鹿児島県知事は、国に対し意見を述べて下さい。
■県民を巻き込む「戦争協力」法案の撤回を求める請願署名

請願団体 「『Stop!周辺事態法案』を考える鹿児島平和ネットワーク」

木 村  朗 日置郡松元町春山1054-10

鹿児島県知事 須賀 龍郎 殿

本年一月からの通常国会では、「新しい日米防衛協力のための指針(以下、「新ガイドライン」と略します)」関連法案が、大きな争点になっています。すでに衆議院に「日米防衛協力のための特別委員会」が設置(二月一六日)され、現在本格的な審議が行なわれています。
新ガイドライン関連法案は、アジア・太平洋地域における地域紛争(「周辺事態」)に対するアメリカの軍事介入に日本(自衛隊ばかりでなく、民間・自治体も含む)を積極的に協力・参加させることを目的としています。この法案は、まさに「(対米)戦争協力」法案であり、日本国憲法第九条の平和原則を全面的に否定するものです。
とりわけ注目すべきことは、この法案に規定されている「周辺事態」の際、日本政府が米軍への優先的協力を前提に、地方自治体や民間に対して、港湾施設・空港の利用や病院施設の供与、あるいは武器・弾薬や兵員の輸送を「求めることができる」としていることです。こうした「協力」は、米軍主導の戦争に地方自治体とその住民を自動的に動員するもので、「正当な理由がない限り」それを拒否することができないという形で、実質的な「強制」に他なりません。
運輸省の発表によれば、一九九八(平成十)年の一年間に、全国の二一空港に米軍機が合計七一九回も飛来しており、米軍が民間空港を日常的に利用している実態が浮かび上がってきています。とくに県内では、奄美空港が利用回数では全国で三位となっています。
また鹿児島港は、九州の民間港湾の中で一九九〇年以降、米軍艦船の寄港数が一三回と最も多くなっています。しかも、ここ数年に鹿児島港を訪れた米艦船は、一昨年に寄港した米海軍の強襲揚陸鑑ベローウッドも含めその多くが核積載可能艦船であることも分かってきました。
昨年一一月には、鹿児島県吉松町と宮崎県えびの市にまたがる「霧島演習場」と熊本県矢部町の「大矢野原演習場」において、南九州では初めて自衛隊と海兵隊による日米共同軍事訓練が行なわれました。
このように鹿児島においては、物資・兵員輸送の中継点としての鹿児島空港の使用と労務の提供ばかりでなく、鹿屋海上自衛隊基地や奄美空港の米軍機による軍事利用の活発化、そして鹿児島港の補給基地としての位置づけと「準軍港化」、さらには霧島演習場での日米共同訓練の恒常化が予想されます。このように、この法案は鹿児島県とその住民に決定的な影響を及ぼす性格をもっていることは明らかです。
私たちは、このような日本政府の姿勢に対して強い憤りを覚えるとともに、現在の政治・社会状況について深い危機感をもっています。
同法案を撤回するよう政府に求めることは、「地方公共の秩序を維持し、住民及び滞在者の安全、健康及び福祉を保持すること」に責任を負う地方自治体(地方自治法第二条・第三項・1)としてあまりにも当然のことです。
私たちは、鹿児島県が、「国に対し意見を述べる」ことを実践し、同法案の撤回を日本政府に働きかけていくことを強く求めます。
以上、請願陳情いたします。

一九九九年
氏 名住 所