2Way バスレフ型スピーカー





製作のきっかけ

就職して寮に住むようになったのですが、音楽のない生活は考えられません。寮から実家は2時間くらいなので よく帰っていますが、実家でも音楽が聴きたくなります。置き場ができるので、この際新しいスピーカーを作ることに しました。「作ろう」と思いたつと、すぐ作りたくなってしまいます。

アナログ回路の師匠に相談し、 今度は2Wayで行くことに決定。前回と同じくFostex製のユニットを使い、ウーファー FW168Nと ツイーターFT48Dで 作ることにしました。ゴールデンウィークの10連休をフルに使う計画です。

箱に入ったFW168N

情報収集

長岡鉄男さんの本を読み、スピーカーの基礎を勉強しました。スピーカーユニットの構造説明からエンクロージャ、 ネットワークの説明があり、おもしろかったです。ツイーターがどうしてあのような形をしているのか、ウーファーがどうして 大きいのかなどの理由がわかります。

エンクロージャは、理論的な容量の決め方なども書かれていたのですが、 いくつもスピーカーを作った人ならわかるかもしれませんが、1つしか作ったことがなく、たくさんのスピーカーの音を 聴き比べたこともない私には、「結局、作ってみなければわからない」ものでした。

でも、ダクトのサイズの決め方など、読んでなるほど、と納得しました。


材料と部品

手に入る材料を探しに、ホームセンターを回ったのですが、前回同様、ラワン材くらいしか手に入りそうもありませんでした。 もっと遠征して探し回れば、別の木材も見つかるのかと思いますが、ラワンは加工もしやすく、前回使った経験が生かせそうだったので ラワンを使うことにしました。

ユニットなどを秋葉原へ買いに行きました。実際にウーファーのユニットを手にすると、がっしりしていて、ずっしりと重く、 格好いいので嬉しくなります。 ツイーターは、音の出るドーム部分が小さいので、これで大きな音が出るというのが信じられません。

コイル、コンデンサなど、ネットワーク部品も一緒に買いました。コンデンサは、ピンきりだったのですが、「最初はあまり高いのをかわず、 あとでいろいろ代えてみた方が楽しめるよ」という店員さんのアドバイスを聞いて、適当に選びました。

クロスオーバー周波数(高音を出すツイーターと低音を出すウーファーの役割分担をどの周波数に設定するか) は、 本に書いてあったことを参考にして、1kHz付近に設定しました。

ターミナルは、1個1000円くらいで格好いい物がありましたが、今回のスピーカーはツイーター、ウーファーでそれぞれ端子をつけることに するので、合計8個必要になります。ターミナルだけで8000円もするのは、ちょっと考えものです。妥協して前回と同じく 1個400円程度の物にしました。でも金メッキ品です。

ネットワーク部品が案外高く、全部で5万円を越えました。

設計

WinISDというエンクロージャ設計ソフトをここからダウンロードし、 パラメータをいろいろ変えて試してみましたが、やはり、聴いてみないとわかりません。

エンクロージャの容量は、Fostex推奨の11Lに設定し、ウーファーの説明書に書かれていた作例を少し変更しました。

ウーファーが付く、全面のパネルは特に厚い方がいいそうなので、板を2枚重ねにしました。全部14mm厚のラワンを使っています。 内容積10.8L, ダクト長17cm, ダクト開口面積20cm^2 となっています。

設計図(PDF)

製作

罫書きが終わった板

製作時間が限られているため、手際よく作りたいと思いました。前回作ったときには、初めての丸鋸で 慣れていなかったことと、板を切っては罫書き、切っては罫書きを繰り返して、板を切るのにかなり時間がかかりました。 今回は、丸鋸の切りしろを考え、すべて罫書いてから切ったところ、とても速く切ることが出来ました。 また、丸鋸にも慣れてきて、前回よりまっすぐ綺麗に切れるようになりました。

板を切る

次は、スピーカーユニットが入る大きな丸穴を開けます。ドリルで円の内側に沿ってたくさんの穴を開け、 それを回し引きでつなぎ、ヤスリで仕上げる方法でやったところ、とても大変でとても8個の穴を開ける気にはなりませんでした。

やはり、あの道具を買わないと...

ジグソー

ジグソーを買いました。凄い早さで丸い穴を開けられました。しかも、綺麗に切れるので、あんなに苦労して開けていたのが バカみたいです。便利な道具はいいです。

丸い穴を開けたところ

すべてのパーツができあがったところで、組み立てに入りました。2枚の板をボンドで接着し、前面のパネルにしたのですが、 板がかなり反っていてピッタリと接着するのに苦労しました。

2枚の板を接着

ボンドが乾くのに時間がかかるので、いっぺんに作業を進められません。ボンドはたっぷり付けて、雑巾で拭き取ります。 板が反っていて、切り口を修正してピッタリになるようにしたので、組み立てに時間がかかってしまいました。 前回の教訓を生かし、板の厚さをしっかりと測ってから買ったのですが、今度は、板の反りがないこともチェックしようと思います。

前面バッフル ボンドをたっぷり塗って

ターミナルは先にとりつけ 吸音材を入れたところ

組み立てながら、ずっと悩んでいたことがありました。塗装をどうするか、です。 前回はイメージしていた色があったので、すぐに決まったのですが、今回はイメージが湧きません。 塗装してから色が気に入らなくても、どうしようもないので、どこかのページで紹介されていた方法で色を検討しました。

前面パネルにユニットをはめ、デジカメで撮影し、PhotoShopで色調などを調整して色を見るという方法です。 なかなか楽しいです。

色を検討

どんなイメージになるのか、わかるのですが、やはり悩みました。前回と同じ色も好みなのですが、ちょっと変えたい という気もします。また、塗装方法によって質感が変わるので、結局色の候補を絞っただけでホームセンターへ行きました。

水性、油性の色つきニスなど、様々な塗料があって、またどれにしようか悩みます。塗装したサンプルもあるのですが、 板の材質が違うので、塗ってみないとわかりません。水性ステインとニス、トノコを買いました。

板切れを使ってトノコを塗ったもの、塗らないもの、ニスを塗った物...組み合わせたもの、などのサンプルを幾つもつくり、 検討しました。最後の塗装で失敗したくありませんからね。

結局、トノコを塗り、水性ステインを1度だけ塗り、ニスは塗らないことにしました。水性ステインを2回塗ると、色が濃くなり、 木らしくなくなってしまうことと、ニスを塗ると光りすぎて落ち着きがなくなってしまいそうだったからです。

水性ステインを使うのは初めてだったのですが、板の色に比べてかなり濃い色なので、塗るのが難しかったです。 でも、落ち着いた色になったと思います。

組み立て完了 トノコを塗ったところ

塗装中

完成したのは、予定通り、ゴールデンウィークの最終日でした。作るのに10日間丸々かかってしまいました。

視聴

できあがってから数日おいてから聴いた方がいいそうなのですが、どうしても聴いてみたくなり、 ボンドが乾いてから2日以上経っているので、聴いてしまいました。 とりあえず1つネットワークを空中配線で組み、簡単なアンプでモノラルで聴いてみたのですが、良さそうです。 たっぷり低音が出ていて、大音量にすると腹が響くのが嬉しいです。

ネットワーク

いつものCDプレイヤーとアンプは寮に置いてあったため、本格的な視聴は、数週間後になりました。 ラッキーなことに壁の厚い寮に移ったため、以前より大きな音で音楽が楽しめそうです。

しばらくモノラルで聴いていたのですが、高い音から低い音まで幅広く出ているのがわかりました。 2Wayの効果でしょうか。解像度が上がった、という感じです。





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