「周辺事態法に基づく自治体協力のあり方に関する公開質問状」
 
鹿児島県知事 須賀龍郎 殿
 
 わたしたち「かごしま平和ネットワーク」は、地域にあって一人ひとりの平和への思いを集めて活動するグループです。この「かごしま平和ネットワーク」は、今年3月に開かれた「STOP!周辺事態法案を考える相談会」を契機に結成され、その後、鹿児島県議会議員選挙立候補予定者に対する公開質問状や鹿児島県知事に対する請願署名、さらには新ガイドライン問題を考えるシンポジウムなどさまざまな活動に取り組んできました。しかし、こうした活動にもかかわらず、周辺事態法を柱とする新ガイドライン関連3法が先の国会で結局成立しました。その後、8月末には周辺事態法が施行されるとともに、内閣安全保障室・危機管理が作成した周辺事態法「解説(案)」が全国各自治体へ配布・説明されるなど、「周辺事態」に向けた準備体制(=「戦争協力体制」)が着々と進められています。
 
こうした状況の中で、政府・与党は、周辺事態法とそれに基づく自治体に対する協力要請が住民の生活と安全に大きな影響を与えるものであるにもかかわらず、その内容に対する説明が住民に対して十分に行われているとはいえません。
 
そこで、わたしたち「かごしま平和ネットワーク」では、周辺事態法の具体的適用、とりわけ自治体協力がはらむさまざまな問題点を整理し、別紙のような公開質問状を出させていただくことになりました。
 
鹿児島県民の生活および生命を守る最高責任者としての須賀県知事におかれましては、
わたしたち県民のこのような不安と疑問に対して、率直かつ真摯なご回答をたまわりますように心からお願い申し上げます。なお、この公開質問状に対するご回答は、2週間以内(11月12日まで)に文書で下記の事務局宛までに送付していただくとともに、そのご回答の説明を直接していただく機会を別途設けていただくようによろしくお願いします。
 
1999年10月27日
 
「かごしま平和ネットワーク」事務局担当:
木村 朗 (鹿児島県日置郡松元町春山1054−10、пEFAX099?278?2786)
布田 秀治(鹿児島市上之園町23の3、пEFAX099−254?3051)
 
<周辺事態法に基づく自治体協力に関する質問9項目>
1. わたしたちは、周辺事態法(案)に関して鹿児島県の側からも日本政府に対して撤回を働きかけてほしいという請願署名をお届けしましたが、まだ今日まで何ら具体的な回答をいただいていません。約5、700名の署名をしていただいた県民の方々に対して、その後の対応を理由も含めてお答えいただけないでしょうか?
2. 周辺事態法と日本国憲法第9条の関係について、どうお考えですか?
 
3. 周辺事態法の自治体協力で、政府は「地方議会の協力反対決議が、首長が協力拒否する正当な理由に該当しない」との見解を示していますが、この政府見解を須賀県知事はどのようにお考えでしょうか?
 
4. 政府から出されている「周辺事態安全確保法第9条の解説(案)」に対して、県の側はすべての点に納得されているのでしょうか? また、国側が行った説明会で、何を具体的に質問されたのかを明らかにしていただけないでしょうか?
 
5. 周辺事態に際して、鹿児島県ではどのような事態を想定されていますか? 具体的には、どの空港、どの港、どの施設が使用の協力要請を受けると考えますか?
 
6. 上記にあげたような地方自治体への協力要請を、鹿児島県は無条件に受け入れなければならない強制的な義務と思われますか?また、どのような場合に政府からの協力要請を拒否できると考えていますか?
 
7. 外国艦艇の入港を要請された場合、県知事として「非核証明」の提出を求めるお考えはありますか? もし、ない場合は、その理由もお聞かせ願えないでしょうか?
 
8. 周辺事態の際に政府から鹿児島県に協力要請があった場合、県の側は入手したすべての情報を県民に対して公開されるおつもりですか?
 
9. 周辺事態に際して、あらかじめ地域住民と県・行政側の意思疎通をはかる必要性があると考えます。県の側では、具体的に、地域住民・県民に対して公開の説明会や対話集会を開かれる用意はありますか?