バスレフ型スピーカー





製作のきっかけ

スピーカーを買いに秋葉原へ行きました。完成品のスピーカーか、スピーカーユニット(音が出る部分)とスピーカーボックス(エンクロージャ)を買おうと思ったのですが、 「欲しいなー」と思うスピーカーは、どれも高く、完成したエンクロージャは、気に入った物が見つからなかったので、作ることにしました。


情報収集

スピーカーを作るといっても、どのように作ったらいいのか、全くわかりません。このようなとき、頼りになるのが、インターネットです。 スピーカーを製作された方のホームページがきっとあるだろうと思い、検索しました。

見つかりました。さすがインターネットです。

Jazz & Coffee Billie

このページには、スピーカーの製作方法が丁寧に書かれており、どのように作ればいいのかよくわかります。

作りやすいということで、バスレフ型スピーカーにしました。


スピーカーユニット

スピーカーの大きさが決まったところで、スピーカーユニットを買いに、再び秋葉原へ行きました。 エンクロージャの容積は、スピーカーユニットによって決まっているのです。

スピーカーばかりを売っている店が何軒かあります。たくさんのスピーカーユニットが並んでいるのですが、エンクロージャに入れてみなければ、どんな音がするかわかりません。

大きさは決まっているので、しばらく眺めて、雰囲気が気に入った FOSTEX のFF125Kを買いました。果たしてスピーカーの選び方がこれでいいのか、わかりませんが、気に入った物なら、きっといい音を聞かせてくれるだろうと思い、 このスピーカーにしました。


材料

エンクロージャを作るための、板を選びます。米松や、ラワン材などがいいそうなので、ホームセンターへ行き、選びました。

どの板を使おうか迷い、何軒かホームセンターを廻りました。

結局、ラワン材にしました。

内部に定常波が発生しないよう、防音材を入れなければなりません。秋葉原のスピーカーショップでガラスウールを買いました。


道具

きれいに作りたかったので、この際、いい道具を買うことにしました。大切にすれば、道具は一生、いや、それ以上使えます。

電動丸鋸

    鋸をある程度うまく使えるようになったら買おうと、我慢していたのですが、板を切るのに時間がかかることと、電動丸鋸があっても鋸は必要だということがわかったので、買いました。

    日曜大工用の小型な丸鋸です。約 5000円でした。

    使ってみると、スパッときれいに板を切ることができました。ただ、鋸と同じように、まっすぐに丸鋸を送らないと、きれいに切れません。

    一見、危ない道具に見えますが、歯にカバーが付いており、切るときカバーが自動的に開くようになっています。ブレーキも付いていて、安全にできています。

    これほどいい道具なら、もっと早く買えばよかったと思いました。

サンダー

    大きい穴を開けたところや、切り口、表面などをきれいにするために用意しました。

    紙やスリよりも速く削れ、長持ちします。

オービタル・サンダー

    板の表面をきれいに削りたかったのですが、紙ヤスリで削っていたのでは、時間がかかります。

    オービタル・サンダーは、紙ヤスリをセットし、スイッチを入れれば、ヤスリがものすごい速さで楕円運動します。

    この道具がなくても作れるので、買おうかどうか迷ったのですが、思い切って買ってしまいました。7000円くらいでした。 削り粉を集塵してくれるサンダーもあります。

    使ってみると、紙ヤスリで削っているのが信じられないほど速く削れます。さすが電動工具です。

    板の表面を磨くと、あっという間にすべすべになります。組み立てたあと、少し飛び出したところは、オービタル・サンダーで削れば、きれいになります。

さしがね

    L字の定規です。正確にけがくことができなければ、きちんと切ることはできません。今までは、安いさしがねを使ってきたので、いい物を買いました。

    今まで使ってきた物と違い、よくたわんで、正確にけがけます。

その他

    ドリルの歯、回し引き、刷毛などをそろえました。


製作

早く完成させたい気持ちで一杯でしたが、焦るといい物ができないので、なるべくゆっくり作るようにしました。

冬に作ったため、日が落ちるのが早く、学校から帰ってくるとすでに暗くなっており、なかなか工作時間をとれませんでした。

買ってきた板の幅が2mmほど違っていて、組み立てることができませんでした。幅180mmとして売られている板も、実際には誤差があり、気を付けなければなりません。

メジャーを持っていき、幅を測ってから買った方がいいことがわかりました。それにしても、2mmも幅が足りないのはひどいです。切ってから気が付いたので、交換できませんでした。

板は、鋸と丸鋸で切断しました。スピーカーユニットが入る穴と、ダクトはドリルで小穴を開け、回し引きで切ってから、サンダーで仕上げました。ジグソーがあれば、もっと速くきれいに切れます。 今度は、ジグソーが欲しくなりました。

切断が終わったところで、オービタル・サンダーで表面を磨きました。あっという間に板がピカピカになります。ターミナルを取り付けてしまうと、磨けません。

ダクトを組み立てたところ

寸法通りに切断できたことを確認します。切断面がきれいでないと、隙間ができ、空気が漏れてしまいます。ここで、ターミナルを取り付けます。組み立ててからでは取り付けできません。スピーカーユニットとターミナルを結ぶ配線も、このとき済ませました。

空気が漏れないよう、木工用ボンドをはみ出すほどたっぷり付け、仮止め釘を打って組み立てました。はみ出したボンドは、塗れ雑巾で拭き取れば、きれいになります。

ガラスウールを入れたところ

箱に組みあがったところで、中にガラスウールを入れました。側面の板を付けて、組立完了です。

ボンドが完全に乾いたところで、再びオービタル・サンダーを使って、板がずれたところや、ボンドが出ているところを削りました。内部にゴミが入らないよう、ダクトとスピーカーユニットが入る穴をふさぎ、ターミナルにはマスキングしてから削りました。

この行程で、一気にきれいになりました。はじめからきれいに作ることができれば、いいのですが、素人の私では、ぴっちりと組み立てるのは難しいです。私の腕よりもいい物ができたのは、電動工具のおかげです。

角を丸くしました。かんなで削り、これもまたオービタル・サンダーで削れば、きれいなRになります。

木の暖かみを生かそうと思い、ニスを塗ることにしました。ニスの色でスピーカーの雰囲気が変わるので、どのニスにしようか、ずいぶん迷いました。アサヒペンの水性ニスで、色はライトオークにしました。好みの色になってくれたので、安心しました。

最後に、スピーカーユニットとターミナルを結線し、取り付ければ完成です。


視聴

いよいよ、視聴です。何度もホームセンターに足を運び、じっくり作って、やっと完成した物なので、ドキドキします。

まだ、いいアンプを作っていないので、前に製作した簡単なアンプをつなぎました。

CDプレーヤー
CD Playerは、ONKYO のC-724で聞いています。

スピーカーユニットをエンクロージャに入れる前は、全く出ていなかった低音が出るようになりました。どうしてエンクロージャが必要なのか、よくわかりました。

ダクトに耳を近づけると、そこから低音が出ているので、うれしくなりました。

デジタル回路なら、設計段階で完成したときの動作を予想できていますが、スピーカーやアンプといったアナログな物は、完成するまでどうなるか予想がつかないのが、おもしろいところだと思いました。(たくさん製作されている方なら、ある程度予想できると思いますが。)

初めてスピーカーを作り、まともな物ができるか心配だったのですが、思っていたよりもいい音を聞かせてくれたので、大満足です。家に帰ってくると、まず音楽を聴く毎日です。




(c) 1999 Ishijima Seiichiro
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