コンサート感想(2003年)

平成15年 1月26日(日)

場所:
東京・初台/東京オペラシティ
出演:
尾高忠明(指揮)
緑川まり(ソプラノ)
牧野真由美(メゾソプラノ)
井上幸一(テノール)
東京フィルハーモニー交響楽団
曲目:
ワーグナー/歌劇『タンホイザー』序曲
R.シュトラウス/『4つの最後の歌』
ワーグナー/歌劇『ローエングリン』第1幕への前奏曲
R.シュトラウス/楽劇『サロメ』より「七つのヴェールの踊り」〜終曲
感想:
シュトラウス『4つの最後の歌』目当て。「September」「Beim Schlafengehn」の2曲がやはりいい。1曲目の「Fruhling」ではややビブラートがきつく感じたが、2〜3曲目では気にならず。それにしてもいい曲。

平成15年 2月15日(土)

場所:
東京・初台/東京オペラシティ
出演:
秋山和慶(指揮)
佐藤しのぶ(ソプラノ)
東京交響楽団
曲目:
R.シュトラウス/『4つの最後の歌』
ベートーヴェン/交響曲第7番
感想:
目当てのシュトラウスはビブラートかけすぎ。期待していなかったベートーヴェンの方が楽しめた。「単純でよく鳴る」ベートーヴェンの典型?ちなみに7番では第3楽章が一番好き。

平成15年 3月 1日(土)

場所:
東京・四谷/紀尾井ホール
出演:
ハーゲン弦楽四重奏団
曲目:
ハイドン/弦楽四重奏曲第74番『騎士』op.74-3
ヤナーチェク/弦楽四重奏曲第1番『クロイツェルソナタを読んで』
ベートーヴェン/弦楽四重奏曲第9番『ラズモフスキー第3番』
感想:
チケットの買い間違い。本当は翌日のフィリアホール(バッハ、バルトークの4番、ショスタコーヴィチ8番)を聴きに行きたかったのだが、2曲目を聴き終わってから気付く始末。彼らの強弱や緩急の幅を大きくとった演奏は一聴、耳をひくものの、「うまく個々の演奏を合わせること」にこだわりすぎで、結局表現・解釈の振幅の大きさにはつながっていない、というのが以前からの感想。この日もその通りで、古典派はただでさえ緊張感の少ない(≠退屈な)曲を退屈にするだけ。但しその様な弾き方を要求している現代物にはぴたりとはまり、ヤナーチェクはアルバン=ベルク等のCDの印象が吹き飛んだほど。バルトークとショスタコーヴィチを聴き逃したのが残念でならない。

平成15年 3月16日(日)

場所:
埼玉・川口/リリアホール
出演:
山田康弘(指揮)
バッハ協会管弦楽団
バッハ協会合唱団
バッハ…武田裕子(ソプラノ)
    山下牧子(アルト)
    小関奈々(アルト)
    川瀬幹比虎(テノール)
    森野光生(バス)
ブラームス…藤崎美苗(ソプラノ)
      初鹿野剛(バス)
曲目:
バッハ/マニフィカトBWV243
ブラームス/ドイツ・レクイエム
感想:
実はソプラノはどちらがどちらか分からない。が、どちらも達者な方だった。アルトの山下さんとバスの初鹿野氏は昨年12月にBWV147を聴いているが、相変わらず素晴らしい演奏。今回オーボエが12月のときの男性から女性に代わっていて、前の人より一呼吸深いフレーズが心地よく、特にマニフィカトの3曲目は山下さんともども絶品。しかしここの合唱団、見てる限りではテノールパートが3人しかいない様だけど、よく頑張ってる。

ところで指揮者の山田さんの日記は相変わらず面白い。


平成15年 3月21日(金・祝)

場所:
東京・三鷹/武蔵野市民文化会館
出演:
スコラ・カントールム
曲目:
ビクトリア/死者のための聖務曲集
シュッツ/音楽による葬送
感想:
ビクトリアのレクイエムはまだ余り聴きこんでいないが、『聖週間聖務曲集〜レスポンソリウム tenebrae responsories』に比べるとややあっさりしている気がする。シュッツも同じくあっさりした曲だが、ブラームスやヴェルディの様に派手なレクイエムという方が本来おかしいのだろう。この合唱団は初めてだが、ビクトリアのソプラノソロ、シュッツのアルトソロが秀逸。特にビクトリアは女声の絡み合いが決め手だと思っているので、十分堪能出来た。ビクトリアの女声だけの曲というのがあれば、と常々思っているのだが…。

平成15年 4月29日(火・祝)

場所:
東京・目黒/聖アンセルモ・カトリック目黒教会
出演:
ヴォーカル・アンサンブル・カペラ
曲目:
ジョスカン・デ・プレ/ミサ『マルール・ム・バ』

平成15年 6月12日(木)

場所:
東京・上野/東京文化会館
出演:
ガリー・ベルティーニ(指揮)
中村智子(ソプラノ)
河野克典(バリトン)
東京都交響楽団
晋友会合唱団
曲目:
ブラームス/ドイツ・レクイエム
感想:
ベルティーニ(&都響)月間第1弾。声量あるいは音響のせいか、ややバリトンが聞き取りにくかったが、演奏自体はなかなか。ベルティーニだけに期待は大きすぎる位大きかったが、概ね見事に応えてくれた。概ね、というのは第6曲辺り合唱の意気込みが上滑りしていた感もあるかな、と。それよりも普段殆ど聞き流している第4,5,7曲を集中して聴けたのはさすがで、特に第7曲をかなりしっかりした音量で演奏していたのが印象的。そういえばコンマスの矢部氏が髪を染めていたが、イメージチェンジ?

平成15年 6月13日(金)

場所:
東京・赤坂/サントリーホール
出演:
ガリー・ベルティーニ(指揮)
中村智子(ソプラノ)
河野克典(バリトン)
東京都交響楽団
晋友会合唱団
曲目:
ブラームス/ドイツ・レクイエム
感想:
音響については余り賛辞を聞かないサントリーホールだが、座席の位置のせいかソロは非常に聞きやすかったし、東京文化会館になかったパイプオルガンの音は効果大。今日も普段期待の大きい第3,6曲もさることながら、第4,5,7曲が印象的。この曲をライブで聴くのはここ半年で4回目になるが、特に第5曲に関しては今回がダントツ。中村さんの調子も昨日より良かったと思う。

平成15年 6月22日(日)

場所:
東京・赤坂/サントリーホール
出演:
ガリー・ベルティーニ(指揮)
東京都交響楽団
曲目:
ブラームス/交響曲第3番
ブラームス/交響曲第1番

平成15年 6月29日(日)

場所:
横浜/みなとみらいホール
出演:
ガリー・ベルティーニ(指揮)
東京都交響楽団
曲目:
マーラー/交響曲第7番
感想:
CDではまともに最後まで聴き通せない曲だが、ライブで聴くとそこそこ面白いと言えなくもない。とはいえベルティーニだからこそ、であって他の指揮者のライブに行く気にはならないが。昨年の4番もそうだったが、この手の曲を最後まで集中して聴かせる手腕はずば抜けている。11月の『大地の歌』が待ち遠しい。

平成15年11月 4日(火)

場所:
東京・初台/東京オペラシティ
出演:
スタニスワフ・スクロヴァチェフスキ(指揮)
ザールブリュッケン放送交響楽団
曲目:
モーツァルト/交響曲第35番「ハフナー」
ブルックナー/交響曲第5番
感想:
久しぶりのコンサートで、約1年1ヶ月振りのスクロヴァチェフスキ。モーツァルトは余興で、メインのブルックナー5番はいかにも合いそうな曲だと思ったが大当り。良い意味での“楽譜が見える”演奏で、第1〜3楽章迄は今まで聴いた中で間違いなく最高。第4楽章はどんな演奏を聴いても冗長な気がするが、今回もやや退屈(これだけいい演奏でも不満、という事は多分曲自体のせいだろう)。来年のN響とのベートーヴェンが楽しみ。

こんな演奏を聴くと、最近食傷気味の8番よりも(終楽章を除いて)5番の方が上という気がする。個人的に8番はどうも緊張感が足りない。勿論ベストは9番。

平成15年11月 6日(木)

場所:
東京・初台/東京オペラシティ
出演:
スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ(指揮)
ザールブリュッケン放送交響楽団
曲目:
ブルックナー/交響曲第8番

平成15年11月29日(土)

場所:
横浜/みなとみらいホール
出演:
ガリー・ベルティーニ(指揮)
ヨルマ・シルヴァスティ(テノール)
スーザン・プラッツ(アルト)
東京都交響楽団
曲目:
マーラー/交響曲第10番〜アダージョ
マーラー/交響曲『大地の歌』
感想:
第五楽章まではやはり上手いオーケストラ向けの曲なのか、ともどかしさを感じていたが次で一転。そもそも楽章開始時点でオーケストラの気合の入れ様が明らかに違う。ベルティーニもこの楽章だけ指揮棒を置いて素手で指揮。『大地の歌』は個人的にマーラーで唯一CDで聴くに耐える曲で50〜60回は聴いているはずだが、初めて第六楽章の意味が分かった気がする。これならショスタコーヴィチや新ウィーン楽派がマーラー、特にこの終楽章に入れ込んでいたというのもうなずける。曲としての完成度が一番高いのは第一楽章、という評には同意するがライブではやはり終楽章が最高。隣で小学生低学年位の子供が退屈してじたばた動いていようが、周りで居眠りしてプログラムを落す人間がいようが、全く気にならず。会場の終演後の反応は今一つだったが、個人的にはスタンディングオベイション級の感動(但し第六楽章だけ)。

ビバ・都響、ビバ・プラッツ、ビバ・ベルティーニ!

平成15年12月 7日(日)

場所:
埼玉・越谷/サンシティホール
出演:
山田康弘(指揮)
バッハ協会管弦楽団
サンシティ市民合唱団
武田裕子(ソプラノ)
桝貴志(バス)
曲目:
モーツァルト/モテットK.165 「踊れ喜べ汝幸いなる魂よ」
ブラームス/ドイツ・レクイエム