ネットワーク用パーツ雑感
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……こんな状況でも、右が気になってしまう紳士たちに捧げる……
地獄のコンデンサ編
とりあえず、「コンデンサって何さ?」っていう人が、こんな変なページを読むとも思えないので、そのあたりは
割愛させて頂きます。あくまで、スピーカーのネットワークに使う「フィルム・コンデンサ」についてのお話です。
と言っても、電気の教科書に書いてあるような話はしません。それをやっちゃうと、「コスト・入手性を考えて、
廉価なポリプロを選ぶのが無難でしょう(終〜了〜)」となってツマランので。……いや、正直、それで決着が
つくなら楽なんですよ、本当に。私らヲタクにとって問題なのは、「材質、定数もほとんど同じなのに、なぜ
こんなにも音が違って聴こえるのか?」ってことでして。それがブラインドでも分かってしまう。そう、恐怖の
ブラインド・テスト! かつて私は、知人と果敢にも『高級ケーブルのブラインド・テスト』に挑み、ものの見事に
撃沈したトラウマを持っているのですが(もちろん知人も含めて皆殺し)、コンデンサの違いはブラインドでも
大体は分かるのです。と言うより、正確には、「音質の違いが分かるコンデンサがある」と言うべきでしょうか。
結局のところ、ビミョ〜な違いしかないんですが、そのビミョ〜な違いで一喜一憂してしまうのが、マニアの業
の深さでしょうなあ……。整然とした『高級キャパシタ・評価リスト』みたいなものは、海外サイトにゴロゴロして
ますので、そういうのをまとめて読みたい方は、以下のリンクからどうぞ。
Humble Homemade Hifi -Capacitor Test- ……わりと老舗ですね。ただし、すべてを鵜呑みにしない方がいいかと。
AV FRONT LINE 11/2006 ……中国の雑誌に掲載されたアメリカの大学教授のレビュー。アンプの部品としての評価。
Tempo Electric -The Great Capacitor Shoot-Out- ……アンプとスピーカー、双方での比較コメントが読めます。
Music.com DIY Audio Magazine -Capacitor Musings- ……他のページも見所満載。FF85Kの魔改造キモス。
どういう時にこだわり、どんなものを買うべきなのか?
難しい問題です。長年、この趣味を続けていると、それこそコイルガンを作って、自爆テロでも起こすんじゃ
ないかと家人を心配させるほど、コンデンサなどのパーツが溜まっていくんですが、「はじめてマルチウェイに
挑戦!」みたいな人だと、どうでしょう? 今時の若い自作派なら、ネット上でドライバのデータシートを拾って、
箱とネットワークの特性をPCでシミュレートして最適値を求めて……ってな感じですか。Mundorf Supremeが
安いのはどこかいな〜、価格.comへポチッとな? ……いやいやいや、待って待ってお兄さん、そういうコマ
の進め方はマズいんですよ。あとで必ず不満が出て、泥沼にハマりますから。よくあるデスループが、「どうも
高音がしっくり来ない」ってんで、とりあえず同じ数値・別銘柄のコンデンサへ買い替える(これはまだ序の口)、
「ひょっとして、クロスのさせ方がよくないのか?」と思ってフィルタの次数変更、あるいは特性自体の変更 →
シミュレートからやり直し、「こりゃドライバが悪い! やれやれ、安物はダメだな!」 とうとうツィータ交換 →
パーツ類すべて買い直し、「うーん、やっぱり高音がしっくり来ない……」 ノッチフィルタを入れたり取ったり、
「分かった! ツィータのせいじゃない、ウーハの問題だったんだよ!」「なんだってー?!」 ウーハ変更 →
箱から全部作り直し。あひゃひょわあああ!
定評ある作例のデッド・コピーならともかく、完全オリジナル設計のスピーカーで、最初から100%満足できる
作品なんて、まずありえません。どこかしら、なにかしら気になるところがあるものです。そして、その欠点が、
コンデンサの音質によって克服されるなんてことは、絶対にありませんから。使用するコンデンサの銘柄に
こだわるのは、やるべきことを全部やり尽くしたあとのお話。基本的には、ケーブルのようなアクセサリー類と
同じカテゴリーの楽しみだと考えるべきでしょう。
実のところ、高次フィルタなら、コンデンサの銘柄なんて問題にならんのです。遮断特性がバタワースなのか、
連立チェビシェフなのか、クロスポイントを微妙にズラした方がよいのか、そのあたりを調整する方が、ずっと
音に変化があります。そして、使っているツィータがハード系だろうとソフト系だろうと、ベンダーがどこだろうと、
高級品であろうとなかろうと、大概はツィータのfsとXmax、振動板面積、ウーハの高域ロールオフの具合から
落としどころが見えてくるはずです。4次以上のフィルタをパッシブで微調整する猛者はいないと思いますので
(仕上げはパッシブだとしても)、何か違和感を感じたら、デジタルチャンデバからやり直してみましょう。高次
フィルタの場合、コンデンサが100円の安物でも、1万円以上の高級品でも、たいして音に影響はありません。
何も考えずにオールDayton MPTでOK牧場。とことん数値を追い込んで下さい。
悩ましいのは、コンデンサとコイルが1個ずつの1次と、オーソドックスな2次です。特に2次にインピーダンス
補正を組み合わせたものは、よっぽどデタラメな設計にしない限り、「音」としてまとめやすいので、アマチュア
の世界ではポピュラーだと思います(海外でも作例が多い) そして困ったことに、パーツ、特にコンデンサを
変えると大きく音質が変わります。ここらへんの理屈は、考えれば考えるほどわけが分かりません。信号が
通過する素子数が少ないので、パーツの質がモロに出てくる……とも言えそうですが、それならパーツの多い
高次フィルタの方がもっと問題になりそうです。では数値の精度? 関係ないでしょうね。遮断特性が -6dB〜
-12dB/oct 程度のフィルタで、素子感度が影響するとも思えませんし。まあ、インダクタに限って言えば、空芯
コイルならDCRの大きさに注目して、ウーハのQ込み込みで設計するのがセオリーですので、あんまり悩む人
はいないだろうと思いますが。「銅箔か、リッツ線か、それが問題なんだ!」 デスヨネー(・∀・)
「結局、どのコンデンサを買えばいいのよ?」……これだ!と思ったものは全部購入して、自分で聴き比べる
のが一番です。ラーメンの味噌と醤油のどっちがうまいかなんて、決められっこないんですから。ただ、先人
の経験談はバカにはできません。私にしても、いろいろ購入して、試してみて、改めてレビューサイトを読むと、
なるほど……と納得することしきりでした。ただし、どっちの方が優れている、とか、細かい点数やランキング
をつけている部分については、差し引いて読む方がよろしいかと思います。私も以下、何種類かのコンデンサ
についてレビューを書いていますが(結構たくさんあります)、官能評価の域は脱していません。感想文です。
もちろん、村上春樹の『ノルウェイの森』を読んで、「北欧旅行に行った森首相のラノベです!」みたいなウソ
を書いたり、どこぞの小売業者によるバイアス補正などはかかってませんので、その点はご安心を。
とにかくバンバン取りかえて聞いてみる
「猫パンチ」でドハマリした関係で、SB Acousticsの「SB29RDNC-C000-4」を使った試聴(5.6uF)がメインです。
差がよく分からないものは、Accutonの「C25-6-012」を使った別システムで評価しました。……はい? 最初
から全部そっちでやれ? うーん、それだと面白くないじゃないですか。廉価ツィータじゃ意味がないみたいで。
なお、5.6uFが入手できなかったものは、同品種パラレルで値をそろえてあります。価格は米国ドル基準です。
円高・円安とは無関係に、日本国内の小売価格はおかしなものが多いですから。ご参考までに……
●Mundorf Supreme silver/gold/oil φ46mm x 71mm 1200VDC
$250前後。いきなりコレかい!というツッコミはともかく。音は一級品です。ノーマル
Supremeを基調として、そこに不思議な滑らかさを足した感じ。おそらくは含浸させた
オイルの効果だと思いますが、いわゆる「昔ながらのオイルコン」とは音が違います。
ブレンドが前提なら、格下のsilver/oilの方が違和感が少ないようです(s/oの5.6uF
単体は試しておらず、ブレンドでの比較。s/g/oの方が、ほんのわずかに明るい?)
Supreme一族は、どれも音が大人しくなる一方、奥行きや立体感が強調されます。
ちなみにSupreme(黒)とMKP(白)はキャラが正反対なので、MKPの高解像度ver.
と思って買うと肩透かしを食らいます。「半値のs/oで十分だろ」って意見には賛成。
●Mundorf Supreme φ36mm x 56mm 800VDC
$40前後。発売当時、海外の知人が「マジでスゲーのキタコレ!」と激賞するので、また
いつものフカシだろうと軽い気持ちで試聴してみたんですが……正直、感動しました。
て言うか、これは音が変わりすぎだろう。なにこれ? 情報量や解像度が上がるとか、
そういう方向性ではない。たとえるなら、画像の陰影部分を濃く描き、相対的に彩度
(鮮やかさ)を高める感じです。痛い音とか、ギラついた音が一切しないので、パッと
聴いた印象では、音が引っ込んだように感じます。しかし暗くなったり、ボヤけたりは
しません。「さわやか」「淡白」「素朴」とは無縁の、「濃厚」「濃密」「濃縮」路線です。
こういうのがあるからオーディオは面白い(・∀・) 買って損はないでしょう。
●Mundorf MKP φ18mm x 33mm 250VDC
$5前後。俗に白ムンドルフと呼ばれる廉価なメタライズド・ポリプロ(Supremeも同じ)
ネット上での評判は悪くないですが、残念ながら、こいつの良さがよく分かりません。
これ使うなら、どれ使っても一緒なんじゃないかなあ……。指月CPやAudynCap QS
ほどキツくはない。ややキツいかな?程度。その一方で、ASC X363ほど線の細さは
感じない。でもスレンダー気味。どこか音ヤセする感じ。つまり中途半端な音なのに、
それなりにクセっぽいところもあるので、あえて選ぶ理由が……。もしやSupremeの
かませ犬? 思わずそんなことを考えちゃいます。これの耐圧違い(400V・630V)は
もう少し音がいいらしいんですが、わざわざ確かめる気になれません。嫌い。
●Mundorf MKT φ16mm(11mm) x 26mm 250VDC
$3前後。指月TMEと同じくメタライズド・ポリエステル。ポリプロではない。ハイエンド
を席巻しつつあるMundorf軍団の、一番下っ端クンです。最上位がs/g/oの選別品
(赤黒スリーブ。日本では流通してない)が、これの100倍近い価格であると考えると、
感慨深いものがあります。全体に大味だし、高音質(?)パーツとしては欠点だらけ
なのに、音に異常な「張り」と「勢い」があるので悩ましい。なんなんでしょう? この
元気のよさは? ただ、本当の意味での力強さはないし、ナチュラルな音質とも違う
ので、万人受けはしないと思います。ウーハのインピーダンス補正や、少し音が眠い
廉価ドームに組み合わせるとナイス。少なくとも上のMKPより、はるかに使える。
●WIMA MKC4 12mm(H) x 18mm(W) x 6mm(D) 63VDC 1uF
6個で$3くらい。小信号・基盤実装用のメタライズド・ポリカーボネイトです。実測 0.93
〜0.94uF x 6でモジュール化。いわゆる「ポリカーボの力強さ」に期待してたんですが、
ヘナヘナのモワモワでガッカリ。エージングとかの問題じゃない。何をブレンドしても、
全然使い物になりません。ダメすぎ。同じWIMAでもMKP(ポリプロ)はまあまあなんで、
大丈夫だと思ったんですけどねえ……。しかしまあ、これがあまりに残念な結果だった
からこそ、改めてコンデンサを聴き比べようという気になったわけで、そういう意味では
「振袖火事」の振袖のような存在と言える。おかげさまで手の施しようのない大火事に
発展し、本当にありがとうございました。……素直にアンプのパーツとして使うべき?
●WIMA Black Box(MKP10) 40mm(H) x 39mm(W) x 19mm(D) 250VDC 4.7uF
$10前後。MKC4をミソクソに言ってしまったので、WIMAの復権のつもりで書きます。
サイズが同じなので、MKP10の外装違いと見て間違いないかと。若干レア・パーツ?
……あのね、「Audio Cap」とか書けばいいってもんじゃないでしょ? OFCリードでも
使ってんの? こんな金の刻印ごときで海千山千のマニアがだまされると? 拙者は
釣られてしまっクマーでござるが。音は普通です。よくも悪くもない。総じてボックス型
のフィルムコンは、円筒型のタイプに劣る奴が多いんですが、こいつは十分使えます。
なお、使用の際には、カッコいい菱形の代紋を写真うつりのよいポジションに置くのが
自作派のマナーとなっているようです。ここ、期末テストで出るから、要チェックよ!
●Bennic XPP φ20mm x 35mm 250VDC
●Dayton(Bennic) MPT 1% φ21mm x 31mm 250VDC
●Dayton(Bennic) MPT 5% φ21mm x 31mm 250VDC
$3〜$5前後。いずれも台湾のBennic製造ですが、XPPとMPTは別のシリーズです。
外見や造りは似ているのに、音はそれなりに違って驚かされます。XPPはエッジが
立ちすぎる上、中域が妙にボヤけた感じがして、あんまり使いたくない……。全般に、
廉価なポリプロは、日通工もGEもみんな共通した欠点を持っているような気がします。
一方で、Dayton MPTには、そういうところがありません。オススメです。精度以外は
リード線の太さが違うだけで(1%が0.9mm、5%が0.7mm)、音はどっちも一緒でした。
●ICW ClarityCap ESA φ34mm x 45mm 630VDC
$20前後。ClarityCapはPX・SA・ESAと中間ランクを試しました。なんと言うか、どれも
「ふわ〜とした音のやわらかさ」があります。むしろ「ふわりティ・キャップ」と呼びたい。
その点は3品種とも共通しています。PXとSAの差は、ごくわずかでした。SAとESAは
結構違います。て言うか、外形はまったく同じなので、音に差がなければ、わざわざ
ESAを売り出したりはしないでしょう。単純に、ESAはSAより情報量が多め。音色とか、
やわらかさ加減は同じです。この点が、「力強さに欠ける」だの、「音がゆるい」だのと
言われたりするようですが、好みの問題かと。私は嫌いじゃないです。ESAなら常用
してもいいかな? アクリルチューブに入ってるという最上位のMRも聴いてみたい。
●ICW ClarityCap SA φ34mm x 45mm 630VDC
$10前後。実は私、PX・SA・ESAいずれも買った場所がバラバラでして、(←)これ、
アメリカや日本で流通しているSA(赤)とは外装が違います。ヨーロッパでは、この
黒いSAがスタンダードのようです(あと、B&Wのマーキングが入った黄SAもよく見る)
音は一緒でしょう。ClarityCapはリード線がやや太く(1mm)、しかも他より短めです。
上位にはDTAC(貫通コンデンサみたいな奴。両端ネジ留め)なんてのもありますし、
やっぱり本業メーカーさんがオーディオ用のものを作ると、インダクタンス成分が気に
なっちゃうんでしょうか? でも、世のマニアたちは、ボード上におせち料理のごとく
パーツを並べ、うにょろうにょろと配線を引き回してしまうのでありました。合掌。
●ICW ClarityCap PX φ27mm(22mm) x 33mm 250VDC
$5前後。ESAのところでも書いたように、音は上位のSAに迫ります(実際、ブラインド
で何度か間違えた) よくよく聞き込むと、雑味があると言うか、大味と言うか、値段
相応という感じはします。でもこのお買い得感はうれしい。安いポリプロにありがちな、
ギラギラとした音のキツさは全然ありません。安くてもClarityCapならではの「よさ」は
ちゃんと持っているので、あえてこれを選ぶって人もいると思います。しかし、B&Wは
ICW(ClarityCapの製造元)を捨てて、Mundorfに走ったのであった……。PXはすでに
ディスコン品種になってしまったので、現在の流通在庫で終息とのこと。ただ、ICWは
「OdioCap」などの名前でOEM供給をしており、PXも当分は枯渇しそうにないですが。
●Ampohm FE-XAL-AL oil φ45mm x 96mm 630VDC
$60前後。Mundorf s/g/oを上回るコーヒー缶サイズ。とにかくデカい。デカいなんて
もんじゃない。超デカい。デカすぎ。Ampohm(英)は個人的に好きなメーカーですが、
こいつは本当に素晴らしいです。なんと言うか、アコースティック楽器専用って感じ?
音自体も、Mundorf s/g/oを上回っている部分がある。こってり系で、万能タイプじゃ
ないんですけどね。甲乙つけがたいなあ……。ポリエステルのオイルコンってことは、
オーディオ・ノートの対抗馬でしょうか? 本体を転がすと、缶の重心が偏ってるのが
分かります。誘電体の巻き方にノウハウがあるっぽい。真空管アンプのカップリング
に使うと最強な気もしますが、このデカさが実装面でネックになるのは確実です。
●Fostex CP(指月 CMPP) 27mm(H) x 37mm(W) x 18mm(D) 250VDC 5uF
$5前後。ケースの形や引き出し線の違うタイプあり。結構、あちこちで見かけます。
う〜む、これはなんとも……、音がキツすぎる。耳に痛い。外装はまったく違うのに、
AudynCap QSに音がそっくりです。情報量自体は、あるとは思うんですけどね……
長く聴いていると、ポリプロ特有(?)の硬質感のようなものにイライラします(・A・)
Mundorf Supremeをパラうと、この硬質感は少しマシになるものの、わざわざこれを
組み合わせることはないんじゃないかと。確かに廉価なポリプロの一品種ではある。
でも、それじゃSupremeがもったいない。容量合わせなら他にも選択肢はありますし、
とりあえず、オススメできません。……ホーンツィータで、少容量限定なら使える?
●指月 TME φ18mm(9mm) x27mm 250VDC 4.7uF
$3前後。至って平凡な産業用メタライズド・フィルムコン。誘電体がポリエステル、
CPリード線(鉄足)など、ほかと比べると不利な点がいっぱいあるので、ブーブー
言うのは可哀想な気もします。実際、音は冴えません。上のCMPPがキンキンなら、
TMEはもっさもさ。「音のベールが〜」といった月並みな表現だと、10枚はベールを
かぶってます。同じくらいの値段で廉価なポリプロが買えますから、現状、選択肢に
入らないでしょう。電解や積セラよりはマシってだけです。それにしても指月さんは
音質には無頓着のようで……(電気的にはすこぶる優秀。TMEなんか無誘導巻き)
……え? ASC? いやー、X335系は統合前のTRWの設計ですからねえ……
●TRT DynamiCap φ21mm x 32mm 210VDC 5uF
$30前後。なんと言いますか、これほど見てくれが貧相なオーディオ部品も珍しい
んじゃないでしょうか。おいおい、小学生の工作じゃねーんだから。スリーブなしで、
本体に直接塗りたくった赤い塗料。手書きの刻印。ザラザラした砂みたいな終端
処理。しかもメタリコンむき出し。高級感のカケラもねええ! これで音が悪ければ
誰も見向きもしないと思いますが、困ったことに(?)かなり優秀です。ネット上では
「強烈な個性が〜」といったレビューを見かけますけど、こうして並べて比較すると、
ポリプロとしては極めて正統派の音。Mundorf supremeの方が、ずっと個性的です。
路線としては明らかにASC X335系で、他とブレンドしても変な音にはなりません。
●Sprague 735P(ASC X335) φ27mm x 57mm 400VDC 5uF
$10前後。Spragueと言えば715P・716P(オレンジドロップ)が有名ですが、あえて
こちらを。これはASC X335のクロスリファレンスでして、音もサイズもほとんど同じ。
産業用ですから外装は粗雑です。造りが造りなんで、さぞかしガサツな音がする
だろうと思いきや、音は繊細そのもの。透明感、やわらかさも申し分なし。全体に、
Dayton MPTより少しだけ格上、TRT DynamiCapより少し格下。そんな感じですね。
逆に言えば、こんだけいろいろオーディオ用コンデンサがある中で、それほど遜色
がないってのは、とても素晴らしい。つまり、すでにX335系を使っている人は、別
の銘柄に買いかえる必要は全然ないわけです。安心して末永くお使い下さい。
●Jantzen Z-cap Superior φ35mm x 65mm 800VDC
$30前後。うおお……なんという傾国の美女。アルミの円筒ケース、マット・レッドに
金の刻印。使うのがもったいない美しさ。持っててうれしい度ナンバー1です。これと
DynamiCapと並べると、とても同じ種類のコンデンサとは思えませんな。値段まで
一緒なのか……。音もなかなかいい。傾向としてはMundorf Supremeの方向です。
と言うか、内部構造がSupremeの丸パクリ(セパレータの巻き方や電極の出し方)
なので、音が似てるのは当然かもしれません。結局のところ、このナチュラルさは、
SupremeになろうとしてSupremeになりきれてないだけ、と読みました。どこか女性
的な音。ブレンドのスパイスに使うなら、濃密キャラのMundorfを選びたい。
●Jantzen Cross-cap φ21mm x 36mm 400VDC
$5前後。上のZ-capと比較すると、確かに数段落ちるのは否めませんが、そんなに
悪いものでもありません。むしろジャズやロックには、こっちの方が合うんじゃないで
しょうか。元気のよい、ネアカな音です。廉価なポリプロにありがちなギラつきはなく、
むしろ音はやわらかい方。ClarityCapほどやわらかくなく、ASCほど線は細くないん
だけど……情報量で両者に少し劣るかな? こういうネアカ路線で、こいつより格上
のコンデンサってのは、ちょっと見あたらないので、音のグレードアップを考えている
人は悩ましいでしょうね。値段を考えると二の足を踏みますが、この音調を堅持して
解像度を上げるには、テフロンを足すのが最善手かも。スチコンじゃ足しても無駄。
●Audiophiler MKP φ21mm x 35mm 400VDC 4.7uF
$1以下。赤(と言うより朱色?)スリーブに金の刻印と、なんかどっかで聞いたような
デザインですけど、ごらんの通り。別に美しくはなーい。ちなみに、外装のバージョン
違いで、終端のエポキシまで赤、刻印が銀のタイプもあります。ともあれ、メイド・イン
・チャイナの異常な安さが最大のウリ。100uF以上の大容量をフィルムでまかなって、
しかも1000円以下で抑えようとしたら、こいつを使うしかありません。10uF x 10でも
1000円しませんから。恐るべし中国パワー。音はMundorf MKPに激似です。てか、
これは同じ品種の色違いなんではなかろうか……。そう考えると、すさまじいお買い
得感ですが、Mundorf MKPの音が嫌いな人には無意味です。たとえば私とか。
●Solen Fastcap φ21mm x 34mm 400VDC
$4前後。一昔前は「イイヨー、イイヨー」と騒がれたのに、今では見向きもされない
元グラビア・アイドル的な存在。メタライズド・ポリプロです。堀プロではない。しかし、
高級機材のハラワタを開けてみると、今でもチラホラ見かけます。大量購入で割引
が利くとは言え、工業部品としては案外優秀なのかもしれぬ……。アンプに使うと、
カップリングでもパスコンでも、やたらと音が軽くなる印象があるんですが、ツィータ
のハイパス用途では、さすがにそういうことはないです。それよりも、超高域が抜け
きらない「もどかしさ」が気になる。やわらかいとか、やさしい音だからじゃなくて、
単にエッジが丸いんですよ。Auricapを0.1uFほどパラうと、この点は改善されます。
●Audience Auricap φ29mm x 29mm 200VDC
$25前後。これもただのメタライズド・ポリプロですけど、かなり特徴のある音です。
ツィータのコンデンサを交換して「音が変わった!」という点では、一番はっきりして
いるかもしれません。飲み物で言えば、炭酸飲料か? 味をどうのこうの言う前に、
のどごしで誰でも分かってしまうという。Mundorf Supremeとの相性は最悪でした。
一度聴いてみるといいでしょう。笑えます。しかし、どういうわけだか上のSolenとの
相性はバツグンです。小容量のAuricapとSolenを混ぜると、大容量のAuricapの音
と全然区別がつきません。これじゃ、5.6uFなんて中途半端な値のものを、わざわざ
アメリカから取り寄せた私の立場がない。こいつら絶対デキてやがる。間違いねえ!
●REL Multicap RTX φ39mm x 46mm 100VDC 3uF
$50前後。スズ箔ポリスチロールです。いわゆるスチコンの一種ですが、部品屋で
見かける「銅箔スチコン」とは音が違います。銅箔スチコンを暖色癒し系とすれば、
RTXは明らかに寒色クール系。情報量はムチャクチャに多い方なので、一時期は
「本気作なら、この一本!」ってくらい愛用してました。大好きですわ〜。同じRELの
Exotica TFT(スズ箔テフロン)が市場に出るまでは、これがナンバー1だと思って
ました。結局、スチコンにはスチコンの、テフロンにはテフロンの色づけがあるので、
製作者の好みで使い分けるしかないようです。欠点は、耐圧がやや低めなことと、
大容量がない(3uFが最大)ので、まともに使うと決してお安くありません。
●REL Multicap PPMFX φ23mm(18mm) x 43mm 200VDC 5uF
$15前後。Multicapは、いずれも同軸構造で、インダクタンス成分による共振点を
ずらし、インピーダンスを広い帯域で下げているらしい。要するに、1個でも多数個
パラレルで使っているのと同じというわけ。では、このPPMFXの音は……と言うと、
なんかモヤ〜としてます。なんだろ、この感じ。ブレンドに失敗した時のような音?
正直、Dayton MPTに負けてる気がする……。実はRELのコンデンサは、Multicap
RTX、Exotica PCU(銅箔ポリプロピレン)、Exotica TFT以外は中途半端に値段
が高いだけで、さしてアリガタ味がなかったりします。製造元から大量購入すると、
猛烈な割引が利くらしいので、オーディオ・メーカー向けのコンデンサですね。
●Duelund VSF CU 92mm(H) x 104mm(W) x 10mm(D) 200VDC
$250前後。なにこの高い板チョコ? あれれ、持つと意外なズッシリ感。チョコじゃ
ないのか……。こいつも数年前に某所で「スゲエエエ!」と騒がれて、取り寄せて
聴いてみました。……うん。確かにすごいね。なにがすごいって、Mundorfを足すと
Mundorfの音に。Auricapを足すとAuricapに。それどころか、Solenを足すとSolen、
Bennicを足すとBennicになります。つまり、自己主張ってもんが全然ない。言わば
田舎のうまい井戸水? もはや存在自体が空気です。銅箔ペーパーコンですから、
電気的な特性はショボいはずなんで、純粋に音質を追い求めた結果なんでしょう。
最上位のCAST PIOは、さらにド田舎の山奥の天然水みたいな音なんでしょうか?
●VH Audio V-cap TFTF φ46mm x 64mm 250VDC 3.3uF
$700前後。すでに冗談みたいな値段ですけど、これは3.3uFなのでステレオで聴く
ためにはコンデンサだけで$2000を超えてしまうという笑えない話。スズ箔テフロン
です。押忍!番長で17000枚出した日にポチッてしまったんだぜ……。確かに音は
いい。音はいいんだが、情報量も解像度も、もォんのすごい「人工的な精緻さ」です。
上のDuelund VSFが井戸水とすれば、こちらは工業用純水でしょう。これはこれで
人を選ぶと思うなあ。実はこれ、当方ではデッド・ストック化しています。小容量を
好きなポリプロとブレンドする方が楽しく聴けますので(同じことがExotica TFTにも
言える) 現状、「Mundorf Supreme s/o」 + 「V-cap」が、私の桃源郷のようです。
■ これまでの痛々しい遍歴からの総評
上に挙げたコンデンサは、手持ちのストックの中で、比較的新しいものを中心としたレビューです。古い話を
言えば、ジェルマックスのSuper Twist LX、太陽通信のラムダコン、双信のSEコン、EROのKP1832、Hovland
のMusiCap、WESTCAPやCornell-Dubilierのハーメチック・フィルムなど……、たいていのものは試してます。
もちろん、どれも悪いものではないてすが、今さらありがたがってサープラス品をあさるほどの価値はない、
という結論です。それでも別格は、旋盤削りだしの真空コンデンサでしょうか。ああいうのを見ると、数十年
前の日本のオーディオ熱って尋常じゃなかったんだなあと、しみじみ思います。アンプの電源平滑のために、
家の床下がすべて銅箔スチコンで埋まってる豪傑とかいましたからね。テフロン・コンデンサなんて大昔から
ありますし、取り立てて騒ぐほどのものじゃないです。好んで使ってる私が書くのもなんですが。
とりあえず、私としては、Dayton MPTと、Mundorf Supreme(ノーマル)をオススメとしておきます。前者は
音に欠点らしい欠点がなく、数値が細かくそろっていて、なおかつ安価という理由で。後者は、高級路線の
中でも、頭一つ飛びぬけたパフォーマンスを見せてくれるからです。ベタな結論で申しわけない(・∀・)
■ それでも引き続き追跡していきたいネタ
[1] VH Audio V-cap CuTF(銅箔テフロン)の誘惑
出てきた以上は、そのうち買ってしまうと思う。私の音の好みと完全に合致してますから。V-cap TFTFは、
Multicap RTXみたいな寒色クール系とは違います(買って聴くまでは多分そうだろうと思ってた) ちなみに
Exotica TFTは、Multicap RTXほどではないものの、やはりクール系です。そして残念ながら、すべての点で
V-cap TFTFに劣る。しかし、TFTFの音の滑らかさは、クチャクチャになった布っきれを、腕力だけで強引に
引き伸ばしてアイロン代わりにしたようなところがあって、単体で聴いていると、かなり辛いものがあります。
妙なたとえですが、スタンドで言えばスタープラチナ? 機械のような精密さと力強さ。でも、「超」がつくほど
人工的。これがCuTFなら改善するのか。ザ・ワールド化するのか。まずは小容量から試したい。……ただ、
未確認情報で、「Mundorfが缶詰くらいの大きさのテフロンを開発している」ってウワサがある。マ・ジ・で?
この際、値段は問題じゃない。こんだけ表面実装のチップ部品が幅を利かせているご時世に、缶詰サイズ
のフィルムコンですとー?! DuelundのCAST PIOにしてもそうだが(トイレットペーパーサイズ)、こういうの
はもう、電子部品とは呼べないんじゃないか。置くだけでご利益のあるツボと同じ存在で。選んでMundrf缶、
ヲタまっしぐら、みたいな。……そう言えば、ClarityCapのDTACって、猫缶みたいっスね。
[2] Intertechnik AudynCap High Speedの幻影
IntertechnikのAudynCapは、以前、トリテック(会社消滅)扱いで何品種かが売られてました。今じゃQSは
叩き売られている始末。そりゃ、ああいう音ですから……、SolenのSM(スズ箔ポリプロ)とかね、あの手の
音がキツい奴はメインで売ったらダメだと思います。好きな人はいるんでしょうけど、聴き疲れしますもん。
Dayton MPTなんて、ことさら際立った音ではないですよ? あくまで「無難」ってだけで。Daytonってのは、
要するにPartsExpressの選別ブランドであって、メーカーじゃない。しかし、明らかに目利き(耳利き?)する
人がしっかりしてて、万人受けすると思ったものは、ちゃっかり自己ブランドにしてしまう。AuraのNS3-193
しかり、Bennic Sounder MPTしかりです。TRTのDynamiCapとかは、半分ギャグだと思っておけばいいんだ
けど、廉価な商品は、それだけ多くの人が買うわけですから、あんまり突飛なものを売りつけたって、商売
としてうまくいくはずがありません。下手をすれば、「だまされた!」と反感を買うだけです。ベースは地味で
いいんですって。そして高級路線でとことんバカをやって下さい。そこにユーモアがあれば言うことなしです。
(Intertechnikの名誉のために追記。AudynCap Plus(白)あたりは相当にいい音です。流行らなかったけど)
……んで、AudynCap High Speed。Intertechnikの最新コンデンサです。予告だけで、現物が出てこなーい。
ハイスピードォォォ! 名前を聞いたら、長岡スピーカーのユーザーさんは狂喜乱舞じゃないでしょうか?
……と書いてたら登場。 値段は大したことないが、角型か。なんでリード線が4本も……(2011.10.19追記)
[3] TRT StealthCapの真実
これもずい分前から情報をあさってるんですが、アマチュアで人柱になったって
話は一向に聞きません。日本では、かなりの廃人に話を振っても (゚Д゚)ハァ? と
いう顔をされる。その存在を知っている人すら少ない。TRTのホームページには
デカデカと掲載されているんだが、コンデンサにステルス技術とか、もうね……、
あのスーパーマリオみたいな社長は、どんだけ客を笑わせば気がすむのかと。
TRTには、「InfiniCap」 = 「ASC X300」 + 「銀リード線」という前科もあるので、
マニア心をくすぐられます。Obbligato Gold premiumのような、黄銅のエセ金色
じゃなく、マジで金色なんだよ? ……プボッ、こ、これは買わんとイカンでしょう。
[4] F-Dyne(SEC) PP1Xの正体
Tempoさんを初め、アメリカの廃人たちの中で爆裂に評価が高いのがこれ。MPP1Xじゃなく、PP1Xの方ね。
お値段で言うと、Audiophiler MKP並みの$1以下なのに、場合によってはMundorf Supreme s/g/oを上回ると
のたまう御仁までおられる。こりゃ是非とも入手せねば!と、ことあるごとに個人輸入するのだが、いつも別
のブツが来る。エアーマンが倒せないのと同様、何回買っても何回買っても、PP1Xが手に入ら〜ない〜よ〜
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入手性は悪いらしいので、並の輸入業者では手に負えないっぽい。……うん。現地に飛んで、自分の足で
探し回らないといけないのは分かってる。だけど、$1以下のコンデンサを買い求めてアメリカ出張ってのは、
いくらアホな私でも……、組合の旅行で沖縄へ行ったのに、海に一歩も足を入れず、ひたすら沖スロ(裏)を
打っていたワールド・ワイド・クズ人間と言えど……、さすがに、それはちょっと……ねえ?
誰か、旅費出して下さい。ラスベガスまで。
明日なき抵抗編
正直に言いますと、抵抗については、コンデンサほど熱意をもって語る気になれないのです。理由は単純で、
私の耳にはどれも大差ないように聞こえるから(ああ、言っちまった……) 自作マニアの定番とも言える
「無誘導巻線」が高音質、という風評はご存知の通り。いわく……金属皮膜はキンキンした音になり、酸金は
モワモワしており、大根のように白いセメント抵抗に至っては、のっぺりと平板で、もはや聴くに耐えない音に
なってしまうという。……まあ、それはいいとします。そうかもしれない。しっかしな〜、何回やっても間違える
んだよな〜、ブラインドだと……。抵抗の「音」って、そんなに違います? ツィータのアッテネータに使う抵抗
の銘柄を、ズバピタで指摘できる人ってスゴイと思う。アンプやDACなら、また話は違ってくるんですけど。
ここで素朴な疑問。メーカー製の、それもハイエンドと呼ばれるスピーカーのネットワークでも、ほぼ例外なく、
セメント抵抗や酸金抵抗を使っているのはなぜですか? ハラワタを開けて、MundorfやSolenのコンデンサ
を見かけることはあっても、DaleやOhmiteの巻線抵抗を見かけることは、まずありません。巻線で音がよく
なるんなら、使ってても不思議はないのに……。抵抗なんて、コンデンサに比べればゴミ同然の単価ですし。
内部配線材にこだわるメーカーですら、平気でセメントを使ってる。うーん、分からん! それでも無誘導が
いいの? ……まあ、結局、私も使うんですけどね(・∀・) どうしてかって? そりゃあ、外形が同耐圧の
セメントよりも小さいのと、同耐圧でも酸金なんかとは信頼性が全然違うからですわ。DaleなどのMIL-grade
(軍用規格)の巻線抵抗は、5Wの奴に7〜8W入れても平気な顔をしてますが、5Wの酸金や金皮に、本気で
5Wぶち込むと、あっさり燃えてくれます。要するに、倍耐圧のセメント抵抗(産業用)みたいな感覚で使える。
電気的な話を言えば、外形の大きな抵抗の方が静電容量の点で不利になるのは間違いなく、同耐圧なら
小さい抵抗の方が周波数特性はよいのです。……音? 音はどうなのって? そんなこと知りませんよぅ。
私の駄耳には、無誘導巻線もセメントも、みんな一緒に聞こえるんですから。
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巻線抵抗に見られる、無誘導巻きの一例。一口に、non-inductive windingといっても、いろいろ種類がある。
でも、これだけは言える。
無誘導巻じゃないのに、無誘導巻
と呼ばれている抵抗が、結構ある。
DaleのNSと、MillsのMRAは確実に無誘導巻なんで、「無誘導でなきゃ夜もオチオチ眠れない!」って人も、
ぐっすり朝まで熟睡していただけるんじゃないかと。磁性体(鉄足・鉄キャップ)がイヤなら、Millsの一択?
まあ、そんなわけで、抵抗器にはあまりこだわりのない私です。Duelund Coherent AudioのCAST resistor ![]()
上から順に、Mills MRA12、MRA12(裸)、Dale NS-5、NS-5(裸・1層目)、NS-5(裸・2層目)
どちらも理想の無誘導巻「アリトン・ペリー巻き」でワイヤリングしているが、調べると細部の造りがかなり違う。
Mills MRA12は、細い丸線の抵抗線をセラミック芯に2本一緒に巻きつけてエナメル皮膜コーティング。
Dale NS-5は、1本目を普通に巻いて(要はRS-5がベース?)、シリコン皮膜をかぶせた上から、2本目を巻きつけている。
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言わずと知れた、トルメキアの白い悪魔。上がDayton(Bennicの製造ではない。どこのだ?)、下がTAKMAN。
どちらも普通のシングル・ワイヤです。アリトン・ペリーはおろか、バイフィラー巻きでも、折り返し巻きでもありません。
芯が細いので、low-inductive windingだとは思う。でも、non-inductive windingではないですね。
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さらにナメ回すように、じっくりと観察。Mills MRAは、巻きがゆるいのか、抵抗線がブラブラしてます。
一方、Dale(これはRS-10)は平角リボン線のような抵抗線が、ぴっちり巻きつけてある。この方が音にはよさそうだなあ。
……どうでもいいが、Daleのデータシートに「皮膜に酸化ベリリウム入ってるよ!」って書いてあった。ヤベえ!
なんてものもありますが、負の温度係数はいいとして、ソリッド抵抗の一種ですから、熱雑音とかはオシロ
スコープで見ちゃいけない気もします。て言うか、抵抗に銀を使うという発想がどうも……、だって……抵抗
ですよ? コンデンサでもコイルでもなく、「抵抗」器ですよ? 磁性体を嫌うのは分からなくもないですが、
なにゆえ抵抗に銀??? そう言えば昔、カーボン抵抗のリード線がOFCってお笑いパーツもあったなあ。
抵抗の前で抵抗値を下げると、凡人には理解不能なミラクルが発動されるのかもしれん……。まあ、適材
適所ってことで、ツィータのアッテネータにVishayのVSRやZ201などの精密箔抵抗を使う人がいないように
(なんで高いかって、それは精度の問題。10%級ならZ-foilでも1本100円しません。実は買えます)、結局、
スピーカーには、セメント抵抗などの巻線抵抗を選ぶのが正解なんでしょう。電気的な屁理屈を考えると、
巻線抵抗にしても、酸金抵抗にしても、本体の外側をおおっている絶縁皮膜はない方がよいのは確かです。
そのことは抵抗器メーカーのTAKMANですら主張しています。 昔から、自作マニアは、わざわざ抵抗器の
皮膜をはがして、アンプやDACに使ったりしてきました(金田アンプのスケルトン抵抗など) 市販されてる
巻線抵抗の皮膜をむくのもバカバカしいので、裸のセラミック芯に、ニクロム線かマンガニン線をアリトン・
ペリー巻きにし、さらに金属シールドすれば、最高の抵抗が自作できるかもしれません。実は、材料だけは
私もそろえていて、窒化アルミの丸棒や、イザベランヒュッテのゼラニン線などもストックしています。でも、
なーんか作る気が起きないんですよねえ。労力に見合わないように思えてしまって……。結果がよければ、
また報告しようと思います。5年後くらいに。
ぐるぐる堂々めぐりのコイル編
前述のように、コイルはウーハのQを考慮し、適度なDCRの
ものを選べはいいと思います。空芯なら、耐入力を考慮する
必要も(ほぼ)ありません。マニアの間では、「銅箔コイルは
力強さに欠け〜」だの、「リッツ線は表皮効果に対し〜」だの、
いろいろと言われておりますが、私はもっぱら、Solenなどの
単線しか使ってません。18ゲージ(φ1mm)を多用してます。
これは主に製作上の理由によるもので、銅箔にせよ、リッツ
線にせよ、インダクタンス値の調整が面倒だからです。最近、
国内市場で流通しているJantzenの18ゲージは安価ですし、
使い勝手もよいんで、安心してオススメできるパーツですね。
solenやMundorfは、バラバラにほどけちゃいますから。
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問題は、有芯(鉄芯)コイルです。こちらはノウハウのカタマリみたいな奴で、うっかりアマチュアが手を出す
ようなシロモノではありません。安いからと言って、小さいフェライト・コアを使ったりすると、音質以前に電気
的特性で問題がありすぎます(数kHz以上でインダクタンス数十%ダウン、なんてザラ) つまり、セラミック・
コンデンサやバイポーラの電解コン同様、ネットワーク・パーツには使わない方が無難です。これはフェライト
という素材がダメなのではなく、単純にサイズの問題でして、実は鉄板積層コアなどと比較し、優位性もある
のです。事実、そういう超高級トランスが存在します。しかし、サイズが大きい上にバカ高く、普通のパーツ屋
ではまず売ってません。よって、鉄芯コイルをどうしても使いたい場合は、方向性ケイ素鋼・積層コア(棒状)
の一択でしょう。そして、なるべく大きな、コアの長い奴を選んで下さい(たとえ小音量システムでも) それで
鉄芯コイルを使うデメリットの大半は回避できます。
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棒状コアのニクい奴ら。このタイプは自分で巻くのも簡単。 ほどけ! そして巻くんだ!
大型空芯コイルという素晴らしいものがありながら、あえて有芯コイルに走るというのは、よほど変態な理由
(たとえば異常なまでの小型化への執着?)でもない限りありえないわけですが、マニアが引っかかりやすい
トラップとして、閉磁路タイプ(トランス型やトロイダル型)の極端なDCRの低さがあります。確かに、棒状コア
の鉄芯コイルでは、どんな高性能な磁性材料を用いても、空芯コイルに比べて3〜5倍ほどのインダクタンス
値しか稼げません。透磁率の高いアモルファスやパーマロイは、閉磁路で使ってこそ、特性が生きてきます。
どうせ有芯コイルを使うなら、抵抗値は極限まで低くあって欲しい……その気持ちは、よーく分かる。分かる
んですが、1万円やそこらで買える閉磁路コイルで、極端にDCRが低いものは、たいてい周波数特性が犠牲
になっています。つまり、ネットワークに使うと、全然計算通りの動作にならないってことです。これは、LCR
メータなどで微弱電流のインダクタンス値を測ってもまったく無意味で、製造メーカーから交流の重畳特性を
教えてもらう必要があります。そして、そのヒン曲がったグラフの非直線性を見れば、たかだか20〜20kHzの
オーディオ帯域と言えど、いかに巨大な、そして優秀な特性のコアを必要とするかが分かるでしょう。周波数
特性を考えないのなら、それこそ電源トランスでも買って、片側をコイルとして使えばいいんです。あれだって
0.1Ω以下で数十mHのインダクタンス値を持ってるんですから。でも、使えない。我々がウーハのローパスと
して考えるのは数kHz付近であって、商用電源の50〜60Hzじゃありません(それでもギリギリ400Hzくらいまで
守備範囲という話。なら、100Hz以下でサブ・ウーハ用途なら我慢できる?) 電気街のトランス屋さんでさえ、
真空管アンプの平滑用チョーク・コイルと、スピーカーのネットワーク用のコイルを同じ感覚で取り扱っていた
りするので、注意が必要です。もっとも、市販のトランス型コイルは、たいがい磁気飽和点の調整ギャップが
入ってますし、継ぎ目なしのトロイダル形状のコイルでも、おそらくはダストコア(磁性材を粉末にし、結合材
を混ぜて焼き固めたもの。細かいギャップが無数に入っているのと同じ)が大半でしょうから、ネットワークに
使っても支障はなさそうですが……、だったら棒状コアを使うのと同じだし、最初からそれ使えよってわけで。
この業界、海外市場を含めて、どうも首をかしげたくなるアヤシイ商品が流通していますので、ご注意下さい。
「ファインメットは磁歪が小さいんだ!」……いや、その磁歪ってパラメータは、コアが変形しやすいかどうか、
うなりやすさの目安であって、交流信号が歪むかどうかって話じゃなくてですね……「アモルファスはバルク
ハウンゼン・ノイズが発生しないんだよ!」……それはその通りで、素晴らしいですね。でも、磁気飽和点は
普通の鉄より低いんで、ウーハのローパスに使うとコアのサイズがやたらデカくなりますが……「コロバーや
純鉄とかは?」……まあ、別にいいんじゃないでしょうか。ドラムコアや棒状コアなら、なに使ってもあんまり
変わりませんけど、イワシの頭って言いますし……つーか、空芯にしましょうよ。マジで。スピーカーに使える
まともな閉磁路コイルって、個人で買うと高いですよ? それこそV-capが裸足で逃げ出すようなお値段です。
理由があって高額なので、文句を言っても仕方がないんですけど。同じお金を出すなら、線径φ6mm以上の
自動車タイヤみたいな空芯コイルを特注する方がまだマシです。実際、Avalonは、「Osiris」でそういう巨大
コイルを使っています。なんと26Aも流せるそうな。……その前に、ウーハが爆発して吹き飛びませんかね?
そうそう、世の中にはこういうトロイダル・コイルもありまして……
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これは東京精電の高周波インバータ用・大電流リアクトルです。以前、似たものを東一電機が売ってました。
それほど高いものではありません。私も同タイプの大型コイルを入手したことがあり、8mHでDCRが「0.01Ω」
以下でした。もともとオーディオ向けに作られたものではないので、使用できる周波数帯域、すなわち用途は
限定されます。さすがにこのレベルになると、ケーブルの抵抗やターミナルの接触抵抗の方が大きいので、
DCRの大小を競っても無意味です。いずれにせよ、タイヤ並みの空芯コイル(やっぱり平角線が最強?)に
かなうものではありません。まあ、話のネタですね。