「新ガイドラインと九州・沖縄−地域から平和を考える−」

�T　冷戦型日米安保体制の動揺と再編

1. ポスト冷戦期のアメリカの世界戦略
   ＜ブッシュ政権の「新世界秩序」構想＞

　　※国家中心、軍事力優先、（核）抑止力重視、「力による平和」は変わらず！
　　※対象の変化−「ソ連」から「地域的覇権国家」（対ソ抑止から地域紛争対処へ）

2. 冷戦型日米安保体制の動揺・危機

　　日米間の経済摩擦の激化→安保「ただ乗り」論（米）と自主防衛論（日）の台頭

　

3. 「ナイ・イニシアティブ」と日米関係の再編

（４）日本の「国際貢献」と「５５年体制」の見直し

　＜湾岸戦争と「国際貢献」論議＞
　　湾岸戦争時の「小切手外交」との批判→軍事的「国際貢献」の模索

　　※「国際貢献（国際協力）」＝「対米貢献（対米協力）（＝「国連協力」）

　＜「政治改革」と「ポスト５５年体制」への移行＞

• 「政治改革」＝「選挙改革」への矮小化→「小選挙区制」の導入と「５５年体

　＜「国連改革」と「国際平和協力法」の成立＞

• 大国主導の国連改革と国連PKO の変質→「国連協力法案」の挫折と「国際協

　＜自由主義史観の登場と改憲策動＞

• 「戦後政治の総決算」＝戦後教育の見直しと憲法の全面的改定＝上と下からの

�U　ポスト冷戦型日米安保体制の特徴と問題点

• 安保再定義の意味＝「冷戦なき冷戦体制」の継続

　　�@「防衛型安保」（「五条安保」）から「攻撃型安保」（「六条安保」）へ

　　（基地提供から後方支援へ、消極的対応から積極的対応へ、自衛隊の海外派遣へ）

　　�A「地域限定安保」から「地域無限定安保」へ（＝安保体制の「グローバル化」）

　　（「極東」−「アジア太平洋」−「日本周辺地域」・「周辺事態」⇒「世界」）

　　�B「自衛隊安保」から「総動員安保」へ

　　（民間の施設・区域の軍事利用、有事法制の確立、米国による日本の軍事力・経済力

　　　技術力の全面的活用

　　�C「事前協議制」の形骸化→「自動参戦体制」への移行？「調整メカニズム」とは何か

（３）国際協力法の見直しとACSA（日米物品役務相互提供協定）の改定

　　「地球規模での国連協力」と「日米安保のグローバル化」の一体化
　　※「集団的自衛権」と「集団的安全保障」の意図的混同

1. ポスト冷戦型安保体制と憲法体制の矛盾
   �@国民不在・議会不関与の形での現行安保の実質的改定
   �A日米安保のNATO化と集団的自衛権の事実上の行使
   �B有事法制による基本的人権・地方自治・議会制民主主義の制限

�V　新ガイドラインと九州・沖縄−地域から平和を考える−

（１）日米安保体制の本質・・・・「自発的な従属的同盟」（敗戦、占領、冷戦）！

　　※日米安保体制の変則的双務性−日本の主体性と米国への「従属」・「依存」

• 事前協議制の形式と内実−「指揮・決定権」と「選択権」のあり方　　　
• 日米の「共通利益」と「個別利益」の関係−米国の「正義」は普遍的か？

1. 在日米軍基地の性格と役割

• 米国の前方展開戦略に基づいたアジア太平洋地域における「殴り込み部隊」の前進基地としての役割（日本防衛ではなく、アメリカの国益実現のための駐留！）
• 在日米軍の構成
• 占領の継続としての「沖縄駐留」と「全土基地方式」の問題性

　・日米地位協定の不平等性

• 新ガイドラインによる「周辺事態」の既成事実化→「沖縄の全土化」「軍事協力の緊密化」（「アジアの補給・輸送拠点」日本の位置づけ、全国における米軍機・米艦船による民間空港・港湾の軍事的「活用」、日米共同軍事訓練の活発化など）

1. 新ガイドラインと九州・沖縄の新たな戦略的位置

対ソ抑止型（「日本有事」、「国土防衛型」）から地域紛争型（「周辺有事」、「海外出動型」）への日米安保体制の移行＝進む日米戦力（装備、組織、運用の共用）の一体化

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東日本から西日本へ基地の重点が移動、特に九州・沖縄は「有事最前線化」の危険大

（有事での日米軍事協力の先取りと具体化→進む米軍基地での事前集積、港と集積基地の物資輸送を担う民間業者、防災訓練および救難活動での「日米協力」の実施、相次ぐ自治体への民間施設（港湾・空港・病院など）利用の要請・打診、度重なる日米共同軍事訓練の実施、九州上空での低空飛行訓練の強行実施、自衛隊基地・演習場の米軍使用の常態化など後方支援の全面化）

【山口・岩国】

＜岩国米海兵隊基地＞

• 第３海兵遠征軍の航空支援、九州上空での低空飛行訓練の実施
• 港湾・空港の拡張工事の実施、普天間からの空中給油部隊の移駐

＜岩国港＞民間港ながら、

【佐世保】

• 岩国からの海兵隊用の集積物資の貨物船への積み下ろしをする窓口
• 野戦病院資材や弾薬・燃料の集積地、イージス鑑の配備　
• 強襲揚陸鑑ベローウッドなど６隻の前方展開鑑の常駐し、「攻撃基地化」
• 原潜の入港数の急増、「思いやり予算」による港湾施設の充実と基地機能の強化
• 目立つ事前集積船の出入港（補給基地グアムの代替機能を担う）

【長崎】

＜長崎空港＞滑走路のない佐世保基地の事実上の補完施設、主に傷病者を運ぶ

＜長崎港＞弾薬庫、貯油施設あり

【福岡】

＜福岡空港＞全国で唯一の米軍との共同使用を日米地位協定によって規定

＜博多港＞　　　　　　（３つの米軍格納庫、主にモノを運ぶ拠点）

【大分・日出生台】沖縄から移転した実弾砲撃演習の実施

【熊本】

＜大矢野原演習場＞（矢部町）

【宮崎】陸海空全てで日米共同訓練が行われる唯一の県

＜日向灘＞日米共同掃海特別訓練の実施

＜リマ区域＞（高知との沖合）での米軍による爆撃訓練の実施

＜霧島演習場＞（えびの市）

【鹿児島】

＜霧島演習場＞（吉松町）、＜鹿児島港＞、

＜奄美空港＞＞沖縄−本土を結ぶヘリコプターの給油基地、＜鹿児島空港＞

【沖縄】

＜那覇港・那覇新港＞、＜那覇空港＞現在も自衛隊との共用、

＜那覇軍港＞日米合意後、２４年も返還凍結

• 西太平洋とインド洋、ペルシャ湾における作戦のための出撃拠点

1. 地域（九州・沖縄）から問う平和戦略−「平和のためのガイドライン」を！

＜日本のあるべき安全保障へ向けて発想の転換を＞

　Ａ　「軍事的安全保障」から「非軍事的安全保障」へ

　Ｂ　「国家的安全保障」から「人間の安全保障」へ

• 何よりも国内政治の民主化と平和憲法の具体化が重要！

＜地域・民衆の視点から脱国家、脱軍事の動きを＞

1. 情報開示の徹底化の重要性
2. 国益優先ではなく住民生活を重視する視点を
3. 自治体による平和外交の意義
4. 民間交流、民際外交の必要性

　※　鹿児島の軍事利用に歯止めをかけるための具体的行動を！

（鹿児島港の準軍港化を許すな！　霧島演習場での日米共同訓練は即時中止を！）

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　　　　鹿児島に「神戸方式」を！　「非核・平和の錦江湾」の実現を！

（１９９８年８月１５日、「不戦を誓う日」＝５３回目の終戦記念日の講演レジュメ、

　「憲法を守る会」主催、於　教育会館）