FW108Nを使用したバスレフの補強桟の実験

2002/1/23 設置



  用意した箱の内部構造です (左より順に「A」「B」「C」とします)  いずれも12mm厚のMDFを使用。
  廃材を利用したため、見た目はすこぶる美しくないです。実験後は即座に解体して廃棄予定(・∀・)



  ベースとなる箱の実寸法。単位は「mm」、ポートが「φ63」となっていますが、これは外径です (内径はφ55)
  従って内容積は、バスレフポート・FW108Nの磁石・補強桟の体積を引いて、およそ7000ccとなります。
 
  「C」には補強桟が入っていませんし、他の箱も補強桟の形状が違いますから、背板に適当な端材を
  張りつけ、箱の内容積を微調整しました。一応、3つの箱の内容積の誤差は1cc未満となっています。
  ……まあ、ここまで厳密に調整する意味はないんですけれど。念には念を入れて。
 
 「A」「B」「C」のインピーダンス特性 ※本当に微妙な差なので、今回はグラフを拡大表示

 

  見るべきポイントは、やはりポートの反共振周波数付近です(この設計だと大体63〜67Hzのあたり)
  バスレフってのは要するにヘルムホルツの共鳴器ですから、共鳴器のQは基本的に箱の「頑丈さ」で決定
  されます。牛乳パックの空き箱と、ビールの空瓶に息を吹き込んだ時、どちらがボ〜っと鳴りやすいかと
  考えるのと同じです。丈夫であればあるほど、堅ければ堅いほど、箱のQは高くなるわけです。すなわち、
  「インピーダンスが低いほど共鳴する力が大きい」 = 「箱が頑丈」 と、みなすことができます。
 
  で、グラフを見ますと……当たり前の結果でつまんないですね(笑) 補強桟のない「C」のインピーダンス
  が若干高くなっています。どうやら他に比べて箱が弱いようです。
 
  面白いのは「A」「B」の違いでしょう。これは一概にどちらが頑丈とは言えない感じです(それでも、やや
  「A」の方が丈夫?)  実は計測前は「AとBは差が出ないんじゃないか?」と思っていたのですが、意外と
  はっきり(?)違いが分かるもんですね。なお、参考までに言っておきますと、「A」の方が圧倒的に製作は
  簡単です。と言うより「B」の箱が難しすぎました。写真じゃよく分かりませんが、これ、斜めカットの補強桟
  の組み格子なんですよ……。時間効率を考えれば、「A」の圧勝です。
  補強桟と言えばB&Wのマトリクス構造が単純な十字構
  造になっているのも、それなりに理由があるのかもしれま
  せん。なにせ、あれだけの製品を出してくるメーカーです
  からね。もっといくらでも複雑なものが作れそうですが、こ
  ういうところは手間をかけても、あまり意味ないのかも?
  まあ、それを抜きにしても、メーカー製のスピーカーの内部
  構造は、見ているだけでもいろいろと参考になります。
   さて、それでは気を取り直して測定の続きを……
 
 「C」「Cの内容積を50cc減らした箱」のインピーダンス特性

 

  これは何を見るのが目的かと言いますと、先の「A」「B」「C」のインピーダンスのグラフの違いが容積の
  誤差によるものでないことを調べるための検証です。100mm x 55mm x 9mmのMDFを背板に接着して、
  内容積を50ccも(?)減らしても、それほどグラフに変化はみられません。従って最初のグラフは、純粋に
  補強桟の形状の違いによる、箱の強度変化とみてよさそうです。
 
 「C」「Cに吸音材 x1」「Cに吸音材 x2」のインピーダンス特性

 


  これはもう見たまんまです。使った吸音材(グラスウール)は1枚あたり約25g。体積は2000cc以上あります。
  これを2枚も入れると、箱の中の半分以上がグラスウールで埋まってしまい、明らかに入れすぎです(聴感
  でも低音がさびしくなるのが分かる)  密閉箱なら、これくらい入れるのも十分アリなんですが……。しかし、
  吸音材を入れたぐらいじゃ、案外、ポートのチューニングってのは変わらない物なんですね。単純に内容積
  が半分になったとしたら、ポートの反共振周波数は90Hz以上になるんですが、今回の場合、上がるどころか
  下がっています。ちょっと不思議?
 
 「C」「Cの板厚を25mm増やした箱」のインピーダンス特性

 


  箱が丈夫なら共鳴が強くなるのか? ということで、今度は板厚を増やしてみました。とにかく測定誤差は
  出したくなかったので、なんとドライバを取りつけたままの工作です。板に段差がついているのは、バッフル
  面積が増えたことで測定値に変化が出るのを避けるためです。このあたりはとことん徹底しています。
 
  で、結果は上のグラフの通りなんですが、なかなか面白いデータが取れました。板厚は12mmでも37mmでも
  あんまり変化がないんですね。7000ccの箱に37mmの厚みの板というのは、はっきり言ってやりすぎの観が
  ありますが、ここまで厚い板を使っても、「A」「B」のような補強桟の効果に及ばないわけです。
 
  そう言えば、中島平太郎の『オーディオ工学』に「十分な厚みの板を使うことは重要だが、やみくもに板を
  厚くするより、天地左右を補強桟で連結構造にする方が箱の剛体化には効果がある」という記載が
  あった気がします。……記憶違いで、別の本だったらすんません(´・ω・`)

(実験期間 2002. 1 .10 〜 1. 20)