バスレフ型スピーカー
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■製作のきっかけ
スピーカーを買いに秋葉原へ行きました。完成品のスピーカーか、スピーカーユニット(音が出る部分)とスピーカーボックス(エンクロージャ)を買おうと思ったのですが、 「欲しいなー」と思うスピーカーは、どれも高く、完成したエンクロージャは、気に入った物が見つからなかったので、作ることにしました。
■情報収集
スピーカーを作るといっても、どのように作ったらいいのか、全くわかりません。このようなとき、頼りになるのが、インターネットです。 スピーカーを製作された方のホームページがきっとあるだろうと思い、検索しました。
見つかりました。さすがインターネットです。
このページには、スピーカーの製作方法が丁寧に書かれており、どのように作ればいいのかよくわかります。
作りやすいということで、バスレフ型スピーカーにしました。
■スピーカーユニット
スピーカーの大きさが決まったところで、スピーカーユニットを買いに、再び秋葉原へ行きました。 エンクロージャの容積は、スピーカーユニットによって決まっているのです。
スピーカーばかりを売っている店が何軒かあります。たくさんのスピーカーユニットが並んでいるのですが、エンクロージャに入れてみなければ、どんな音がするかわかりません。
大きさは決まっているので、しばらく眺めて、雰囲気が気に入った FOSTEX のFF125Kを買いました。果たしてスピーカーの選び方がこれでいいのか、わかりませんが、気に入った物なら、きっといい音を聞かせてくれるだろうと思い、 このスピーカーにしました。
■材料
エンクロージャを作るための、板を選びます。米松や、ラワン材などがいいそうなので、ホームセンターへ行き、選びました。
どの板を使おうか迷い、何軒かホームセンターを廻りました。
結局、ラワン材にしました。
内部に定常波が発生しないよう、防音材を入れなければなりません。秋葉原のスピーカーショップでガラスウールを買いました。
■道具
きれいに作りたかったので、この際、いい道具を買うことにしました。大切にすれば、道具は一生、いや、それ以上使えます。
電動丸鋸
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鋸をある程度うまく使えるようになったら買おうと、我慢していたのですが、板を切るのに時間がかかることと、電動丸鋸があっても鋸は必要だということがわかったので、買いました。
日曜大工用の小型な丸鋸です。約 5000円でした。
使ってみると、スパッときれいに板を切ることができました。ただ、鋸と同じように、まっすぐに丸鋸を送らないと、きれいに切れません。
一見、危ない道具に見えますが、歯にカバーが付いており、切るときカバーが自動的に開くようになっています。ブレーキも付いていて、安全にできています。
これほどいい道具なら、もっと早く買えばよかったと思いました。
サンダー
大きい穴を開けたところや、切り口、表面などをきれいにするために用意しました。
紙やスリよりも速く削れ、長持ちします。
オービタル・サンダー
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板の表面をきれいに削りたかったのですが、紙ヤスリで削っていたのでは、時間がかかります。
オービタル・サンダーは、紙ヤスリをセットし、スイッチを入れれば、ヤスリがものすごい速さで楕円運動します。
この道具がなくても作れるので、買おうかどうか迷ったのですが、思い切って買ってしまいました。7000円くらいでした。 削り粉を集塵してくれるサンダーもあります。
使ってみると、紙ヤスリで削っているのが信じられないほど速く削れます。さすが電動工具です。
板の表面を磨くと、あっという間にすべすべになります。組み立てたあと、少し飛び出したところは、オービタル・サンダーで削れば、きれいになります。
さしがね
L字の定規です。正確にけがくことができなければ、きちんと切ることはできません。今までは、安いさしがねを使ってきたので、いい物を買いました。
今まで使ってきた物と違い、よくたわんで、正確にけがけます。
その他
ドリルの歯、回し引き、刷毛などをそろえました。
■製作
早く完成させたい気持ちで一杯でしたが、焦るといい物ができないので、なるべくゆっくり作るようにしました。
冬に作ったため、日が落ちるのが早く、学校から帰ってくるとすでに暗くなっており、なかなか工作時間をとれませんでした。
買ってきた板の幅が2mmほど違っていて、組み立てることができませんでした。幅180mmとして売られている板も、実際には誤差があり、気を付けなければなりません。
メジャーを持っていき、幅を測ってから買った方がいいことがわかりました。それにしても、2mmも幅が足りないのはひどいです。切ってから気が付いたので、交換できませんでした。
板は、鋸と丸鋸で切断しました。スピーカーユニットが入る穴と、ダクトはドリルで小穴を開け、回し引きで切ってから、サンダーで仕上げました。ジグソーがあれば、もっと速くきれいに切れます。 今度は、ジグソーが欲しくなりました。
切断が終わったところで、オービタル・サンダーで表面を磨きました。あっという間に板がピカピカになります。ターミナルを取り付けてしまうと、磨けません。
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寸法通りに切断できたことを確認します。切断面がきれいでないと、隙間ができ、空気が漏れてしまいます。ここで、ターミナルを取り付けます。組み立ててからでは取り付けできません。スピーカーユニットとターミナルを結ぶ配線も、このとき済ませました。
空気が漏れないよう、木工用ボンドをはみ出すほどたっぷり付け、仮止め釘を打って組み立てました。はみ出したボンドは、塗れ雑巾で拭き取れば、きれいになります。
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箱に組みあがったところで、中にガラスウールを入れました。側面の板を付けて、組立完了です。
ボンドが完全に乾いたところで、再びオービタル・サンダーを使って、板がずれたところや、ボンドが出ているところを削りました。内部にゴミが入らないよう、ダクトとスピーカーユニットが入る穴をふさぎ、ターミナルにはマスキングしてから削りました。
この行程で、一気にきれいになりました。はじめからきれいに作ることができれば、いいのですが、素人の私では、ぴっちりと組み立てるのは難しいです。私の腕よりもいい物ができたのは、電動工具のおかげです。
角を丸くしました。かんなで削り、これもまたオービタル・サンダーで削れば、きれいなRになります。
木の暖かみを生かそうと思い、ニスを塗ることにしました。ニスの色でスピーカーの雰囲気が変わるので、どのニスにしようか、ずいぶん迷いました。アサヒペンの水性ニスで、色はライトオークにしました。好みの色になってくれたので、安心しました。
最後に、スピーカーユニットとターミナルを結線し、取り付ければ完成です。
■視聴
いよいよ、視聴です。何度もホームセンターに足を運び、じっくり作って、やっと完成した物なので、ドキドキします。
まだ、いいアンプを作っていないので、前に製作した簡単なアンプをつなぎました。
CD Playerは、ONKYO のC-724で聞いています。スピーカーユニットをエンクロージャに入れる前は、全く出ていなかった低音が出るようになりました。どうしてエンクロージャが必要なのか、よくわかりました。
ダクトに耳を近づけると、そこから低音が出ているので、うれしくなりました。
デジタル回路なら、設計段階で完成したときの動作を予想できていますが、スピーカーやアンプといったアナログな物は、完成するまでどうなるか予想がつかないのが、おもしろいところだと思いました。(たくさん製作されている方なら、ある程度予想できると思いますが。)
初めてスピーカーを作り、まともな物ができるか心配だったのですが、思っていたよりもいい音を聞かせてくれたので、大満足です。家に帰ってくると、まず音楽を聴く毎日です。
(c) 1999 Ishijima Seiichiro