オーケストラについて
 




 ホルンなどという吹奏楽でもオーケストラでも花形の楽器を趣味にしている割に、僕はろくすっぽオーケストラを聴かない。CDを大して持っているわけではないし、演奏会に足を運ぶこともまずない。吹奏楽の演奏会(入場無料ばかりだが)は以前から足繁く通ったことがあるのだが(週3回が最高記録)、僕が聴きにいったオケは指折り数えられるほどだ。演奏会に出演したことも人生でたった一度だけである。まあ、個人的な趣向だから仕方ないのかもしれないけど、あまりにも不公平な偏り方!そこで、今回はオケに関する諸々を書いてみよう。

 まず、僕が出演したオケの思い出について。もう何年前になるかな……たぶん5年以上経ってしまっているはずだ。僕は学部生で、なんかの拍子に某大学(六大学です)のOBオケのお手伝いをすることになった。ひょんなことからのお誘いだったし(まあ、エキストラ出演なんてたいがいひょんなことから始まるが)、オーケストラ初体験だからまったくお勉強のつもり。しかも僕は4thホルンという気楽な譜面を頂戴している。僕を誘って下さった先輩からモデルCDまで頂戴し、完全にお客様気分だった。譜面を見ると、高音から低音までまんべんなく音があるものの、そんな突拍子もない音があるわけではない。普通に練習すればまったく平気なはずである。ところが、僕の譜面に「ソロ」があった。普通、ソロっていったらパートトップ(1stホルン)がやるものではないか?しまった、ここは吹奏楽の勝手とはちょっと違うオケの世界。なるほど、オケではこんなこともあるのか。そんなに難しい音ではないから助かったけれど、お客様モードでやるわけにはいかなくなってしまい、けっこう緊張した覚えがある。ちなみに曲目はブラームスの『交響曲第三番』なのだけれど、僕のセクションは第一と第四楽章に譜面があり、第二・第三楽章は全部休みというもの。演奏時間40分のうち、ほぼ半分がまるきり休みなのである。テンションが上がる頃に休みになってしまい、そしてずーっと休んでまた吹くというやりづらさ。そんなわけで緊張感の持続に失敗し、本番では第二・第三楽章でただ座っているうちに「寝る」という失態を犯した。お陰で四楽章もイマイチの出来。それ以来、どうもオケはトラウマになってしまっている。

 どうして僕はオケが苦手なのだろうか。これはひとえに「長いから」に尽きる。吹奏楽の曲はたいてい10分以内、20分の曲なんか「ウルトラ級の超大作」ということになる(ちなみに僕がやった最長の曲は「アルメニアンダンス パート2」かな。20分ほど)。だから、オケのように1時間なんて当たり前!な世界は飽きてしまうのだ。元来の飽きっぽい性格、そんなに集中して聴けないもの。長い曲になると100分なんていう超大作が存在するわけだし、そこに人生だとか苦悩だとか、本当にもうゴメンナサイなテーマが山のように凝縮されていることを、どうしても僕は避けてきたように思う。

 そんなわけでオーケストラを苦手にしてきたまま、楽器経験がもう15年となってしまった。そこで反省したわけではないのだが、なぜか最近はオケにはまり気味になっている。残念ながら演奏会に足を運ぶことはないのだが、とりつかれたようにCDを購入しているのである。今年になってから「マーラー全曲集15枚組(インバル指揮フランクフルト放送響)」を買い、「ローマ三部作」を4種類(スヴェトラーノフ・トスカニーニ・バティス・シノーポリ)買い、ヤフオクでもあれこれと触手を伸ばしている(競り負けること多数)。 僕はあちこちいろんな曲を聴くのではなく、1つの曲の指揮者を変え、何度もじっくり聴くのが好きなようだ。いままで知らなかった自分の趣向が今さら明らかになってゆく、この不思議!

 そんなわけで、「ローマ三部作」5種類を聴きまくっている昨今なのである。ちなみに、まだ増やすつもりである。どうしちゃったんだろう、僕。


 
2003/04/06


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