平和ゼミ2月報告
2004年2月21日
法文学部 3年 水永 俊史
テーマ イラク戦争とこれから
こんにち地球のすべての住人は、いずれこの星が居住に適さなくなってしまう可能性に思いをはせるべきであろう。老若男女あらゆる人が、核というダモクレスの剣の下で暮している。世にもか細い糸で吊るされたその剣は、事故か誤算か狂気により、いつ切れても不思議はないのだ。 ジョン・F・ケネディー
我々が真摯に問いかけるべきことを、深呼吸して再考してみよ
う。日本の大人社会は恥じない選択をしただろうか。憲法理念さえ無視して、「アメリカの戦争」に拍手を送る姿に「所詮、アメリカについていくしかないのか」という諦念と自虐の心理を若者に与えた。アジアの目線から見たとき、期待できるアジアのリーダーと映ったであろうか(寺島)
T.アメリカの先制攻撃の非正当性〜検証@大量破壊兵器
1998年以降のイラクは国連決議が求めたレベルまで武装解除されたといえる状態にあり、大量破壊兵器は90〜95%まで、検証可能な形で破棄された。残りの5〜10%が必ずしも脅威になるわけではない、それだけでは兵器開発計画すら成り立たない。(リッター)
チェイニー副大統領は、イラクは2年以内に核爆弾を製造できると明言したが、彼を含めブッシュ政権の役人を問い詰めても、第二代査察団長リチャード・バトラーの証言を参考にしているだけで、根拠の無い憶測といえる。このことは昨年6月から査察を再開した政府チーム団長ケイの発言により益々明らかとなった。(資料)
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パウエルの国連の報告書は大学院生の盗用であった
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証拠でっち上げに協力するメディア
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化学兵器の製造施設が再開された可能性はない
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ディック・スパーツエルの驚くべき証言、実態 「生物兵器を保有していないというイラクの主張を裏付けるような状況証拠が出てくる調査はするつもりない」
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リチャード・バトラーとスパーツエルの関係
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イラクがアルカイダに大量破壊兵器を渡しているという政府の嘘
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チェイニー副大統領や役人が根拠にしているハディル・ハムザという人間は核兵器の設計者ではなかった
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リチャード・バトラーが、1991年4月の安保理687決議により生まれた兵器査察組織UNSCOMを1998年に潰した。
U.アメリカのイラク占領・被害〜検証Aイラクの混乱
米国のライス安全保障問題担当補佐官は「血を流した国が戦後復興の主導的役割を果たすのは当然」と発言。まるで海賊や山賊たちの戦利品分捕りの発想そのもの。フセイン政権の統治には問題があった、だからといって何千発ものトマホークミサイルやデイジーカッター、劣化ウラン弾、クラスター爆弾を撃ち込み、指導者たちを暗殺する権利や主権国家を侵略して政権を転覆し、新しい統治機構を暴力的に樹立する権利はない。(辺見)米国はフセインが弾圧したクルド人よりはるかに多いイラクの無辜の民を殺害した。(2月現在、民間人1万人以上殺害。{ボディカウントの調べ}イラク兵士3万人以上殺害)特に意識的に多くの民間人を殺害しているという点でアメリカはジュネーブ条約、ハーグ条約、国連憲章違反で戦争犯罪に当る。
前回の第一次イラク戦争においても同じことが言える。第一次イラク戦争では10万〜25万人のイラク人が直接的にアメリカによって殺され、その後の経済制裁によって100万人以上(最近の報告では500万)が間接的に殺された。(生物化学兵器を作るという理由で、一切の医療品関係輸入禁止。慢性的な食糧不足、イラクの食料自給率30〜40%のみ)さらに米軍が800トン以上使用した劣化ウラン弾(広島に落とされた原爆の14000〜36000倍の放射能に相当する。)の影響で、(放射能が微粒子となって広域に飛散)大気・水・土壌汚染は深刻。子どもは50万人の死亡が確認されている。
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ラムズフェルドや政府の望むものにならない民主化
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本当の民主化とは?
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イラクにもたらしたものは破壊と混乱と無秩序のみである
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米国防省が推すイラク国民会議代表のアハマド・チャラビという人物
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イラクの石油を可能なかぎり米国の利害に沿うようコントロール(資料)
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負傷者の実態(本田資料)(きくち)
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「もしブッシュ大統領が彼の娘たちを瓦礫の下から掘り出さなければならなかったら、彼はどんな気持ちになるだろうか」
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占領の真実。アラブの世界知らない暫定政府の役人たち(資料)
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サダム病院にて見たもの(本田)
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10年以内の患者はイラク人口の44%
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日本の劣化ウランも使われている(資料)
V.狂気のアメリカ、それに追従する日本の危険性
アメリカは安保理で否決されても単独で開戦・侵略に踏み切った。合衆国の歴史はこういうことの末に今日の地球史上最強・最悪の帝国となった。ワシントン初代大統領以来の二百余年間は、手段を選ばぬ詐欺・脅迫・テロ・虐殺による侵略史にほかならぬ。そのことは機会あるごとに触れてきたが、目前でまたしても超大軍事力によって同じことが強行された。「正確な合衆国史」にうといままその正体に気づかぬ例が多い日本人のためにも、正面から指摘しておく。(本多)
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日本の国益につながるという間違い{アンドリュー50〜55}(高橋)
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小泉首相、ブッシュ邸でご褒美
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集団的自衛権が行使されている今、後は憲法改正の儀式が残っているだけ
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アメリカの軍事再編の動き
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北朝鮮などの核施設破壊のための小型核兵器の開発急ぐ
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ネオコンの逆襲(資料)
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「拉致問題」解決の中で、メディアの情動的な報道が氾濫し、今や日本国内には外交的なリアリズムのかけらも見られない退廃的は雰囲気が漂っている。北朝鮮に対する蔑視感の深さを改めて思い知らされる。アメリカ共和党内の強硬派と日本国内の新右翼的な勢力、さらに韓国内の反共的な勢力の対北朝鮮シフトが形成されれば、「第二次朝鮮戦争」のカウントダウンの始まりが危惧される(カン・サンジュ)
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日本の武器輸出三原則見直し、ミサイル防衛戦略(専守防衛ではなく、先制攻撃)
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専門家はかたる、自衛隊はイラク人道復興の邪魔(資料)
W.終章〜希望に変えて
今起こっていることは、国家の途方も無い暴力性であり、人間の限りない非人間性であり、人知というものの存外な底の浅さではないだろうか。
戦争の時代には大いに反逆するしかない。その行動がときに穏当を欠くのもやむを得ないだろう。必要ならば、物理的にも国家に抵抗するべきである。(辺見)
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今ほど自治体の首長や議員の見識が問われている時代はない。特に有事法制では地方公共団体が戦争協力の義務があるだけに、自治体が非戦・反戦姿勢を強めれば、有事法自体が宙に浮く可能性がある(意見書など)
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貯蓄する先を選ぼう(30の方法)
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買い物で意思表示しよう
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自然のエネルギーで暮そう
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テロも戦争も裁判にかけよう
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自分たちで食べ物を作ろう
・平和のネットワークを広げよう(資料)