■鹿児島大学平和問題ゼミナール

「新ガイドラインと自治体−鹿児島で神戸方式を」

姶良地区平和運動センター続 博治

一、現行ガイドラインや地位協定から、新ガイドラインへ−鹿児島から見えてくるものは、何か?【別紙パンフ参照】

(1) 鹿児島県内の港湾、空港の利用と県内の自治体や民間活動全国の米軍民間港・空港の利用実績から

(2) 奄美空港の位置

(3) 民間港では、南の鹿児島と北の小樽が補給基地に戦略や事件、軍事的緊張の場所や変化によって「重点」が移動している?

二、新ガイドラインと自治体−自治体の負担・民間の協力【別紙参照】

(1) 「周辺事態」に対する対応の手順

(2) 97年9月空母インディペンデンス寄港から見えてくるもの

(3) 自治体への周知へ向けた動き

@1997年9月29日付け自治大臣官房国際室長名「日米防衛協力のための指針」を各都道府県総務部長あてに出す。関係資料の市町村へも。(英文で)

A最近の新聞報道
【朝日新聞6月11日】 「全国基地協議会」や「防衛施設周辺整備全国協議会」などが,協力の内容と強制力などについて紹介していた質問状に対し、政府が「回答は困難」と伝えていたことが十日、明らかになった。
【讀賣新聞6月12日】 防衛庁は、全国三千二百三十二の全市町村に対し、自衛隊員と防衛施設庁職員を動員して法案内容を説明。各市町村の六月議会に間に合うように集中的に回るという。
【赤旗6月13日】 政府は六月十二日、「周辺事態措置法案」に盛りこまれた自治体や民間人にたいする対米軍事協力規定についての見解をはじめて文書で示す。「全国基地協議会」と「防衛施設周辺整備全国協議会」が五月八日に内閣安全保障・危機管理室長あてに提出していた質問に答えたもの。自治体の「協力内容」については「事態毎に異なるものであり、予め網羅的に申し上げるのは困難」としていっさい触れず。
【讀賣新聞6月16日】 周辺事態法案をめぐって、政府は、来月十六日に東京都内で、自衛隊や米軍の基地を抱える自治体で構成する「全国基地協議会」と「防衛施設周辺整備全国協議会」に対する説明会を開催することを決めた。

B5月13日、下記の添付文書とともに「資料」がドサッと全国都道府県に届く

各都道府県知事殿
平成10年5月13日
内閣安全保障・危機管理室長
外務省北米局長
防衛庁防衛局長
政府は、去る4月28日の閣議において、「周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律案」、「自衛隊法の一部を改正する法律案」及び「日本国の自衛隊とアメリカ合衆国との間における後方支援、物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定を改正する協定を改正する協定案」について国会提出等につき決定を行いました。これらは、今後、国会において審議が行われるものですが、特に「周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律案」においては、地方公共団体との関係についても規定されているところであり、地方公共団体の御関心も高いものと承知しております。政府としても、このような点を踏まえ、関連の資料を送付させていただくとともに、今後とも緊密な連絡をとらせていただきたいと考えております考えておりますので、よろしくお願い致します。なお、この法律案について御質問等がございましたら、次のところまで連絡していただければ幸いです。
【連絡先】
○内閣安全保障・危機管理室
〒100-0014 千代田区永田町1-6-1
TEL03(3581)2361(内線2601)
03(3581)1966(直通)
FAX 03(3593)2516
E-mail aanpo@sorifu.go.jp
○外務省北米局安全保障条約課
〒107-0013 千代田霞が関2-2-1
TEL 03(3580)3311 (内線2478)
03(3581)3803(直通)
FAX 03(3581)3804
○防衛庁防衛局防衛政策課
〒107-0052 港区赤坂9-7-45
TEL 03(3408)5211(内線3796)
FAX 03(3746)1411
                                           

C「周辺事態法案」などに関する自治体の動向

ア) 市民新党にいがたの新潟県内の関連自治体へのアンケートから

イ) 全国の米軍基地を抱えている「渉外関係主要都道府県知事連絡協議会」、神奈川県の米軍基地関係自治体で構成される「神奈川県基地関係県市連絡協議会」、さらに全国の自衛隊基地・防衛施設関連自治体の連絡会である「全国基地協議会」や「防衛施設周辺整備全国協議会」などは、「一方的に地方公共団体の役割が定められる」「住民生活に重大な影響」などの危惧を表明し、政府に対し「充分な説明」と国会審議にあたって「事前に地方公共団体の意見を十分に聴取、その意向を尊重」するよう強く求める。さらに、基地を有しない小樽市長も「協力要請の際は自治体の判断を尊重」するよう外務省対し意見を表明。

ウ) 沖縄の市長村長へのアンケート

53市町村長 回答51首長

自治体の協力義務付けに反対 26首長
賛成・協力すべき(やむなしを含む) 7首長
協力要請を受けた場合 応じられない 17首長

@自治体協力の義務化については、「米軍への新たな協力拡大は基地整理縮小に反する」(親泊康晴那覇市長)、「平和憲法の理念がなし崩しになる」(伊志嶺亮平良市長)などの理由で、26首長が反対。「やむなし」を含め、容認する考えを示したのは7首長を大きく上回った。「協力に応ずるか」の設問では、17首長が応じられないと回答。「離島県であり住民生活に影響が大きい」など、拒否回答には、「住民生活優先」「戦時体制に組み込まれることへの懸念」が目立った、また、応ずるとした回答では、「やむを得ない」が目立っている。

A態度を保留する回答も目立ち、45首長が今後の国会審議で自治体の意向を聴取、尊重するよう要望。協力を求められる立場の自治体側に具体的説明がなされず、その意向が反映される道筋が示されないことへの不満も示された。

│ 異議を唱え出した自治体 │

三、日米共同演習に関する動き−霧島演習反対の闘いに向けて

(1) 自衛隊陸幕広報室「お知らせ」 【別紙参照】 
日米共同訓練の部分が表組なので崩れているが、大事な実動訓練では、いつもの11月の訓練が、陸軍−東北方面隊、海兵隊−西部方面隊、という組み合わせ。

(2) 霧島演習場−日米共同訓練の概要/1998.6.10 防衛施設庁聴取 濱田健一衆議院議員
例年、秋(11月頃)日米双方800人×2の規模でやる。
@4月、西部方面隊総監部実施の公報
A実施の3ケ月前場所、部隊を公報(8月頃か)
B実施の1ケ月前どういう武器でやるか広報する

2週間の訓練パターン
@機能訓練−様々な武器を使い、パターン別に一方が、それを見ながら研修するという内容
A総合訓練−実戦形式の総合的なもの現在、吉松町にも打診している。いま、場所決定を急いでいるところ。
防衛施設庁施設部施設企画課基地対策専門官防衛庁運用局訓練課防衛庁部員

(3) 霧島演習に関して
@演習場としての「登録」→「日米地位協定第2条第4項(b)の適用ある地」扱いとしては、米軍基地と同等になる。
A地位協定第3条 → 米軍がこのような「施設・区域」においてその「設定、運営、警護及び管理のため必要な全ての措置を執ることができ」ることが明記され、そのための便宜のために日本政府には「関係法令の範囲内で必要な措置を執る」ことが義務づけられている。したがって演習場に関して米軍が必要だと考えれば彼らにとって都合のいい改変や新たな整備、米軍への反対運動への取り締まりなどを日本側に要請できるようになっている。
B地位協定第7条 → 施設・区域」の外においても米軍はさまざまな「役務」を有効に且つ優先して受けられる。演習場周辺の県内公共施設のさまざまなサービスも必要に応じて米軍に優先して提供される根拠があるし、新ガイドラインと関連法案ではそれはより明確な形となり、半ば義務としてそれらの協力を求めることになる。

【関係資料】

日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域
並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定

(昭和35年6月23日・条約第7号)効力発生、昭356 23〔昭35外告50〕

第2条〔施設・区域の提供と返還〕
4 (b)合衆国軍隊が一定の期間を限つて使用すべき施設及び区域に関しては、合同委員会は、当該施設及び区域に関する協定中に、適用があるこの協定の規定の範囲を明記しなければならない。
第3条〔施設・区域に関する合衆国の権利〕
1合衆国は、施設及び区域内において、それらの設定、運営、警護及び管理のため必要なすべての措置を執ることができる。日本国政府は、施設及び区域の支持、警護及び管理のための合衆国軍施設及び区域への出入の便を図るため、合衆国軍隊の要請があつたときは、合同委員会を通ずる両政府間の協議の上で、それらの施設及び区域に隣接し又はそれらの近傍の土地、領水及び空間において、関係法令の範囲内で必要な措置を執るものとする。合衆国も、また、合同委員会を通ずる両政府間の協議の上で前記の目的のため必要な措置を執ることができる。
第7条〔公共役務の利用優先権〕
合衆国軍隊は、日本国政府の各省その他の機関に当該時に適用されている条件よりも不利でない条件で、日本国政府が有し、管理し、又は規制するすべての公益事業及び公共の役務を利用することができ、並びにその利用における優先権を享有するものとする。

■1996年11月の「日出生台日米共同演習」の概要

西日本新聞」(1996.11.5/11.20)

(1)陸自第四師団第四〇普通課連隊(北九州市)を中心に、日本側七百五十人米軍ハワイ州の第二九増強歩兵旅団一個大隊約五百人計千二百五十人

(2)日 程 11月5日 開始式
6日 武器、通信機器の取り扱い訓練
7日から 対戦車火器、小銃、機関銃、81M迫撃砲等の実弾射撃訓練
12日から16日 日米共同の総合訓練

(3)日米物品・役務相互提供協定(ACSA)が初適用される。

【訓練日数】 実動訓練日数は、11日間で、前回よりも2日増。
基礎的訓練な機能別訓練6日、全員参加で攻撃・防御訓練を積む総合訓練が5日。機能別訓練が2日増。
【装備、弾薬量など】 前回は50d使用した弾薬量が、今回は3dに大幅減。
使用火砲数は170ミリ迫撃砲など73門と前回と同じ。
戦車が14台から8台、ヘリが15機から2機に減るなど、使用装備、弾薬ともに縮小傾向が目立つ。
自衛隊では「パートタイム兵士のハワイ州兵が主力だったため、基礎訓練を重視し、結果的には装備や弾薬量も減った」と、説明している。
【ACSA】 ACSAで米軍側に提供されたのは、輸送、給油、給食、装備品、衛生の5分野。
輸送支援では、演習場と大分空港間の隊員・物資輸送のほか、演習場内の移動などで延べ800人を輸送するなどした。
給油では、ガソリン、経由、灯油を30キロリットル。
衛生支援では、体の不調を訴えた2人を治療。小西泰巳・陸上自衛隊第40 普通科連隊長は「訓練の円滑な運営に役立った」語った。
【公開日数】 報道陣への公開日数が、前回は実動訓練9日のうち7日だったのが、今回は11日のうちわずか2日。
この措置について、自衛隊では「より実戦的な訓練に専念したい、という日米の一致した意向から、公開部分を制約せざるを得なかった」としている。

四、錦江湾を非核の海に−鹿児島で神戸方式の導入に向けて

(1) 神戸市・外国艦船入港手続き(神戸市港湾局)【別紙パンフ参照】

(2) 政府外務省からの圧力

【毎日新聞6月4日 大阪版拡大3面 深層】

非核証明書なしカナダ軍艦入港
揺らぐ神戸方式 なし崩しの危機 背景に新ガイドライン? 問われる市の姿勢
カナダ海軍の艦船が先月28日、神戸市に非核証明書を提出しないで神戸港に入港した。同市が外国艦艇入港に「非核証明書」の提出を求める「非核神戸方式」を1975年に始めて以来、初の出来事だ。市は「外務省から『核兵器を積んでいない』との電話連絡があり、例外的な措置とした」と説明、方式の堅持を強調する。しかし、平和団体は「非核証明書がないままの入港は、なし崩し的な方式の転換につながる」と警戒を強める。新たな日米防衛指針(ガイドライン)に伴い、政府が立法化を目指す周辺事態法案に「自治体の協力要請」が入っていることから、「入港は法案の地ならし」と指摘する軍事評論家もいる。入港の背景と波紋を探った。
【三枝泰一、遠藤哲也、藤田宰司】

◆寄港の経緯
補給艦「プロテクター」(8380トン)の寄港は、カナダ海軍のアジア親善訪問の一環。寄港スケジュールが昨年末、外務省から神戸市に入って以来、市はカナダ総領事館(大阪市)あてに2回、非核証明書を提出するよう要望書を送付。外務省にもカナダヘ働きかけるよう求めた。しかし、神戸市がカナダ側に「タイムリミット」と伝えていた先月26日午後5時すぎ、笹山幸俊市長に入ったのは、外務省北米局幹部からの電話だった。「カナダは核拡散防止条約(N PT)を締結している非核兵器国。艦艇にも核兵器は積んでいないと理解してもらっていい」。異例の連絡だった。市は「従来の方式とは異なるが、実質的に非核証明書の提出と同じ。政府を信頼したい」(山本信行・港湾整備局長)と入港を認めた。外国艦艇入港は、87年以来11年ぶりで、笹山市政になって初めて。実務担当の港湾整備局にも入港手続きに携わったことがある職員はいなかった。市は@親善交流が目的Aカナダは非核国−などの点も考慮して判断したと説明するが、これまで非核証明書を提出して入港した7カ国の艦艇17隻の寄港目的も大半が「親善」で、豪州、スウェーデンなど非核国も含まれている。結局、市の判断根拠は「外務省の証明」に尽きる。外務省は「艦艦の寄港は国の判断。自治体が寄港を妨げることがあってはならない」との立場。鶴岡公二・北米1課長は「非核証明書の提出は、国際慣行から考えれば極めて異例。神戸市に圧力をかける意思はなかった」と説明する。

◆方式の成立背景
神戸方式の基となったのは、市議会が75年に全会一致で採択した「核兵器積載艦艇の神戸港入港拒否に関する決議」。前年10月、ラロック元米海軍提督が「日本に寄港する艦艇は核兵器を外さない」と米議会で証言したのが背景だった。第二次大戦後に米軍に港湾を一部接収され、朝鮮戦争、ベトナム戦争などで米軍の支援・補給に利用されてきた神戸の市民に大きな衝撃を与えた。当時の市長、宮崎辰雄氏は市議会で「疑わしい艦船の入港拒否」を表明。市議会港湾交通委員会が、市長答弁に沿った形で決議文を作成。市は決議を受け、書面の提出という独自の方式を発案した。これまでの23年間に入港した艦艇17隻はすべて証明書を提出。軍事上、核の存在の有無を明らかにしない米国の艦艇は一度も入港していない。

◆全国への波紋
県内全港湾で「非核紳戸方式」の採用を決めながら、今年3月議会での条例化を見送った高和県。先月15日、外務省日米安全保障条約課との間で、初の協議会開催にこぎ着けたが、同省は「憲法73条で保障された内閣の外交権限が、地方自治体に制約されることは許されない」の一点張りだった。今回の"証明書なし入港"に同県幹部は「本県に対してと同じ外務省の強い姿勢を感じる」と話す。また、港湾の半分が米軍使用の沖縄県・那覇港を管理する那覇市は「『神戸方式』への期待は大きかった。早急に、今回の件の状況を調べたい」(市平和と国際交流室)と強い関心を見せている。新ガイドライン策定にあたって米国は、日本周辺有事の際、国内 15カ所の港湾の使用を想定しているといわれる。その一つ、北海道・函館港を管理する函館市は昨年10月、米軍揚陸指揮艦の寄港を機に、外国艦船の入港の際に核兵器搭載の有無を文書で確認することにした。金勝夫・港湾管理部管理課長は「軍事利用を心配する市民感情に応えていくことは自治体の義務」と述べる。◆反発の声
軍事評論家の前田哲男・東京国際大学教授は「『神戸方式』を苦々しく思っている政府が、撤廃を狙った行為」としたうえで、「カナダは米国の核戦略から離脱する道を模索している。市がもっと積極的に『神戸方式』の重要性を訴えていれば、カナダ政府の理解は得られたはず」と主張。横田、佐世保など全国の米軍基地を監視する市民ネットワーク「リムピース」(約6万5000人)の代表、遠藤洋一・東京都福生市議は「心配なのは『神戸方式』のなし崩しが過大に取り上げられ、あきらめムードが広がること。声を上げることで、神戸市が再度、核に対し、毅然とした態度を示さざるを得なくなる環境を作っていくことが大切」と話す。神戸市議会は共産、新社会両党が抗議声明を出した以外に具体的な動きは出ていないが、23日開会の6月定例議会でこの問題が取り上げられる見通しだ。新展開を見せる日米防衛協力の中で、「神戸方式」をどう守っていくのか、神戸市の主体性が問われている。

(3) 鹿児島での取り組みに向けて−私たちの取り組み


【資料出典】
■「市民新党にいがた」
■大分県・日出生台(ひじゅうだい)への米軍演習移転問題
〒950-21 新潟市真砂1-21-46
http://www.coara.or.jp/~y ufukiri/localnet/lonets.html
電話025-230-6368
FAX025-267-8602
■米海兵隊は日本にいらない!全国アクションプロジェクト
e-mail:nnpp@ppp.bekkoame.or.jp
http://www.coara.or.jp/ ~yufukiri/
URL http://www.bekkoame.or.jp/~nnpp/
■btree@osk.3web.ne.jp Catch Peace Home Page
http://www.osk.3web.ne.jp/~btree/catch
特にガイドライン・有事法制関係のページ http://www.osk.3web.n e.jp/~btree/catch/yuji ト自衛隊の部隊等に後方地域支援等、捜索救難活動、船舶検査活動の実施を命ずる   こと。

中断・休止に関する事項

 

【関係行政機関による措置等の実施】

  関係行政機関の長は、法令及び基本計画に従い、周辺事態における必要な措置をと るものとすること。

 

【国以外の者による協力等】

 関係行政機関の長は、法令及び基本計画に従い、地方公共団体の長に対し協力を求   めることができること。

 関係行政機関の長は、法令及び基本計画に従い、民間等に必要な協力を依頼するこ   とができること。

 

【国会への報告】

 内閣総理大臣は、基本計画の決定又は変更があった場合には、遅滞なく、国会に報   告すること。

 

【武器の使用】

   捜索救難活動、船舶検査活動を行っている者の生命等を防護するための必要最小限   の武器使用に関する規定について検討中

 

【その他】

    新法を受けて、自衛隊が、その任務遂行に支障を生じない限度において、後方地域   支援等、捜索救難活動及び船舶検査活動を実施できる旨を自衛隊法に規定

 

2.日米間の取決め(日米物品役務相互提供協定の改正)

 

【本協定の周辺事態への適用】

    平成8年に締結された日米物品役務相互提供協定を改正し、これまでの協力に加え、   周辺事態に対応する活動に必要な物品又は役務も自衛隊と米軍との間で提供できるこ   ととすること。

 

【周辺事態に対応する合衆国軍隊の活動に必要な物品又は役務の提供】

   周辺事態に対応する合衆国軍隊の活動に必要な物品又は役務の自衛隊からの提供は、   新法に従って行うこととする。

 

【武器・弾薬の提供】

   自衛隊から合衆国軍隊へ提供する物品には、武器又は弾薬は含まない。

 

3.自衛隊法の改正

 

【在外邦人等の輸送】

 自衛隊が行う在外邦人等の輸送の手段として、船舶及び当該船舶に搭載された回転   翼航空機を加えること。

 隊員及び現場に所在する在外邦人等の生命等を防護するための必要最小限の武器の   使用に関する規定について検討中

 

--------------------------------------------

<日米防衛指針>自衛隊、周辺有事に米軍後方地域支援も盛り込む

 

 政府は8日午前、新たな日米防衛指針(ガイドライン)策定に伴う関連法案の概要

を自民党外交・国防関係部会と与党3党に相次いで提示した。周辺有事に限る自衛隊

の活動として米軍への後方地域支援と米兵らの捜索・救難、不審船舶の検査(臨検)

の3分野を新法で規定したほか、在外邦人の救出に自衛隊艦船派遣を可能とするよう

自衛隊法改正も盛り込んだ。与党協議を受けて政府は法案を取りまとめ、今国会に提

出する方針だが、社民党内には活動内容が憲法の禁じる集団的自衛権の行使に抵触す

るとの強い懸念があり、調整作業が難航するのは必至だ。

 

 概要は文書と担当省庁による説明の形で与党PKO・ガイドライン問題協議会など

に提示されたが、周辺有事の認定は実施計画の中で行い、閣議で決定する。実施計画

は国会の事前承認を不要とし、事後報告を義務づけるにとどめた。また、米軍への港

湾などの施設提供については、自治体や民間の協力を政府が要請できるよう実質的な

強制力を伴う根拠規定を置く。また、平時に限定している日米物品役務相互提供協定

(ACSA)を改定し、周辺有事の際でも米軍と自衛隊による物品などの融通を可能

とする。

 

 在外邦人救出は、周辺有事に限定しないため自衛隊法改正で処置する。これまでは

航空機による輸送だけしか認められていなかった邦人救出に派遣される自衛隊艦船に

は護衛艦も含まれる。

 

 周辺有事の際の活動にあたっての武器使用では、活動の際に隊員を守るだけでなく

、船舶など装備や武器を守るための使用も可能とする。

 

 政府は昨年9月に新指針を米国と合意。これに実効性を持たせるための関連法検討

作業を進めてきた。早ければ5月連休前の国会提出を目指すが、法文策定をめぐる内

閣法制局との調整が難航する可能性もあり、今国会での成立は流動的だ。 【人羅 

格】

 [毎日新聞4月8日]

 

 

<日米防衛新指針>周辺有事に米軍支援 関連法案概要提示

 

 政府は8日午前、新たな日米防衛指針(ガイドライン)策定に伴う関連法案の概要

を自民党外交・国防関係部会と与党3党に提示した。周辺有事に限る自衛隊の活動と

して米軍への後方地域支援と米兵らの捜索・救難、不審船舶の検査(臨検)の3分野

を新法で規定し、在外邦人の救出に自衛隊艦船派遣を可能とするよう、自衛隊法を改

正する。与党協議を受け政府は法案を取りまとめ、今国会に提出する方針だ。ただ、

8日の与党協議では、社民党が「周辺事態」の認定基準の明確化を求めるなど、調整

は難航が予想される。

 

 同日の与党PKO(国連平和維持活動)・ガイドライン問題協議会などに提示され

た概要は、現在平時に限定している日米物品役務相互提供協定(ACSA)の周辺有

事版への改定も含め3本柱の構成。

 

 新法は周辺有事の事実上の基本法。周辺有事を「日本の平和と安全に重要な影響を

与える事態」と政府の従来見解通りに定義、その認定は「宣言」のような単独の手続

きを設けず、基本計画の閣議決定という形で行う。この計画では、他国の武力行使と

の一体化を避けるため、3分野活動の実施区域の範囲を指定。計画は国会の事前承認

を要せず、決定や変更の「遅滞ない」報告を義務づけるにとどめる。

 

 3分野のうち、捜索・救難活動は相手国の同意があれば他国領海でも実施できるこ

とを規定する。また、周辺有事の際の米軍への港湾など施設提供を想定、政府が自治

体の首長と民間に協力を要請、依頼できるように根拠規定を置く。

 

 3分野の活動には、いずれも不測の事態に備え、業務中断・休止規定を置く。武器

使用規定も設けるが、隊員だけでなく、船舶など装備や武器を守るための武器使用も

可能とする。

 

 与党協議では、社民党が認定基準や米軍後方支援手続きの明確化のほか、事前協議

制度の活性化などを要請。基本計画を国会報告だけにすることに不満を表明した。

 

 政府は昨年9月に新指針を米国と合意、これに実効性を持たせるための関連法検討

作業を進めてきた。【人羅 格】

 [毎日新聞4月8日]

 

 

<日米防衛指針>自衛隊の米兵救助活動

 

 新たな日米防衛指針(ガイドライン)策定に伴い、周辺有事の際に日本が行う米兵

の捜索・救難活動について、相手国の了解があれば他国領海でも自衛隊による活動を

可能とする方向で関連法案の調整が進んでいることが7日、明らかになった。外務、

防衛両省庁がガイドライン策定に伴う関連法整備に関し自民党の一部に説明したもの

で、同活動は「戦闘地域と一線を画する」限定がついていとはいえ、他国領海での活

動を認めることは論議を呼びそうだ。

 

 外務、防衛両省庁の担当者は7日、関連法案の概要をまとめ橋本龍太郎首相にも説

明した。 

 

 それによると、自衛隊の活動については、(1)周辺有事の際の米軍に対する後方

地域支援、捜索救難活動、不審船舶の検査(臨検)については新法で対処(2)在外

邦人救出の輸送手段に船舶(自衛隊艦船)や搭載ヘリコプターの派遣を認めるための

自衛隊法改正(3)現在、平時に限定されている日米物品役務相互協定(ACSA)

の改定――が中心。

 この中で後方地域支援活動については、日本領域や公海その上空に限定されている

が、捜索・救難活動に限って「他国領海での活動」を認めている。防衛庁は「遭難し

た米兵が浮遊した場合に必要」としているが、相手国の了解を得たとしても他国領海

内で自衛隊が活動することへの懸念が周辺国から出る可能性がある。

 

 周辺有事の際の諸活動は実施計画として閣議決定する形で認定、国会報告を「遅滞

なく」行うよう義務づけるにとどめる。

 

 また、それぞれの活動には「不測の事態」に備えて武器使用規定を設けるが、隊員

防護だけでなく装備類を守るための大型武器使用を認める自衛隊法95条を適用する

こともこの日の協議で固まった。政府は概要を8日、与党に提示する。 【人羅 格

 [毎日新聞4月8日]

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

産經新聞98.04.08

 

■「周辺事態」従来のまま 機動的対応を重視

新ガイドラインに伴う法整備基本方針

 

 政府が七日まとめた新ガイドラインに伴う法整備の基本方針は、周辺事態(周辺有

事)の確認・認定をケース・バイ・ケースで行うとともに、閣議決定と国会報告とい

う手続きを組み合わせることで「機動・柔軟性と適切な手続きとの整合性を重視した

内容」(政府筋)とされる。ただ、有事法制の整備を最初から避けたために、明確な規

定を盛り込めずに、どこも中途半端な表現にとどまっている。このため、政府部内か

らは早くも、今国会での法案成立を断念する声があがっている。(野口裕之)

 

《台湾有事も視野に》

 

 周辺事態の認定方法については、基本方針のなかでは一切触れられていない。

 

 「わが国周辺地域における平和と安全に重要な影響を与える事態」という従来の政

府の立場のままだ。

 

 事前に規定しないのは、「紛争当事国を含む国際情勢によって、周辺事態であるか

どうかが決められるべき」(政府筋)という判断からだ。

 

 しかし、今回の新ガイドラインをめぐっては、台湾海峡有事が含まれるかどうかを

めぐり、政府・自民党内で激しい議論が繰り広げられた経緯がある。

 

 今後、再び同様の議論が展開される可能性はある。周辺有事の認定そのものを閣議

などにかけず、後方支援の基本計画とセットにするのも、こうした議論を避け、「機

動的かつ敏速な対応を取るため」(外務省筋)の判断といえる。

 

《国会へは事後報告》

 

 周辺事態に対する日米両国の確認・認定は、政府の基本方針や活動内容、実施期間

、自衛隊の規模や装備、関係省庁の協力内容などを包括した実施計画とあわせて閣議

で決定される。基本計画の決定または変更は首相から直ちに国会に報告される。

 

 即時対応が必要なため、閣議決定の時点で自衛隊などの活動が可能になることから

、国会報告は事実上の事後報告となる。

 

《新法の範囲拡大》

 

 米軍将兵の捜索・救難は当初、自衛隊法八三条(災害派遣)の改正でカバーする方向

だった。しかし、

「戦闘地域と一線を画す人道的活動であるのなら、後方支援法で実施できる」(政府

筋)と判断した。国連決議に基づく不審船舶への「検査」も同法を適用する。

 

 検査は日本が主体的に行う活動で、自衛隊法の改正で対応すべきとの声が強かった

が、国際法上、軍艦が領海・公海上で認められている権利の「臨検」との混同を避け

、後方地域に限定する意味もあり、後方支援法案に盛り込む。

 

《継続審議は必至》

 

 政府・自民党は関連法案を四月末に国会に提出したい意向だ。ただ、国連平和維持

活動(PKO)協力法の修正案と行政改革法案、補正予算案など重要法案が山積してお

り、今国会でのガイドライン関連法の成立は不可能との見方が大勢だ。

 

 このため、「衆院段階で継続審議とし、臨時国会でやり直したい」(自民党国防関

係議員)という声が多い。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

共同通信社配信>

 

1998年(平成10年)4月8日(水)

 

関連法案に社民が疑問示す 新指針で初の与党協議

 

 自民、社民、さきがけの与党三党は八日午前「PKO・ガイドライン問題協議会」

を開き、新たな日米防衛協力のための指針(ガイドライン)に伴う国内関連法案につ

いて初協議した。

 

 政府側が(1)周辺事態(有事)の定義などを規定した新法の「後方地域支援法案

」(仮称)(2)自衛艦での在外邦人救出を可能とする自衛隊法改正案(3)平時に

限定されている日米物品・役務相互提供協定(ACSA)の改定―の法案・条約の概

要を説明。

 

 これに対して社民党から自衛隊の活動内容を定めた「基本計画」を閣議決定後に国

会報告するとしていることについて「シビリアンコントロールの観点から報告だけで

済ませていいのか」などの疑問が出された。

 

 社民党は、周辺事態の認定から基本計画決定までのシミュレーションを出すよう要

求。さらに地方公共団体への協力規定について「拒否した場合、本当に罰則はつかな

いのか」との疑念を示した。

 

 政府は与党側の理解を得た上で、来週中に法案化作業を終え、連休前には国会提出

する方針だ。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 

 せっかく周辺事態法が提出されるのだから、この際懸案の本格的有事立法まで行っ

てしまえという自民党各部会の意見書です。

 全労連の有事立法に反対する意見書も添付しました。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

当面の安保法制に関する考え方

 

平成10年 4月 8日

 安全保障調査会

 外交調査会

 国防部会

 外交部会

 ガイドラインの実効性確保に関し、わが党としては、既に、平成9年7月

8日に発表した「ガイドラインの見直しと新たな法整備に向けて」(安全保障調査会

政策提言)において、日米安保体制ひいては日米関係をより強固なものにするため、

ガイドラインの見直しに伴う新たな法整備事項として、在外邦人等の輸送、国連の経

済制裁の実効性確保その他の国際協力活動、米軍に対する支援等を指摘し、法的措置

を含む体制整備の必要性を提言しているところである。

 また、自衛隊の行動に係る有事法制研究についても、第1分類(防衛庁所

管の法令)、第2分類(他省庁所管の法令)については、政府において、立法化に向

けた努力を行うべきであること、第3分類(所管省庁が明確でない事項に関する法令

)についても具体的な研究を進め、さらに法制化に向けての取り組みを行うべきであ

ること等を提言しているところである。

 これらは、冷戦後の我が国が現在及び将来の安全保障を考える上で、もは

や避けて通ることの出来ない重要な事柄である。

 

 なお、政府においても、同年9月29日、「新たな日米防衛協力の指針の

実効性を確保し、もって我が国の平和と安全を確保するための態勢の充実を図るため

、法的側面を含めて、政府全体として検討の上、必要な措置を適切に講ずる」旨の閣

議決定を行っているところである。

 

 その後、わが党としては、上記提言の趣旨等を踏まえ、政府のガイドライ

ンの実効性確保のために必要な法整備についての検討・調整作業の進捗や内容につい

て、合同部会等の場において説明を受けつつ、政府に対し、冷戦の終結等に伴う国際

軍事情勢の変動や国連を中心とする国際の平和と安定の維持のための努力への一層の

寄与の必要性及び日米防衛協力の一方の当事者である米国と適切な信頼関係を構築す

る見地から、周辺事態への対応策を充実させることがより重要であること等の提言、

要望を行ってきたところである。

 本日、政府から、周辺事態に関連する法制の骨子として、後方地域支援等

、捜索・救難及び船舶検査に関する新規の立法措置、日米協力のためのACSA改正

、在外邦人等の輸送に関する自衛隊法の改正等の考え方が示されたが、これは、ガイ

ドラインの実効性を確保するために必要なものであり、わが党の考えにも沿うもので

ある。

 本骨子については、これを了承することとするが、これを基に法案作成作

業を急ぐとともに、与党内調整を行い、今国会において、できるだけ早期に法案を提

出の上、所要の法制整備を図ることが必要である。

 

 なお、有事法制の問題についても、その整備は緊要な課題である。有事法

制研究については、政府において、まず、これまでの「国会提出を予定した立法の準

備ではない」との前提条件を早急に改めるとともに、未だ研究成果の出ていない分野

についての取り組みを明らかにすることが急務である。

 具体的な法制の整備は、今国会における国会会期の状況等も踏まえ、次期

国会以降とし、既に研究成果の報告されている第1分類、第2分類については、次期

国会以降速やかに法制化を図り得るよう、所要の準備作業に着手すべきである。

 また、未だ成果の出ていない第3分類(例えば、住民の保護、避難又は誘

導を適切に行う措置等)については、検討を促進し、法制化に向けての取り組みを行

うべきである。更に、この他、米軍がその任務を有効かつ円滑に遂行するために必要

な法制等についても、併せて検討に着手し、法制化に向けた取り組みを行うべきであ

る。

 

----------------------------------------------------

全国労働組合総連合(全労連)情報第283号から

 

「有事立法」法案作業の中止を求める申し入れ文書

 

内閣総理大臣 

橋本龍太郎 殿

1998年4月3日

 

 政府は、新ガイドライン(新「日米防衛協力のための指針」)にもとづく「有事立

法」策定チームを設置し、橋本首相は3月22日、防衛大学卒業式で今国会上程を明

言した。 新ガイドラインは、日本防衛とはまったく関係なく、アジア・太平洋全域

でのアメリカによる軍事干渉・武力行動に、日本を自動的に協力・参戦させるための

米軍支援・軍事協力方針であり、現行日米安保条約の枠組みさえ大きく改悪するもの

である。また、これにもとづく周辺事態「有事立法」化の動きは、自衛隊参戦だけで

なく民間、自治体を総動員するための法的枠組みをつくろうとするもので、国民主権

と基本的人権、恒久平和、地方自治など憲法の平和的民主的原則をまっこうからふみ

にじるものである。

 

 われわ黷ヘ、米軍支援基本法と自衛隊法改悪、ACSA(日米物品役務相互提供協

定)改定など、米軍がひきおこす軍事行動へ、国会承認なしに協力・自動参戦させる

体制づくりをねらった「有事立法」化の一連の動きに、つよく反対する。さらに自衛

隊の組織的武器使用を可能とし、停戦合意など参加5原則見直しをはかる、PKO(

国際平和維持活動)協力法改悪案に、厳しく反対するものである。

 

 政府は、新ガイドライン発動への「有事立法」化のくわだてをいっさいやめ、法案

作業をただちに中止せよ!

 

 沖縄・米海上ヘリ基地建設をはじめ、米軍基地の強化・固定化策動をやめ、すべて

の米軍基地を日本から撤去させる措置を講じろ!

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 

 明日から、外務省の北米局に「地位協定室」ができるようですが、本当に米軍事故

に対しても迅速に対応できるのか。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

琉球新報 更新日時 1998-04-14 (火)12:10

米軍事故、政府補償で救済を

 

被害者の会、参院法制局に要請

 

 【東京】米兵などが公務外に起こした事件・事故の被害者に対する損害賠償制度の

確立を目指し、「米軍人・軍属による被害者の会」(代表世話人・海老原大祐氏ら5

人)は13日、参院議員会館内で参院法制局と初めて意見交換を行い、「損害賠償法

」の特別立法に向けた作業を本格的にスタートさせた。被害者の会では、損害賠償金

の支払い能力のない米軍人・軍属に代わって日本政府に肩代りを義務づける同法案の

早期制定に向け、今後、国会議員への陳情、署名活動などを強力に推し進める。

 

 新垣勉弁護士ら被害者の会が作成した「損害賠償法」案は、「目的」「定義」「損

害賠償責任」「民法の適用」の全4条で構成。適用対象は、米軍人・軍属だけでなく

、その家族が行った不法行為により被害を受けた者まで含まれる。

 

 現行制度では、米兵が公務中に及ぼした被害には、日本政府の責任で「民事特別法

」に基づく公的救済が行われるが、公務外の場合は「恩恵的見舞金制度」(地位協定

18条)により米側の裁量で支払いの可否、額が決められ、被害者に不利な制度とな

っている。

 

 意見交換後、会見した新垣弁護士は「米軍人・軍属は体一つで日本に駐留し、職務

上の命令で数年で海外に転勤するので、被害者が加害者個人の賠償責任を追及できな

い。米軍を駐留させている日本政府が加害者の米兵個人の肩代わりで被害者に損害賠

償を行い、その後、海外に転勤した米兵個人から求償する性格の立法をしていただき

たい」と述べた。 参院法制局からは「特別立法の理由や必要性について、どの程度

国民的理解が得られるのかが、法案の成否の重要なポイント」との指摘があったとい

う。

 

 この日は、96年2月に県内で米兵による交通事故で息子を失った海老原さん、9

6年1月に母子3人が米兵運転の乗用車にはねられ死亡した事故の遺族・金城満さん

も出席。海老原さんは現行制度の不備を批判した上で「適正な当たり前の補償制度を

確立してほしい」と述べた。

 

---------------------------------------------------------

朝日新聞4月15日

外務省に地位協定室を新設

 

 外務省は、在日米軍に関する業務を専門的に担当する「日米地位協定室」を北米局

内に15日付で設置する。基地問題に関する業務が増えているため、これまで担当し

ていた日米安全保障課に新設する。普天間飛行場の返還などを盛り込んだ沖縄に関す

る日米特別行動委員会(SACO)最終報告の実施や、事件・事故発生時の迅速な通

報など日米地位協定関係の業務をスムーズに行うことなどが狙い。関係自治体や省庁

との調整も行う。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 防衛庁の有事法制研究の三分類については、末尾のホームページで資料に当たって

ください。ただし、これまでのところ公表されたのは最初の2分類だけで、第三分類

(純粋な治安立法)については明らかにされていません。

 久間発言では、今後は、この戦後最大のタブーの「第三分類」に着手するとのこと

。新ガイドラインへの反対が小さかったことで、暴走を始めています。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

◆政府、有事法制整備へ

 

 久間防衛庁長官は十四日の閣議後の記者会見で、日本有事に関する法整備について

「これまでの研究の段階から、法整備に向けた検討を進めないといけないと思ってい

る」と述べた。政府はこれまで、有事法制研究について「国会提出を予定した立法準

備ではない」としてきたが、久間長官の発言はこれを一歩進め、国会への提出を念頭

に具体的な法案の検討に入る考えを示したものだ。

 

 有事法制の内容については、久間長官は七八年からすでに研究が進んでいる防衛庁

所管の法令(第一分類)と、防衛庁以外の省庁が所管する法令(第二分類)について

「二分野とも古いこともあり、そのままで十分なのか、検討しないといけない」と述

べた。所管省庁が不明確な法令(第三分類)についても検討を進める考えを明らかに

した。

 

 有事法制は、個人の権利の制約などに直接かかわる部分が大きい。このため、すで

に日本周辺有事(周辺事態)のための法整備にも慎重姿勢を示している社民党などが

今後、一段と反発を強めるとの見方も多い。

 

(讀賣4月14日13:48)

-------------------------------------------------

<新日米防衛指針>私権制限で有事法制を検討 防衛庁

 

 防衛庁はこのほど、新たな日米防衛指針(ガイドライン)に関して進めている周辺

有事新法などを国会に提出後、日本が直接武力攻撃された場合に備え、私権の制限を

伴う有事法制の準備作業に移るとの見解を自民党に伝えた。これを踏まえ、久間章生

防衛庁長官は14日の記者会見で、有事法制を検討する考えを表明した。周辺有事関

連法制と有事法制の密接な関連を示したものとはいえ、与党内で波紋を広げそうだ。

 

 新指針は日米防衛協力について(1)平素からの協力(2)日本が攻撃された日本

有事の際の協力(3)周辺有事の際の協力――を打ち出したが、政府は法整備に関し

て、周辺有事に備えた関連法制を優先している。このため、自民党国防族内には日本

有事に対応する有事法制策定を求める動きが強まり、防衛庁は「これまでに問題点の

整理が終了した部分は、周辺有事関連法案の国会提出後に法制化の準備に移行する」

との考えをまとめ、一部自民党国防族議員らに伝えた。しかし、橋本龍太郎首相はこ

うした防衛庁の見解に、周辺有事法制も含めて、できるだけ与党の社民党を刺激しな

い形での作業を求めたため、公表は差し控えられた。

 

  有事法制は、日本有事の際に自衛隊が行動するために必要な立法措置や政令の総

称。自衛隊による陣地構築や通行のための土地使用などが円滑にできるよう、道路法

などの特別措置が予想される。防衛庁は1981年に防衛庁所管の法令を対象とする

「第1分類」、84年には他省庁所管の法令を対象とする「第2分類」と研究結果を

公表するなど問題点の整理をほぼ終了した。所管省庁が明確でない「第3分類」はま

だ、手がついておらず、防衛庁が準備を念頭に置いているのは第1、第2分類を指す

。防衛庁見解などはあくまで、周辺有事法制の整備優先を前提としたものだが、私権

の制限を伴う可能性が強い有事法制は社民党などの反発が必至として準備を見送って

いた経緯があるだけに、論議を呼びそうだ。 【人羅 格】

 

 [毎日新聞4月14日]

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

【朝日新聞 4月15日】

久間防衛庁長官「有事法制、立法化前提に検討」

 

 久間章生防衛庁長官は14日の記者会見で、日本が武力攻撃を受けた場合に、自衛

隊などが活動しやすいようにあらかじめ法律を整備する「有事法制」について「たん

なる研究にとどまらず、立法化するとすれば、どんな問題があるのか、法整備に向け

ての検討を始めたい」と述べ、立法化を前提にした検討に着手したいとの考えを明ら

かにした。

 

 有事法制についてはこれまで、財産権など私権の制限につながることから、「立法

化を前提にしない」とした研究にとどまってきた。政府は、今回の日米防衛協力のた

めの新指針(新ガイドライン)にともなう法整備の検討でも、対米協力を実施する周

辺事態法案(仮称)などの早期成立に重点を置いており、国内でさらに論議を呼ぶと

みられる有事法制について立法化作業を進める方針までは固まっていない。

 

 新ガイドライン法整備をめぐる7日の橋本龍太郎首相と政府当局者との協議で、内

閣安全保障室幹部らが「法制化を前提にした検討に踏み出すかどうかを、検討してい

る」と報告。首相は「引き続き検討してくれ」と述べるにとどめ、立法化作業に着手

するかどうかの判断は示さなかった。久間長官の発言は、有事法制の検討について世

論の反応をみる「観測気球ではないか」(政府筋)と政府内で受け止められている。

 

 久間長官は14日の会見のなかで、「これまでの研究は古い時点でまとめられたも

の。現時点でも、それでいいのかどうか。実際に法整備するなら、この研究成果でい

いのかどうか。そうしたことを含めて検討したい」と述べ、防衛庁としては過去の研

究結果を踏まえたうえで新しい要素を加える意向を示した。

----------------------------------

久間防衛庁長官の有事法制発言に懸念広がる

 

 日本が攻撃された場合を想定した「有事法制」について久間章生防衛庁長官が14

日、立法化に向け検討したいと述べたことで、識者や自治体に戸惑いや懸念が広がっ

ている。「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)」の実現に向けた周辺事態法

案(仮称)と違い、有事法制は私権の制限や自治体の権限にかかわる部分を含むため

だ。

 

 政府は、1977年から公式に有事法制の研究を始めている。その中で、現在の法

律では足りないとされる点を列挙している。

 

 例えば、自衛隊が私有地などを使う場合、邪魔になる建物を撤去し、所有者の許可

なしで土地を通行できるようにするとの項目がある。陣地を構築する場合に森林法や

自然公園法などの許可手続きを省き、基地内に施設を建てる際に建築基準法の届け出

を免除するという項目もある。

 

 こうした有事法制についての長官発言を、自衛隊の幹部らは「当然」と受け止める

。「侵攻を受けても、今の法では作戦行動がとれない。周辺事態法が成立した後は、

有事法制の検討が必要だ」という。

 

 一方、米軍と海上自衛隊が同居する厚木基地を抱えて航空機騒音に悩む神奈川県大

和市の担当者は、有事法制の立法化に向けた動きに戸惑う。「周辺事態でさえ全体像

が分からない。そのうえ、日本有事を想定した法制化で市民にどんな影響が出るのか

……」

 

 米軍嘉手納基地などを抱える沖縄県沖縄市の今郁義・平和文化振興課長は「日本侵

攻と言えば、沖縄戦が脳裏をよぎる。戦後も沖縄には米軍基地が居座り、たえず有事

法の下に置かれていたようなものだ。有事を研究するより、平和のためにアジア諸国

との関係をどうしたらいいか考えるべきだ」と批判的だ。

 

 有事法制問題に詳しい水島朝穂・早大教授(憲法)は「日本侵攻の危険が差し迫っ

ているわけではない」と指摘。「命令違反者への罰則まで盛り込んだ法を制定し、将

来はそれを、周辺事態での対米協力の場合にも広げようとするものではないか」とい

う。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 

*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*

青木雅彦

btree@osk.3web.ne.jp

Catch Peace Home Page更新中

http://www.osk.3web.ne.jp/~btree/catch

特にガイドライン・有事法制関係のページ

http://www.osk.3web.ne.jp/~btree/catch/yuji

の更新に注目してください

ガイドラインと有事立法に反対するハガキ運動の

案内を載せました!トップページからたどってください

*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*

 

 「周辺事態法」(正確な名称は記事を見てください)の素案(これまでは概要)が

示されました。依然として「周辺」は定義されておらず、「後方地域」という表現も

曖昧です。「協力」項目は以前より具体的になってきているようです。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

◆周辺事態に3活動、指針要綱まとめる

 政府は十七日午後、与党に対し新しい日米防衛協力のための指針(ガイドライン)

の関連三法案要綱を提示した。周辺事態(日本周辺での有事)の際の米軍活動に対す

る日本の支援活動などを規定する新法は「周辺事態に際して我が国の平和及び安全を

確保するための措置に関する法律」案とし、周辺事態の定義は「日本周辺地域におけ

る日本の平和及び安全に重要な影響を与える事態」と規定。新法に基づく主な活動は

〈1〉日米安保条約の目的に寄与する活動をしている米軍に対する「後方地域支援」

〈2〉周辺事態の戦闘にかかわる遭難者の「後方地域捜索救助活動」〈3〉国連安保

理決議に基づく「船舶検査活動」――としている。

 

 日米物品役務相互提供協定(ACSA)改正案では、現行協定で共同訓練、国連平

和維持活動(PKO)、国際救援活動に限っている「目的」に周辺事態における米軍

と自衛隊活動を加え、平時では食料、水などに限っている十五項目の提供に加え、「

通信支援」「環境面の支援」の二項目を加える。

 

(讀賣4月17日16:35)

 

---------------------------------------------------

今日のニュース

 

<防衛新指針>「戦闘地域」表現を変更 法案要綱を提示 政府

 

 政府は17日、新たな日米防衛指針(ガイドライン)に伴う新法「周辺事態に際し

て我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律」(周辺有事措置法)な

ど関連法案の要綱を与党3党に提示した。周辺有事の際の自衛隊による対米協力とし

て、米軍への後方地域支援や米兵の捜索・救助活動、不審船舶検査(臨検)の3活動

を示し、対米協力の基本計画に盛り込まれる事項を具体的に明示した。また、「後方

地域」を「現に戦闘が行われておらず、活動の実施期間に戦闘が行われないと認めら

れる日本周辺の公海とその上空」と定義、新指針で規定した「戦闘地域と一線を画す

る」との表現を変更した。

 

 要綱は、これまで公表した法案概要を法律の素案に改めたもの。在外邦人救出のた

め自衛隊艦船派遣を認める自衛隊法改正案や、日米物品役務相互提供協定(ACSA

)改定案もそれぞれ示した。

 

 新法では対米協力に関して政府が策定する基本計画について、「概要」よりも具体

的にした。計画の対象とする措置として、3分野の対米協力以外に「関係行政機関が

後方地域支援として実施する措置」も加えた。電波などの優先確保で外務、防衛両省

庁以外の省庁協力を念頭に置いたものだ。

 

 また、基本計画に具体的に定める事項としては、活動を行う範囲、区域の指定や、

自治体や民間に協力要請や依頼をする場合の内容など、8項目を示した。

 

 自衛隊法改正では、在外邦人救出の際、邦人保護のための武器使用規定を置くこと

も新たに明示、これまで平時に限定していたACSAは、周辺有事版に改めるだけで

なく、通信支援や海洋汚染対策など環境対策も協力対象とした。

 

 政府・自民党は社民、さきがけ両党が反対しても28日に法案を閣議決定し、与党

協議を継続したい考え。しかし、社民党の反発は根強く、同党の対応次第では流動的

要素もある。 【人羅 格】

 

 [毎日新聞4月17日]

 

--------------------------------------------

今日のニュース

 

<防衛新指針>関連法案要綱 武力行使など、あいまいさ残る 

 

 新たな日米防衛指針(ガイドライン)に伴い政府が17日提示した周辺有事新法な

ど関連法案要綱は、憲法の禁じる武力行使との関係などが、さきの概要に比べてどの

程度法的に担保されたかがポイントだった。しかし、政府が強調していた新指針の「

戦闘地域と一線を画する」との表現が消滅するなど、あいまいさが依然として残され

ている。政府の活動に対する国会の関与が「報告」にとどまる点や、自治体や民間へ

の協力要請、依頼規定への反発も社民党を中心に強い。政府・自民党は5月連休前の

閣議決定を視野に入れたが、今国会での成立は依然としておぼつかない状況だ。

 

 法案要綱は、実際の法案に準じたもの。今年2月には構想段階だった新法について

、自民党は「連休前の閣議決定」(自民党首脳)を強く求め、担当省庁に猛スピード

の作業を促した。「閣議決定しても社民党は与党を離れない」(自民党幹部)と強気

な見方も広がり、自民党や、法案策定を強く主張してきた防衛庁ペースの展開といえ

る。

 

 政府は、現実に戦闘が起きた場合、それに巻き込まれる事態に十分配慮している。

支援活動中に戦闘が起きた場合には、まず部隊長が活動休止を命じ、そのうえで防衛

庁長官が実施区域を変更する手続きを示した。不審船舶検査(臨検)も、乗船検査は

同意を必要としている。

 

 ただ、「戦闘地域と一線を画する」との表現を変えた理由について防衛庁首脳は「

一線ではラインを引くような印象となる」と語り、「線引き」の難しさを認める。活

動に際しての武器使用規定も要綱ではまだ具体的な形でない。

 

 さらに、港湾や病院など施設提供に関する政府による自治体への協力要請規定につ

いて、防衛庁では(1)罰則で強制はしないが義務規定である(2)正当な理由なく

拒否すれば違法状態となる(3)理由の説明を求めることができる――と説明してい

る。「要綱」では、必要とする協力の内容をあえて政府の基本計画にも記すことを明

記しており、政府として協力要請の効果の担保をはかったとみられる。 【人羅 格】

 

 [毎日新聞4月17日]

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 

 「周辺事態法」に罰則規定をつければ、反対運動がおきる。自衛隊法でも罰則がな

いのに、「先行して」米軍協力に罰則をつけるのも変。憲法上も疑義が生じる。だか

ら罰則なしだが、拒否すれば「違法」と官僚の解釈。

 「周辺事態法」の後に提出される一連の有事立法には当然罰則が付けられるわけで

、そうなればこの罰則はないが違法という異常な事態が解消されることになります。

新ガイドラインと有事立法は不可分なものということがよく分かります。

 それにしても防衛庁、「自治体には説明責任がある」と偉そうな言い方。自分たち

は国民に納得の行く説明をせずに逃げてばかりなのに。当の自治体にも説明会どころか、解説文書も送っていないくせに。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

【朝日新聞98年4月16日】

周辺事態法案の自治体協力要請

拒否なら「違法状態」

与党協議会で安保室長示す

 

 新しい日米防衛協力のための指針(ガイドライン)を実施する周辺事態法案(仮称

)などの法整備を検討している「与党PKO・ガイドライン問題協議会」が十五日午前

開かれ、江間清二内閣安全保障・危機管理室長は、同法案に盛り込まれている自治体

への協力要請の規定について「(自治体が)正当な違理由なく要請を断った場合、違

法状態になる。ただ、(政府側に)強制力はない」と説明した。

 法案では協力を拒んだ場合の罰則規定は設けていないが、政府内では協力規定につ

いては「一般的な義務規定」と解釈している。「違法状態」という政府見解は、自治

体には重い義務と受け止められそうだ。

 十五日の与党協議会では、与党側が「自治体が協力要請に従わないとどうなるのか

」と質問。江間氏は「自治体が正当な理由なく拒むことはできないだろう。拒むので

あれは、政府はその理由を述べさせることができる。正当な理由がなけれは、違法な

状態だと考えられる」と答えた。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

【朝日新聞4月17日】

 自治体が協力拒めば説明の責任を負う

 周辺事態で法で防衛庁

 

 防衛庁の秋山昌広事務次官は十六日の記者会見で、新しい日米防衛協力のための指

針(ガイドライン)を実施するための周辺事態法案(仮称)に盛り込まれる自治体の

への協力要請について、「一般的な義務規定と理解している。合理的な理由があれば

ともかくとして、自治体は(協力要請を)受けてもらう立場だ。(拒否する場合は)

自治体が合理的な理由を説明する責任を負う」と述べた。

 同法案には空港や救急車の使用などで国が自治体に協力を求めることができる、と

の規定が盛り込まれるが、秋山次官の発言は、この規定が事実上、自治体に協力義務

を課すことを正式に認めたうえで、自治体が拒否する場合は理由を国に対して説明し

なければならないとの考えを示したものだ。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 

 協力した自治体に「補償」を行なう措置を法案に書き込むとのことですが、徴発・

徴用に補償措置を明記するのは、現行の自衛隊法はもちろん、旧憲法の時代もそうで

した。自民党が譲歩したというより、自治体動員がいっそう現実性を帯びたと解釈す

べきです。こういう規定は当然、「義務」つまり罰則と裏腹な関係にあります。

 また武器使用は「自然権」と政府が主張しているのも、まったくでたらめで概念の

乱用です。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

<防衛新指針>周辺事態措置法案 邦人救出などで武器使用

 

 政府は22日、新たな日米防衛指針(ガイドライン)に伴う新法の法案と、在外邦

人救出に自衛隊艦船の派遣を認めるための自衛隊法改正案を自民党外交・国防関係部

会に示し了承された。邦人救出など職務遂行に当たる隊員が要員や邦人らを守るため

の武器使用規定を設けたほか、大型武器使用も可能な自衛隊法95条の適用を認める

など、国連平和維持活動(PKO)協力法に比べ、許容範囲を拡大した。また、政府

が自治体や民間に求める米軍への協力要請・依頼規定では、協力に応じた自治体など

が損失を被った場合に必要な財政措置を取る補償規定を盛り込んだ。政府は28日に

閣議決定する構えで、社民党の対応が焦点となる。

 

 新法の「周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法

律」案は、周辺有事の際の自衛隊による米軍への輸送・補給など後方地域支援、後方

地域を中心とする米兵の捜索救助活動、不審船舶検査(臨検)、さらに行政機関によ

る後方地域支援の四つの措置を政府が進める手続きを示した。要綱段階にはなかった

補償規定をあえて置いたのは、協力要請規定への自治体などからの反発をかわす狙い

からとみられる。

 

 武器使用は、周辺有事の際の捜索・救助活動と不審船舶検査(臨検)、自衛隊法に

よる在外邦人救出の3ケースについて規定。PKO協力法では適用が除外されている

、船舶など装備を守るために火砲など大型武器使用を認める自衛隊法95条をそのま

ま適用した。

 

 また、自分や他の隊員を守るためにやむを得ない事情がある場合は「職務を行うに

際して」武器を使うことを認めた。防衛庁は「上官命令による武器使用も可能」(幹

部)と説明している。武器の使用限度は合理的に必要と判断される限度として、要綱

段階での「必要最小限」という表現は変えた。在外邦人救出では邦人も保護対象とな

るが、武器を使える場所は船舶や航空機がある場所か、邦人を輸送手段に誘導するま

での経路の2カ所に限った。

 

 政府はこれらの武器使用規定について「PKOと同様、あくまで自然権的権利に基

づくもの」(防衛庁幹部)と説明している。しかし「職務を行うに際し」との表現で

武器使用が根拠づけられたうえ、使用可能な武器の範囲も明確でないことから、武器

使用問題が焦点の一つとなりそうだ。 【人羅 格】

 

 [毎日新聞4月22日]

----------------------------------------------

【信濃毎日新聞−共同4月22日】

自治体協力に補償 政府、周辺事態措置法案を提示

 

 政府は二十二日午前、新たな日米防衛協力のための指針(ガイドライン)の実効性

を確保するための周辺事態措置法案(新法)と自衛隊法改正案、日米物品・役務相互

提供協定(ACSA)改定案を自民党外交・国防関係四部会に提示した。

 

 周辺事態措置法案では、自治体や民間が政府からの要請や依頼を受けて後方地域支

援活動に協力した際に生じた損失は「必要な財政上の措置を講ずる」として補償する

ことを新たに盛り込んだ。また、自衛官による捜索救難や船舶検査(臨検)活動での

武器使用規定が、法案要綱では「必要最小限の武器の使用ができる」としていたが、

法案では「職務を行うに際し、合理的に必要と判断される限度で使用することができ

る」と、現実的対応が可能となるよう変更された。

 

 このほか自衛隊法改正案では在外邦人救出での自衛官の武器使用の範囲を(1)航

空機や船舶の所在する場所(2)輸送対象者を航空機や船舶まで誘導する経路―に限

定した。

 

 自民党は部会で法案、改定案ともに了承。政府は二十八日に閣議決定、同日中に国

会に提出する方針だ。

 

 自治体への補償措置は、自治体が管理する空港や港湾を米軍に提供した場合に生じ

る損害を補てんすることが考えられる。また、民間の場合は協力に伴う車両提供にか

かる費用などが想定される。(共同)

 

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 

【朝日新聞4月23日】

 

自民党部会、周辺事態法案を了承

 

 自民党の外交・国防関係合同部会は22日、新しい日米防衛協力のための指針(ガ

イドライン)を実施するための周辺事態法案など関連法案・協定案を了承し、与党内

の合意が得られなくても、28日には閣議決定すべきだ、との認識で一致した。

 

 会合では、江間清二内閣安全保障・危機管理室長が、米兵らの捜索救助活動などで

認められている武器使用規定について「職務に際し行うのだから、現場にいる上官の

命令に従うことが前提だ」と説明し、自衛隊の部隊組織として武器使用の判断を行う

のが原則であるとの考えを示した。

 

 また、出席した議員らからは、自治体に米軍への後方支援に対する協力を求める規

定について「義務であることがはっきり分かる表現にすべきだ」との意見が相次いだ

。一方で、後方支援の実施に際して国会へは事後報告にとどめている規定について

「わが国の平和と安全に影響がある事態なのだから、国会が事後承認するくらいの制

度はあっていいのでは」との意見も一部に出た。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 

 新ガイドラインの最大の「目玉」の自治体協力ですが、情報も報道も少ない。米軍

基地を抱える自治体が、政府に説明を求める緊急の要請を行ったようですが、防衛庁

長官は「法案が出てから」と既成事実として飲ませる姿勢。この要請文をお持ちの方

はお知らせ下さい。

 防衛庁と自治省の見解は若干のずれがあります。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

【毎日新聞4月21日】

情報提供求め緊急申し入れ

全国基地協など

 

 新たな日米防衛指針(ガイドライン)に関連し政府が策定中の関連法案について、

基地周辺の自治体などで構成する全国基地協議会(会長、沢田秀男・神奈川県横須賀

市長)と防衛施設周辺整備全国協議会(会長、栗原勝・静岡県浜松市長)は20日、

防衛庁に「適切な情報提供」などを求める緊急の申し入れを行った。

 政府は、日本周辺で武力紛争がおきた場合に、米軍への後方地域支援で地方公共団

体への「協力要請」を盛り込む。罰則は設けないが、一般的な義務規定とする方針。

両協議会は要望書で、「内容によっては住民生活や地域経済活動などに少なからぬ影

響を及ぼす可能性がある」と指摘。基地地元自治体の意見を尊重するよう求めている。

-----------------------------------------

【讀賣新聞4月22日】

◆自治体の防衛協力は強制ではない…

自治相

 上杉自治相は二十一日午前の閣議後の記者会見で、新しい日米防衛協力のための指

針(ガイドライン)関連法案に盛り込まれる地方自治体の「協力」規定について、「

あくまでも協力を求めるということであり、強制するということではない。地方自治

体は正当な理由があれば、(協力要請を)断ることは可能ではないか」と述べ、強制

力を伴う義務規定ではないとの考えを示した。その一方で、「ただ、国をあげて事態

にあたるので、地方自治体は可能な限り協力することになる。そういう意味では一般

的な協力義務はある」とも述べた。

 政府は「周辺事態法案」で、「関係行政機関の長は地方自治体の長に協力を求める

ことができる」と規定する方針。防衛庁はこの規定について、「自治体は(協力要請

を)受けてもらうべき立場だ。(拒否する場合は)自治体が合理的な説明をする責任

を負う」(秋山昌広防衛事務次官)とし、明確な義務規定であるとの見解を示してい

る。

 これに関連し久間防衛庁長官は同日の記者会見で、ガイドライン関連法制に関する

地方自治体への説明について、「法制がきちんと決まってからだ」と述べた。

 

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 

 以下ガイドライン法要綱に関する産経新聞報道。産経らしく、「あれでは手ぬるい

。命令に従わない非国民がいるから罰則も作れ」と。

 この要綱、各紙とも要項の要約だけ。全文をお持ちの方は送ってもらえないでしょ

うか。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

98.04.18

■応急措置の「ガイドライン関連法案」

 

有事対応の法整備 必要性浮き彫りに

 

 政府が17日、与党に提示した新ガイドラインに伴う法案と条約案の要綱は、武力行

使を禁止した憲法や集団的自衛権をめぐる政府解釈にしばられ、窒息状態に陥らんと

した日本の危機管理システムに、最低限の柔軟性と機動性を吹き込む応急措置といえ

る。だが「主にやってはならないことを明記する」欧米とは違い、「やって良いこと

を明記する」日本の法律は、現実に直面して初めて不備が明らかになるリスクがつき

まとう。今回の要綱はむしろ、周辺事態ではなく有事に対応する法整備の必要性を改

めて浮き彫りにした格好だ。

 

 「周辺事態措置法」(仮称)の最大のポイントは、国会での事後報告で済むことだ。

それ以前の政府の行動は、現行法で対応できることばかり。

 

 例えば、周辺事態が起きた際、日米両国政府がまず、事態を認定。安保会議が招集

されて、閣議で基本計画が決定される−などだが、「迅速性が求められる状況では国

会での事前承認は無理」(政府筋)なのは当然といえる。

 

 もうひとつは「周辺事態」を地理的ではなく、内容でとらえた点だ。「後方地域」

の定義も、原案にあった「戦闘地域と一線を画す」ではなくて「戦闘が行われておら

ず、活動期間を通じて戦闘が行われない公海」としている。近代戦では、兵器の優秀

性から事態が刻一刻と変化する以上、もともと地理的な区分は不可能だった。

 

 不安が残るのは、港湾・空港を管理する自治体や、輸送・運送会社など民間協力が

得られるかどうか。罰則規定がないことの是非はともかく、知事の思想で国の安保政

策が拒否される例が現に起きている。

 

 民間協力にしても、危機管理教育に接したことのない日本国民が固有の不利益を恐

れ、国民共有の利益のための活動を拒絶する可能性も否定できない。

 

 政府も「一般的な義務規定。合理的理由があればともかく、自治体は(協力要請を

)受けてもらうべき立場だ。(拒否するのなら)合理的理由を説明する責任がある」と

説明する。

 

 船舶検査活動についても、「外国が実施する区域と明確に区別する」とされている

が、海上自衛隊幹部は、「このままでは、安保条約のパートナーの米軍が、検査中に

交戦となっても法理上、何もできない」と悲観的だ。(野口裕之)

 

-----------------------------

98.04.18

 

■法案・条約案の要綱要旨

 

 ▽周辺事態でのわが国の平和、安全確保措置法案

 

 【目的】わが国周辺地域におけるわが国の平和および安全に重要な影響を与える事

態に対応して実施する措置、実施の手続きを定め、わが国の平和および安全確保に資

すること。

 

 【基本原則】周辺事態に際し、後方地域支援、後方地域捜索救助活動、船舶検査活

動、その他必要な措置を実施し、わが国の平和および安全の確保に努める。首相は基

本計画に基づき、内閣を代表して行政各部を指揮監督する。

 

 【定義】一、後方地域=わが国領域並びに現に戦闘行為が行われておらず、かつ活

動実施期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められるわが国周辺の公海、

その上空の範囲。

 

 二、自衛隊は後方地域支援として、補給、輸送、修理および整備、医療、通信、空

港および港湾業務、基地業務を行うことができる。物品提供には武器(弾薬を含む)を

含まないものとし、後方地域支援は、戦闘作戦行動のために発進準備中の航空機に対

する給油、整備を含まないものとし、わが国領域で行う(ただし輸送については、公

海および上空で行うことができる)。

 

 【自衛隊による後方地域支援の実施】防衛庁長官は実施区域の全部または一部がこ

の法律、基本計画の要件を満たさない場合は、遅滞なく指定を変更しなければならな

い。自衛隊の部隊長などは、輸送場所の近傍で戦闘行為を認める場合には、活動を一

時休止し危険を回避しつつ、実施区域の変更を待つ。

 

 【船舶検査活動の実施】防衛庁長官は実施する区域を指定。この場合、外国が活動

する区域と明確に区別して指定すること。(実施区域の変更については【自衛隊によ

る後方地域支援の実施】と同様)

 

 【国以外の者による協力】関係行政機関の長は、法令、基本計画に従い、地方公共

団体の長に対し、その有する権限の行使について必要な協力を求めることができる。

また国以外の者に対し、必要な協力を依頼することができる。

 

 ▽日米物品・役務相互提供協定(ACSA)改正案

 

 一、協定の目的に周辺事態に対応する活動に必要な物品または役務の自衛隊と米軍

との間における相互の提供に関する基本的な条件を定めることを加える。

 

 一、改正に併せ、付表に通信支援、環境面の支援を加える。

 

 ▽自衛隊法改正案

 

 一、自衛隊が行う在外邦人等の輸送の手段として、船舶および船舶に搭載された回

転翼航空機を用いることができることとする。

 

 一、隊員および現場に所在する在外邦人等の生命等を防護するための必要最小限の

武器の使用ができることとする。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 

> 新ガイドラインの最大の「目玉」の自治体協力ですが、情報も報道も少ない。

> 米軍基地を抱える自治体が、政府に説明を求める緊急の要請を行ったようです

> が、防衛庁長官は「法案が出てから」と既成事実として飲ませる姿勢。この要

> 請文をお持ちの方はお知らせ下さい。

 相模原市議の金子さんからこの要請文を送ってもらいました。以下全文。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

新たな「日米防衛協力のための指針」の

具体化にあたっての緊急要望

 

 国は、新たな「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)」を策定し、関連法案

を今国会に提出することとしている。

 そのための「法整備の大要」によれば、後方地域支援等についての地方公共団体に

対する協力要請規定を設けるよう検討しているようであるが、これは、その内容如何

によっては、住民生活や地域経済活動などに少なからぬ影響を及ぼす可能性があると

考えられる。

 よって、政府におかれては、基地を抱える市町村の実情を理解され、その検討にお

いては、適切な情報提供に努められるとともに、上記の観点から示される基地所在市

町村の意向を十分尊重されるよう要望する。

 

  平成10年4月20日

 

全国基地協議会

 会長 横須賀市長 沢田秀男

防衛施設周辺整備全国協議会

 会長 浜松市長 栗原勝

 

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 何がなんでも自民党は「周辺事態法案」(他2セット)を米国の命令通りに4月2

8日に国会に上程しようとしています。ただ、以下の朝日新聞の報道によると、自民

党と社民党のお家の事情から今国会では審議せず、継続案件にすることで合意とか。

今の力関係では、ゴリゴリ審議をやられると目も当てられない結果になるため、延長

戦に持ち込む以外に展望がないと言う情けない状態ですので、むしろラッキーでしょ

う。

 最悪は審議なしで採決ということですが、さすがにこれはないでしょう(と「前科

」を考えれば安心もできないのですが)。

 その「周辺事態法案」ですが、ほぼ全文に近いものを

http://www.osk.3web.ne.jp/~btree/catch/yuji/doc/syuhenan.htm

に置いています。これは読売新聞から取ったものです。これより詳しいものをお持ち

の方はご連絡ください。28日以降、法案が上程されたら、その全文を入手されたら

なるべく早くご連絡ください。電子化されていればベストですが。

 この法案は、もしこれが本当に法律になるものでないとしたら、真剣に笑えます。

例えば第5条5。

>5 第三条第二項の後方地域支援のうち公海またはその上空における輸送の実

> 施を命ぜられた自衛隊の部隊等の長またはその指定する者は、当該輸送を

> 実施している場所の近傍において、戦闘行為が行われるに至った場合また

> は付近の状況等に照らして戦闘行為が行われることが予測される場合には、

> 当該輪送の実施を一時休止するなどして当該戦闘行為による危険を回避し

> つつ、前項の規定による措置を待つものとする。

と言うように、キョロキョロウロウロの「戦闘参加」.具体的な場面を想像すると滑

稽至極です。ぜひ全文に目を通してください。

 1両日、メールの送信・受信が不可能になるかもしれません。ご了承ください。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

(朝日新聞4月26日)

ガイドライン法案、実質審議は参院選以降に

 

 新しい日米防衛協力のための指針(ガイドライン)を具体化させるための、周辺事

態法案など関連法案は、今の国会では「提出すれども審議せず」となる模様だ。自民

党は米国への配慮もあって28日にも法案を閣議決定し国会提出しようとしているが

、他の重要法案が目白押しの中で審議を進めることは事実上あきらめており、「憲法

に触れる疑いがある」と反対している社民党も実質審議に入らないならば与党離脱問

題にすぐ答えを出さないで済むという判断があるからだ。自社両党間の「暗黙の合意

」で、この国会では継続審議とし、法案をめぐる本格的な論戦は、参院選後の次の国

会以降になる公算が大きい。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 

 「全国基地協議会」が、以前お知らせした要望書とは別に、質問書を出しました。

 また、「渉外関係主要都道県知事連絡協議会」(会長・岡崎洋神奈川県知事)は要

望書を出しています。

 これらも入手されましたらお送りいただければ助かります。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

基地関係自治体が周辺事態法案で要望書

 米軍基地などを抱える神奈川、東京、山口、沖縄など十四都道県でつくる「渉外関

係主要都道県知事連絡協議会」(会長・岡崎洋神奈川県知事)は二十七日、橋本首相

、久間防衛庁長官らに対し、周辺事態法案の自治体協力規定について、自治体に情報

を提供し、法案に対する自治体の意見も聴取、意向を尊重するよう要望書を提出した。

 

 要望書は、「一方的に地方公共団体の役割が定められることに深い危惧(きぐ)の

念を抱く」などとしている。同協議会は、昨年末にも同趣旨の要望書を提出している。

 

 また「全国基地協議会」(二百六十一都市町村、会長・沢田秀男神奈川県横須賀市

長)も同日、政府に対し、同法案の内容が不明確だとして、自治体協力規定の具体的

内容について、質問状を出す方針を明らかにした。

 

 沢田会長によると、質問内容は<1>協力自治体への財政支援は、基地交付金や特

別地方交付税の範囲内での支出なのか、沖縄特別行動委員会(SACO)経費と同様

の別枠歳出となるのか<2>協力要請は国から直接市町村に来るのか、都道府県を経

由するのか――など。

 

(讀賣4月27日20:13)

 

-------------------------------------

 

産經新聞

98.04.27

■ガイドライン関連法案 与党からも「不備」

 

憲法解釈めぐり矛盾露呈

 

 新たな日米防衛協力のための指針(ガイドライン)に伴う「周辺事態措置法」など関

連法案は、28日にも閣議決定され、直ちに国会に提出される段取りだ。早ければ連休

明けから国会での審議入りを目指しているが、社民党が関連法案の国会提出に反対し

ているほか、自民党内にも同法案の不備を指摘する意見がある。周辺事態の定義、武

器の使用、船舶検査、地方公共団体の協力など、今後の論議のポイントをまとめた。

(野口裕之、有元隆志)

 

<中略>

<協力要請>

 

 米軍への燃料・食料輸送には、自衛隊の施設や装備だけでは足りないため、地方自

治体所有の空港・港湾を活用したり、民間会社の陸送、海運、空輸力が必要となる。

 

 しかし、防衛庁や内閣安全保障・危機管理室は当初から、自治体や民間に対して強

制力や罰則規定を盛り込むことに消極的だった。国家総動員法のイメージが先行し、

強制力を伴うことになれば、反発は必至であるため、「協力を拒む自治体は無視して

、協力してくれる別の自治体を探した方が迅速な対米協力ができる」(防衛庁筋)と、

現実的対応に目をむける。

 

 そうした中、上杉光弘自治相は二十一日の記者会見で、「自治体に強制するもので

はない」と述べたが、これは基地を抱える市町村に配慮した発言とみられる。

 

 ただ、あえて自治相が強制しないことを明言したことについては、「特別地方交付

税や補助金での締め付けなどで、市町村をけん制する意味もあるのでは」との見方も

ある。

 

 もっとも、政府は滑走路の破損や、民間会社の休業補償などを想定して「損失には

財政上の措置を講ずる」という補償措置を加えるなど、硬軟おりまぜた対応策を検討

している。

<以下略>

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 

【神戸新聞 4月28日】

連載 2 憲法は今施行51年

 

日米防衛協力

歯止め模索する自治体

期待される「神戸方式」

 

「地域や住民をいや応なく軍事同盟に巻き込んでいく」「補給も作戦行動の一つ。攻

撃される危険はぬぐい切れない」。

 冷戦後の日米安保の方向付けを狙った、新たな日米防衛協力のための指針(ガイド

ライン)による政府の周辺事態措置法案をめぐって、国と自治体の「せめぎ合い」が

表面化し始めている。

 法案は、日本の周辺有事で米軍が出動した際、基地以外の民間港湾や空港を補給な

ど後方支援のため利用できるよう、管理者の自治体に国への協力義務付けを目指す。

自治体の中には具体的な対玩策を模索する動きも出ている。

「神戸方式を条例化すれば、米軍艦船の寄港を認めた安保条約を履行できなくなる。

他の自治体に与える影響も大きい」

 今年二月中旬、高知県選出の自民党前国防部会長、中谷元・衆院議員は県庁に橋本

大二郎知事を訪ね、こう切り出した。

 入港の外国艦船に核兵器を搭載していないという確認文書の提出を求める非核神戸

方式。その高知県内への導入、条例化作業を進めていた知事を、説得し断念させるの

が訪問の目的だった。

「外交・防衛は国の専権事項」と迫る中谷議員。橋本知事は「国が掲げる非核三原則

を条例化して何がいけないのか」と反論。会談は平行線のまま終わったが、知事は三

月議会へ条例案提出を一応見送った。

 神戸市が、軍艦などへの核配備の有無を明らかにしない政策をかたくなに守ってき

た米軍を逆手に取り、「核兵器を積んだ疑いのある艦艇の入港は一切拒否する」とし

た「神戸方式」に踏み切ったのは一九七五年。

 今回、民間の港などの提供をガイドラインの協力項目の一つに盛り込むことは、米

側の強い意向だった。昨年八月には、神戸港、新潟港や福岡空港など十数カ所の施設

リストを「使用の可能性がある」として日本政府へ提出。九七年度は、既成事実化を

図ってか、空母や強襲揚陸艦など延べ二十隻が十一の民間港を「親善訪問」した。

 しかし、神戸港は「方式」を実施して以来の米艦船の入港ゼロの記録を破られるこ

とはなかった。

 橋本知事は「ガイドラインについては、勉強していない。条例化は非核三原則が対

象」と語る。だが「本当に念頭にないなら、逆に知事の見識を疑う。時期から見ても

、当然ガイドラインを視野に入れているはず」と中谷議員。

 知事は「何としても条例化したい」と意欲的な姿勢を崩していない。全日本港湾労

働組合の伊藤彰信書記次長は「憲法の平和主義の精神に反する周辺事態措置法で自治

体が義務規定によって縛られたとき、神戸方式は軍港化を防ぐ唯一の手段」と期待を

寄せている。

 

(写真)=4月17日、大阪港に入港した米第7艦隊のイージス艦カーティスウイルバー---------------------------------------------------------

 

 自治体からの反発が強かったので、防衛庁も少しトーンダウン。しかし本質は変わ

っていません。「まあ日本人ならお上に楯突くヤツはおらんじゃろう」と防衛庁はな

めきっています。ヒヤリングをやるのかやらないのかということも不明です。そのく

せ、産経新聞などには、「有事立法」がないと言うことを聞かないからダメだキャン

ペーンをはらせている。ひどい話で、中味の説明もなくいきなり罰則でパクるとは、

法治国家の体裁もありません。

 もともと「新ガイドライン」による「クーデター」は三段跳びで、

(1)新ガイドラインの決定

(2)周辺事態法などの関連法案の成立

(3)罰則伴う治安条項含む有事立法

完成することになっています。(3)が必要なのは、(2)の法律を遅滞なく実施す

るため、(2)を作ったのは(1)の約束を果たすためというのが政府の主張ですが

、よく考えると(1)は日米の軍人などの「事務方」が作成したもので政治家はノー

タッチ。国会の承認どころか、閣議決定を経たわけでもありません。

 選挙で選ばれたわけでもない官僚や自衛官(さらに米国の軍人)の決めたことを、

何の議論もなくホイホイと法律にして憲法を葬る政治家も政治家ですが、そこが「ク

ーデター」と言われるゆえんです。(3)まで行けば完全に戦後憲法体制は終わり。

考えてみれば、ヒットラーもワイマール憲法はいじらずに、「合憲的に」大量虐殺を

やったのでした。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

【読売新聞98年5月1日 地方政界】

ガイドライン周辺事態法案

米軍への協力、自治体困惑

「義務」だが内容不明確

理由あれば断れる?

 

政府「いざとなれば」と楽観

自治体 ヒアリングなく反発も

 

 新しい日米防衛協力の指針(ガイドライン)関連の周辺事態法案をめぐって、全国

の自治体に波紋が広がっている。周辺有事の際、米軍による民間港湾・空港の使用や

自治体病院への傷病兵収容などを目的に、政府が自治体首長に「協力要請」する場合

、これに従うことが首長の「義務」と解釈していることが分かったためだ。自治体側

は基本的に協力する姿勢だが、事前のヒアリングもなく、協力内容が不明確なことへ

の反発、戸惑いもある。(地方部 舟槻 格致、関連総支局)

 

 政府は四月二十八日、ガイドライン関連法案を閣議決定、国会に提出した。これに

対し、自治体の首長らは、読売新聞の取材に、相次いで不満を表明した。

「国から十分な情報提供や意見聴取がない。深い危惧の念を抱いている」(静岡県・

石川嘉延知事)

「詳細な検討が必要。場合によっては拒否もあり得る」(宮城県・浅野史郎知事)

「突然のことで驚いている」(愛知県小牧市・中野直輝市長)

 背景には、昨年暮れ、米軍基地などを抱える十四都道県の知事連格協議会(会長・

岡崎洋神奈川県知事)が法案作成段階で自治体からのヒアリングを求めたにもかかわ

らず、実現しなかったことがある。

 そのうえ、秋山昌広防衛事務次官が四月十六日の記考会見で、周辺事態法案にある

「国は地方自治体の長に協力を求めることができる」という意味について、「一般的

に『義務』と理解してもらって結構だ」と発言した。これは自治体は自ら管理する港

や病院の使用は、正当な理由がないと拒めないとの見解を示したもので、自治体側が

「協力内容が全く分からない」(横浜市)などと態度を硬化させたという事情もある

。施設の使用、警察活動などもある。

 自治体の協力項目としては、ほかにも地方道や公共施設の使用、警察活動などもあ

る。

 このため、「港や飛行場が使えない時、県民の食糧をどう確保するか」(沖縄県・

大田昌秀知事)、「市街地の施設を演習に提供するような要求は断る」(長崎県佐世

保市・光武顕市長)などと首長の不安は拡大している。一部には、「戦闘機、爆撃機

などによる空港の積極的な軍事利用には反対する」(長崎県大村市・甲斐田国彦市長

)、「協力の程度の問題ではなく、地方分権の趣旨からもはなはだ遺憾だ」(那覇市

・親泊康晴市長)との強硬意見もある。

 自治体が協力を決める際の議会説明についても、ほとんどの自治体は「相談は必要

」(北港道函館市・木戸浦隆一市長)、「議会への説明、同意が必要」(静岡県下田

市・池谷淳市長)としており、対応はまちまちだ。

 政府は協力義務を主張する一方で、自治体への配慮から、「地方自治体は正当な理

由があれば(協力要請を)断ることは可能ではないか」(上杉自治相)との見解を示

している。

 しかし、この「正当な理由」の中身ははっきりしないのが実情だ。

 政府は「いざとなれば、協力しない自治体はないだろう」(防衛庁首脳)と″楽観

″視しているが、地方議会に説明し、住民とも直接かかわる自治体首長にとって、有

事の際にどこまで協力するかは、対応の難しい問題だ。

 これについて、「強制すると、憲法の地方自治の理念や苦役の禁止規定に触れる」

(佐藤昌一郎法政大教授)との見方もある。

 秋山次官は四月二十日の記者会見で、「(十六日の記者会見の反響について)重要

な点でもあり、説明していかなければならない。法的効果などを政府部内で詰めなが

ら、並行して説明していきたい」と述べ、自治体へ配慮する方向に軌道修正を図った。

 自治体関係者の間には、「法案への理解と実効性ある協力体制確立のためにも、政

府の真しな対応が必要だ」と見る向きが少なくない。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 

 珍しいというより、初めてのこの件でのアンケート調査でないでしょうか。協力し

ないと答えた自治体は17/51。沖縄だからこの数字なので、他の都道府県でこれほど

の率なら、ただちに罰則をつけるよう法案を変えるでしょう。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

琉球新報 更新日時 1998-05-03 (日)15:06

 

自治体協力義務化に26首長が反対

 

周辺事態法案で市長村長アンケート

 

 憲法は3日、施行から51周年を迎えた。沖縄の基地重圧が続く中、日米防衛協力

の指針(ガイドライン)実施のために、政府が国会に提出した周辺事態法案で日本周

辺有事の際の自治体の対米支援協力が盛り込まれたことについて、琉球新報社は県内

の53市町村長にアンケート調査を実施した。回答を得た51首長のうち、26首長

が自治体協力の義務付けに反対し、7首長が賛成・協力すべき(やむなしを含む)と

答えた。協力要請を受けた場合については、17首長が「応じられない」とし、広大

な米軍基地を有する県内で、対米支援に組み込まれることへの市町村の警戒感が表れ

た。

 

 また、態度を保留する回答も目立ち、45首長が今後の国会審議で自治体の意向を

聴取、尊重するよう要望。協力を求められる立場の自治体側に具体的説明がなされず

、その意向が反映される道筋が示されないことへの不満も示された。

 

 アンケート調査は、今月28日の閣議決定と国会提出を受け、全市町村に聞き取り

記入式で実施。設問では(1)自治体協力義務付けに賛成か、反対か(2)協力要請に応ず

るか―を問い、自治体協力の在り方や懸念、国会審議への注文などを個別に聞いた。

 

 自治体協力の義務化については、「米軍への新たな協力拡大は基地整理縮小に反す

る」(親泊康晴那覇市長)、「平和憲法の理念がなし崩しになる」(伊志嶺亮平良市

長)などの理由で、26首長が反対。「やむなし」を含め、容認する考えを示したの

は7首長を大きく上回った。

 

 「協力に応ずるか」の設問では、17首長が応じられないと回答。「離島県であり

住民生活に影響が大きい」など、拒否回答には、「住民生活優先」「戦時体制に組み

込まれることへの懸念」が目立った、また、応ずるとした回答では、「やむを得ない

」が目立っている。

 

 新ガイドラインは日本周辺有事での対米支援として、民間の空港・港湾の提供、戦

闘による傷病者治療での公立病院利用などを想定している。それに伴い、国会提出さ

れた周辺事態関連法案では「関係行政機関の長は自治体の長に対し、協力を求め、国

以外の者(民間)に協力を依頼できる」との規定が盛り込まれた。政府は「一般的義

務」と説明しているが、その具体的な内容は不透明な部分が大きい。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 

 憲法記念日の大新聞の社説は、産経・讀賣のを含めてあくびの出るような平凡でぼ

んやりしたものでした。地方紙の社説はどうだったか、すべて確認することはできま

せんが、気づいたところでは、内容のあるのは以下の社説。日本人好みの「文化人」

的な一般論でなく、軍事外交問題を真正面から見据えて、ガイドライン問題を論じて

います。この新聞社はちゃんと一家言を持った論説委員がいるのですね。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

【高知新聞 社説】

98年5月3日

 

確かな足場・憲法の理想の再確認を

 

 日本国憲法の理想は誇るべきだが、現実は、戦後一貫して米国の世界戦略に引

きずられてきたと言ってもよい。日米安保が典型的にそのことを裏付けている。

しかし、米国に引きずられるに任せていると、「悲しきピエロ」になってしまい

かねない。現在の状態がまさにそれでなかろうか。

 

 米国防総省が九五年の二月に策定した「東アジア戦略報告」の改定に向けて内

部検討作業に着手したと伝えられる。現在の戦略は、冷戦終結で明確な目標を失

った日米安保体制を「地域安保の土台」だと規定し、その役割の再定義を提起し

た上、米軍の十万人前方展開を明記しているのである。

 

 これまでの米国の対中戦略は、軍事力を背景に中国との対話路線を進めるとこ

ろにあり、中国の将来に対して警戒感をにじませたものだった。ところが、今回

の改定検討では、昨年からの米中安保関係の進展を反映して、中国との間で「戦

略的パートナーシップ」構築を目指そうとしている。

 

 米国の対中基本スタンスが、中国を警戒すべき相手からパートナーシップを結

ぶべき相手へと一八〇度転換しようとしているのである。米中の関係が好転して

も「十万人前方展開体制に変化はない」(国防総省高官)としているが、地域安

保をめぐる環境変化は大きい。

 

 むろん、米国の日米安保再定義に対する期待は依然大きいが、地域安保の基礎

構造部分に兆した変化の兆候を軽く見過ごすようであってはなるまい。憲法記念

日を機会にじっくり考えてみたい。

 

 対米追従だけでは

 

 戦後日本の安保・防衛政策は、対日講話条約の締結・独立の時期が運悪く東西

冷戦の激化や朝鮮戦争による極東情勢の緊迫と重なったこともあり、米国主導の

軍事対決路線に組込まれる形で進んでしまったのである。

 

 この流れは、旧ソ連の対外的膨張や軍事力強化とともに強まり、地域的にはベ

トナム戦争などによって一層強固なものになってきたと言える。大地を打つつち

は外れても、アジアで社会主義勢力との対立はなくならないと思われていた。日

米安保を成立させている基盤は揺るぐはずがないというわけである。

 

 しかし、米国と旧ソ連を二大超大国とする体制は消滅し、今や米国だけが超大

国として存在する状況である。古い東西冷戦の状況は解消され、旧ソ連も崩壊し

てしまった。しかも、その中で唯一残っていた米中の対立にも変化が兆し、米国

が東アジア戦略の見直しと取り組み始めたのである。

 

 むろん、現段階では、米国の変化が直ちに日米安保体制に大きな変化をもたら

すものとは見えない。だが、米国の戦略に従ってさえいれば間違いがないと信じ

てきた日本にとって、「悲しきピエロ」になるかもしれぬという現実は深刻に受

け止めなければならぬだろう。

 

 米国に「おんぶにだっこ」とも言うべき安保・防衛をめぐる基本政策の在り方

を真剣に点検してみることが必要とされだしている。日米安保体制を一気に解消

することなどはできないが、無批判な米国追従ではなく、日本の原則を打ち立て

ることである。

 

 その際、日本の頼るべきものは、日本国憲法であるべきはずである。

 

 進む周辺有事体制

 

 日本の安保・防衛戦略は、九五年の米「東アジア戦略報告」から一歩も出てい

ないと思われる。客観情勢の変化とかかわりなく、中国を主要な標的とした日米

軍事協力の強化へと進んでいると言ってよいだろう。

 

 政府は、日米防衛協力指針(ガイドライン)の実効性を確保するため周辺事態

措置法案(新法)と自衛隊法改正案、日米物品・役務相互提供協定(ACSA)

改正案をこのほど作成、先月二十八日の閣議で決定、国会に提出しているのであ

る。

 

 周辺事態措置法案は、自衛官による捜索活動や船舶検査(臨検)活動での武器

使用規定を「職務を行うに際し、合理的に必要と判断される限度で使用すること

ができる」とし、現実的な柔軟対応を認めている。法案要綱段階の「必要最小限

の武器使用ができる」から一歩踏み込んでいる。

 

 さらに、政府の要請や依頼を受けて後方地域支援活動に協力した際に生じた損

害は「必要な財政上の措置を講ずる」とし、有事に事後の補償を前提に自治体や

民間に協力させる制度を初めて導入している。タブーだった有事法制の具体化そ

のものである。

 

 国際環境の変化にも気を配らず、これまで同様に米国の“過去の方針”に無批

判に追従を続けてよいものであろうか。今日のように流動的な情勢の下にあって

は、揺るがぬ日本独自の基本姿勢を確立しておく必要が大きい。

 

 その確かな足場になり得るものが憲法の理想だと言ってよい。理想と現実が大

きく懸け離れた状況にある現在こそ、不動の足場を確かめるべき時である。

 

 

−−−−−−−−−

 そこが米軍との認識の違いです。米軍はたくさんの負傷者を収容するのに、同じ病

院で大量のベッドを用意させたい。それには患者に出て行ってもらうしかないのです

。関連する情報を、Air ForceNewsの先週の記事から。日本語の部分だけでも見てく

ださい。米軍は日本での負傷兵の大量受け入れを当然のことと見込んでいます。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

(朝日新聞5月11日)

周辺事態での対米支援、自治体は「当然断れる」と自治相

 

 上杉光弘自治相は10日、宮崎県庁で記者会見し、新しい日米防衛協力のための指

針(ガイドライン)に伴う周辺事態法案で、地方自治体に求められる対米支援は「当

然断ることもできる」との認識を示した。また、公職選挙法の改正による投票時間の

2時間延長は、「効果は当然あると期待している」と、改正前を上回る投票率を目標

に挙げた。

 

 上杉自治相は周辺事態法案について、「病院から入院患者を出して、けがした人を

入れようとしても、それはできない」と例を挙げ、「その時々の局面にもよるだろう

が、地方は当然断ることもできるという範囲内で、法律は協力を求めているものと理

解している」と語った。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 「周辺有事」の米軍支援で重要なのが医療支援、つまり病院の提供です。アメリカ

も当然朝鮮半島での負傷者を運ぶ訓練をやっていないと嘘です。日付は分かりません

が、最近韓国と日本でこのPacific Nightingaleと呼ばれる(^^;)行われたそうです。

 以下のAir force Newsによると、この訓練の眼目は、real live生のつまり人形で

なく人間を空輸すること。韓国の基地から選抜された45人の「患者」(患者らしく

演技するよう命令されている(^^;)をC-130輸送機でKIMHAE金海(釜山のそば、空港が

ある)に輸送、そこから重傷の患者はC-9輸送機で横田に輸送されました。この同じ

訓練は3日(3回)行われのべ135人が輸送されました。なぜ横田に送るかというと

、「実際の戦闘の際にはたくさんの負傷者が出る。この病院のベッドをできるだけ開

けなければならない」からだといいます。

 この金海の軍の病院the 51st Contingency Hospitalが立派で、その様子は980606

の方の記事に出ています。朝鮮戦争での負傷者の輸送の「ハブ」(中継中枢)になり

ます。ここで緊急の手当を受けた負傷兵は日本やアメリカに送られます。100の

ICU、400のベッドがあるそうですが、これでは戦争が激しくなればすぐに満杯に

なります。

 上記Pacific Nightingaleで横田が使われていますが、ホントは日本の民間病院を

使って訓練したいところだったでしょう。横田だけでは収容能力に限りがあるし、第

一遠い。九州や中国地方の空港でそばに大きな病院のあるところが狙われていると思

います。

 

【朝日新聞5月9日】

防衛庁長官、「非核神戸方式」は港湾法にてらし判断

 

 久間章生防衛庁長官は8日の衆院安全保障委員会で、神戸市が市議会決議に基づい

て外国艦船の寄港に際し核を積んでいないことの証明を求めている「非核神戸方式」

が、周辺事態法案に基づく米軍への港湾提供を拒否する根拠になるかどうかについて

、「港湾法からして適切であるかどうか。所管する省庁が判断することだ」と述べ、

決議があるからといってただちに正当な根拠となるわけではないとの考えを示した。

 

 周辺事態法案には、対米支援について自治体の協力義務規定がある。政府は「正当

な理由があれば拒否できる」としているが、正当かどうかの判断基準ははっきりして

いない。港湾法は船舶への不平等な扱いを禁じているが、運輸省はこれまで、神戸市

の対応について「首長の判断であり、港湾法で仕切ることはできない」と距離を置い

ていた。

 

([aml],[keystone]に投稿しています)

 「周辺事態法」には自治体も困っているようです。以前に「全国基地協議会の政府

への要望」を投稿しましたが、ここでは、「渉外関係主要都道府県知事連絡協議会の

緊急要請」と「神奈川県基地関係県市連絡協議会の要請」を転載します。「渉外」と

いうのは要するに「米軍基地を抱える」ということです。神奈川県は沖縄県に次いで

米軍基地の多いところ。6月7日には、世界最大の原子力空母「リンカーン」がヨコ

スカ基地に入港します(5月7日神奈川新聞)。

 政府に対して、情報の公開や自治体の意向の尊重を訴えていますが、政府は「全然

無視無視かたつむり」。何の説明もないようです。日本では当然視されていますが、

考えて見れば変な話しで、悪いことをやっていると思っているなら撤回すべきだし、

正しいことなら堂々と説明しないと損のはず。

 ただ、米軍への「協力」要請は、自治体だけでなく、一般の民間人も対象なので、

本当なら各地で公開ヒヤリングを開かないといけません。

 

 ついでにガイドライン問題でのホームページ更新のお知らせです。「周辺事態法」

など3本の法案を載せました。もちろん防衛庁のホームページにもあるのですが、あ

ちらはお役所でサービス精神がありませんが、ここでは関連法律・文書にリンクが張

ってあるので、相互の連関がつかめます。

http://www.osk.3web.ne.jp/~btree/catch/yuji/index.htm

から見てください。下の自治体申し入れ、抗議文なども追加しました。

 なお、皆様の近くで(地方議会等)、「周辺事態法」に賛成/反対の決議や要請な

どがあがりましたら、その全文を電子メールで送っていただければ助かります。

 

−−−−−以下転載− それぞれ全文−−−−−−−−−−−−−−

「周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律」等の

制定にあたっての地方公共団体の意向の尊重について

(緊急要請)

 

平成10年4月27日

渉外関係主要都道府県知事連絡協議会

 

 平成9年12月2日に、渉外関係主要都道府県知事連絡協議会として、新たな「日

米防衛協力のための指針(ガイドライン)」については、その具体化にあたって、政

府からの適切な情報提供、地方公共団体の意見の聴取、その意向の十分な尊重につい

て緊急要請を行ったところであります。

 しかしながら、その後、現在まで十分な情報提供や地方公共団体の意見聴取がなさ

れておりません。

 ところが、最近の報道によると、「周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保

するための措置に関する法律(案)」(周辺事態安全確保法案)等の制定の準備が進

められており、特に周辺事態安全確保法案の中で地方公共団体への協力を求める規定

が定められることとされております。

 こうした規定は、関係する地方公共団体に大きな影響を及ぼすものであり、一方的

に地方公共団体の役割が定められることには深い危惧の念を抱かざるを得ません。

 基地を抱える地方公共団体にとっては、政府からの的確な情報の提供が不可欠であ

りますので、政府におかれては、こうした地方公共団体の実状を的確に理解され、周

辺事態安全確保法案等に関する具体的な情報を的確に提供されるよう強く要望すると

ともに、それらの法案等の検討にあたっては、事前に地方公共団体の意見を十分に聴

取し、その意向を尊重されたい。

 

平成10年4月27日

 

内閣総理大臣 橋本龍太郎 殿

外務大臣 小淵恵三 殿

自治大臣 上杉光弘 殿

防衛庁長官 久間章生 殿

渉外関係主要都道府県知事連絡協議会

 

会長  神奈川県知事 岡崎洋

副会長 青森県知事 木村守男

副会長 長崎県知事 金子原二郎

副会長 沖縄県知事 大田昌秀

    北海道知事 堀達也

    茨城県知事 橋本昌

    埼玉県知事 土屋義彦

    千葉県知事 沼田武

    東京都知事 青島幸男

    山梨県知事 天野建

    静岡県知事 石川嘉延

    広島県知事 藤田雄山

    山口県知事 二井関成

    福岡県知事 麻生渡

 

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 

「周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律」等の

制定にあたっての地方公共団体の意向の尊重について

(要請)

 

平成10年4月27日

神奈川県基地関係県市連絡協議会

 

 新聞報道によりますと、国は、「周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保す

るための措置に関する法律(案)」(周辺事態安全確保法案)等を今国会に提出する

とのことであります。

 この法案は、国の行政機関の長が、地方公共団体の長に対し、その有する権限の行

使について、必要な協力を求めることができる旨、規定しており、周辺事態に際し、

住民生活や地域経済活動などに少なからぬ影響を及ぼす可能性があると考えられます

。地方公共団体としては、このような規定により、一方的な形でその役割が定められ

ることに、危惧の念を抱かざるを得ません。

 政府におかれては、地方公共団体に対し、その実状を理解のうえ、法案等に関する

具体的かつ適時・適切な情報提供を行うとともに、その検討にあたっては、事前に地

方公共団体の意見を十分聴取し、その意向を尊重されるよう、強く要請いたします。

 

 

平成10年4月27日

 

内閣総理大臣 橋本龍太郎 殿

外務大臣 小淵恵三 殿

自治大臣 上杉光弘 殿

防衛庁長官 久間章生 殿

 

神奈川県基地関係県市連絡協議会

 

会長  神奈川県知事 岡崎洋

副会長 横浜市長 高秀秀信

副会長 横須賀市長 沢田秀男

副会長 相模原市市長 小川勇夫

    藤沢市長 山本捷雄

    逗子市長 平井義男

    大和市長 土屋侯保

    海老名市長 亀井英一

    座間市長 星野勝司

    綾瀬市長 見上和由

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 

*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*

青木雅彦

btree@osk.3web.ne.jp

Catch Peace Home Page更新中

http://www.osk.3web.ne.jp/~btree/catch

特にガイドライン・有事法制関係のページ

http://www.osk.3web.ne.jp/~btree/catch/yuji

の更新に注目してください

ガイドラインと有事立法に反対するハガキ運動の

案内を載せました!トップページからたどってください

 

 

 ご存じのように、共産党が低空飛行の「展示会」を開いていて、そこに全国の低空

飛行反対運動をしている人を呼んで、発言を紹介しています。群馬、秋田、広島、高

知県。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 

訓練の即時中止は切実な声

 

米軍機低空飛行問題資料の展示会・懇談会での

 

自治体関係者、地元平和・市民団体代表の発言

 

         1998年5月13日付「しんぶん赤旗」

 日本共産党が五月十二日に開いた米軍機低空飛行問題資料の展示会・懇談会で、低

空飛行の被害にあっている自治体関係者や地元の平和・市民団体の代表がおこなった

主な発言(要旨)を紹介します。

 

 

住民の生命、財産にとって非常に危険

 

群馬・北橘村住民課長(村長代理) 萩原敏男さん

 

 群馬県のちょうど真ん中に位置する北橘村から村長の代理でまいりました。村に東

洋一の大きなサージタンク(東京電力の佐久発電所)がございますが、そこを目標に

して(米軍が)軍事訓練をやっていると聞いております。また、対岸の渋川市の工場

地帯も目標になっています。北橘村の村長も米軍機の低空飛行訓練の中止、ルートや

訓練内容の公表を、渋川市長、関係市町村とともに何度か強く求めているところでご

ざいます。

 

 私も同じ住民ですから、何度かそういう衝撃音を聞いて、「爆弾が落ちたのではな

いか」と思いました。近くの民家や公的施設でガラスが落ちたり破損するという状況

もあります。私も住民課長として、住民の生命、財産を守るうえで、非常に危険な行

為なので、ぜひ村長ともどもこういった行為の撤廃を求めていきたいと考えておりま

す。

 

 

全国的に連帯してやめさせたい

 

秋田県平和委員会理事長 佐藤裕二さん

 

 秋田県での低空飛行訓練は、一九八七年に米空軍三沢基地(青森県)へのF16戦

闘機二飛行隊の配備が完了してから激化しました。県内の全自治体が平和委員会の要

請を受けて、八九年末までに低空飛行訓練反対の決議などをあげました。しかし、い

まも米軍機は県内を自由自在に飛んでいるのが現状です。

 

 三沢のF16戦闘機部隊はことし四月末に中東に派遣されましたが、基地内の機関

紙(ノーザン・ライト)をみると、そのために数カ月前から訓練をおこなっていたと

書いてあります。宮城県の伊豆沼でF16が低空飛行訓練をおこない大問題となりま

したが、それも中東派遣のための準備だったと思われます。

 

 また四月二十日から、(米空軍の)横田基地(東京)、嘉手納基地(沖縄)と共同

訓練をおこない、三沢のF16は沖縄の鳥島までいって、実弾の爆撃訓練などをおこ

なっています。三沢のF16と訓練をおこなった嘉手納のF15戦闘機も中東にいく

ことになっています。

 

 低空飛行訓練は騒音の被害ばかりでなく、墜落の危険が大きい。三沢のF16もこ

れまで五機が墜落しています。秋田空港に二回緊急着陸をしたこともあります。今日

の懇談会に出席して、全国的な連帯のもとに低空飛行訓練をやめさせるため、がんば

っていこうという思いを強くしました。

 

 

8月には被害地域のみなさんと全国交流

 

 

広島・県北連絡会事務局 岡本幸信さん

 

 私たちは昨年六月に、米軍飛行訓練反対の一点で、十六自治体、三十団体、地方議

員をふくむ個人約二百人で、「米軍の低空飛行訓練の即時中止をもとめる県北連絡会

」を結成しました。

 

 二月の志位書記局長の質問には、作木(さくぎ)村長など自治体の長が「私たちの

気持ちを代弁してくれた」と語っていました。また、その作木村では今年一月に住民

にアンケートを取ると、回答していただいた人の八割が低空飛行訓練の爆音を経験し

、訓練には反対と答えました。このような運動を外務省も無視できず、四月に署名を

持って要請にいったところ、「もし危険な訓練があれば、外務省に連絡してほしい」

と答える変化もありました。

 

 私たちの地域には、中国山地をぬう「ブラウンルート」と、自衛隊訓練空域を使っ

ている「エリア567」の二つの米軍の訓練空域があります。エリア型の訓練では「

ドッグファイト」(戦闘機による追尾訓練)などの危険な訓練がしばしば見られます

。ルート型だけでなく、エリア型と見られる訓練空域も北海道、秋田、群馬など各地

に見られます。

 

 このような実態を告発し、中止をさせていくうえで、一地域のとりくみでは限界が

あります。八月二十四日には被害にあっている地域のみなさんと全国交流集会を開き

、まず情報交換、意見交流を進めていきたいと考えています。

 

町民の70%こす人が反対の署名を寄せた

 

 

高知・中止要請署名嶺北推進会議事務局長 田岡学さん

 

 米軍機の低空飛行訓練に反対する署名を集める組織を、高知県の嶺北の五つの町村

でつくっています。四月には、総理府に二万数千人分の署名を提出しました。本山町

では住民の七〇%をこえる人から署名が寄せられました。ほかの町村でも、同じよう

な状況がうまれています。

 

 この署名は、「低空飛行訓練をやめさせたい」人ならだれもが参加できるもので、

私もこれまでいろんな署名活動をやってきましたが、この署名ほど簡単に集まったこ

とはなく、すごいことだと実感しています。圧倒的多数の町民が反対している署名を

、政府はぜひ重く受け止めて、心からの怒りがあるんだということを感じてほしいと

思います。

 

 本山町では、昨年末から米軍機の低空飛行訓練はとだえています。しかし、全国各

地ではいまも危険な訓練が繰り返され、ガイドライン(日米軍事協力の指針)問題な

ど危険な策動も次つぎおこっています。これからも地域のみなさんと力を合わせ、平

和運動を力強く盛り上げていきたいと思っています。

 

----------------------------------------------

 

 高知県:「外務省の立場を応援する条例だ」 外務省:「国を信じなさい」

 外務省の言い分はいかにも苦しい。もう少し詳しいやり取りを知りたいものです。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

【高知新聞98年5月16日】

非核港条例化 外国艦船入港は「外交」 外務省が

強調

 

 入港する外国艦船に核兵器を搭載していない証明書の提出を求める「非核神戸港

方式」の条例化で、県の高尾和彦総務部長と橋立洋一港湾空港局長は十五日、外務省

を訪れ、林肇・日米地位協定室長らから非核三原則などについて国の考え方を聞いた

。この問題で県が外務省と協議するのは初めて。

 

 席上、林室長らは「非核三原則は国の基本方針であり、『国是』だ」と明言。県

側が「三原則を地方の立場で支援するために条例化を検討している」と基本的な考え

方を説明したのに対し、外務省側は外国艦船が入港する場合の国際法上のルールを説

明するとともに、「外国の艦船の入港は外交の仕事であり、国を信頼して任せてほし

い」とあらためて強調した。

 

 県は高知新港の一部開港を機に、「非核神戸港方式」を県内の全港湾に適用する

ため県港湾管理条例の改正作業を進めていたが、外務省が非公式に考え方を表明した

ことから、県議会三月定例会への条例改正案の提出を見送った経緯がある。高尾総務

部長は「議論を踏まえ、あらためて対応を検討したい」と話している。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 

 もう少し遅れると思っていたのですが、今年の7月にも「東アジア戦略」の改訂版

が出されるようです。しかし在日米軍の数には変化なし。それというのも、日本の官

僚が「いじられると、基地撤去の世論が沖縄から出て来て困る」と言っているから。

またアメリカ側が戦力について協議しようとしても、日本側の能力が低くお話になら

ないとか。米軍削減を阻止しているのは、お粗末な日本の軍人、無能な官僚、無気力

な政治家たちに他ならないということです。

 とは言え、年間宝くじ売上金額に相当する大金を米軍に平気でカンパしている日本

人の金銭感覚も原因ですが。

 ところで、下の記事には丸囲み数字(@のような、このかっこ内の頭の字が丸で囲

まれた1です)が入っているのですが、こういう「特殊」文字は、機種(OS)によっ

て、表示されない(または文字化け)ものがあります。例えば同じDOSでも

Microsoftのは出ますがIBMのDOSでは表示されません。もしこれらの字が見えない方

あれば、(1)等になるべく変換して作成するようにしますのでお知らせ下さい。

--------------------------------------------

【朝日新聞98年5月26日】

改定進む米の「東アジア戦略報告」

前方展開10万人 変わらず

 

3年間の情勢変化に対応

核拡散防止 より重視へ

 

 米国防総省は、アジア太平洋地域に対する安全保障戦略を説明した「東アジア戦略

報告」(EASR)の改訂を進めている。クリントン政権として最後の東アジア戦略の文

書となる。アジア経済危機や米中関係改善など、最近の国際情勢の変化にもかかわら

ず、同盟強化と「約十万人」の前方展開という基本は変えない方針だ。ただ、米国内

でも批判の強い「十万人」の表記は、装備や技術の要素も加え柔軟化する。新たに経

済的安定の重要性などにも触れる見通しで、全体としては「非軍事面も含めたより包

括的なものになる」(国防総省関係者)という。(加藤洋一 アメリカ総局)

 

 基本戦略の維持

 

 改訂作業を担当するキャンベル国防次官補代理は「三年間に、この地域では情勢変

化や各国の戦略の変化があり、新たな文書を出すことが必要になった」と説明する。

六月末のクリントン大統領訪中の後に発表される。

 日本では米兵の少女暴行事件をきっかけに安保体制への疑問が広がり、アジアの経

済危機で各国の財政事情は悪化した。「今後、同盟国は三年前のように米軍を喜んで

受け入れてはくれない」(モチズキ・ブルッキング研究所研究員)など、戦略の柱で

ある前方展開に逆風が吹いているとの指摘もある。

 しかし、国防総省は最近のインドネシア危機では、地域に展開した米軍が民間人救

出などのため現地に向かうなど「前方展開は所期の目的を果たしている」(国防総省

関係者)。EA SRの前提である「安定して繁栄する東アジア」が一変してしまったこ

とにも、

「一時的なもの。この地域の国益は依然大きい」などとして、基本戦略維持の理由を

説明する。

 ただし、「より経済危機に注意を払うことや朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の

窮状への政治的配慮も加えるべきだろう」(ナイ元国防次官補)という指摘が出てい

る。コーエン国防長官が大量破壊兵器の拡散問題に強い関心を持っているのに加え、

今回のインドの核実験があったことで、拡散防止にはこれまで以上に重きが置かれる

ことになりそうだ。

 展開兵力について前回の報告書は「戦略環境の変化や技術革新」があれは「調整す

る」としているが、作成に当たったナイ氏は「朝鮮半島の緊張緩和のような大きな変

化が必要だ。まだその段階に達していない」。国防総省も同意見だ。

 

 対中国戦略の性格

 

 ただし、兵力数だけで米国の関与を示すことはできないという批判は強い。アーミ

テージ元国防次官補は「減らすだけでなく、増やすこともできなくなった」とも語る

。国防総省は今回、地域に配備されている艦船、航空機など兵器や技術革新などにも

より詳細に言及し「総合的に説明できるようにする」という。

 EASRが全体として米国の対中国戦略という性格を持つことは明らかだ。関係者は「

要するに、確固たる同盟関係を背景に、中国との交渉に当たろうというものだ」と説

明する。

 今回の改訂でも、中国に「責任ある大国」として国際秩序への参加を促す一方、軍

事的透明性の向上を求めるというアプローチは変えないという。

 米政府内では、六月の大統領訪中を機会に関係を大きく前進させようという空気が

強いが国防総省は慎重だ。

 この三年間で中国との軍事交流は前進したが、「(軍事面での)長期的な目標が不

明確」(EASR)という認識は相変わらずだ。武器技術輸出に対する不信感も依然根強

い。

 

駐留米軍へ影響なし

 

 改訂が日本に駐留する米軍の配備に与える影響は

「ほとんどない」(国防総省関係者)。とりわけ沖縄の海兵隊については、インドネ

シア暴動にからみ、キヤンベル氏が「民間人救出に向かう最初の部隊は、沖縄駐留の

海兵隊だ」と発言するなど、重要性を改めて強調する姿勢を見せており、撤退は当面

なさそうだ。

 九六年四月の日米安保共同宣言には「日本における米軍の兵力構成を含む軍事体制

について緊密に協議する」とある。今回も前回同様、日本に草稿は渡されるものの「

米国主導、日本追認」の構造は変わらない。

 日本側からは「そもそも必要ない」と今回の改訂を迷惑がる声すら聞かれる。

「海兵隊削減という沖縄の要求に勢いをつけかねない」からだ。米側には「海兵隊と

か沖縄問題だけに特化するのでなく、戦略や兵力構成全体を協議したいのだが、残念

ながら今の日本とではそこまでできない」という不満も出ている。

 

 

東アジア戦略報告

 冷戦後の東アジア・太平洋地域に対する安全保障戦略を明らかにするため、一九九

五年二月、国防総省が発表。国防次官補として担当したジョセフ・ナイ現ハーバード

大・ケネディー行政大学院長にちなみ「ナイ・リポート」とも呼ばれる。

主な内容は@約十万人の前方展開の維持A日本など同盟国との関係強化BASEAN地域

フォーラム(ARF)など多国間安保機構の促進C中国の(国際秩序への)関与−の四

項目。

 

--------------

 ある意味で深刻な数字ですが、考えてみれば当然の結果。新ガイドラインの中味に

ついてちゃんと報道することを怠る一方で、「人助け」には協力すべきかと聞いてそ

の結果を大々的に報道して、世論を誘導する。讀賣流の卑怯なやり方ですが、これに

どう対抗するか具体策が必要なことは言うまでもありません。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

◆邦人救出で自衛隊艦船派遣に賛成7割

 

 海外での緊急事態に際し、邦人救出のために大量輸送が可能な自衛隊艦船の派遣を

認める自衛隊法改正案について、国民の七割が賛成していることが、読売新聞社が十

六、十七日に実施した全国世論調査で明らかになった。自衛隊による条件つきの武器

使用に関しても「賛成」が六割にのぼっており、新しい日米防衛協力のための指針(

ガイドライン)関連法案として国会に提出されている同法改正案や周辺事態法案への

、国民の理解が進んでいることがうかがえる。

 

 災害や騒乱などが発生した外国から邦人を救出するために、法改正で自衛隊艦船の

派遣を認めることについて、「賛成」は69%で、「反対」は23%。「賛成」は男

女別、年代別、職業別などほとんどの属性で六〜七割を占め、社民、共産両党の支持

層でも「反対」を上回った。

 

 また、邦人救出や不審船舶立ち入り検査などの活動中に攻撃を受けた場合に限定し

て、人命を守るために自衛隊員に武器の使用を認めることについては、「賛成」60

%、「反対」32%だった。

 

 一方、周辺事態法案では日本周辺で有事が起きた場合、政府が地方自治体に対して

民間空港や港、病院などを米軍に使用させるように協力を求めることが出来るが、こ

の要請に自治体がどう対応すべきかでは、「協力すべきだ」は63%、「協力する必

要はない」は28%だった。

 

(讀賣5月23日19:23)

 

◆自衛隊法百条の8、課題表面化

 

 政府は、インドネシア在留邦人の救出に備えてシンガポールに派遣した自衛隊機の

撤収時期を模索しているが、派遣の根拠となった自衛隊法一〇〇条の八(在外邦人の

輸送)などをめぐる検討課題が二十三日までに、改めて浮き彫りとなった。

 

 航空自衛隊のC130輸送機(輸送定員約八十人)六機をシンガポール・パヤレバ

空港に前進待機させている法的根拠について、政府は「自衛隊法一〇〇条の八に基く

準備行為」(外務省筋)と位置づけているが、社民党や自衛隊内などからは、「明文

規定がなく、根拠があいまい」などの指摘が出ている。

 

 政府は昨年夏、カンボジア騒乱でのタイへの輸送機派遣で、同根拠を初適用したが

、この時は外務、防衛間の課長級などが事務レベルで手続きしたことにも批判が集ま

った。このため、今回は「昨年の反省から作った新たな派遣マニュアル」(防衛庁幹

部)に基づき、小渕外相が久間防衛庁長官に文書で準備行動を依頼する「明確な」手

続きを取った。

 

(讀賣5月23日21:22)

 

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 

 実はちょうど神戸に用事があって、本日一般公開されていた「プロテクター」(綴

りはフランス語風でProtecteurが正式なので、プロテクテールの方が発音が近い。実

際この軍艦が乗艦者に配った日本語の解説文-電子化しているので欲しい人はご連絡

−ではプロテクツールとあります)の中に入ってきました。

 まずその巨体(25000t)と色(ライトグリーン)に驚き。あれほど新聞で大きく取り

上げられた割には見学者は少ない。数を稼いでいたのが、神戸のインターナショナル

スクールの児童と先生。場所が交通の不便な魚崎の自衛隊阪神基地ということもある

でしょう。

 日本語のリリースだけでなく、艦内に日本語の解説プレートがかけてある。乗員の

フレンドリーな案内も手慣れたもの。どうも要領がよすぎると思って聞いてみると、

日本には何度も来ている。横須賀はもちろん、96年には大阪港にも入港(知らなか

った).ヘリ搭載と書いてあるが見当たらない。乗員の話ではカナダにおいてきた。「親善」活動が目的の、「まあ役目はガソリンスタンドだね」と乗組員。ブリッジも

公開。ヘリ格納部分は、隊員のフィットネスクラブとして使われていた。

 艦内の乗組員向けの掲示板をふと見ると、「警告」の文書。「これから訪問する港

は水がカナダの基準ではnot acceptableなので飲むな」.「これはどういうことなん

だ。神戸の水は汚いと言うつもりか」と、そばにいたカナダ兵に聞くと「そうではな

くて、これはこの次に訪問する上海、ウラジオストック、釜山のことだ」と汗だくで

弁明。確かにこの文書の日付から考えて、嘘ではない。神戸についてそう書いてたら

、「親善」どころか永久追放になるところ。それにしても「本来」の仕事をせずに、

「国際親善」に明け暮れるこの巨大艦。乗員も米兵のような殺気立ったものはおらず

、本当にお気楽な様子。こんな大型艦なら、揺れも少ないし(この神戸魚崎の基地で

は同時に呉から来たミニ護衛艦「よしの」も対抗して?公開していたので、それにも

乗船しましたが、こちらは停泊しているのに乗り物酔いがするくらい揺れてました)

、快適でしょう。非核神戸方式の刺客として送り込まれたという責任感?もありませ

ん。

 それにしても、「よしの」もブリッジには入れましたが、そこでは「演習日誌」な

どもポンと見張りなしで置いてある。自衛隊のセキュリティーはどうなっているのか

、と呆れます。こんな小さな船は自衛隊にはもうなくなります。と乗組員が強調して

いました。この「よしの」が作られた四半世紀前とは全く違った艦隊になってしまっ

たということです。(当時日本の「革新勢力」は「この4次防が日本の海外侵略につ

ながる」と危機感を滲ませていましたが)

 

 カナダ艦入港の神戸新聞記事。仕掛人は日本外務省でしょう。背後の演出は米海軍

かもしれませんが。大阪港にこの4月用もないのに米軍艦を入れたので、次は神戸を

崩すとは思っていましたが、これほど早くやるとは。それにしても神戸市はだらしが

ない。ピースリンク、キャッチピースの抗議文は、電子メールで受け取ったすぐ後に

、神戸市総務課や記者クラブにFAXで転送しておきました。私は電子メールだけ。

電子メールはFAXの抗議に比べて消去されやすいのではないでしょうか。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

【神戸新聞98年5月28日 朝刊1面トップ】

きょう神戸入港のカナダ軍艦

非核証明書求めず

外務省見解で市側譲歩

 

 神戸港に入港する外国艦船に核兵器を搭載していないことを証明する「非核証明書

」提出を義務づけている神戸市は、二十八日に入港予定のカナダ軍艦について、外務

省の「核兵器は搭載していない」とする見解に沿い、同証明書なしで入港を認めるこ

とを二十七日明らかにした。一九七五年に始まった非核神戸方式で、同証明書なしで

外国艦艇が入港するのは初めて。市は、「非核神戸方式を堅持する方針に変わりはな

い」としているが、神戸市内の平和団体は「非核神戸方式を放棄するものだ」と批判

している。

 

 同市によると、入港するのはカナダの補給艦プロテクター。市側はカナダ総領事館

や外務省に非核証明書の提出を求めてきたが、外務省北米局幹部が二十六日夕、「カ

ナダは核不拡散条約の締結国で、核兵器を保有していない。艦艇にも搭載していない

と理解してもらってよい」との見解を、笹山幸俊市長に口頭で伝えた。

 同市では(1)日本政府の招待で親善交流が目的である。(2)外務省見解が核兵

器を搭載していないことを証明している。ーと判断。例外として今回は非核証明書の

提出を求めず、入港を認めることはやむを得ないと判断した。

 「非核神戸方式」では、これまで7ヶ国十七隻が非核証明書を提出して入港してお

り、その中にはカナダ軍艦三隻も含まれていた。

 同市の山本信行港湾整備局長は、「今後入港する外国艦艇に非核証明書の提出を求

めていく方針に変わりはない」としている。

 原水爆禁止兵庫県協議会の大川義篤理事長は、「周辺事態法案が論議されている中

、外務省判断で米軍艦が神戸港に入港できることにつながる」と懸念を表明、反発し

ている。

--------------------------------

【神戸新聞98年5月29日 朝刊】

加軍艦入港 「神戸方式守って」

非核証明求め訴え

県原水協など市民団体 市役所訪れ抗議文

 

 神戸港に入港する外国艦船に対し、神戸市は「非核証明書」の提出を求めているが

、外務省の意向を受け、不提出のまま二十八日、海上自衛隊阪神基地隊(神戸市東灘

区魚崎浜町)にカナダ海軍の補給艦「プロテクタI」が到着したのに対し、反発する

市民団体などは終日、市内各地で抗議行動を繰り広げた。

 抗議活動は午前九時半、同基地隊前に原水爆禁止兵庫県協議会などのメン一バー約

五十人が集まって始まった。ゼッケンと横断幕で、「神戸港に軍艦はいらない」と繰

り返し訴えた。

 一方、基地内では、歓迎セレモニーが開かれた。船内を報道関係者に公開後、会見

に応じたカナダ総領事館のピーター・キャンベル総領事は、入港への抗議行動に対し

、「カナダも日本も民主主義の国。反対の意思を表示するのはありうることだ」と話

した。カナダの艦船が前回入港した一九七五年の時は証明書を提出したことについて、

「二十数年が経過し、情勢が変わった。それ以上はコメントできない」とだけ答えた。

 午後からは、兵庫県原水協や労組、婦人組織などが、三宮で街頭活動。抗議のビラ

約八百枚を配布した。その後、神戸市役所を訪れたメンバーは、職員に対し、非核証

明書の提出を再度求めるよう訴える市長あての抗議文を手渡した。安保破棄兵庫県実

行委一員会の宝野正義事務局長は「市は今からでも証明書の提出を求めるべきだ」と

話した。

 また全教神戸市教職員組合などが連名で市へ同艦乗組員と小学生との交流事業中止

を申し入れ、日本共産党市議団と新社会党兵庫県本部・市議団なども抗議声明を出し

た。

 

市長表敬の司令官 「親善」を強調

 

 神戸港に「非核証明書」なしで初めて入港したカナダ軍艦「プロテクター」の所属

するカナダ太平洋艦隊のR・D・バック司令官が二十八日、神戸市の笹山幸俊市長を表

敬訪問した。バック司令官、笹山市長とも「親善交流」を強調し、非核神戸方式に触

れなかった。

 笹山市長は「震災でたいへんお世話になりました。今後ともカナダとの交流が深ま

ることをお願いしたい」とあいさつ。バック司令官は「親善交流の機会が得られ、う

れしく思います。日本とカナダの平和にいろいろな分野で協力していきたい」と答え

た。

 会談後、笹山市長はバック司令官の表敬訪問について、「神戸に来られたのは軍艦

だったが、国際親善という目的だったので了解した」とした。

---------------------------------------

【神戸新聞社説 98年5月29日】

 

「非核神戸方式」に迫る危うさ

 

 カナダ海軍補給艦「プロテクター」が二十八日朝、神戸港の海上自衛隊阪神基地隊

パースに接岸した。

 神戸市は一九七五年以来、同港に入港する外国艦艇に核兵器を搭載していないこと

を証明する「非核証明書」の提出を義務づけているが、不提出のまま入港したのは同

艦が初めてである。

 今回は「カナダは核不拡散条約の締結国で、核兵器を保有しておらず、提出の必要

はない」とする外務省の意向を受けた上での措置とはいえ、例外措置にわだかまりを

覚える。

 基地周辺では反発する市民団体などが「非核神戸方式つぶしだ」と抗議行動を繰り

広げ、艦長あての抗議文をカナダ領事に手渡した。

 同艦は全長百七十二メートルで、乗組員二百三十人。入港は親善訪問の一環で、歓

迎式典では、基地隊の歓迎に対し、カナダ海軍の太平洋艦隊司令官が「平和を愛好す

る国同士、新しい結びつきにつながれば」と述べた。一般公開や被災地小学生との交

流などが計画されている。

 こうした中での抗議行動の背景に「新ガイドラインで米軍は神戸港利用を要求して

いる。今回の方式では外務省が『核を積んでいない』と言えば米軍入港も拒めなくな

る」との懸念が働いている。

 市は「今後、入港する外国艦艇に非核証明書の提出を求めていく方針に変わりはな

い」とはいうものの、なし崩しにならないか、との疑念がつきまとう。

 非核神戸方式は、市議会の「核兵器積載艦艇の神戸港入港拒否に関する決議」を受

けたものだ。決議以降、米軍艦船は入港しておらず、これまで七カ国十七隻が非核証

明書を提出して入港しており、カナダ軍艦三隻も含まれる。

 同市は@日本政府の招待で、親善交流が目的であるA外務省見解が核兵器を搭載し

ていないことを証明している−と判断、例外措置もやむを得ないとした。

 非核神戸方式は国際的に知られており長年にわたる慣例を破る措置には、やはりな

んらかの力が働いたと見るべきだろう。

 政府は新たな日米防衛協力のための指針(ガイドライン)実施をめぐる周辺事態(

有事)関連法案を今国会に提出している。

 周辺事態にはさまざまな態様が考えられ、米軍の後方支援がいろいろ挙げられてい

るが、港湾など米軍への提供について「地方公共団体は協力するものとする」との規

定が設けられた。

 外務省などはこの規定を念頭に、非核証明書抜き入港の既成事実を積み重ね、非核

神戸方式を骨抜きにしていく思惑があるのではないか。

「断れるのか」「断れないのか」。この規定はあいまいだ。非核神戸方式を国会の徹

底論戦を迫る切り札としたい。

 米軍艦船の入港となると、事情は一変する。国も神戸市もなし崩しの対応は許され

ない。

--------------------------------------------------

 

 昨日神戸市へ、カナダ艦「プロテクター」入港の件で申し入れに行きました。アレ

ンジは神戸の新社会党の市議の粟原さん(神戸フォーラムでも話してもらった)。申

し入れ書を渡したのは、大阪の「戦争への道=有事立法制定に反対しよう!実行委員

会一同」(中北さん等)、「日本青年学生平和友好祭兵庫県実行委員会」(自治労県

本部青年部)、それにキャッチピースの3団体。新社会党はすでに抗議文を渡してい

るので書面はなし。キャッチピースの申し入れ文は、改めて(すでに田巻さんの方か

ら入港当日抗議文を電子メールで市長に送ってもらっています)書いて、提出しまし

た。この話が分かったのが直前だったため、文面を回して了承を取る時間がありませ

んでしたので、事後承認とさせていただきます。このメールに添付しました。(大阪

の文も添付)

 市側は、ひどく構えていて6人が出席。こちらも当初の予定をはるかに上回る10

人以上。市側は、総務課、秘書課、港湾課の課長クラス。それにそれぞれ「実務」を

担当する若手が後ろに座ってバックアップ。しかし向こうの回答は内容のないもので

した。

 ・外務省の「非核の保証」は市長に対する電話によるもので、文書は一切なし。

 ・今回は全く「特例」で、今後も神戸方式を続けていくつもりだ。

 ・(米艦の入港の場合には今後絶対非核証明書を出させるのかという問いには)仮

定の話にはお答えできない。

 ・(周辺事態法で国に対して問い合わせをしたか)運輸省に対して昨年説明を求め

たことはあったが、事態法が出たからといって特に申し入れ等はしていない。

 ・(外務省の言葉で入れてしまうのでは神戸方式の意味がない、議会の決議を市長

の一存で覆していいのかなどの問いにも)カナダは非核国であるという外務省の言葉

を保証と解釈した。と答えを回避。

 と、総じて全く事態の重大性を認識していない。外務省の神戸方式憎しのイデオロ

ギーに共鳴したという訳でもない。ただズルズルと承認してしまったというのがあり

あり。

 神戸市議会は今月末に始まり、粟原さんや、共産党の質問は6月29日(恐らく午

後)になり、そこで市長に直接追求するとのこと。この機会が、神戸方式問題を一般

の人にもアピールする最初の機会になるでしょう。

 

ーーーキャッチピースの申し入れ文ーーーーーーー

神戸市長 笹山幸俊様

 

外務省の圧力に屈して非核神戸方式を棄てないでください

「周辺事態法」に対して神戸市の態度を明らかにしてください

 

(すでに私たち「脱軍備ネットワーク・キャッチピース」は5月28日にも申し入れ

を市長宛にお送りしていますが、パキスタンの核実験などもあり、再度別文で以下の

ことを要請します)

 

1998年6月4日

脱軍備ネットワーク・キャッチピース

(事務所住所)

〒222-0013

 横浜市港北区錦ヶ丘10-4-1-B TEL/FAX 045-433-3483

http://www.osk.3web.ne.jp/~btree/catch

E-mail:btree@osk.3web.ne.jp

 

前略

 カナダ海軍の補給艦「プロテクター」が5月28日に神戸港に入港しました。「非

核神戸方式」が今回も適用されるものだと思っていた私たちは、今回は神戸市が初め

て非核証明書の提出を要求することなくこの船の入港を許可したことを知って愕然と

しました。

 「同市では(1)日本政府の招待で親善交流が目的である。(2)外務省見解が核

兵器を搭載していないことを証明している。ーと判断。例外として今回は非核証明書

の提出を求めず、入港を認めることはやむを得ないと判断した。」(神戸新聞5月2

8日)と報道されていますが、なぜ20年以上続いたやり方を今回捨てたのかは理解

できません。

 そもそも「外務省が証明したから」というのが入港許可の条件になるとしたら、「

神戸方式」の意味はありません。外務省は「米艦は非核3原則を守っている」という

のが公式見解ですから、米軍艦はいつでも神戸港に非核証明書を提出することなく入

港できることになってしまいます。「神戸方式」の最大の眼目は、市長の権限で軍艦

の入港を拒否できるというという点にあります。この決定は市議会決議によるもので

すから、市長と言えどもこれを恣意的に覆すことはできないはずです。

 

 この「神戸方式」は、単に神戸市民にとってだけではなく、日本の平和を願う人に

とって象徴的な意味でも、実践的な意味でも大きな希望を与えています。ご存じのよ

うに、この「神戸方式」を積極的に取り入れようという自治体も現れています。今回

「神戸方式」を使わなかったことが、非核を実践している大きな港が方針を転換した

と、世界に受け止められればこれは掛値なしに人類の損失です。このカナダ艦が入港

した日に、パキスタンが初めての核実験を行ったことは不幸な暗合です。アジアで核

軍拡競争が始まろうとしている今こそ、本当は「神戸方式」が世界に輝く希望である

はずです。

 

 今回の入港許可には、外務省の地方自治を踏みにじる圧力・介入がありました。昔

は「黙認」してきた外務省が、今これほど「神戸方式」を目の敵にするのは理由があ

ります。新しい「日米ガイドライン」の下で、民間港の軍事利用が重視されています

。政府は4月28日に、自治体が米軍の戦争に協力することを定めた「周辺事態法」

を国会に提出しています。米軍による神戸港の利用にとって、じゃまになる「非核神

戸方式」を骨抜きにしてしまわなければこの法律も無意味だ。それが日本人の安全よ

りも、米軍の作戦を優先させる外務省の判断でしょう。

 

 長年神戸市と市民が守ってきた「神戸方式」を捨てさせようとする「新ガイドライ

ン」とは何でしょう?すでに多くの自治体がこの「新ガイドライン」に基づく「周辺

事態法」に対して疑問を投げかけています(その幾つかを添付しました)。この「周

辺事態法」は、すべての自治体、とりわけ大きな港や空港を抱える自治体に、自治体

制度ができて以来最大の決断を迫っています。国(または米軍)の言いなりになって

、戦争に協力する(丁度戦前のように)のか、地方自治の精神と「神戸港は、同時に

市民に親しまれる平和な港でなければならない。」(神戸市議会決議)という非核神

戸方式の原則に則り、独自の判断と政策を実施するのか。

 

 「キャッチピース」はさる2月28日から3月1日にかけて、神戸市内で全国会議

を開催し、もう一度「非核神戸方式の輝き」を確認しました。3月2日には神戸市総

務局におじゃまし、いろいろお話を伺い、意を強くしました。とくに、新「ガイドラ

イン」ができて以来、約50の自治体から「非核神戸方式」に関する問い合わせがあ

ったと聞き、感銘を受けたものです。

 

 笹山市長さんにお願いします。「神戸方式」という世界に誇り得る財産を、国民に

よって選ばれたのでない一官庁の役人の不当な圧力で葬り去らないでください。今後

、すべての外国軍艦に対しては、従来のように必ず非核証明書を提出することを義務

づけて下さい。そしてそれを拒否する軍艦の入港を認めないでください。

 また、新しいガイドラインの下で、国や米軍が神戸港・神戸市に対して何を要求し

ようとしているのか、明確にするように要求してください。そしてそれが、神戸港が

「市民に親しまれる平和な港」となることを止めるようなものであれば、断固として

拒否の姿勢を明確にしてください。

 

[キャッチピース全国運営委員]  

伊波洋一(沖縄県議会議員) 神田公司(くまもと市民センタ

ー)   今川正美(佐世保軍事問題研究会)   三木のりこ(ピース

リンク広島・呉・岩国)湯浅一郎(ピースリンク広島・呉・岩国) 中北龍太郎(関

西共同行動

)吉田満智子(蓮塾:京都) 青木雅彦(反戦ドタバタ会議

:京都)河辺昭敏(あいち反戦の会) 林秀樹(金沢市民運動

連絡センター) 新倉裕史(非核市民宣言運動ヨコスカ) 遠藤洋一(福

生市民連合)      梅林宏道(平和資料共同組合)     田巻

一彦(キャッチピース編集部)  山中悦子(キャッチピース編集部)

皆川みずえ(キャッチピース編集部)

 

−−−−−以下「周辺事態法」での自治体の申し入れを資料として添付しましたが、

ホームページに載せているのでここでは略−−−−−−−−−−−

 

ーーーー大阪の「戦争への道=有事立法制定に反対しよう!実行委員会」申し入れ文

神戸市市長 笹山幸俊 殿

 

カナダ軍艦の神戸入港容認への抗議・申し入れ

 

 カナダ統合軍太平洋艦隊の補給艦「プロテクター」(8.380トン・乗組員 250名)の

神戸港入港にあたり、外務省が「非核証明の不要」を伝達し、神戸市がこれを容認し

、「プロテクター」は入港しました。

 1975年の神戸市議会「決議」以後、「非核神戸方式」は23年間守られ、17

隻の外国軍艦に適用されてきました。そしてこの決議とそれを受けた神戸市の活動の

おかげで、核兵器搭載疑惑のあるアメリカの艦船は一度も入港できませんでした。

 ところが、昨年秋の新ガイドラインの取り交わしを前後して、アメリカ軍部は、日

本のアメリカ軍への後方支援の一環として全国の港湾や空港を利用したい意向を伝え

てきました。この中に神戸港や大阪港が含まれていました。ここにきて、いよいよア

メリカの軍事活動にとって、1975年の神戸市議会決議、いわゆる「非核神戸方式

」を撤廃させることが急務になってきました。そのアメリカ軍の意を受けた日本政府

と外務省は、この「神戸方式」を敵視し、撤廃させるために動き始めたのです。さら

に高知県のような「神戸方式」から学び受け継ごうとする動向に対しても、これを阻

止するために圧力をかけ続けています。

 今回の「プロテクター」の入港に際して、外務省は「カナダは非核国だから、非核

艦船の証明はいらない」と横やりを入れてきたと言うことです。報道よれば、カナダ

側は非核証名を出す方向で打診してきたにもかかわらず、日本政府外務省がそれを制

したとのことです。

 ここには、明らかに新ガイドラインに基づく日米の軍事協力のために、神戸港の「

外国艦船に非核証明を求める」方式を無力化させようとする日本政府・外務省の意図

が込められています。日本政府・外務省は、客観的に明らかになっている資料や状況

を無視して、「日本にいるアメリカ艦船や航空機には核兵器は搭載されていない」と

言い張っています。この論で行くと、「日本にいる米軍と艦船には核兵器が搭載され

ていないことが明らかなのだから、米艦船に対しても非核証明はいらない」となるこ

とは目に見えています。いや、今回のカナダ艦船「プロテクター」に対する処置は、

そのために仕組まれたものだったと考えるのが妥当でしょう。

 もちろん、私たちは、神戸市の方針・決議を無視してカナダ艦船の「非核証明」無

しの入港を押しつけた日本政府・外務省には強く抗議するものです。しかしまた、私

たちは、神戸市当局が、政府・外務省の圧力の前に自らの方針を放棄し、これを認め

たことにも強く抗議し、今後二度とこのようなことがないよう申し入れます。

 「神戸港は、その入港船舶及び取り扱いか持つ量から見ても世界の代表的な国際貿

易港である。利用するものにとっては使いやすい港、働く人にとっては働きやすい港

として発展しつつある神戸港は、同時に市民に親しまれる平和な港でなければならな

い。」この決議の精神を実現するためにも、神戸市当局が、自治体の平和外交を実現

するための強い決意を込めて、あらゆる圧力から神戸方式を守り抜かれるよう期待し

ます。

 1998年6月4日

            戦争への道=有事立法制定に反対しよう!実行委員会一同

 

 

 この解説記事は他の地方では載っていないかもしれません。記者3人でかなり力を

入れて取材しているのではあります。このうち遠藤哲也氏は神戸支局。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【毎日新聞6月4日 大阪版拡大3面 深層】

非核証明書なしカナダ軍艦入港 揺らぐ神戸方式

なし崩しの危機

背景に新ガイドライン?

問われる市の姿勢

 

カナダ海軍の艦船が先月28日、神戸市に非核証明書を提出しないで神戸港に入港し

た。同市が外国艦艇入港に「非核証明書」の提出を求める「非核神戸方式」を1975年

に始めて以来、初の出来事だ。市は「外務省から『核兵器を積んでいない』との電話

連絡があり、例外的な措置とした」と説明、方式の堅持を強調する。しかし、平和団

体は「非核証明書がないままの入港は、なし崩し的な方式の転換につながる」と警戒

を強める。新たな日米防衛指針(ガイドライン)に伴い、政府が立法化を目指す周辺

事態法案に「自治体の協力要請」が入っていることから、「入港は法案の地ならし」

と指摘する軍事評論家もいる。入港の背景と波紋を探った。

                   【三枝泰一、遠藤哲也、藤田宰司】

 ◆寄港の経緯

 補給艦「プロテクター」(8380トン)の寄港は、カナダ海軍のアジア親善訪問の一

環。寄港スケジュールが昨年末、外務省から神戸市に入って以来、市はカナダ総領事

館(大阪市)あてに2回、非核証明書を提出するよう要望書を送付。外務省にもカナ

ダヘ働きかけるよう求めた。

 しかし、神戸市がカナダ側に「タイムリミット」と伝えていた先月26日午後5時す

ぎ、笹山幸俊市長に入ったのは、外務省北米局幹部からの電話だった。「カナダは核

拡散防止条約(N PT)を締結している非核兵器国。艦艇にも核兵器は積んでいないと

理解してもらっていい」。異例の連絡だった。市は「従来の方式とは異なるが、実質

的に非核証明書の提出と同じ。政府を信頼したい」(山本信行・港湾整備局長)と入

港を認めた。

 外国艦艇入港は、87年以来11年ぶりで、笹山市政になって初めて。実務担当の港湾

整備局にも入港手続きに携わったことがある職員はいなかった。市は@親善交流が目

的Aカナダは非核国−などの点も考慮して判断したと説明するが、これまで非核証明

書を提出して入港した7カ国の艦艇17隻の寄港目的も大半が「親善」で、豪州、スウ

ェーデンなど非核国も含まれている。結局、市の判断根拠は「外務省の証明」に尽き

る。

 外務省は「艦艦の寄港は国の判断。自治体が寄港を妨げることがあってはならない

」との立場。鶴岡公二・北米1課長は「非核証明書の提出は、国際慣行から考えれば

極めて異例。神戸市に圧力をかける意思はなかった」と説明する。

 ◆方式の成立背景

 神戸方式の基となったのは、市議会が75年に全会一致で採択した「核兵器積載艦艇

の神戸港入港拒否に関する決議」。前年10月、ラロック元米海軍提督が「日本に寄港

する艦艇は核兵器を外さない」と米議会で証言したのが背景だった。第二次大戦後に

米軍に港湾を一部接収され、朝鮮戦争、ベトナム戦争などで米軍の支援・補給に利用

されてきた神戸の市民に大きな衝撃を与えた。

 当時の市長、宮崎辰雄氏は市議会で「疑わしい艦船の入港拒否」を表明。市議会港

湾交通委員会が、市長答弁に沿った形で決議文を作成。市は決議を受け、書面の提出

という独自の方式を発案した。

 これまでの23年間に入港した艦艇17隻はすべて証明書を提出。軍事上、核の存在の

有無を明らかにしない米国の艦艇は一度も入港していない。

 ◆全国への波紋

 県内全港湾で「非核紳戸方式」の採用を決めながら、今年3月議会での条例化を見

送った高和県。先月15日、外務省日米安全保障条約課との間で、初の協議会開催にこ

ぎ着けたが、同省は「憲法73条で保障された内閣の外交権限が、地方自治体に制約さ

れることは許されない」の一点張りだった。今回の”証明書なし入港”に同県幹部は

「本県に対してと同じ外務省の強い姿勢を感じる」と話す。

 また、港湾の半分が米軍使用の沖縄県・那覇港を管理する那覇市は「『神戸方式』

への期待は大きかった。早急に、今回の件の状況を調べたい」(市平和と国際交流室

)と強い関心を見せている。

 新ガイドライン策定にあたって米国は、日本周辺有事の際、国内15カ所の港湾の使

用を想定しているといわれる。その一つ、北海道・函館港を管理する函館市は昨年

10月、米軍揚陸指揮艦の寄港を機に、外国艦船の入港の際に核兵器搭載の有無を文書

で確認することにした。金勝夫・港湾管理部管理課長は「軍事利用を心配する市民感

情に応えていくことは自治体の義務」と述べる。

 ◆反発の声

 軍事評論家の前田哲男・東京国際大学教授は「『神戸方式』を苦々しく思っている

政府が、撤廃を狙った行為」としたうえで、「カナダは米国の核戦略から離脱する道

を模索している。市がもっと積極的に『神戸方式』の重要性を訴えていれば、カナダ

政府の理解は得られたはず」と主張。

 横田、佐世保など全国の米軍基地を監視する市民ネットワーク「リムピース」(約

6万5000人)の代表、遠藤洋一・東京都福生市議は「心配なのは『神戸方式』のなし

崩しが過大に取り上げられ、あきらめムードが広がること。声を上げることで、神戸

市が再度、核に対し、毅然とした態度を示さざるを得なくなる環境を作っていくこと

が大切」と話す。

 神戸市議会は共産、新社会両党が抗議声明を出した以外に具体的な動きは出ていな

いが、23日開会の6月定例議会でこの問題が取り上げられる見通しだ。新展開を見せ

る日米防衛協力の中で、「神戸方式」をどう守っていくのか、神戸市の主体性が問わ

れている。

--------------------------------------------------

 

 周辺事態法に反対する請願。地方自治法第124条に基づく請願書です。

 この後、広島県などできるだけ多くの県内の自治体議会(全部で87)に対し、同

様の請願を行っていく予定とのこと。

 同様の請願が出されている議会がありましたら、お知らせください。

 

-------------以下転載----------------------------------

呉市議会議長          1998年6月2日

 浜下積様

             請 願 書 

 戦争立法としてのガイドライン関連法に反対し、特に日本周辺事態措置法の<自治

体への戦争協力要請項目>の削除に関する請願 

                請願代表者:

            なまえ: 湯 浅 一 郎

 

     請願の趣旨 

 憲法が施行されて半世紀を越えた今年、その平和主義を捨て去ろうとする選択が日

本政府によって強行されようとしています。政府は4月28日、新日米防衛協力のた

めの指針(ガイドライン)の関連三法案を閣議決定し、国会に上程しました。この法

は、アメリカが世界のどこかで引き起こす戦争に、日本が国を挙げて金、もの、人な

どあらゆる面で支援し、支えるための法律であり、日本が戦争当事者になる宣言に等

しいもので、それだけで「平和産業港湾都市」をめざす呉市として絶対に容認できな

いものです。

 周辺事態とは「日本周辺地域における日本の平和及び安全に重要な影響を与える事

態」としているだけで、依然としてその定義は不鮮明ですが、戦闘や戦争を意味して

いることは歴然としています。政府は、あくまでも「周辺とは地理的概念ではない」

といい続けることで、日米安保の世界的規模での展開を意図しています。主な活動は

(1)米軍に対する「後方地域支援」(2)周辺事態の戦闘にかかわる遭難者の「後

方地域捜索救助活動」(3)国連安保理決議に基づく「船舶検査活動」(臨検)とし

ています。自衛隊法改正案では、邦人救出のために「輸送に適した艦船」も派遣でき

るとし、呉に配備されたばかりの揚陸艦「おおすみ」が対象になると考えられます。

しかし過去の戦争が示すように、「邦人救出」は戦端を開くきっかけになりやすい極

めて危険な作戦行動であることは言うまでもありません。日米物品役務相互提供協定

(ACSA)改正案は、戦時においても物品役務を国として提供していくという、ま

さに参戦することの意思表明に他なりませんが、これは国会にもかけずに、28日、

政府間で調印してしまいました。

 

 さらに、「周辺事態措置法」では、民間の港湾・空港や病院など施設提供に関する

政府による自治体への協力要請について、政府は(1)罰則で強制はしないが義務規

定である(2)正当な理由なく拒否すれば違法状態となる(3)自治体が理由の説明

をすべきだとしています。まさに国家の方針に自治体は言いなりになるべきであると

居丈高な態度で、自治体が独自の判断をとることを上から押さえ込もうとする強い意

志が示されています。4月には、全国基地協議会や防衛施設周辺整備全国協議会、渉

外関係自治体協議会が、当然にも事態を懸念して緊急要請をしましたが、防衛庁長官

は「法案が出てから」後で対処するとしていますが、これは民主主義の原則を一切無

視した暴挙です。事前に十分な説明をし、「合意」して初めて、民主的に政策が採ら

れていくことになるはずです。このような形で近未来の日本の政治の枠組みを決めら

れたら、市民はたまったものではありません。

 

呉市には、海上自衛隊と米軍弾薬庫があり、ガイドライン関係法が成立すれば、こ

れらが、新たな文脈におかれることは必至です。秋月弾薬廠がアジア太平洋地域での

戦争に弾薬などを供給することを日本国として認めていくことになりますし、米軍は

、広湾での米艦船の入港支援や車両・プレハブ施設の提供などを求めることが予想さ

れます。自衛隊については、邦人救出をめいうっての揚陸艦「おおすみ」や補給艦「

とわだ」、機雷除去のための掃海艦隊、臨検のための護衛艦の派兵などが正当化され

ることになります。そして、戦争となれば、呉港に寄港する米艦船への民間港の提供

、燃料・物資の補給、自治体職員の動員などで自治体への協力が、暗黙の強制として

機能することは必至です。これは、呉市民である自治体職員や自衛隊員の生命と安全

を脅かす可能性も秘めており、市民の安全と財産を守るべき呉市としては黙視できる

問題ではないはずです。

 

 私たちには、日本は次の時代に対して最悪の選択をしようとしているようにしか見

えません。事実上、日米安保条約を大改悪し、二国間の軍事同盟をアジア太平洋規模

に拡張し、戦争国家への道をつけようとしています。<日本周辺の事態>に日米が共

同対処する『戦争マニュアル』が自治体や市民のあづかり知らぬところで作られ、米

軍への支援として、自衛隊施設はもとより民間港・民間空港の使用や、民間労働者の

動員が盛り込まれようとしています。アメリカが始めた戦争に、自治体や民間の協力

体制も作り、日本が「国家」として戦争当事者になろうとするもので、憲法の平和主

義を放棄する重大な事態です。

 この半世紀、日本はまがりなりにも平和主義を貫き、少なくとも自らの意志におい

ては決して戦争に加担する道はとってきませんでした。今、政府は、ガイドラインを

新たにつくりかえることで、名実ともに日米安保を憲法よりも上位に位置づけ、世界

で唯一、世界のどこでも戦争を引き起こす能力を持ったアメリカの戦争同伴者になろ

うとしているのです。ガイドライン関係法は、その突破口を開く戦後最悪の法律案で

す。そのような選択を、次の世紀の直前に行うことは、差別をなくし、人権・生活権

を尊重する道を放棄するものとして断じて許すことはできません。そこで以下要請し

ます。 

 

請願項目 

 

(1) 現在国会に上程されているガイドライン関係2法案は、戦争をいかに

協力して遂行するかを公然と掲げているもので、憲法で戦争を放棄している日本にと

っては、踏み込んではならない問題のはずで、平和産業港湾都市としてガイドライン

関連法そのものに反対すること。 

(2)「日本周辺事態」を口実とした自衛隊施設・民間港・民間空港の使用や国立・

民間病院の使用、民間労働者の動員などの有事体制づくりを許さないために、自治体

として全力を挙げること。例えば、呉港に神戸方式のような規定や民間港の軍事利用

に反対する条例を作るなどの具体的な対応をとること。 

(3)この春、海上自衛隊呉基地に配備された大型揚陸艦「おおすみ」、掃海母艦「

ぶんご」は、軍事的な機能や役割からすれば、「専守防衛」の枠を一切無視した、海

外での作戦行動を前提として軍備です。特に「おおすみ」は、戦車を搭載した強襲上

陸用舟艇LCACを搭載し、強襲上陸作戦が可能な戦車揚陸艦であり、「自衛」の枠

組みを逆転するものであることは明白です。新ガイドラインに対応した自衛隊の変質

を象徴する、これらの配備を即時撤回するよう申し入れること。

(4)日米共同を含め実戦=戦闘を前提としたすべての演習に反対すること。特に6

月中旬から北海道十勝などで予定されている揚陸訓練を含んだ北方機動演習への揚陸

艦「おおすみ」、強襲上陸用舟艇「LCAC」の参加に反対すること。

 

              請願団体:入れるな核艦船!飛ばすな核攻撃機!

         ピースリンク広島・呉・岩国(30団体)アジアに学ぶ会 岩国

市職労平和研究所  カトリック正義と平和広島協議会共育・共生を進める広島連絡

会議   呉教育労働者研究会  呉YWCA79女たちから8.5広島集会世話人

会 芸南火電阻止連絡協議会原水爆禁止広島県協議会(広島県原水禁)原発はごめん

だ!ヒロシマ市民の会公害をなくす三原市民連絡会   在日韓国青年同盟広島県本

部  更紗の会市民運動交流センター福山  従軍慰安婦問題を考える会・広島 ス

トップ・ザ・戦争への道!ひろしま講座性差別は許さん!私たちは行動する会  全

国水平運動研究会  電磁波問題を考える会  トマホークの配備を許すな!呉市民

の会   東チモール問題を考える会 広島キリスト者平和の会 広島地区連帯労働

組合広島平和と生活を結ぶ会  デルタ女の会  日本キリスト教団西分区牧師会ピ

ースサイクル広島ネットワーク 除虫菊の会  広島YWCA    憲法九条の会

ヒロシマ

-------------------------------------------------------------------

 

『最新 有事法制情報 新ガイドライン立法と有事立法』

> 社会批評社編集部編 

> 1998年6月10日 社会批評社

> 本体1700円 ISBN4-916117-32-8

>

> ======================================================

>

> 目次

>

> 第1章 憲法と新ガイドライン下の「有事法制」水島朝穂

>

> ●新ガイドラインは「意図的悪文」

> ●国会承認手続を潜脱する手法

> ●「専守防衛」政策からの離陸−「周辺事態」概念

> ●対米軍事協力の質的拡大−三機能・十五分野・四十項目例

> ●海外での武力威嚇・行使への道−臨検と機雷掃海

> ●「非常事態法」制定を求める声

> ●「周辺事態措置法案」の閣議決定

> ●「軍事的合理性」の優先

> ●「普通の同盟関係」のアナクロニズム

>

> 第2章 徹底分析・周辺事態法案 小西誠

> ●周辺事態法案は有事法制

> ●周辺事態はどこまで拡がるか

> ●国会承認なしは自動的参戦

> ●武力行使へのエスカレート

> ●「後方地域」は区分けできるのか

> ●武器・弾薬も輸送する後方支援

> ●臨検に実力行使はともなうか

> ●自治体・民間の動員

> ●「対応措置}の白紙委任

> ●「警戒監視」は日米共同作戦

>

> 第3章 武装部隊で「邦人救出」を行う自衛隊法「改正」案 吉田典子

> ●「改正」案の内容

> ●自衛隊法の全体構造から見た矛盾―雑則活用の問題性

> ●「在外邦人輸送」の名目の意味

> ●船舶等を付加した意味−出兵の本格化

> ●上官の指揮による武力行便旧・自衛隊法一部改定案

>

> 第4章 日米制服組で兵站支援を決める有事ACSA 根津進司

> ●ACSAは兵站の相互支援

> ●武器・装備の後方支援は可能

> ●実施取り決めは部隊間で行う

> ●改定協定と周辺事態法案

> ●武器・装備の提供はどうなるか

> ●改定物品役務相互提供協定

>

> 第5章 「周辺事態法」下での自治体・民間の動員 藤尾靖之

> ●モデルとしでの湾岸戦争

> ●兵士リサイクル工場・医療労働者

> ●補給戦の最重要拠点・港湾労働者

> ●槍の矛先・空港、空港労働者

> ●警察が役所にやってきた・自治体労働者

> ●安保に首までドップリ・NTT労働者

> ●再び「大本営発表」・放送労働者

> ●JRは自衛隊と米軍の鉄道兵・鉄道労働者

> ●世界最強の日本商船隊・船舶労働者

> ●トラックは軍隊の大動脈・運輸労働者

> ●「防災」の仮面をかぶった戦争

> ●後方支援は戦争と一体

>

> 第6章 実体化する防衛庁の有事立法 纐纈厚

> ●はじめに

> 一、「有事」の本質と有事立法研究の目的

> ●戦時に限定されない「有事」概念

> ●戦前期有事立法との関連

> ●戦後有事立法の起点

> 二、旧ガイドライン策定時までの有事立法研究

> ●有事立法研究の概要

> ●有事立法研究の頂点−『三矢研究』

> ●『三矢研究』以後の動向

> 三、旧ガイドライン策定から現在までの有事立法研究

> ●有事立法研究の公式化

> ●八○年代以降の有事立法研究

> ●「周辺事態法案」の特徴

> ●おわりに

>

> 第7章 新ガイドラインのウラを読む 福好昌治

> ●新ガイドラインの実効性を確保

> ●新ガイドラインの隠された問題

> ●「周辺事態」対処の問題点

> ●ガイドライン・シフトとしての組織改編

> ●有事法制整備の展望

>

> 新ガイドラインのミニ知識

>  デフコンとは/表に出てきたROE/標準化協定と標準作戦規定/有事ACSAはWHNS

> 協定/三矢研究とブル・ラン作戦計画/原発、米軍基地への自衛隊の治安出動/朝鮮

> 戦争と日本掃海艇部隊

>

> 最新有事法制関係資科

> 一、日米の新防衛協力指針全文/二、周辺事態法案全文/三、有事法制についての提

> 言(平和・安全保障研究所)/四、緊急事態法制の提言案要旨(自民党安保調査会)

> /五、防衛庁における有事法制の研究について/六、有事法制の研究について(中間

> 報告)/七、有事法制の研究について(防衛庁)/八、法制上、今後整備すべき事項

> について(防衛庁)/九、当面の安保体制に関する考え方(自民党安保調査会他)

>

> *************************************************************

>  MARUYAMA K.  kaymaru@jca.ax.apc.org

>     2GO GREEN

> http://www.jca.ax.apc.org/~kaymaru/2GG_JCANET.html

 

 

 「国会で審議中」だから答えられないとは・・・・政府提出の法案なのです。「責

任者」が説明しなくてどうするのか。だいいち国会は全く審議してない。「審議」が

終わったときには法律ができてしまっている。自治体の方も、ここまで秘密にするの

は非常にヤバイことがあるに違いないと気づくべきです。自治体のいくつかの質問状は

http://www.osk.3web.ne.jp/~btree/catch/yuji/doc/jichi.htm

です。

 新たな質問状が提出されたらお知らせください。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

【朝日新聞6月11日】

周辺事態法案 自治体が質問状

政府が回答せず

「地方を軽視」と不満

 

 自治体に米軍への後方支援を求める周辺事態法案について、二百六十を超す基地周

辺自治体でつくる「全国基地協議会」(会長、沢田秀男・神奈川県横須賀市長)など

が、協力の内容と強制力などについて紹介していた質問状に対し、政府が「回答は困

難」と伝えていたことが十日、明らかになった。法案提出まで政府が詳しい説明をし

なかったことに続く今回の無回答」に、自治体の間には「当事者である地方を軽視し

ており、議会の質問にも答えられない」などの不満が高まっている。

 質問状は五項目で、防衛施設周辺整備全国協議会(会長・石川弥八郎東京都福生市

長)との連名で五月八日、内閣官房安全保障・危機管理室長に提出した。

 国からの回答は今月二日で、「国会で審議中のため、回答は困難」という内容だっ

た。無視された形となった自治体側は再度回答を求める方針で協議中だ。

 全国基地協議会は四月下旬にも国に緊急要望書を提出し、情報提供と市町村の意向

の尊重を求めていた。

「地方からの意見聴取も不十分なまま法案が提出された」としていた自治体側の不満

は募っており、自治体幹部の一人は「地方にも議会はある。何の情報もなけれは対応

のしようがない」と憤っていた。

---------------------------------------------

平和宣言に国際社会が直面した核問題を

 

中国新聞 '98/6/11

 

 平岡敬広島市長は十日、今年八月六日の平和祈念式で読み上げる 平和宣言につ

いて、インド、パキスタン両国の相次ぐ核実験を受 け、国際社会が直面した核問

題を踏まえた内容にする考えを示し た。市議会の一般質問に答えた。

 

 両国の核実験について、平岡市長は「米国やロシアが臨界前核実 験を繰り返す

など、核保有の固定化を進め、核軍縮に誠実に取り組 んでいないことなどが背景」

と指摘した。そのうえで「国際社会が 核兵器使用や核拡散の危機に直面している

現状を踏まえてヒロシマ の平和への願いを訴える平和宣言にしたい」と答弁した。

 

 米国の「核の傘」問題については「政府は核の傘に頼らない安全 保障体制の構

築に努力する必要がある」との姿勢をあらためて示 し、「国民一人ひとりが真剣

に議論を重ねつつ、政府に求めていか なければならない」と述べた。

 

 また、昨年九月に出された新たな日米防衛協力のための指針(ガ イドライン)

に基づく周辺事態措置法案について、市民局の三宅吉 彦理事は「具体的な協力の

内容がまだ明らかでない。情報収集しな がら、国会審議の推移を見守りたい」と

答えるのにとどめた。

 

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 「見守る」ってアンタ・・・国会ではまともな審議はしません。起立採決で終わり

。意見を言う暇もあらばこそ・・・