今年5月から6月にかけてインド、パキスタンであいついで核実験が行われ、現在の核不拡散(NPT)体制の矛盾や包括的核実験禁止条約(CTBT)の限界が誰の目にも明らかになりました。これらの背景には、何よりも核抑止論を前提としてあくまでも核先制使用禁止や核廃絶を拒否する核保有超大国のエゴがあることはいうまでもありません。
一方、世界各地での非核地帯条約の締結や国際司法裁判所での核兵器使用に関する審理の動きなど、国際的にも非核平和・核廃絶を願う人々の声、世論が高まってきています。
非核自治体宣言の広がりは、こうした非核平和・核廃絶の内外の世論をさらに高めていく上で重要な役割を果たしてきました。すでに全国の自治体のうち約7割が、さまざまな形で非核・平和の意思表示を行っています。鹿児島県においても、昨年9月までに県内すべての96市町村において、非核・平和宣言、同じく議会決議、陳情・請願採択等が実現しています。
ところが近年、このような世論に逆行する形で、米軍機・米艦船による全国の民間空港・港湾の頻繁な利用と日米共同演習のあいつぐ実施という、新たな事態が生じています。こうした米軍機・米艦船による民間施設の利用や日米共同演習の活性化の動きは、日米安保共同宣言(1996年4月)および昨年9月の新ガイドライン(「日米防衛協力のための指針」)に連動したもので、今秋の法制化が取り沙汰される「周辺事態法」を先取りする動きであると考えられます。
鹿児島県でも、米軍機の奄美を中心とする県内民間空港への着陸回数や米軍艦船の鹿児島港への入港回数はともに全国有数のもの(ここ10〜14年間で見ると全国3番目)となっています。また、吉松町とえびの市(宮崎県)にまたがる霧島演習場では、「殴り込み部隊」とも言われる米海兵隊と自衛隊との日米共同演習が今秋に予定されています。
とくに注目されるのは、昨年鹿児島港に入港した強襲揚陸艦ベロ−・ウッドを含む3隻の米艦船がいずれも核兵器を装備できる軍艦であったことです。周知のように、アメリカは、米艦船が核兵器を積んでいるかどうかを、明らかにしないという方針をとっています。このことは、県民が知らないうちに、鹿児島県内の港湾に核兵器が持ち込まれる危険性があることを示しています。
そこで、私たちは、国是でもある非核三原則(「核兵器を作らず、持たず、持ち込ませず」)を徹底させるために、鹿児島県に対して、「非核証明」を提出しない外国艦船の県内港湾(特に鹿児島港)への入港を拒否する措置を早急にとるように強く求めます。このいわゆる「神戸方式」は、寄港を希望する外国艦船に非核証明の提出を義務づけたもので、市議会決議(1975年)が出されてから今日まで米艦船の入港が一度もないという結果をもたらしています。
私たちは、郷土の安全と平和な海を守るための具体的な行動の第一歩として、以下のような「鹿児島県の港湾における非核・平和利用の徹底を求める県民宣言」を今年9月末を目途に地元新聞に意見広告という形で掲載することをめざしています。一人でも多くの県民の皆さんが、この私たちの呼びかけの趣旨に賛同して意見広告に協力していただくことを心から願っています。
「鹿児島県の港湾における非核・平和利用の徹底を求める県民宣言」
世界の恒久平和と核兵器廃絶は人類共通の長年の願いであり、その実現に向けて被爆国日本は特に大きな責任を負っています。鹿児島県ではすでに県内全ての96市町村が非核・平和自治体宣言や議会決議、陳情・請願採択等を行い、何らかの形で非核・平和の意思を表わしています。私たちは、これに示された県民の総意を生かすために、ここにあらためて鹿児島県に対して、国是である「核を作らず、持たず、持ち込ませず」の非核三原則を遵守し、県内港湾、とりわけ鹿児島港における非核・平和利用を徹底するよう求めます。
私たちは、県民の親しめる平和な海を実現するために、核積載艦船の鹿児島県内の港湾への入港を断固拒否します!
<呼びかけ人>「錦江湾・鹿児島の海の非核化をめざす意見広告の会」
荒川 譲(鹿児島大学) 西岡久鞆(鹿児島大学名誉教授) 網屋喜行(鹿児島県立短期大学) 増田 博(弁護士) 井之脇寿一(弁護士) 森 重孝(県被爆者福祉協議会) 大塚閏一(鹿児島大学名誉教授) 河原尚武(鹿児島大学) 八尾信光(鹿児島経済大学) 小栗 実(鹿児島大学) 仲村政文(鹿児島大学) 木村 朗(鹿児島大学) 長沼庄司(鹿児島短期大学) 平井一臣(鹿児島大学) 広瀬敏和(鹿児島大学) 秋山邦裕(鹿児島大学)
※力を合わせて一日も早く「非核・平和の錦江湾」を実現しましょう!
<皆さんの意見広告への積極的なご協力をお願いします!>
◎1人一口 1〇〇〇円より ◎郵便振替口座 01780−3−2277 ◎口座名義 錦江湾の非核化をめざす会 ※今秋9月末から遅くとも10月中の掲載をめざします。募金目標は、全面広告を前提に250万円以上です!
<お問い合わせ先>
「錦江湾・鹿児島の海の非核化をめざす意見広告の会」
事務局 木村 朗(E-mail:kimura@leh.kagoshima-u.ac.jp) TEL:(099)285-7654 FAX:(099)285-7615