ある手術の話2

 手術から二週間ほどが過ぎた。禁欲の日々だ。

 先週、その後の経過を医師に見てもらったところ、順調に回復しているようだった。

「うん、きれいよ、きれい。ボーイング747みたいだ」

そんなことを言われているこっちは、ベッドの上で下半身をさらけ出してあお向けに寝ているわけで、 どう反応していいものか戸惑うというものだ。

 そして今日、再び診てもらった。医師の話とは違って、ここまで糸は全然抜けていないようだ。ということで、抜糸することとなった。

 抜糸も生まれて初めての体験だ。例によって下半身をさらけだしてベッドにあお向けにねる。そばにはいつものかわいい看護婦。

 医師が包帯をとり、何か道具を使って糸を抜き始める。糸を引き抜かれるたびに痛みが走り、ウーンとうめいてしまう。こちらは目をつぶって痛みをこらえていたのでよくわからないが、看護婦がそれの一部を抑えてもいたようだ。が、そんなことで変な想像をしている余裕はこちらにはなかった。

「はい終り。きれいよ、きれい」抜糸は数分で終わった。

「明日から、いや今夜から風呂に入っていいよ」

「石鹸で洗ってもいいですか?」

「うーん、それはだめ。流すだけ。強く洗うと傷が開いてしまうから」

後片付けをしながら医師が看護婦に言う。

「チンチンの短い人、こないね」

「私と同じ日に手術した人のことですか?」と私。

「うん、包茎手術して、チンチン大きくなった」

「まさか!」看護婦も笑っている。

「こないとこみると、糸は勝手に取れたかな」

それにしても、「短い人」とは。いないところでは何と言われているかわかったものじゃない。

 * * *

 最後に今後のことをたずねる。

「このあとは?」

「一週間したら、ヤってもいいよ」

いましばらく禁欲の日々が続く。

(2000.12.14)

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