<鹿児島県議会議員選挙立候補予定者への公開質問状
 に対する回答結果について>
●質問項目
@周辺事態措置法(案)について
 
A鹿児島港・志布志港、鹿児島空港・奄美空港、鹿屋海上自衛隊基地等の軍事 利用について
 
B霧島演習場での日米共同訓練について
 
C喜界島への「象のオリ」(高感度円形無線傍受施設)建設について
 
D「非核神戸方式」(「非核証明書」提出を義務づける)を県内港湾に導入す ることについて
 
E鹿児島県内が県内で唯一残されている「非核・平和宣言」を採択することに ついて
 
 〔賛成⇒○ 反対⇒× どちらともいえない⇒△ ―――⇒回答なし〕
 
    ≪集計表≫












 

@

○〜2 /22

×〜12/22

△〜3/22

―――〜 5 /22

A

○〜2/22

×〜13/22

△〜2/22

―――〜 5 /22

B

○〜2/22

×〜11/22

△〜4/22

―――〜 5 /22

C

○〜2/22

×〜11/22

△〜3/22

―――〜 6 /22

D

○〜15/22

×〜0/22

△〜1/22

―――〜 6 /22

E
 

○〜16/22
 

×〜0/22
 

△〜1/22
 

―――〜 5 /22
 












 
 
 <公開状への回答結果についてのコメント>
 
 今回、わたしたち(「『STOP!周辺事態法案』を考える鹿児島平和ネットワーク」)は、平和問題に関する6項目の質問状を3月23日付で鹿児島県議会議員選挙立候補予定者85名に対して送付し、4月1日までにFAX・電話および郵送を通じて22名の立候補予定者の方々(このうち、質問状全体にわたって回答をいただいた方は17名)から何らかの形で回答を得ることができました。お忙しい中でわたしたちの質問状に快く応じていただいたこれらの方々に心からお礼を申し上げます。
 
 まず最初に、質問状に何らかの回答をいただいた22名の回答結果についての分析・評価を行います。この22名のうち、質問状の各項目に一通り回答していただいた方が17名、質問状に対する意見(および特定の項目のみに対する回答)をいただいた方が5名でした。それでは、22名の方々からの回答結果にあらわれたいくつかの特徴を指摘すると、以下の通りです。
 
1.この22名の所属のうちわけは、自民党6名、共産党5名、社会民主党4  名、民主党2名、無所属5名でした。公明党および自由党に所属している  候補者からの回答はありませんでしたが、前回他の市民団体が出した人工  島問題の質問状への回答を拒否した自民党を含む多くの会派から回答が寄  せられたことは評価できると思います。
 
2.また22名のうち、新人が11名、元職3名、現職8名でした。現職が少  ないのは、鹿児島県に無風選挙区が多いこと(10選挙区14人)と無関  係とは思われません。
 
3.22名のうち、11名と最も多かったのが、上記の質問項目と集計表を見  ていただければわかるように、質問項目@からCが「反対」でDとEが「賛  成」というパターンでした。この11名の内訳は、共産党5名と社会民主  党4名、無所属2名でした。この結果は、各党の政策・方針がそのままあ  らわれたものと考えられます。
 
4.自民党に関しては、6名のうちの個別回答していただいた2名(現職と新  人)が@からCを「賛成」としているのは当然として、DおよびEも「賛  成」としているのが注目されます。これは、自民党議員(一部ではある  ものの)が「非核三原則」が国是であることを重視し、その実効化に反対  していないことを示していると思われます。
 
5.民主党に関しては、@からCが「どちらともいえない」で、DおよびE   が「賛成」でした。これは、民主党本部が明確な安保政策を持たず、「周  辺事態法案」への対応に曖昧さを示していることの反映だと思われます。
 
6.無所属の5名に関しては、その傾向から革新系(2名)と保守系(3名)  の二つに対応が分かれた。
 
7.最後に、質問状に個別に答えていただく代わりに、その全体的な扱いにつ  いての意見を回答していただいた5名の方々について若干触れさせていた  だきます。5名のうちの4名が自民党(3名が現職、1名が新人)、1名  が無所属・新人です。そのうち自民党の3名は、「回答は遠慮します。悪  しからず。」、もう1名の自民党候補は、「周辺事態法案には賛成。一方的  な質問には答えられない。」という答えでした。また、無所属の方は、「設  問項目事態がケース・バイ・ケースで考えていく性質のもので、簡単には  答えられない。ただ、霧島での日米共同訓練には反対です。」とのことで  した。
 
 以上、質問状への22名の方々の回答結果にあらわれたいくつかの特徴を指摘させていただきました。
 
 さて次に、今回の回答結果に対するわたしたちの率直な感想を述べさせていただきます。まず第一に、「周辺事態法案」や「非核神戸方式」などが、現在開催中の国会において審議の中心課題となっているのにもかかわらず、そうした問題に対する立候補予定者の関心・認識があまりにも低すぎるというものです。
 それは、立候補予定者85名中22名(約4分の1)しか回答が寄せられなかったこと(この数自体は、短期間での取り組みであったことや他の市民団体からの質問状に対する回答結果と比べてとくに少なかったというわけでもなく、公開質問状を出す意義がなかったと考えているわけではありません)に端的に示されているばかりでなく、わたしたちからの再度にわたる電話での回答への協力の申し入れに対するさまざまな反応にもあらわれていました。
 具体的に言えば、いくつかの立候補者の後援会事務所では、公開質問状そのものの存在の確認もせずに立候補者本人への確認も曖昧に済ませる、公開質問状の項目・内容ではなくこちらの身元の確認のみにこだわる、質問項目を説明しても基本的事柄さえもなかなかよくわかってもらえない、といった対応がありました。こうした緊張感のない無責任な対応は、市民感覚からあまりにもズレているというばかりでなく、県民の生活にこれから責任をもとうとする政治家としての資質(対応したのが事務所のものであったにせよ)が疑われると言わざるを得ません。このことは、質問状に回答を寄せられなかった候補者ばかりでなく、各設問項目に答えていただけなかった方や設問項目自体には回答していただいてもその理由を具体的に明示されなかった方などにもあてはまると思います。
 また第二に、これは何らかの形で質問状に回答を寄せられた22名の方々のすべてではありませんが、寄せられた回答の中には、その回答内容が通り一遍であり、県議会議員をめざす政治家個人としての独自の判断・評価が積極的に伝わってこないという印象をもったものもあったということです。例えば、「日本を守るためには必要だ」(自民党)、「国の防衛のためにはやむをえない場合である」(無所属)、「新ガイドラインの先取りである」(社会民主党)といった理由で複数の項目に対する賛成あるいは反対の立場を表明されているような場合です。地方分権が声高に叫ばれている今日、地方議員を選ぶ基準として所属政党・党派以上に候補者個人の政策・人柄が重要になってきていることを考えれば、このことの意味合いは決して小さくないと思われます。
 
 最後に、今回の鹿児島県議会議員選挙に立候補されたすべての方々に、自治体住民の生活と安全に今後大きな影響を与えることになる「周辺事態法案」をめぐる諸問題に真剣に取り組んで平和な鹿児島県を実現することに全力で努力されることを強く要望して、わたしたちの公開質問状のコメントとさせていただきます。                      (文責 木村朗)
 
1999年4月4日
 
 「『STOP!周辺事態法案』を考える鹿児島平和ネットワーク」
  連絡先:
      続 博治 、Tel(0995)63−1700、Fax (0995)63−1701
      木村 朗 、Tel (099)285−7654、Fax (099)285−7615