オフ会レポート

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『「新しい人」の方へ』読書会

書籍『「新しい人」の方へ』のイメージ

日時:2003年12月6日(土) 午後1時半から

会場:早稲田奉仕園キリスト教会館11号室

参加者:白石、サーチ、ミロ、T・カッチャン、HAL、ちゃまん、東山、つる、katsumi、前田K、印南、渡辺、堀切、加藤、yoshimi、いとう

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 久しぶりに開催する読書会であり、そのあとに忘年会も行うということだったせいか、今回は16人という大勢の方々がいらっしゃいました。そのうち8人が初参加でした。初めての方は、いったいどういう雰囲気なのだろうかと緊張されていたことと思います。読書会はそういう緊張感のなかで始まりましたが、しだいになごやかな雰囲気となり、話も盛り上がり、3時間があっという間に過ぎてしまったように思います。

早稲田奉仕園キリスト教会館ロビーにて

早稲田奉仕園キリスト教会館ロビーにて

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 読書会で取り上げたのは、9月に刊行された『「新しい人」の方へ』でした。これは15編からなるエッセイで、参加者の皆さんには「心に残った一編」を選んでおくようお願いしてありました(複数の編を選んでもよいことにしました)。読書会の進め方としては、頭のほうから一編ずつ取り上げ、それを選んだ方にお話をしていただき、他の参加者も意見や感想を話すというやり方にしました。

 皆さんが選んだ編は次のとおりです。カッコ内の数字は選んだ人数です。

・頭をぶつける(2)

・子供のためのカラマーゾフ(3)

・賞をもらわない九十九人(1)

・意地悪のエネルギー(1)

・ウソをつかない力(2)

・「知識人」になる夢(2)

・人の言葉をつたえる(1)

・忍耐と希望(4)

・生きる練習(3)

・本をゆっくり読む方法(1)

・「新しい人」になるほかない(1)

 

 このエッセイ集は、子供に対する具体的なアドバイスや励ましでありますが、世の中の動きに対する批評も多く含んでいます。そのため、小説の場合のように作品を堪能するというのではなく、それぞれの編で取り上げられているテーマが読む者に突きつけられる感じです。そういうわけで、皆さんの受け止め方も、自分に引き付けてのものが多かったように思います。また、エッセイの中で語られる大江さんの両親の話や大江さん自身の経験談から、大江文学を読むためのヒントを得ている方もいらっしゃいました。

 私が選んだのは「子供のためのカラマーゾフ」でした。これについては、この編で述べられる子供たちの経験の大切さが、自分の身近で起きた子供のイジメの問題を考えるうえで参考になるという意見や、大江さんにとっての「自分のイリューシャの思い出」は、武満徹、伊丹十三、サイードなどのことだという意見がありました。私は、いつまでもマルにしないで話すのは正直ではない、生き方に勇気を持っていない人だというくだりに大いに反省させられましたので、そのことを述べました。

 読書会の後半は、残り時間が少なくなってしまったために駆け足気味となってしまいました。一つの物語ではなく、内容の異なる多数の編からなるエッセイでしたので、時間が長くなるのは当然のことでした。それを考えて、もう少し長く時間をとっておくなどの配慮をしておくべきだったというのが反省点として残っています。

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 忘年会には11人の方が参加されました。会場は高田馬場駅そばの居酒屋です。つるさんが教えてくださったお店で、雰囲気も料理もよく、値段も格安でした。読書会のなかで話し合ううちに互いにうちとけていたので、皆さん忘年会ではリラックスした気持ちで食事と会話が楽しめたのではないでしょうか。

 一次会ではとても話し足りない気分で、ほとんどの方が二次会へ。ここでは何人かの方からサイト運営について感謝の声をかけてもらい、励まされる思いでした。余談ですが、二次会では隣に大学生と思しき女性ばかり十数人のグループがボリューム全開で大騒ぎしていて参りました。会話するためにはこちらも大声を出さねばならず、腹筋や声帯のよい運動にはなったように思います。

 そこを出てもまだ9時台でしたので、都合のつく4人が三次会へ。二次会とは別世界のような静かな居酒屋で、読書会の余韻を楽しむように酒を飲みました。

 昼過ぎから始まった集まりですが、最後は11時ころになりました。自分にとってはあっという間の楽しい一日でした。参加した皆さんにとっても充実したひとときであったことを願っています。(2003/12/8)


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