正義の名のもとに

 新聞でイラクの少女の写真を見た。マフラーを巻いたかのように首全体がふくれあがっている。ガンによるものだという。湾岸戦争後、イラクではガンが増えているらしい。彼らはみな戦争の被害者だ。「劣化ウラン」をキーワードにインターネットで検索してほしい。被害者の写真の数々が見つかる。被害者の姿に平静でいられる人がいるとは僕には思えない。

 米国によるイラク攻撃が懸念されている。攻撃を支持する人は、説明してほしい。攻撃が行われれば、苦しむ子どもたちの数をさらに増やすことになるのは間違いない。イラクの子どもたちが何の責任で戦争に苦しまなければならないのか、説明をしてほしいものだ。

 戦争では弱い者がいつも犠牲になる。聞き飽きた、ありふれた言葉だ。しかし、いくらこの言葉が世界にありふれても、その真実はいつまでも為政者には理解されない。だから何度でも言わなくてはならない。戦争では弱い者がいつも犠牲になる。

 戦争に関しては、もう一つ聞き飽きた言葉がある。それは「正義の名のもとに」だ。戦争は、必ず正義の名のもとに行われる。その大義名分がなければ戦争のような汚らしいことはとてもできないからだろう。だから政治家が「正義」を言い出したときは疑ってかかる必要がある。(2002.11.19)

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