韓国の金大中(キム・デジュン)大統領のノーベル平和賞受賞が決まりました。韓国内では異論を唱える声もあるようですが、朝鮮半島の平和や日韓関係の進展において彼が果たした役割の大きさを考えるなら、この授賞はきわめて納得のいくものでしょう。隣国の国民として、心からお祝いしたいです。
尊敬する人物として金氏の名前を挙げる人が日本人にも大勢いるということを朝鮮半島の人々には知ってもらいたいです。彼が日本の国会で演説したときの言葉が「奇跡は奇跡的に訪れるものではない」。この言葉に心を打たれた日本人は少なくありません。彼の暗殺の危機、投獄、拉致、亡命、引退、復帰、大統領就任という人生を少しでも知るものならば、その言葉の重みに感じいらずにはいられません。彼が生きつづけてついに大統領になったことは、まさに奇跡のように思えますが、それは神のようなものが奇跡として与えたものではなく、信念を貫き通した金大中氏や彼を支援し続けた人々の力によって実現したことです。彼のその言葉はそれを表現したものでしょう。大統領になった金氏は、それまでの信念そのままに粘り強く北朝鮮との和解に努め、南北の首脳会談を実現しました。このような指導者を持つ隣国の人々をうらやましく感じます。(2000.10.14)
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