横浜で本場もののフラメンコを見る

スペインから3人の男性フラメンコダンサーが来日しました。妹からチケットをもらった僕は、3月19日横浜の県立青少年センターホールというところへその公演を見に行きました。

正直言って男のフラメンコなどそれほど見たいとは思いませんでした。女のダンサーなら踊りはどうあれ、それなりに楽しめるのだがなあという気持ちを抱きながら見に行ったわけですが、どうしてどうして、男のフラメンコもなかなか見せてくれるじゃありませんか。動きのメリハリ、スピード、表情、決めのポーズなど、どこをとっても本場の踊りは違いました。

三人とも一流のダンサーですから、一人で十数分程度のステージを行います。それぞれに別の男性歌手と男性ギタリストが付いています。最初は静かに曲が始まります。テンポもゆっくりめ。そでのほうからダンサーがうつむきながら、ゆっくりと出てきます。場合によっては、頭上で手を叩きながら。ダンスは何度は静と動を繰り返しながら、全体としてはしだいにテンションが高くなっていきます。あるところまでは曲と踊りは決まっているようですが、どうやらかなりアドリブの部分もあるようです。ギタリストとダンサー、あるいは歌手とダンサーが、互いを見ながら何かタイミングを計るような場面が何度もありました。そのようにして高まっていくテンションに観客のほうも引き込まれ、フィニッシュが決まると自然と大きな拍手と歓声がわき起こりました。

エンディングでは全員が、つまり三人のダンサーと三人の歌手と三人のギタリストがステージに現れました。そしてダンサーが一人ずつ短いダンスを踊り、最後は三人一緒の踊りを見せてくれました。一人ずつのステージでの緊張感とはうってかわって、このときは非常にリラックスした雰囲気でした。たとえば一人の歌手が歌っていると、ダンサー三人がその後ろに立ってはやし立てるような応援するような感じで掛け声を掛け、手を叩く。そして一人がするするっと前に出て、踊る。なんというか酒場で仲間どうしが楽しんでいるようなそんな感じです。退場するときは、歌手の一人がフラメンコを踊り、その後をほかのメンバーが手を叩き声を掛けながらそでに入っていきました。あの歌手は元ダンサーだったのかもしれません。

これで女だけのフラメンコと男だけのフラメンコを見たことになります。あとは、女と男のフラメンコ、これが僕は見たい!

1996/3/20

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