鹿児島県知事  須賀龍郎 殿

鹿児島県内港湾への核兵器搭載可能艦船の入港を拒否し、
"非核・平和の海"を実現されるよう要望します。

 私たちはこの度「非核・平和の県民宣言」を草し、その趣旨を広く鹿児島県民に訴えるために、これを『南日本新聞』(1998年12月1日付)および『朝日新聞』(1999年1月15日付)に意見広告として公表しました(別紙)。この意見広告は県民約2000名の資金提供によって実現したものですが、この間、非力な私達の活動に対して短期間のうちに多くの県民が「非核・平和の海」への熱い思いを寄せ、強い賛同の意思を表明されました。意見広告にはこうした県民の思いと意思とが結晶しているといえるでしょう。
 顧みますと、日本国政府は、圧倒的な国民の非核・平和の声に押されて、核兵器を「作らず」「持たず」「持ち込ませず」とする非核三原則を国是としております。また全国各地の7割にもおよぶ自治体が何らかの形の非核・平和宣言をあげていますし、「核廃絶条約」締結を求める自治体決議も1千件を超えています。
 わが鹿児島県でも96市町村のすべてにおいて、非核・平和宣言ないし議会決議、陳情・請願の採択等がおこなわれています。このことの背景には地域における広範な住民の非核・平和への願いがあり、これを体した粘り強い運動があったことはいうまでもありません。特に鹿児島市議会は昨年10月、「鹿児島港における非核平和利用に関する決議」を採択しました。
 国際的にも核超大国の核抑止論に抗して、非核・平和の運動のうねりは絶えることなく、核廃絶の世論は高まりつつあります。その象徴的な事例として、リー・バトラー元統合戦略軍司令官を含む17カ国の将軍60人による核廃絶を求める声明の発表(1997年)、世界各地における「非核地帯条約」締結の動きなどが挙げられます。
 一方、このような国内外の世論の動向に背を向けるかのように、日本国内において、米軍機・艦船による民間空港・港湾の利用が活発化しています。鹿児島港への米艦船の入港回数も増えています。とりわけ黙視できないのは、強襲揚陸艦ベロー・ウッドなど核兵器を装備できる米艦船が自由に入港しているということです。
 ご承知のように、米軍はこれらの艦船の核兵器搭載の有無については一切明らかにできないとする方針を堅持しています。そうであれば、私たちは米艦船による港湾への核兵器の持ち込みについて疑念を抱かざるをえません。県民が知らないうちに、核兵器が持ち込まれる危険性があるというべきです。
 私たちはこうした状況に対して極めて強い危惧の念を抱いています。そこで私たちは、鹿児島の豊かな海が真に平和な海として、県民に親しまれ利用されることを希求する立場から、鹿児島県が「非核神戸方式」を採用して核搭載艦船の鹿児島の港湾への入港を拒否するよう求めるものです。この「非核神戸方式」は入港を希望する艦艇に対して、外務省をとおして非核証明を提出することを義務づけるものですが、実効性のある措置として評価されています。
 この措置は非核三原則を遵守することにほかならず、県民の生活と安全を守るとともに、港湾の平和利用を促進するものといえます。かかる見地から私たちは、鹿児島県が「非核神戸方式」を速やかに採用されるようここに強く求めるものです。
 以上、要望します。
 1999年1月21日
 
「錦江湾・鹿児島の海の非核化をめざす意見広告の会」

  呼びかけ人
荒川 譲(鹿児島大学)西岡久鞆(鹿児島大学名誉教授)
網屋喜行(鹿児島県立短期大学)増田 博(弁護士)
井之脇寿一(弁護士)森 重孝(県被爆者福祉協議会)
大塚閏一(鹿児島大学名誉教授)河原尚武(鹿児島大学)
八尾信光(鹿児島経済大学)小栗 実(鹿児島大学)
仲村政文(鹿児島大学)木村 朗(鹿児島大学)
長沼庄司(鹿児島短期大学)平井一臣(鹿児島大学)
広瀬敏和(鹿児島大学)秋山邦裕(鹿児島大学)
 
連絡先 木村朗
  鹿児島県日置郡松元町春山1054-10

鹿児島県議会議長  溝口宏二 殿

鹿児島県内港湾への核兵器搭載可能艦船の入港を阻止し、
"非核・平和の海"の実現を推進されるよう要望します。

 私たちはこの度「非核・平和の県民宣言」を草し、その趣旨を広く鹿児島県民に訴えるために、これを『南日本新聞』(1998年12月1日付)および『朝日新聞』(1999年1月15日付)に意見広告として公表しました(別紙)。この意見広告は県民約2000名の資金提供によって実現したものですが、この間、非力な私達の活動に対して短期間のうちに多くの県民が「非核・平和の海」への熱い思いを寄せ、強い賛同の意思を表明されました。意見広告にはこうした県民の思いと意思とが結晶しているといえるでしょう。
 顧みますと、日本国政府は、圧倒的な国民の非核・平和の声に押されて、核兵器を「作らず」「持たず」「持ち込ませず」とする非核三原則を国是としております。また全国各地の7割にもおよぶ自治体が何らかの形の非核・平和宣言をあげていますし、「核廃絶条約」締結を求める自治体決議も1千件を超えています。
 わが鹿児島県でも96市町村のすべてにおいて、非核・平和宣言ないし議会決議、陳情・請願の採択等がおこなわれています。このことの背景には地域における広範な住民の非核・平和への願いがあり、これを体した粘り強い運動があったことはいうまでもありません。特に鹿児島市議会は昨年10月、「鹿児島港における非核平和利用に関する決議」を採択しました。
 国際的にも核超大国の核抑止論に抗して、非核・平和の運動のうねりは絶えることなく、核廃絶の世論は高まりつつあります。その象徴的な事例として、リー・バトラー元統合戦略軍司令官を含む17カ国の将軍60人による核廃絶を求める声明の発表(1997年)、世界各地における「非核地帯条約」締結の動きなどが挙げられます。
 一方、国内外のこうした世論の動向に背を向けるかのように、日本国内において、米軍機・艦船による民間空港・港湾の利用が活発化しています。鹿児島港への米艦船の入港回数も増えています。とりわけ黙視できないのは、強襲揚陸艦ベロー・ウッドなど核兵器を装備できる米艦船が自由に入港しているということです。
 ご承知のように、米軍はこれらの艦船の核兵器搭載の有無については一切明らかにできないとする方針を堅持しています。そうであれば、私たちは米艦船による港湾への核兵器の持ち込みについて疑念を抱かざるをえません。県民が知らないうちに、核兵器が持ち込まれる危険性があるというべきです。
 私たちはこうした状況に対して極めて強い危惧の念を抱いています。そこで私たちは、鹿児島の豊かな海が真に平和な海として、県民に親しまれ利用されることを希求する立場から、鹿児島県が「非核神戸方式」を採用して核搭載艦船の鹿児島の港湾への入港を拒否するよう県知事宛に要望書を提出しました。この「非核神戸方式」は入港を希望する艦艇に対して、外務省をとおして非核証明を提出することを義務づけるものですが、実効性のある措置として評価されています。
 こうした措置は非核三原則を遵守することにほかならず、県民の生活と安全を守るとともに、港湾の平和利用を促進するものといえます。鹿児島県議会においても、"非核・平和の海"の実現を推進する立場にたち、この「非核神戸方式」を検討の上、県内港湾の非核化のための措置について決議されるようここに要望する次第です。
 以上、申し入れます。
 1999年1月21日
 
「錦江湾・鹿児島の海の非核化をめざす意見広告の会」

  呼びかけ人
荒川 譲(鹿児島大学)西岡久鞆(鹿児島大学名誉教授)
網屋喜行(鹿児島県立短期大学)増田 博(弁護士)
井之脇寿一(弁護士)森 重孝(県被爆者福祉協議会)
大塚閏一(鹿児島大学名誉教授)河原尚武(鹿児島大学)
八尾信光(鹿児島経済大学)小栗 実(鹿児島大学)
仲村政文(鹿児島大学)木村 朗(鹿児島大学)
長沼庄司(鹿児島短期大学)平井一臣(鹿児島大学)
広瀬敏和(鹿児島大学)秋山邦裕(鹿児島大学)
 
連絡先 木村朗
  鹿児島県日置郡松元町春山1054-10