インターネットのセキュリティについて

 

 唐突な話なのだが、インターネットを利用するにあたり、セキュリティなんてどうでもいいや、と思っていた時期があった。僕がインターネットを始めた3年前から、恐ろしいことに今年の前半までである。ここで“恐ろしいことに”などと書けるのは、今だからの話で、今年の正月にはカケラもこんなことは思っていなかったし、ちっとも恐さなんてなかった。

 その理由は単純であった。まず、誰もが恐れるコンピューター・ウィルスが来る心配がまずないから。というのも、僕はMacユーザーでメーラーもマニアックなものを使っている(アウトルックでもポストペットでもない)から、去年世界を席巻した「I love you」みたいなメールはきようがない。窓とアウトルック・ユーザーには恐い話しかもしれないが、世界のウィルスばらまき犯人は、Macユーザーをまったく相手にしてくれていないため、大変に気楽なのである。この点だけは、現在も気持ちはそんなに変わっていないのだが・・・

 また、インターネット・オークションには参加しないし、メーリング・リストもほとんど加入してないし、ホームページの閲覧はほとんど“いつもの”ところしかいかないし、ヘンなものはダウンロードしないようにしているし、クレジット決済の買い物はなるべくしないようにしているしと、けっこう自分から爆弾を踏まないようにはしていた。

 そして、我がホームページである。さすがに住所と電話番号そのままは載せなかったが、僕の本名や経歴を載せるのには、なんの抵抗もなかったのだ(エッセイの「ハッタリ自己紹介」シリーズがそうだった)。だって、いくら全世界に発信しているからといって、特にめぼしいウリのない個人運営のホームページ、わざわざハッキングして書き換えるような、ヒマなハッカーはいないはずだ。また、いくら僕の名前が載っているからといって、わざわざ住所を調べてピザとか寿司とか送りつけてくるような、そんな恨みをかっているとも思えない。いたづら電話をかけてくるようなヒマな人も、さすがにいなかった。このページ内で個人名を出してしまっている方もあるのだが、特に迷惑をかけるような内容にもしていない。逆に、古い友人がここをみつけてくれて再会できたことに、僕はとても感動していた。ホントにネットは便利だと、そう思っていた。

 ところが、である。昨今の出会い系サイトのメール攻撃を、なんとケータイでなくパソコンが受けてしまった。ケータイには1通も来たことがないのだが(そんなにヘンなアドレスかなあ?)、パソコンのメールをチェックすると、ヒドいときには5日連続で来たこともあった。まさか、どっかのメーリング・リストに登録したモノが流出したのではなかろうが、なんにせよたまったものではない。ウザいことこの上ない。一度、本気でふざけんじゃねえと返信しよう、と思ったこともあった。どうせ届かないだろうと気づいたのでやめたが、なんにせよ「登録されたあなたに!」みたいなノリで送られてくるのが腹立たしい。ンなもん登録した覚えはねぇよ。

 とは言うものの、全世界に向けて発信しているホームページを運営している身であるのだから、僕のアドレスなどを調べようと思えば、合法的に簡単に調べることはできる。もちろん、出会い系運営者はそんな悠長な手段を使ってはいないだろうが、可能性としては捨てきれない。また、僕だけがセキュリティをちゃらんぽらんにしたせいで、ここに集って下さっているみなさんに御迷惑をかけたら元も子もない。

 そんなわけで、このホームページでも、ちょこちょこっとマイナー・チェンジをすることにした。エッセイに入れておいた「ハッタリ自己紹介」「ハッタリ自己紹介完全版」はずいぶん前に削除したのだが、それ以外の個人名はなるべく漢字を避け、ハンドル・ネームや愛称などに変えた。本名とかけ離れているなら、検索エンジンでも容易には引っ掛からないはず。これは迎合や妥協などではない。本来はふりかかることのあるはずのない火の粉が、本人の知らないところで降りかかることを避けるための手段である。こんなことに気づかなかったのは、お恥ずかしい限りなのだが・・・

 僕は、個人運営のホームページでは、自己紹介のページを読むのが好きなのだが、最近は本名を出しているページを見かけると、とみに心配になってしまう。僕の心配が杞憂に終わり、オオゲサだよ臆病者と鼻で笑われるくらいがちょうどいいのかもしれない。しかし、世の中にはおかしな人がとても多くいるものだ。以前、僕は某掲示板をチェックしていろんな人の意見を見るのが好きだったのだが、ごく普通の発言に対する過剰な反応や、一方的な罵倒が投稿されるのを見て、イヤになってしまった。もっと言葉を選べば妥当な反論だと思うのもあるのだが、そんなものはごく少数。多くは、単に注目を集めるための誹謗中傷である。ネットの匿名性を利用し、やりたい放題がまかり通ってしまうこの現実!

 多くのみなさんには今さら感ただよう文章だったかもしれない。しかし、それを最近ひしひしと感じている。

 

2001/08/15

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