よこやまの道
(歩行日ー2004/5/25)

永山駅(小田急多摩線)→諏訪永山ふれあいの道→よこやまの道→唐木田駅(小田急多摩線)(約12キロ)

「赤駒を山野に放し捕りかにて 多摩の横山徒歩ゆか遣らむ(万葉集)

多摩丘陵は武蔵野の国府(府中)から眺めると、横に長く連なる山々で、「多摩の横山」「眉引き山」とも呼ばれていたと言う。

「よこやまの道」のある尾根筋は、古代より武蔵野と相模野の両方を眺められる高台として、また西国と東国を結ぶ様々な交通の要衝として利用されてきた。この尾根筋には、鎌倉古道や奥州廃道、古代の東海道などの重要な歴史街道が並走・縦走し、その痕跡や伝説が語り継がれている。その「よこやまの道」を、今日は歩く。

小田急線永山駅下車。駅を背に、西友脇を真っ直ぐに進むと、永山北公園に入る。公園内をさらに、直進。お昼前だったが、中間テストの帰りなのか、下校時の高校生達とすれ違う。


公園は、緑に溢れ、爽やかな風が吹きぬける。桜の木々がたくさん見られ、春にはさぞ綺麗であろう。さらに進むと、商店街があり、角の郵便局を目印に左折、ここは、諏訪永山ふれあい道。多摩地区では、歩道が立体交差となり、遊歩道も完備、車に煩わされる事が無いのが嬉しい限り。

ポピーが咲き誇り、紫陽花の蕾も微かに色づいている。山法師の花の白さに、心洗われる思い。

すみれ幼稚園を過ぎ、小田急線の上を通ると、多摩東公園。ここで道を間違えてしまった。公園を回り込むべきところを、直進、どうもおかしい。公園まで戻り、やっと弓の橋を見つける。弓の橋を渡ると、「よこやまの道」と道標が現れ、道標に従って進めば、道に迷うことは無い(筈であった。)

この尾根道は、前にも途切れ途切れに歩いたのだが、都市基盤整備公団により、整備が進められ、多摩東公園の丘を起点とし、長池公園手前までの約9.5キロが予定されているが、現在大妻女子大までの7.5キロが開通したもの。

よこやまの道は、尾根筋にある。下を走る尾根幹線道路の騒音を聞きながら、土の道を進む。道に入ると、爽やかな風が吹き渡り、ウグイスの声に、別世界に来たよう。足取りも軽く、進む。整備後初めてなのだが、少々整備のしすぎを感じる。道標などはありがたいのだが、、鎖フェンスなどは必要ないように思う。自然を大事にした整備を願いたいもの。

緩やかなのぼり道を暫く進むと、瓜生黒川往還の道標。川崎市の黒川と多摩市の永山を結んでいた往還道で、昭和の初めまで、黒川の「黒川炭」や「禅師丸柿」を八王子方面や江戸に運ぶ近道であったと言う。

暫く進むと、古代東海道・分倍河原の合戦前夜の野営地・並列する古街道の案内板が。古代東海道とは、現東海道とは異なり、相模国府から武蔵国府間は多摩丘陵を通っていたと言う。黒川配水場の高台は、丸山城とも呼ばれ、古代東海道の物見やのろし台とも考えられていると言う。

鎌倉幕府滅亡の戦で知られる分倍河原の合戦前夜、幕府軍の北条泰家軍20万騎の軍勢が、新田義貞の大軍を迎えうつべく、この尾根で野営をし、翌朝、多摩川での激戦に突入したと言う。

地図の無い時代、現在地や目的地の方向を知るために、旅人は眺望の利く尾根を通り、この尾根には、数本の古道が並列する大規模な古道跡が、藪の中に残っていると言う。

暫く進むと、右側に、国士舘大学多摩校舎の建物がある。消防士のような服装をした学生が、構内に見える。その向こうには、パラメディックの車が数台停まっていることから、学部の訓練なのであろうか。少し先の左下には、国士舘大学のグランドが見える。

よこやまの道は、うねるように進み、国士舘大学グランド先からは舗装道。その角には、古道五差路の案内図。小野路別所と多摩永山の境界にあり、古道が集まる五差路であり、野津田・本町田へと続く古道が通っていたと言う。交通の要衝であり、小野路の宿を避けて鎌倉へ向かう事の出来る近道であったと言う。







国士舘の学生達がバイクで行き交う、急坂道を下り、多摩卸売市場を右手に見、左手には、谷戸が広がる。道を少し進むと、道標があり、岡上へと階段が整備されている。階段を登ると、そこも尾根道、妙櫻寺を回り込むように道が続く。

妙櫻寺から恵泉女学園大へと一般道を進む。大学を過ぎると、一本杉公園。公園内へと、道標に導かれる。池のある公園は、ひっそりと静まり返っている。道標に導かれるままに進むと、前に通った事のある、鎌倉古道。江戸時代には、日野往還、小野路道と言われ、新撰組の土方歳三や沖田総司が小野路宿への出稽古へ通った道とも言われる。残念ながら光量が足りず、この階段の道だけ。

道はさらに進み、右手に住宅街を見下ろす尾根道である。この先の道は、奥州古道(中尾道)が通っていたと言われる。奈良・平安時代に都と東国を結んだ官道が多摩丘陵を越えるルートに、「常盤道」「長坂道」「奥州廃道」「中尾道」の一つ。この道は足柄・箱根の峠から厚木・この辺りを経て北上する官道の一つである。

一般道へと下り、道標に従って進むが、次の道標が見当たらない。4つの目で見ても無い。南野交差点まで進み左折。暫く進んだ左手奥に、道らしきものを発見。あった。よこやまの道。住宅街の中を進んでくる。道標が無くなっていたのだろうか、魔か不可思議である。次回は、逆方向から、確かめてみよう。

この道は、まだ舗装も新しく、今回のために整備されたと思われる。都心の緑道と変わらず、少々味気ない。車に煩わされない事だけが、利点。この新しい道を進むと、車道に出る。

暫く進むと左側に、真新しい階段が見え、道標がある。ゴルフ場の中には、奥州廃道(長坂道)があったと言う。急な階段を登り、また尾根道へと出る。左手には、ゴルフコースが爽やかな緑色を見せ、ゴルファーの声がウグイスの鳴き声に混じって、耳に響く。

右側に大きなガスタンクを見ながら、最後の坂を上り、小山田緑地へと入る。最後の尾根道を進み、道を下る。

前回歩いた時には気が付かなかったのだが、車道際に、細い道が見える。やはり道標があり、よこやまの道。大妻女子大へと続く。大学の手前で「よこやまの道」は終わるが、南大沢の別所の長池公園までの道の整備が待たれる。一般道を道なりに進むと、唐木田駅は直ぐそこ。今日はこれでお終い。