鉄道模型 車両展示ケース




きっかけ

作りかけのままになっていたオーディオアンプを再開したいと思った。 が、ケースをどうするか。
せっかくつくるのだから、ここまではできないとしても、綺麗なケースを作りたいと思った。 アクリル板で作るとすると、板を切断、加工してくれるところはどこがいいか、ネットで調べてみた。  いくつかネットで注文できるお店も見つかり、建築模型や置物、テーブルマットなどの製作例が紹介されていた。 

ところで私の鉄道模型歴は、細く長くて幼稚園のときに初めてNゲージを手にしてから、車両や線路が少しずつ増えてきた。  何度も中断したのだが、友人から中古で譲り受けたり、プレゼントにもらったりする度に再開してきた。

前回、車両を買ったのは2年前。  もうすぐ模型店のポイントカードが期限切れになってしまうので、線路を2本くらい買って有効期限を延ばそうと、久々に鉄道模型店に入った。

模型店には、カラフルな車両が並べてあって、眺めているだけで楽しい。  私の模型も100両以上の車両が集まって、線路もかなりあるのだが、走らせることはほとんどなくなってしまった。  ブック型のケースに入れてしまったままになっている。

そうだ。 アクリルで車両ケースを作って部屋に飾ろう!

設計 2005.5.22(日)

どこに飾ろうか、部屋を見回す。 机、棚、本棚… 上へ上へ伸びていくので、残っている壁が少ない。  入り口のそば、出窓の下に飾れそうなのだが、1両 150mmの新幹線を10両くらい飾るとなると、幅が1m60以上ほしい。 短くするか。。。

もっと幅があるところが、あった。 窓とベッドの間に細長い壁があって、高さも幅も十分。  でもそこは、ベッドの横だから、何度も蹴られたり叩かれたりしてきた壁だ。  そんなところに模型を飾って大丈夫なのか、模型が飾ってあると壊さないよう気を使ってゆっくり眠れないかもしれないという心配もしたのだが、もう飾られる場所はそこしかない。  蹴っても叩いても壊れないように極力頑丈に作ることにした。  

5mm厚の透明アクリル板で作り、車両を飾る棚を前面板と接触させて、前面板が押されても反らないようにする。高さは45mm、幅1810mmが9段で100両以上入る。  前面板は、継ぎ目を作りたくないので、分割せず上につけた蝶番で跳ね上げる構造にした。この前面板をどうするかは、最後まで悩んだ。  蝶番が前面板の重さに耐えられるか、そして何より、蝶番をうまく固定できるかという工作上の問題もある。  

結局、前面板の開き方は、作りながら考えると言うことで、ほとんど先送り。 大丈夫か?

部品引き取り・加工開始 2005.5.28(土)

週末に工作ができるよう、アクリル板を注文しておいた。10種類のサイズにカットしてもらって、全部で36枚になった。  板が大きく送料もかかるので、車で引き取りに行った。お願いしたお店はここ。   全部5mmのアクリル板にしたので、結構重い。 取りに行ったら、値引きをしてくれた。  アクリル用接着剤と研磨剤も一緒に買って約14000円。  

本当は、切断面をバフ加工してもらうと楽なのだが、それでは接着作業だけで完成してしまうので工作にならない。  そして何より、予算をオーバーしてしまうので自分で端面処理することにした。  

帰りにホームセンターに寄ると、ディスクグラインダーが4000円で売っていた。「これを使えば、端面処理が楽かも」と淡い期待を抱いて購入する。  こうして、何か作るたびに道具が増えていく。  

耐水ペーパーで端面処理開始。 240番の耐水ペーパーにアクリル片をあてて、水をつけながらこする。  ノコの深さは0.1mmくらいあるらしく、ノコの痕を完全に消すには、かなり削る必要がある。 ディスクグラインダーにバフをつけて研磨してみる。  研磨材がいけないのか、バフがいけないのか、ピカピカになるのだが削れすぎてしまうことがあり失敗。 失敗したくないので、地道に手で削っていくことにする。 240番のあと、400番、1200番と順に削り、最後に研磨剤をつけて磨くと、切断面であることが判らないほど綺麗になる。  

しかし、端面の長さは長いし、削るのは大変。 が、やっていくしかない。

ひたすら端面処理 2005.5.29(日)

背面板と周囲の板を処理したところで、試しに枠を組み立てて様子をみることにした。セロハンテープで仮止めして外側から側板を押さえながら接着剤を流す。  毛細管現象でサーッと接着面に接着剤が流れ込んで、一瞬で接着する。 楽しい。 接着作業は、端面処理作業に比べて格段に楽しい。  

1辺接着すると、やり方がわかってくる。 まず、接着剤は、他のところに垂らさないよう、注意が必要。  接着剤を流すところにセロハンテープが貼ってあると、セロハンテープに接着剤が流れ込んでしまうことがあるので、貼らない方がいい。  アクリルを溶かして接着するので、接着部分はアクリルになる。気泡が入らないようにすれば、完全に透明になり、きれいに接着できる。  接着面は、接着剤で溶かしてしまうので、完璧な端面処理は必要ない。 そして、かなり強固に接着できる反面、失敗すると取り返しがつかない。

今日中に、前面板以外の端面処理を終えたい。 ひたすらヤスリをかける。力を入れて擦るより、速く擦った方が速く仕上がることがわかった。  しかし、単調だ。 音楽を聴きながら、楽しい接着作業を思い浮かべながら、どうやって壁に固定しようか考えながら磨く。

夜7時半、本日のノルマ達成。

接着作業 2005.6.4(土)

前面板。 これが最大で最後の山場。 0.5mmほど幅が大きくて収まらないので、ディスクグラインダーで削った。  やっぱり道具が役に立った。ちょっと削りすぎたところもあるが、収まってよかった。

前面板は結構重いのだが、使い勝手を考えても、上部に蝶番をつけて上に跳ね上げるようにするのが一番良さそうだ。  ジグソーで蝶番の入るスペースを作る。

ねじでつける蝶番ならば、ねじを締めるときに調整がきくのだが、アクリル用の透明蝶番は接着剤で接着してしまうので、曲がって接着してしまうともう修正はできない。  重さに耐えられるよう、6個の蝶番をつけることにしたが、それらの軸が曲がらないよう、注意して接着する。 曲がって付かないよう、前面板をはめ込んだ状態でセロハンテープで蝶番を仮止めしておいてから、ほんの少し接着剤を流して蝶番を固定し、  テープをはがして完全に接着する方法をとった。 これは、細心の注意を払って「エイヤ」でいくしかない。

さて、ゆっくり前面板を開いてみる。 少しだけきしむ蝶番が1つあったが、無事に開いてホッと安心する。

棚板になる10枚の細長い板を研磨剤で磨いて、接着作業に入る。仮組みしてみして、微妙な寸法調整をしてから接着する。  棚板が曲がった状態で接着しないよう、左右端を接着してから、45mm幅の板を棚板間に挟み、その板をスライドしながら接着した。

台の製作・設置 2005.6.5(日)

壁に大きな穴を空けたくないので、重いケースを支えるために台に載せ、細い釘で固定することにした。  ケースの10カ所に1.5mmの穴を斜めにあけ、そこに真鍮くぎを打って壁の石膏ボードに固定している。台は虫ピンを打っているだけだが、しっかり固定できた。

完成

展示ケースに線路をひいて車両を並べたときは、うれしくてたまりません。ずっと模型を箱に入れてしまっておいたのが、もったいないと思いました。 それに、はじめてのアクリル工作にしては、自分でもよくできたと思います。がんばって端面処理した甲斐がありました。  アンプのケースをつくる練習にと始めたのですが、大がかりな工作になりました。

列車を並べてみると青系や銀色の車両が多く、赤系の車両を持っていないことに気づきました。  そんなわけで、上から6段目の列車は、車両ケース完成記念として購入しました。  20年前に買った車両も並んでいます。  

ベッドに横になって、眺めると、なかなかです。 5mmのアクリル板で作ってあるので、かなり丈夫です。すでに何度か蹴りを入れましたが、大丈夫でした。  

       
前面板を開いたときの透明蝶番(左)  前面板を開くためのひも(中)  壁に固定しているくぎ(右)


(c) 1999 Ishijima Seiichiro
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