個別行政分野の法 第一回 「ガイダンス」
正木宏長
 
1 個別行政分野の法、あるいは行政法各論の意義 
 
・本講義はいわゆる「行政法各論」を扱う授業である
 
※かつての行政法総論と行政法各論の区別
行政法総論 → 行政全体にわたる一般論(現在の体系での「行政法総論」・行政救済法)
行政法各論 → 行政組織や警察や公企業(公益事業)や社会保障といった個別行政分野
 
◎かつての行政法各論の問題点
・多様な領域の法を扱っていたが、それぞれは特殊法として独立して取りあげられるべきではないか
ex. 環境法、社会保障法、医事法、
・個別の法制だけではなく、行政過程全体を見渡して議論すべき
 → 行政作用法から行政過程論へ(塩野宏『公法と私法』p197以下)
・範囲が広範にわたるので、結局、無内容なものになりがち
 
・しかし、行政法の体系をいかに構築すべきかということはともかくとして、一方で講学上、「行政法各論」について一定の知識の習得は有意義である
 → 「行政法総論」の抽象性
・本講義で取りあげるものは、「社会保障法」「環境法」「経済法」といった科目の入門的なものでもある
 
2 講義計画 
 
第1回 ガイダンス
第2回 国の行政組織
第3回 地方自治
第4回 警察
第5回 医事衛生規制
第6回 環境規制
第7回 公共施設
第8回 都市計画
第9回 公用負担
第10回 教育規制
第11回 社会保障
第12回 労働規制
第13回 経済規制
第14回 財政
 
3 教科書類 
 
(オンラインシラバスの参考書は基本的に図書館への本の発注リスト)
 
・本講義では、 室井力編『新現代行政法入門(2)』法律文化社 、を教科書として用いる
 
◎いわゆる行政法各論の教科書(現在でも入手可能なもの)
 
室井力編『新現代行政法入門(2)』(法律文化社、2004)
村上武則編『応用行政法』(有信堂、第2版、2001)
桜井昭平編著『現代行政法[各論]』(八千代出版、第2版、2001)
 
※それぞれの授業毎の詳細な情報については「行政組織法」「地方自治法」「警察法」「医事法」「環境法」「都市法」「土地収用法」「教育法」「社会保障法」「労働法」「経済法」「財政法」といった教科書を見た方が良いだろう。
 
・六法については小型六法未登載法令を多く扱う。携帯を苦にしないのなら以下の中型六法を推奨する
 
模範六法(三省堂) 
判例六法professional(有斐閣):今秋発売予定
 (六法+判例六法といった内容らしい。普通の判例六法のほうではないので注意)
 
4  成績評価 
 
・期末試験によって行う。出題範囲は試験の時期に指定
・出席はとらない
 
5 その他 
 
・授業のレジュメは私のHPにアップロードする(webCTではないので注意)
      http://www.ops.dti.ne.jp/~andm/
 
次回は「国の行政組織」室井編p3〜23