耐爆バックロード 「ギガホーン」





はじめに

   スピーカーの自作と言えばベニヤ板やMDFでの工作が一般的ですが、少し毛色の違った作品を紹介します。
   ジャンルとしては、いわゆる「バックロード型」に分類できますが、
 [1]  空気室の形状が1m以上ある逆ホーンである

 [2]  ホーン開口部に大量の吸音材が詰まっている

 [3]  ホーンロードの中程にヘルムホルツ・レゾネータが2つ設けてある

 [4]  バックロードにしては低域のインピーダンス特性がフラット

 [5]  箱の大部分がチョバム・プレートもびっくりの多重積層の耐爆構造になっている
   など、非常に多くの特徴があります(内部構造図はこちら
   構造や音のねらいは随分と異なりますが、吸音材で低域のインピーダンス・マッチングを図っているところは、
   海外の自作サイトでよく見かける「TLS(トランスミッション・ライン)」に似ていると言えるかもしれません。




製作途中のスナップ


 ●スロート付近のホーンロード 

 内壁の写真です。サクラ材の航空ベニヤ板(2mmの

 サブロク1枚で\10000。た、高けぇ……)に、コルク

 シートを内貼りしたもので、これがコンパネを兼ねる

 わけです。カーブの部分の白い吸音材は、ムートン

 (羊毛)です。

 

 



 ●組みあがったスロート部分 

 「写ルンです」で撮ったために、赤ラワンみたいな

 色合いになっていますが、実際は綺麗な黄色です。

 横方向にザグリを入れて、ささくれ立っているのは、

 コンクリートとの密着性を上げるためで、この上から

 防腐材とウレタンニスを塗布し、よく乾燥させます。

 

 



 ●空気室 

 これだけで1個15kg以上あります。胴体部分はハニ

 カムのアルミ板に粉末の防振プラスチックを充填し

 たものと、鉄筋(ステンレスの長ネジ)コンクリートの

 積層、バッフルはMDFと鉛シートと銅板の積層です。

 バッフルの密着と固定には、50本ほどのスチール

 ワイヤーを使いました。

 

 



 ●ハニカムアルミ板 

 前述の「ハニカム形状のアルミ板」です。この状態なら

 指でも簡単に折り曲げられます。ここに、粉末状にした

 ポリアミド系の防振プラスチックを充填し、上下から

 乳白色のエポキシ樹脂で密封してしまいます。

 30cm x 30cmで、1枚 3000円程度でした。



 ●防振用の積層プレート 

 ハニカムのアルミ板をホーン内壁より一回り大きめに

 切ったものに、エポキシ樹脂を封入した状態。固さは

 同じ厚みのアクリル板くらいでしょうか。ただし、こちら

 の方が圧倒的に軽いです。なお、表面を段ボールの

 波目模様で型取りしていますが、これはコンクリート

 との密着性を上げるための工夫です。

 



 ● 空気室の外壁を整えたところ 

 陶土と石塑粘土を混ぜ合わせたものをガスバーナー

 で焼き固め、サンダーで整形し、サーフェイサーを

 吹きます。さらに「サンダー」 → 「サーフェイサー」 →

 「サンダー」と、十数工程繰り返し、半球体の表面に

 仕上げていきます。

 

 



 ●空気室を本体と結合 

 合体して石調粒状仕上げの外装を施したところ。

 実はバッフル面が微妙に傾いている(約3.5°)の

 ですが、このスライスが全工程の中でもっもと難し

 かったです。なお、ユニット取り付け部分の真下に

 ある変な「くぼみ」は、音波の反射・回折を減少させ

 るための一種のレゾネータ。効果のほどは……?

 



 ●ヘルムホルツ・レゾネータを仕込む 

 ホーンロード中程に設けた、簡易レゾネータです。

 入口の部分には気流抵抗を減らすためのベーンが

 あり、見た目に非常に薄いのでいかにも鳴きそう

 ですが、素材が鉛ですからその心配はありません。

 

 

 



 ●コンクリ打ち込み中 

 背板に最後のコンクリートを打ち込んでいるところ。

 どさくさにまぎれて配線材も一緒に埋め込んでます。

 (でも線材にはあまりこだわってなかったりして……)

 あとはコンクリートが乾燥するのを待ち、航空ベニヤ

 の突板を貼れば完成です。

 

 



 ●空気室内部の接写 

 空気室は逆エクスポネンシャルホーン形状。

 その空気室の途中にスロートの入口があります。

 

 

 

 

 



 ●ようやく完成 

 本当に長い道のりでした。S100を取りつけた状態で、

 1本80kgほどです。可能な限り軽量化を図りましたが、

 やはりコンクリートキャビは重くなってしまいます。

 総工費は2本で50万円ほどでしたが、やたら時間が

 かかったのがいかんともしがたく……。毎日作業して、

 足かけ3年もかけてスピーカーを自作する私は変態

 ですかそうですか。



 ●おまけ 

 マイブランド・エンブレム。

 そう言えば、このマーク使わなくなったなあ……

 

 

 

 

 





その後、ドライバが何度か交換され、最終的(2006.6.1)にはAltec CF404-8Aがマウントされました。
  今のところ実家にて休眠中です。ああ、爆音で音楽が聴きてえ…… 

      

(1999. 9. 1)      




「Altec CF404-8A」のギガホーン周波数特性 & インピーダンス特性

 ■青線は「ホーンの開口部に吸音材を入れなかった時」の周波数特性
   ■赤線は「ホーンの開口部に吸音材を入れなかった時」のインピーダンス特性

Mic : Behringer ECM8000    Pinknoise & 1/24octave PC RTA (1m)