日時:2007年8月4日(土)午後3時から
会場:早稲田奉仕園 スコットホール地下(音楽練習室)
参加者:つる、ちゃまん、かぁりぃ、HAL、金田、スヌーピー、yoshimi、イオ、サーチ、いとう
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今回取り上げたのは、初期の短編集『死者の奢り・飼育』。収録作品は次の6つ。
・死者の奢り(2人)
・他人の足
・飼育(7人)
・人間の羊(1人)
・不意の唖
・戦いの今日
かっこ内は、その作品がこの本で一番よいと答えた人の数なのだが、見てのとおり「飼育」が一番支持されていた。僕自身もこれが一番面白いと思うし、若き日の大江さんがいかに高いポテンシャルをすでに持っていたかということがわかる作品だと思う。ほかの方々からも、「完璧!」「『芽むしり仔撃ち』ラインの作品で、好き」「米兵と子供たちの交流が美しく楽しい」「子供が大人になる過程がうまく描かれている」といった評価の声があがっていた。
2人の支持を得た「死者の奢り」は、アマチュアが書きそうな作品だとの声もあったものの、題材(死体)の面白さ、描写の瑞々しさなどが魅力的だという評価であった。 「奢り」の意味をどう捉えるかという議論もあった。「奢り」という字を使うと、広辞苑によると「ぜいたくをすること」「人にごちそうすること」というような意味になるわけだが、この作品では死者がぜいたくをしたりごちそうしてくれたりしているわけではないのだ。漢字源でみると「やりすぎたさま。分にすぎたさま」という意味がある。作品中では死体が「僕」と話したりするので、そういうのは「分に過ぎたさま」といえるかもしれない。
1人だけ支持のあった「人間の羊」は、バスのなかで起きる出来事ということで、リアリティがあり、記憶に残るインパクトがあったようだ。
他の作品については、習作的印象を持つ人が多かったようで、それほど多くの意見は出なかった。
読書会のあとは高田馬場にて親睦会。文学、映画、アート、政治のことなど6時から11時までたっぷり話して解散。
(2007/8/5記す)