イマジン

以前、ジョン・レノンは偉いということを書きましたが、それについてもう少し補足しておこうと思います。というのはジョン・レノンにしろイマジンという歌にしろ、あまりにも有名なので、空気のような存在となってしまい、そのすごさが改めて認識されずらいという状況があると思うからです。

イマジンは、理想主義的すぎてヒッピームーブメントの残滓のように受け止められる場合も少なくないでしょうが、僕には社会の変革の原理を教えてくれる歌だと僕は感じています。社会変革の原理とは、最初は少数の人たちが、あるべき社会の姿を想像し、それがいつか実現することを信じるということから変革がはじまり、その数が増え、やがて多数派となることによって変革が実現するということです。

もう少し具体的に話します。たとえば男女平等。かつては先進国の多くが日本も含めて、男女不平等な世の中だった(いまも完全な平等は実現されていないでしょうが、以前よりは改善はされてきていることは確かでしょう)。そんな時代、「女と男は平等であるべきだ」と話すことは You may say I'm dreamer(夢みてんじゃないよ)なことだったはずです。しかし現在は、世界は男女平等へ向けて前進している。男女が平等であるべきだという主張は、いまではごくあたりまえのこととなっている。かつては夢物語だったことが、いまはそうではない。これは結局、男女平等という世界をイマジンし、その実現を信じた人たちがいたからでしょう。

こうやって世の中は変わってきたし、これからも変わっていくに違いありません。イマジンという歌はそのことを教えてくれていると思うのです。差別のない世界、戦争のない世界、そんな世界はありえないという人たちもいます。しかし現に私達人間は、かつては夢のように思われてきたことを実現してきた。だから差別をなくすことも戦争をなくすことも不可能と諦める必要はないはず。みんながそう思えばいい、簡単なことさ。ですよね? ジョン・レノン様

1998/1/23

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