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文藝学校
朝霧義水
水沫流人
苗字の歴史は日本の歴史
食事の栄養で健康に


【機関誌「文藝学校」創刊号 2011.9.15】

ひっくりかえる。
長谷川龍生講師

 世界の情勢は激変つづきである。何が起こってくるか、判らないが、ある人にとっては予想外のことではなく、必然の流れであると言い切っている。その必然の流れを、今日の次元で、もの申すと、世の中から排除されることになる。大学なら、さしずめ、教授の席をはずされることになるし、就職先では、うとんじられる。知らざる 言わざるの時代にしだいになってきている。いったいどのような権力や階級の人たちが、傍観していて、口をとざすのであろう。又、民衆を別の方向に誘導していくのであろう。
 私は 過去の時代に そのような憂き目にあった。そして困難な時から、危機の時代を迎えて、たいへんな目に会った。ものを書くためには、事件の核心を掴む認識が必要であるが、表象化、形象化は自由である。体制に乗っているようでは、ひっくりかえる。誰がひっくりかえるか、自分自身がひっくりかえるのである。(完)

『文藝学校』新発刊に際して
黒羽英二講師
 このたび、「文藝学校」(当面は年二回)発行に際して一言述べておきたい。
 縁あって文藝学校の受講生となった皆さんのことだから、ご承知のこととは思うが改めて文藝学校の歴史をたどってみたい。
 昭和二十年代末、「日本文学学校」の名称で「新日本文学会」の文学運動の一環を担って開校され、平成十五年「文藝学校」と改称して六年を超える長い歴史の中で、多くの詩人、作家、評論家を輩出しているが、講師陣、受講生群の熱心な文学活動の一翼を担ってきたのが、名称は変遷しても常に機関誌に相当する雑誌や小印刷物であって、それが今の「文藝軌道」であり、今、皆さんが手にしている「文藝学校」なのである。
 「文藝軌道」が、早稲田大学の早稲田文学会、慶応の三田文学会のように、文藝軌道の会があって、前誌「航路」を改名して「文藝軌道」の名称の下に新発足した二〇〇三年から数えて八年目に入り、多くの講師、受講生の作品を発表してきたが、今年度(十五号)よりさらに拡大して広く受講生の参加を促すことになった。
 「文藝学校」も従来の「通信」とは異なり、単なる情報誌の域を超えて(もちろんその役割は果たすが)幅広く文藝学校の発展と繁栄のための誌面作りを目指すことになった。
 それこそが受講生の創作活動促進の重要な一翼を担う拠点となり得るもので、その新発足を心から祝いたい。

受講生の文の紹介

《水沫講師》
 風間志穂さんの「走光性」が印象に残っています。満開の桜のもと、祖母の霊が崖の下から這いあがり孫娘を奈落へとひきずり落とします。そのグロテスクな姿が「チャーミング」でした。
 初心者の方なのでストーリーや文章に粗削りの面はあるのですが、強引なまでに恐怖シーンを作ろうとするひたむきな意志といいますか、ホラーものへの愛着がひしひしと伝わって、素晴らしい可能性を感じました。また、他の方の作品にも面白いものが多いですね。

《吉居講師》
 児玉次郎さんの「花のくびかざり」(四〇〇字詰一三七枚)を押します。
 タイトルのイメージを大きく裏切る社会派ホラー小説です。なぜか東北の山奥につくられた巨大な観覧車に深夜若い男女が乗り込みます。ゴンドラの周囲に次々と出現する怪奇現象、それは戦時中にこの地で日本軍の人体実験により多くの村人が殺されたことによるものでした。  うちのクラスで最も鋭い批評をする作者の才気があふれている秀作です。歴史的事実をふまえた上で書けばさらによい作品になったと思います。

《登講師》
 山内弘さんの「掟破りの引き際勝負」について述べたいと思います。
 この作者は自己の身辺で起こったささやかな出来事や職業上で見聞した事柄をヒントにして、さまざまな小説作品を書いている。多作ではあるが、そのテーマや表現に遺漏はない。
本作品はミステリーの要素が濃いので、ストーリーの詳細は紹介できないが、大衆に夢を与えるプロレス興業の内幕と、 その業界のスターで経営にもタッチしている中年プロレスラーの心境がよく描かれている。
特に自分の後継者として育成しようと努めている若手プロレスラーとの世代間の意志疎通に悩むところが、中年世代の共感を呼ぶところである。

《八覚講師》
 二作簡単に紹介します。
 北澤治夢さんの「銀座尾張町物語」は銀座に住む金融ブローカーが主人公。隣の空き地がビルを立てるために掘り起こされると土の中から壺が……小判かと思われたが、関東大震災の女子学生たちの感想文が入っていた……十枚くらいの小品ですが、発想が面白く人間は何を残すのかというテーマに繋げられれば。
 もう一作は、黒河光太さんの「偉大な芸術」。百枚を超える作品。科学は人間が作り上げた最も偉大な芸術である――と信じる教授、学生たちの特異な人物群像は面白いし、科学の知識がふんだんに味わえる。
ただ後半から主人公の思弁の世界になってしまった。小説とは作者の価値観の開陳ではなく、読者が自らの内にあるものを投影してイル―ジョンを作り上げる「場」作りの作業であることを知り、その筆力を生かしてもらいたい。

受講生の意見・感想・動向

 俺はその時苦しかった。
 偶然、ネットで「自己表現への道」というタイトルを発見して翌日の夕方の仕事帰りに大手町で途中下車した。
 教室で本当に自由な文章を書こうとした。生まれて初めて書くテーマのない自由な文章。何でも書いてよいはずなのに何も書けない。
 そのうち、一行の自由な文章が書けた。それこそが自己表現だった。生まれて初めての自己表現を俺は知った。
 ノートパソコンを開いて泣きながらキーを人差し指で打っていった。千字、一万字と作った文字が増えるほど俺の魂は鎮まっていった。もうやめられない。
 北澤治夢

 定年を迎える時にやらねばならないことがある。それはその後の第三の人生をいかに過ごしていくかを決めることだ。選択肢は沢山あるが、出来ることは限られている。あまたの候補の中から選ぶのは一つか二つ。
私の場合はこれまでの人生と極端に異なる小説の世界に入ることをあえて選んだ。まさに六十のチャレンジだ。失敗してもどうってことはない。
 そして文藝学校に入学した。
 今までの人生では付き合うすべのなかった様々な経歴の人達と侃々諤々と小説論を戦わせながら三年以上が経過した。先生はいつもそれをじっと聞きながら最後のまとめを考えている。実に面白い。
 竹中寛

 竹中寛さん、文芸思潮エッセイ賞部門入選「死の商人の贈り物」
 通信教育コースを受講して

 私が執筆を通して得る幸せは大きくわけて三つだ。
 書き始める前の自由。書き終えたときの達成感。他人が読んでくれること。
 通信教育コースを受講したことにより、私は地方に住みながら、最も入手困難な三番目を確実に受けとることができた。しかも「読む」だけではなく「添削」だ。先生の鋭い炯眼により、自分に欠けているものが何かを知り、課題は何なのかを学ぶことができた。
 受けとることを躊躇う幸せも多いが、自分が行動して得る幸せは別物だ。これからも通信教育で学んだことを生かして、小さな幸せを噛みしめていきたい。
 岡野陽子

講師の動向

 長谷川龍生講師が、日本現代詩人会(会員一〇〇〇人)の総会(八月二十日)で名誉詩人として表彰されました。

 黒羽英二講師の肉筆原稿が日本現代詩歌文学館(北上市)で展示されています。期間は平成二三年三月八日〜二四年三月十一日まで。タイトルは『「鉄道」と詩歌』(出発進行!ヨミ鉄の旅)詩人・歌人・俳人総勢五十一人の展示。

事務局から
 しばらく休刊していた『文藝通信』が復刊されました。文藝学校の概要は「学校案内」にあります。ただ通信の講師に関しては紹介が少ないので、通学の講師とダブる方は省くことにして、紹介いたします。

◎青野武弥  小説と随筆・評論までを担当しています。文章や表現における鑑識眼は鋭いです。新日本文学会の古参の会員です。
◎大洞醇  主に小説を担当しています。作品構造を重視し、社会性のある指導をしています。新日本文学賞、茨城文学賞等を受賞。
◎小沢美智恵  小説を担当するも、評論等にも精通しています。日本文学学校で創作を学び、蓮如賞を受賞。現在、プロ作家集団「塊」に所属。
◎神園麟  小説及び文学理論を得意とします。方法論や文体論からの指摘は硬質です。新日本文学賞、泉鏡花金沢市民文学賞を受賞。井上光晴の高弟。
◎坂本良介  小説・創作一般を担当しています。作品、作者の立場に身をおいての読みを得意とします。新日本文学賞佳作。複数の同人誌にて活躍中。
◎清水克二  創作一般。身の回りから書き起こす端正な短篇は、名人芸の域にあります。労働者文学会所属、労働者文学賞の選者。
◎白井知子  詩および詩論を専門としています。詩の言葉を探求し、方法論からの実作には定評があります。現代詩人会新人賞を受賞。
◎早川純  詩、童話、随筆を担当しています。まろやかな作風を真情としており、触れるものを暖かく包み込みます。新日本文学賞、他、受賞。
◎松本恭輔  詩及び詩論に定評があります。言葉自体が持つ音楽を分析して絶妙です。雑誌「新現代詩」の編集を担当、他に雑誌・新聞等で活躍中。
◎水沫流人(みなわりゅうと)  小説・随筆の広い範囲をカバーしています。純文学の基礎のもと、エンターテイメントの各ジャンルに精通しています。「幽」怪談文学賞を受賞。
◎吉田和明  評論、小説、随筆を担当。鋭い作品分析と、的確なアドバイスで受講生と相対しています。日本ジャーナリスト専門学校講師を経て、現在、新聞・雑誌と多方面にて活躍中。

 上記の通り十一名の講師を紹介いたしました。文藝学校の講師陣は、通学の七名を含めて、総勢十八名にて、真摯に受講生の創作活動を応援しています。

編集後記
 この度、『文藝学校』とりあえず通信の形で復刊。パソコンで行くと再起動というところか。
 いろいろご意見を頂きつつ、クリエイティブに継続していければと思う。
 1ページ目は講師の方の文。
 2ページ目は、受講生の作品の紹介など。
 3ページ目は受講生の方たちからの感想、意見など。
 4ページ目は事務局から。
 文藝学校に対する質問、創作への疑問、その他、ご自分の近況・情報等何でも結構。およせくださいね。

 編集責任者 八覚正大



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