環境法U 第1回「導入講義」
正木宏長
※今回の授業はガイダンスです
1 環境法Uの概観 
 
六法 − 憲法・民法・商法・刑法・刑事訴訟法・民事訴訟法
 
公法 : 憲法・行政法・刑法など
私法 : 民法・商法など
 
環境私法 → 損害賠償、差止め
環境公法 → 事前規制
 
 
環境法Tでは環境法の総論と環境私法の分野についての講義がされたが、Uでは環境公法の分野についての講義をする
 
◎環境法Uの内容
 
○主要な法律
 
・環境基本法
 
→ 環境政策の基本理念を定めている
 
・環境影響評価法
 
→ 環境アセスメントに関する法律。一定規模以上の公共事業を行う際に環境アセスメントを義務づけている
 
・大気汚染防止法
 
→ 大気汚染を防ぐため、ばい煙を排出する事業者に対して排出基準の遵守を求めている
 
・水質汚濁防止法
 
→ 河川や海洋の汚染を防ぐため、排水を行う事業者に対して排水基準の遵守を求めている
 
・土壌汚染対策法
 
→ 土壌汚染の浄化のために汚染された土地の土地所有者に対して汚染を除去する責任を課している
 
・循環型社会形成推進基本法
 
→ ごみ問題に関する基本法。循環型社会の形成についての基本原則を定めている
 
・容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律
 
 → ペットボトルなどのリサイクルを行う枠組みを定めている
 
・廃棄物の処理及び清掃に関する法律
 
 → 家庭や事業所からの排出される廃棄物に対する規制を定めている
 
・自然公園法
 
 → 自然保護のために国立公園や国定公園の制度を定めている
 
・地球温暖化対策の推進に関する法律
 
 → 事業者に対して地球温暖化対策を行うことを求めている
 
 
○環境法Uで扱う他の環境問題
 
・生物多様性の保全
 
 → 稀少生物種の保護。外来種対策
 
・国際的な環境問題
 
 → 温室効果ガスの排出に対する国際的な取組
 
○講義で扱わないが他に環境法の問題として扱われることがあるもの
 
・原子力問題
・景観
・海浜保全
・都市問題
 
※環境法は民法、行政法、国際法にまたがる学際的な分野である
 
2 講義予定 
 
第1回 導入講義
第2回 環境法の基本理念
第3回 環境政策の手法
第4回 環境基本法
第5回 環境影響評価
第6回 大気汚染防止
第7回 水質保全
第8回 土壌汚染対策法
第9回 リサイクルと法
第10回 廃棄物処理と法(1)
第11回 廃棄物処理と法(2)、生物多様性の保全  
第12回 自然公園、公害紛争処理制度
第13回 公害健康被害補償、地球温暖化
第14回 環境行政訴訟(1) 
第15回 環境行政訴訟(2)
 
3 文献紹介 
 
◎入門書
 
大塚直編『18歳からはじめる環境法』(法律文化社、第2版、2018)
北村喜宣『環境法』(有斐閣、第2版、2019)
 
◎教科書
 
大塚直『環境法BASIC』(有斐閣、第2版、2016)
黒川哲志=奥田進一編『環境法のフロンティア』(成文堂、2015)
交告尚史ほか『環境法入門』(有斐閣、第3版、2015)
富井利安編『レクチャー環境法』(法律文化社、第3版、2016)
 
 
◎本格的な教科書
 
阿部泰隆=淡路剛久編『環境法』(有斐閣、第4版、2011)
大塚直『環境法』(有斐閣、第3版、2010)
北村喜宣『環境法』(弘文堂、第4版、2017)
松村弓彦ほか『ロースクール環境法』(成文堂、第2版、2010)
越智敏裕『環境訴訟法』(日本評論社、2015)
 
 
◎調べ物に
 
新美育文ほか編『環境法大系』(商事法務、2012)
西尾哲茂『わかーる環境法』(信山社、増補改訂版、2019)
 
・大塚直『環境法BASIC』を教科書として指定する
 
※小型六法には環境法の諸法律は掲載されていないので、条文を参照するには専用六法または中型六法・大型六法が必要
 →  ベーシック環境六法(第一法規)、環境六法(中央法規出版)、判例六法professional(有斐閣)、模範六法(三省堂)、六法全書(有斐閣) 
・データベース検索を使うのも手である(下のアドレスは政府のe-Gov法令索引検索)
http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0100/
 
・スマートフォン・タブレット端末を持っていれば、アプリ等で条文が確認できる。画面が小さいので、スマートフォンでの利用はいまいちおすすめできないが、何も見ないよりはいいだろう。
         
4  成績評価 
 
・期末試験によって行う。出題範囲は試験の時期に指定
・出席はとらない
 
5 その他 
 
・授業のレジュメは私のHPにアップロードする(manabaではないので注意)
      http://www.ops.dti.ne.jp/~andm/
 
   次回は「環境法の基本理念」大塚BASICp25〜55、287〜289