとウェットなところの匙加減が微妙で、何とも独特な味わいがある。
こう書いてみてもさっぱり伝えられる気がしないが、とにかく良質な作品であることは間違いない。但し、単行本の発行日からも分る通り、まず続きが望めないというのも間違いないところ。切に復活を望むマンガ家の一人なのだが。