2002年4月20日(土)
平和問題ゼミナール
「国際協力の現場から」
インドネシア貧困対策プロジェクトに活かされる「からいも交流のノウハウ」
報告者:竹下 宗一郎(元国際協力事業団・参加型開発専門家)
場所:鹿児島大学中央図書館 3F会議室
@ビデオ上映:「南の家族」−からいも交流とは何か(TBS制作)
→ タイの留学生と鹿児島の農村
→ 都市と農村のひずみ
→ 経済発展の中で見失ったもの
→ 日本人が忘れ去った戦争の傷
→ 豊かさとは
→ そして「南の家族」
A「からいも交流」の発想
1、鹿児島の農村の閉鎖性を打破-「からいも交流・留学生ホームステイプログラム
2、「土人間」-鹿児島の人々と「風人間」-留学生との交流
→ 新しい「風土」の創造
→ 村の閉鎖性を打破し、村に自身と誇りをもたらす
B受け入れ家庭の反応
1、留学生を受け入れることへの戸惑い-「ガイジンが我が家にやってくる」
2、農家の戸惑いの原因-「人様に見せられるような家ではない。食事、寝具、便所・・・」→ 自らの毎日の生活に自信を失っている農家の姿
→ 村の閉鎖性を打破することの必要性
→ 受け入れをお願いする農業青年-「だからこそ受け入れをお願いしたいんです。」
C日常の生活の中に価値を見出す
1、受け入れ農家の悩み-「家がとにかく古い」
2、留学生の驚き-「この家は、歴史のある家ですね。」
→ 「古い家」から「歴史のある家」へ認識が変化
3、受け入れ農家の朝食の風景
→ 庭先の畑から菜っ葉を摘み、味噌汁の具へ
4、留学生の驚き-「毎日、新鮮な野菜が食卓にのぼります。この素晴らしい自然を大切にして下さい。これがある限り、第二の故郷としてまた戻ってきます。」
→ 受け入れ家庭の目覚め-「この田舎に住んでいるからこそ、留学生が来てくれる。」
5、留学生は田舎の生活を写す鏡
→ 留学生が、日常に潜む価値を拾いだし、それを示し、再認識させる。
Dアジアと鹿児島の運命の共振
1、3つの運命-「地」・「血」・「性」
2、アジアの留学生の言葉-「鹿児島が抱える問題は、私の村での同じです。」
「若者は村を捨て、都会に出てしまいます。」
3、鹿児島の受け入れ農家が留学生へ、アジアの農家が受け入れ家庭へ
→ カライモ+アジア交流 → カラモジア交流の誕生
4、カラモジア交流の地域開発手法
→ 「問題発掘型」から「資源発掘型」へ
Eカラモジア手法の政府開発援助への活用
1、これまでの日本の政府開発援助
→ 社会インフラ整備に偏重
2、インドネシア・スラウェシ貧困対策プロジェクトの事例
→ インドネシアの住民の自発性による開発(ビデオ上映)
→ 「村の中で誰が一番上手にトウガラシを作れますか」
→ 村の価値を探し、提示する
→ 組織から個へ、量から質へ
→ 自分が考え、自分が判断し、実行できることの大切さ
3、給水プログラムの事例(ビデオ上映)
→ 「水を必要としているのは男性ですか、それとも女性ですか」
→ 「給水施設が必要ですか、それともジェンダーという認識が必要ですか」
F地域開発とは
1、「個の目覚め」から「個の自立へ」
2、「個の自立から」から「個のネットワーク(連帯)」へ
3、地域開発の視座 − 破・守・創
4、「水の論理」から「火の論理」へ