オフ会レポート

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『燃えあがる緑の木』読書会

日時:2006年8月26日(土)午前10時から午後5時まで

会場:早稲田奉仕園

参加者:HAL、yoshimi、katsumi、金田、じん、サーチ、スヌーピー、ちゃまん、秋元、かぁりぃ、いとう

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3巻からなる大作の読書会ということで、今回は午前中からのスタート。目安として次のような予定を立てていた。

10時〜11時  第1部 『「救い主」が殴られるまで』
11時〜12時  第2部 『揺れ動く』
12時〜13時  (昼休み)
13時〜14時  第3部 『大いなる日に』
14時〜17時  第4部 まとめ(全体的な話)

時間のほうは多少前後したものの、だいたい予定のとおりに進行。

読書会の第1部から第3部までは、各巻の感想を話し合った。感想を話す手がかりとして、印象に残った引用、好きな登場人物について述べるということになっており、前者としてはランボーの詩、イェーツの詩など、後者としてはカジ、オーバー、ザッカリー、泉さん、亀井さん(政治家の亀井静香をイメージしつつ)などの名前などが挙がっていた。出来すぎの泉さんが嫌い、ユーモアのない新しいギー兄さんに魅力がないという声や、主人公二人(新しいギー兄さんとサッチャン)に感情移入しにくい、共鳴できない、という声もあった。

本としては3冊のうち『「救い主」が殴られるまで』を評価する人が多く、他の2冊は冗長とする声もあった。

第4部は、3冊全体の話。この作品で描かれる信仰、「サッチャン」という特異なキャラクターの成否、ナラティブ、それまでの魂の救済というテーマからさらに踏み込んで信仰を中心に据えることになった作者の変化、といったことが話題となった。信仰については、結局、最後まで祈りの対象となる「神」がいないままであったこの彼らがしていたことは信仰といえるのかどうかの議論、また、作品発表時期と重なるオウム事件と対比しての考察などがなされた。

サッチャンとナラティブに関しては、疑問視する意見が多かった。女性として語るサッチャンに個人的には違和感はなかったのだが、女性の側から見るとそうでもないらしい。

昼食や休憩も挟みながらだが、7時間に及ぶ読書会ということでどうなるか不安もあったのだが、参加者皆さんのおかげで無事終了。読書会のあとは高田馬場に移動し、かぁりぃさん推薦のわたみん家にて打ち上げ。

早稲田奉仕園ロビーにて

ところがわれわれの現実に生きる物語は、書き記しておかなければ、それを生きなかったと同じことになるものなんだね。きみたちの教会の様ざまな記録はあるようだが、それだけでは足りない。誰かが、かれの生の物語として書かねばならない。」(『「救い主」が殴られるまで』より)

(2006/8/27記す)


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