オフ会レポート

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『芽むしり 仔撃ち』読書会と忘年会

日時:2006年12月17日(日)午後3時から

会場:早稲田奉仕園

参加者:HAL、スヌーピー、金田、いとう、katsumi、J/B、yoshimi、ちゃまん、つる、印南、かぁりぃ、じん

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今年最後の読書会。早稲田奉仕園の受付の方が「いつも利用していただいているのでクリスマスプレゼントを」ということでドロップの詰め合わせを渡してくれる(確かに、ここにはもう何度も来た)。katsumiさんが土産としてもってきてくれた薄皮饅頭とともに、皆でいただく。また、yoshimiさんからはジュンク堂の「大江健三郎書店」のしおりと、大江さんのレクチャー用手書き原稿のコピーのプレゼント。

 

今回はJ/Bさんが初参加なので、冒頭、各自簡単に自己紹介。今日は時間が短めなので、順番に感想を述べるという形ではなく、本の推薦者であるHALさんに口火を切ってもらって、それからは自由に意見交換。

最初は、初期の大江作品ということで、中期後期の作品との違いについての意見がいくつか出た。谷間の村(村人)の非常にネガティブな描き方、若い才能を自由に発揮しての文体(印象的な比喩の数々)、映画にもできそうなドラマチックな展開など、後期の作品とは大きく異なるという話。

一方で、谷間の森、死(「《死》は僕にとって百年後の自分の不在、幾百年、限りなく遠い未来の自分の不在ということ」は、『燃えあがる緑の木』にも登場したもの)、性、グロテスクなものなど、後の大江文学を特徴付けるさまざまな要素がここにすべて揃っているという意見も。

異化作用の強い独特の文体については、海外文学、とくにフランス文学の影響だという意見、孤立した少年たちの物語ということで『十五少年漂流記』を意識した作品だという意見なども。

作品全体の評価としては、まさに、芽がむしられ仔が撃たれるというような、大切なものの喪失が描かれている物語ではあるものの、美しい作品、面白い小説だという意見が多かったように思う。

この物語の後日譚的な小説が『現代伝奇集』という本に収録されているという話も出た。そちらのほうはかなり屈折した作りになっているそうな。ほかにもいろいろな話があったように思うものの、思い出せるのはこれくらい。

最後に恒例の記念撮影。

前列中央の女性が手にしているのは、これ↓(文庫)。

前列左の女性が手にしているは、これ↓。

 

読書会のあとは高田馬場に移動し、わたみん家で忘年会。サッカー、エヴァンゲリオン、各種アート&サブカルチャーの話。風邪気味だったのだが、元気になってしまった。(2006/12/18記す)


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