「日の丸・君が代の法制化を考える市民の集い」

 政府・自民党は、今通常国会の会期を大幅に延長して、国民の審判を直接得ていない「自自公」という政治的枠組みの中で、わたしたち国民の日常生活に直接関わる重要法案を次々と成立させようとしています。
 そうした中で政府は、いったんは断念したはずの「日の丸」「君が代」法制化のための法案を今国会に上程し、現在国会でその審議が行われています。この法制化の動きは、今年2月の広島での県立高校校長の自殺をきっかけに急浮上したものですが、周辺事態法制定や盗聴(通信傍受)法案、住民基本台帳法の改正や憲法調査会の設置といった戦後民主主義を「総決算」しようとする最近の一連の政治動向と軌を同じくするものであることは明らかです。
 そこで、「かごしま平和ネットワーク」では、今回「日本科学者会議(JSA)鹿児島支部」との共催で、「日の丸」「君が代」の法制化がはらむさまざまな問題を考える市民の集いを開くことになりました。教育現場の方をはじめ、この問題に少しでも関心のある多くの市民の参加をお願いします。

講師:横田耕一氏(九州大学教授、憲法専攻)
テーマ:「日の丸・君が代の法制化と日本国憲法」
コメンテーター:小浜健児氏(鹿児島県歴史教育者協議会・中学教員)
日時:7月23日(金)午後7時より9時半まで
会場:日本キリスト教団鹿児島教会(甲南高校隣、上之園町23の3)
共催:「かごしま平和ネットワーク」・「日本科学者会議鹿児島支部」
※なお、参加の方はなるべく公共交通機関を利用して下さるようお願いします。
 また、当日は、資料代カンパとして500円をお願いします。
<連絡先>「かごしま平和ネットワーク」事務局担当:布田 秀治(рQ54−3051)、木村 朗(рO99−285−7654)、 日本科学者会議鹿児島支部事務局:橋本直樹(рO99−285−7598)  「かごしま平和ネットワーク」は、地域にあって一人ひとりの平和への思いを集めて活動するグループです。


「日の丸・君が代の法制化」問題を考える

横田 耕一(九州大学教授・憲法専攻)

T「日の丸・君が代」の歴史の再把握 

  1.大日本帝国憲法下の「日の丸」
 
  2.大日本帝国憲法下の「君が代」
 
  3.文部省の先走り
 
U 「日の丸・君が代」強制の背景
  1.国民統合の必要性
  2.「国民国家」の動揺
 
V 「日の丸・君が代」反対理由の有効性
    1. 国旗・国歌ではない(法的観点1)
       法例2条「公ノ秩序又ハ善良ノ風俗ニ反セサル慣習ハ法令ノ規定ニ依リテ認メタルモノ
       及ヒ法令ニ規定ナキ事項ニ関スルモノニ限リ法律ト同一ノ効力ヲ有ス」

   2.内容が憲法違反(法的観点2)
 
  3.「強制」(法的観点3)
   @ 「思想・信条の自由、信教の自由」「表現の自由」との関係 
   A バーネット判決(1943年)の意義
   B 国家による「表現」
     イ)「近代国家」原理による「国家による表現」の制限
     ロ) government speech の限界
 
  4.在日の子どもたちの存在
 
  5.教育上不要
 
  6.過去の歴史(歴史的観点)