
三月から四月にかけて、荒川河川敷の田島ヶ原では、一面にサクラソウが咲き誇る。このサクラソウを見に、今回は歩く。
JR埼京線の武蔵浦和で乗り換え、JR武蔵野線、中浦和駅下車。上を走る心大宮バイパスを目安に、北口に出て、バイバス下の歩道橋を渡る。
辺りは、工場が多く、一般道もトラックが多い。40号線志木街道を進み、鴨川を渡ると、そこは、4haあまりの田島ヶ原のサクラソウの自生地。1952年には特別天然記念物に指定されている。
荒川は秩父から流れ出て、東京湾に注ぐ川。上流から流されたサクラソウの種子が、田島ヶ原、浮間ヶ原、戸田など荒川下流に根付き、自生していたが、現在では自生しているのは、ここ田島ヶ原のみ。一説によると、鷹狩に出かけた徳川家康が、野に咲くサクラソウの
美しさを愛で、江戸城に持ち帰って以来、関心が急速に高まったとか、云う。現在は、桜草公園として、自然な状態で100万株ものサクラソウが自生しているという。
4ha、本当に広い。遠くから見ると、緑の中に濃いピンク、薄いピンクのサクラソウが点在する。なんとも綺麗である。たくさんの
種類があるようで、色の違いもそのせいか。白いサクラソウもあるようだが、見つけることは出来なかった。日本サクラソウの、楚々とした可憐さ、飽きることなく眺める。黄色く茂るノウルシに押されているのだろうか。それでも、今年は花付きが良く、増えてきていると聞く。20日は、サクラソウ祭りが開かれるという。
荒川の土手と鴨川に挟まれた田島ヶ原には、目障りな建物も無く、自然が一杯。南側にはアマドコロの群落、小さな蕾をつけて、花ももうすぐ。
志木街道をくぐり、
秋ヶ瀬公園へと進む。公園は、新緑の真っ盛り。ケヤキ、ヤナギ、雑木の多い公園は、色とりどりの緑。なんとも素晴らしい眺め。思わず、深呼吸!
舗装道路から森の中へと小道を入る。鬱蒼と茂る雑木林。その新緑は、息を飲むほど。そこは、野鳥園。たくさんの鳥のさえずりが聞こえる。
垂れ下がった枝をくぐり、獣道のような細い道を進む。道の傍では、ゴルフをする人が垣間見える。そこから離れるように、道を取り、中へ、また森の中へと進む。
バードウォッチングをする人たちに出会う。丁度今ごろは、渡り鳥が休息する時とか。いつもよりもたくさんの、そして珍しい鳥も見えるので、待っているとか。
森を抜けると、広い芝生。お弁当を広げる人、犬を走らせる人、昼寝をする人、そこにはのどかな空気が漂う。私たちも昼食。暑いくらいの日に、僅かに吹く風がなんとも心地よい。のんびりと一日を過ごす幸せ、であろう。

公園を北へ、もう少し探検。開けた所では、何かを採っている人たち。聞いてみる。セリを摘んでいるとか。そのセリも、この頃は減ってしまい、少ししかないとか。セリご飯、セリのおひたし、春の香りである。
さらに北へと進む。前を進む人の後を追って、小道を行くと、何か動くものが。ヘビ!青大将ではない、茶色のヘビ。マムシだろうか。慌てて後戻り、傍に広がる、畑へと道を替える。
田んぼでは、春の田起こし、その畦道を進む。田起こしの傍の休耕田には、ゴミの山。錆びた缶等も多く、長年に渡って捨てられているのか、何とも情けない光景である。ゴミ問題は、深刻である。この辺りの川はやはりゴミだらけである。

鴨川を渡り、土手道を少し進むと、土手下に、桜並木が始まる。今は、八重桜が咲き始め、まだ残る里桜に色を添える。畑も点在する、この桜道は、2キロ近くも続く。この緑道のような桜道は、鴨川桜堤通り公園と、道の終わりに看板が。

桜並木が終わると、鴻沼川に出会う。その川ぞいには、秋ヶ瀬緑道が整備されている。なんとも殺風景な緑道である。桜並木が、少しばかり続くと、後は緑は無い。それどころか、張り出した枝を切ってある。路面を緑に塗ってあるから、緑道なのか、とさえ思ってしまう、寂しい、そして木陰の無い暑い緑道である。鴻沼川は河川工事との看板があったが、その時
には、緑道も緑一杯にしてもらいたいもの。
秋ヶ瀬緑道は、中浦和駅まで続く。志木街道を右折、そのまま進むと左側に別所沼公園が広がる。大きな池の公園、水面を渡る風を楽しみながら、しばし休憩。
周囲900mの別所沼、メタセコイアが高い並木を形作る。広いとは言えない別所沼公園も、この高く聳えるメタセコイアが上への広がりを見せ、他の公園とは違った雰囲気をかもし出す。

釣りをする人がたくさん見られ、聞いてみると、ヘラブナ釣りだという。「ヘラブナに始まって、ヘラブナに終わる」というこの魚は、神経質で、釣り人とのせめぎ合いとか。見ている間にも、バニラエッセンス入りの特製のエサを、ヘラブナに取られていた。
別所沼公園を出て、歩道橋を渡ると、桜並木が続く。「花と緑の散歩道」。桜、アジサイ、ハナミズキが植えられ、中央分離帯の道は、綺麗に整備され、とても歩きやすい。丁度、桜祭りが終わった所らしく、桜にはたくさんの提灯が下がっている。なんとも、風情の無い事。桜並木の周りの住宅には、木々が余り見られない。春真っ盛りに、少々寂しい町並みである。右上高架に、埼京線が走り、下から見る高架線は、何とも味気ない。その埼京線の武蔵浦和の駅もすぐ。今日はこれでお終い。