平和問題ゼミナールの紹介
―「反戦」・「平和」…インターネットで世界へ―

 鹿児島大学で一般市民も参加できる自主ゼミ「平和問題ゼミナール」を主宰する木村朗助教授(法文学部)は、ゼミの成果をホームページで公開している。インターネットを通じて「反戦・平和」を考えることの効果や魅力、注意すべき点を聞いた。
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― 充実したホームページを運営されてますね。
木村:沖縄や安保など国内の問題だけでなく、国際性が強いのが特徴です。もう22回 続いている連載「旧ユーゴ便り」では、ユーゴの首都ベオグラード在住の日本人から現地報告を送ってもらっています。韓国、カナダ、英国からのリポートも掲載していますし、私自身も平和コラムを書いています。開設以来2年足らずでそうアクセス数が一万件を突破しました。

― 反戦・平和にインターネットを使うメリットは?
木村:各地の非政府組織(NGO)がインターネットで運営することで、情報を共有し、力を合わせることができます。例えば地雷廃絶問題ですね。それから、距離の壁を越えて、具体的な活動のノウハウを交換することもできます。私もかかわっている「かごしま平和ネットワーク」が、鹿児島県議選立候補予定者に新ガイドラインに関するアンケートをしたんですが、この質問マニュアルは、福岡県の市民団体からもらったものです。

― 世界中の紛争に関する現地情報も入手できますね。
木村:マスメディアとは違った視点からの情報が入手できます。ユーゴ空爆では、テレビなどは北大西洋条約機構(NATO)や米国が発信した情報が中心でしたが、インターネットを使うことでセルビア側やアルバニア側の情報が容易に手に入りました。マスメディアの情報とインターネットの情報を突き合わせることで、より出来事を多角的に見ることができます。

― しかし、中には事実誤認や偏った見方に基づくページもあります。
木村:「制作者にとって都合のいい情報が表に出ている」ことを常に念頭に置くべきです。内容を分析、評価する座標軸を持たないと、流されてしまう。平和問題に関しては、私なりに、厳選したホームページのリンク集を公開しています。利用してもらえたらうれしいですね。

― それにしても、インターネットの情報量は膨大ですね。
木村:自分がどういう情報がほしいのか、目的をはっきりさせることが大切です。さもないと、情報の森の中で迷ってしまう。具体的には、とにかく数多くのページに当たり、取捨選択する中で質の良い情報を見つけることです。

― インターネットを利用するときの注意点は?
木村:場所を問わずに、情報発信できるのが魅力ですが、平和問題のような国境を越えたテーマは、英語版をつくることもいいと思います。それから、情報をもらったら、自分が持っている関連情報や意見を返しましょう。掲示板があるページなら書き込みを、ない場合はメールで。ただし受け取る側の気持ちに十分配慮して、冷やかしや皮肉は絶対いけません。ネット上のエチケット、「ネチケット」をしっかり守ってほしいですね。