保守と革新

 

 選挙が近づいてきた。今月中に東京都議会議員選挙、来月は参議院議員選挙である。衆議院との同日選挙になるかならないかとか、小泉人気とか、どーのこーの言われる時期を待っての今回のエッセイ、その名も「保守と革新」さあ、私の政治論を一気に羅列・・・しません。ここに堂々と宣言しましょう。「政治ネタではありません」。僕はいったい「保守的な人間」なのか、「革新的な人間」なのか?というのが今回のテーマなのである。久々に(今さら)自己紹介っぽいことを書いてみたい。

 僕を知っている皆さんは、僕を保守的人間と評されるだろうか。革新的人間だと評されるだろうか。え?オオゲサでわけがわからん?では、あなたと一緒に「僕が行きつけのラーメン屋」に入ったとします。僕が注文するのは「いつも一緒」だろうか。「まだ食べたことがないもの」か。何の話やねん!と怒らないでいただきたい。だって、今回はこれがテーマなんだもん。

 実は、僕は食べ物屋においては「かなり保守的」である。注文するのは無難なもの、前回にまずいと思えば話は別だが、まずまずだと思えばそればっかりである。例えば、学食のように毎日お世話になるところでは、飽きるまで同じものを食べ続けてしまう。たぬきうどんで1ヶ月、山菜そばで1ヶ月、鳥の唐揚げ定食で2ヶ月、という具合。今日こそは別のモノに変えよう、と決心してみても結局のところは元の鞘。飽きるのはいつの日か。ついでに言っておくと、朝食は「ご飯に味噌汁」が定番で、それに“納豆”をプラスするか、はたまた“ふりかけ”にするか、“ごま”をまぶすこともあるが、とにかくこれまた飽きるまで同じメニュー。味噌汁の具だって、別に変わらなくたっていい。ちなみに、飲みに行っても、冷や奴と冷しトマトは欠かせない。アルコール自体はけっこうなんでも飲むのに・・・あっ、そう言えば先日、白○屋で「北京ダック」を食べたな・・・あれは革新的だった・・・

 なんでこんなふうになってしまったかを考えると、ひとえに「無難な選択」をしようとしている自分がいることに気づく。メシくらいはうまいものを食べたいが、新しいメニューにチャレンジすることなく、今までの経験から“そこそこ”のラインで納得しようとしている自分!ひょっとしたら、ミスミス“うまいもの”を逃しているのかもしれないが、逆に“大失敗”をつかみたくないという理由だけで、どうしても踏ん切りがつかない。どうしたもんだろう?辛いものと対峙するときだけは急に挑戦的になるのだが、それはかなり特殊な例なのだ。“激辛系”を食べるということは、僕にとってはけっこう希有な例なのである。問題は、一度でも激辛系メニューを食べてしまうと、“保守的”ルールが適用されて辛いモノを食べることになる。

 でも、食い物に関しては保守的な僕なのだが(なんか“保守的”っていう言葉の使い方を間違っているような・・・?)、ことに旅に関してはけっこう革新的ではないのかな、と思う。というのも、「予算の都合」はどうしても考えざるをえないけれど、それを考慮した目一杯の作戦を立てたがるのが、僕なのである。どうも海外は勝手が分からない面があって保守的なのだが、国内なら、時間と料金とおもしろさから、自分で勝手にいくつでもプランを立ててしまう。実際に実行するかはそのときの状況によってしまうことになるのだが、あそこに行こう、あの列車に乗ろう、こういうふうに目的地に入ろう、ということはすぐに考えついてしまうから恐ろしい。最近では、『引っ越し記』に書いたような、“空港―札幌間プチ旅行”を成し遂げた。実は、その帰りは帯広から帰ろうかとも計画していたのだが、さすがにアホらしくなってやめた。だが、とっぴょうしもない旅行計画なら、いくらでも立てられるのである。旅はいきあたりばったりもおもしろい。

 と、選挙シーズンに合わせただけだったので、不思議なエッセイとなってしまった。先にタイトルを思いついてしまってから本文を書き出すと、なかなか楽には進まないものである。注意一秒怪我一生、次はもうちょっとテーマを考えようっと。

 

2001/06/15(東京都議会議員選挙告示日)

Back to menu page