オフ会レポート

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『「雨の木」を聴く女たち』読書会

日時:2009年5月30日(土)午後15時〜午後18時

会場:早稲田奉仕園 102号室

参加者:タムラ、スヌーピー、Katsumi、HAL、yoshimi、金田、犬コ、ちゃまん、真春、いとう

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今回はタムラさんと犬コさんが初参加。スヌーピーさんが持ってきてくれた武満徹のCDをBGMに読書会スタート。

今回取り上げたのは『「雨の木」を聴く女たち 』。1960年の『孤独な青年の休暇』以来22年ぶりとなる短編集。

僕としては、「起承」があって鮮やかな「転結」に至る、短編としての醍醐味が巧みに仕組まれた連作である思った。また、文体面でも、イメージ喚起力は依然として豊かなまま、『同時代ゲーム』までの少々読みにくさのある文体から打って変って読みやすい文体に変わった転機の作品であるとも感じた。

皆さんからの感想はさまざま。HALさんからは、一見エッセイのようにも見える文体のスタイルはこの本からだったという指摘。金田さんは、新刊当時の印象として、それまで書かれてきた大江作品の長編群の独特さに比べて当たり前すぎる作りに少し拍子抜けという感想。yoshimiさんからは、「頭のいい「雨の木」」は、本書に収録される前に『現代伝奇集』に収められており、また『「雨の木」を聴く女たち 』の他の短編はそれから2年ほど空けて書かれているという指摘があり、そのことから、当初は「頭のいい「雨の木」」は連作の最初としてではなく単独の作品として書かれたのだろうという推測が披露された。

印象に残っている話として、自身の経験と照らし合わせ、「「雨の木」の首吊り男」で表現されている海外滞在の雰囲気に深く共感したという犬コさんの感想、同作のカルロスが好きで別れのパーティの場面に涙したというタムラさんの感想、女性の経血を異様な場面でしか登場させない点は女性をきちんと描いているとは言えないのではないかというスヌーピーさんの感想、あられもないような意表を突く人物描写に笑わされてしまうという真春さんの感想などがある。(ほかにもいろいろな意見や感想が出ましたが割愛させてください)

今回初参加だったタムラさんと犬コさんは偶然お二人ともフランスでの生活の経験があり、読書会のあとの親睦会ではフランスがらみの話などで大いに盛り上がったしだい。

早稲田奉仕園にて

親睦会にて

(2009/5/31記す)


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