実は「岩窟の聖母」の絵は二つある。左がロンドンナショナルギャラリーのもので、右がルーブル美術館のものである。

 依頼した教会は、聖母と幼児イエスと二人の天使、二人の預言者の絵を要求していた。しかし、完成した絵(右のもの)は約束と違っていて、また、制作が遅れたこともあり、教会が支払いを渋った。協会側の評価額二十五ドゥカーティに対し、ダヴィンチは百ドゥカーティを要求したため、裁判にまでなった。結局、ダヴィンチはこの絵のコピー(左のもの)を制作し、オリジナルのものは百ドゥカーティの価値があるが、コピーなら仕方ない、としてプライドを守った。