オフ会レポート

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『日常生活の冒険』読書会&新年会

日時:2008年2月2日(土)午後15時〜午後17時

会場:早稲田奉仕園 キリスト教会館11号室

参加者:サーチ、HAL、イオ、スヌーピー、つる、金田、yoshimi、真春、いとう

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今回は、1964年に刊行された初期の長編『日常生活の冒険』。大江さんが最近のインタビューで、この作品に登場する斎木犀吉を次回作に再登場させるという話をされていたので取り上げることになった。

メモできた範囲で、出た意見を挙げておく。

・後期の作品が好きなので、それとまったくテイストの異なるこの初期はあまりのれなかった。後期の作品に比べると人物が深く描けていないのではないか。文章も後期に比べてまだこなれていない。

・初期作品から読み始めた自分にとっては、これが大江文学。ただし、結末は後期に比べると弱いように思う。

・言葉や表現が面白い。若い大江さんと出会った、という気分になれる。

・この作品の雑誌連載中に光さんが誕生しており、光さんとの共生へとテーマを移行させる時期のものということになる。小説のなかで過去の自分の作品に言及する最初期の試みだろう。

・文体の変化の端的な現れとして、後期の作品では使われなくなっているカギかっこが、このときは使われている。

・昔読んだときの記憶ではもっと短い作品だという印象。とても読みやすいので、長い感じがしないのだろう。

・随所にユーモラスな表現が詰め込まれた文体が面白い。圧倒的な才能のきらめきを感じさせる青春小説。斎木犀吉の描写が伊丹十三のイメージにぴったり合致する。「ぼく」と犀吉の関係から、大江さんと伊丹さんの単純ではない友情がうかがわれて興味深い。

読書会のあと、高田馬場で新年会。まずは、ネットで調べておいたタイ料理店に行ってみたものの、今日は貸切ということで入れず。そこでいつもの「わたみん家」で飲み食い。さらに二次会は「いろりダイニング松橋」という店に。ここは初めてだったが、落ち着いた大人の雰囲気。高田馬場で得がたい場所かもしれない。

早稲田奉仕園にて1早稲田奉仕園にて2

(2008/2/3記す)


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