STE第四回興行ダイジェスト
2000年2月26日(土)
会場:横浜志水ヶ丘公園体育館
観衆:280人(主催者発表)
まだ旗揚げから間もないSTEには団体の象徴とも言うべき固有のタイトルが存在しない。その上、予想外のエース不在。
このふたつは今のSTEには主役がいないということを示している。本来ならエースとしてSTEを引っ張って行くはずだった“元”エース候補・松本には、これまでの試合内容が示す通りお世辞にもそれだけのものを感じられない。
松本以外の選手も、試合内容は決して悪くはないが、現在の松本同様、団体を引っ張っていくには役不足の感が否めない。誰が一番強いのか。
ただそれだけで考えれば、第二戦においてその圧倒的な強さで松本を完膚無きまでに叩きのめした綾小路を置いて他にはいない。
確かに綾小路は強い。前回興行の試合前に松本が言った様に、例え二人対一の数的不利な状況であったとしても、綾小路は真っ向からぶつかって勝つ姿を想像させるだけの説得力を十二分に持っている。
そんな綾小路はエースよりもむしろその反対、エースの前に立ちふさがるいわゆる“バカ強いガイジン”的ポジションのほうがしっくりくるのだ。そう考えると、その綾小路に立ち向かっていこうとする選手がいたとしたら。
綾小路に挑戦する、ただそれだけではさすがに即エースとは言えないが、エース“候補”くらいには言えるのではないか。
そういった意味では、綾小路は間違いなくSTEの中心人物と言える。『壁』は、高くそびえ立っている。
だが少なくとも、その壁を越える者は、それでもなお越えようとする者以外からは現れることだけはない。
オープニングの定番となりつつある“ド新人”高木開海のチャレンジマッチでは、ここ最近の騒動の元凶だったミステル守屋が高木に胸を貸した。余裕の勝利を収めたミステル守屋は試合後、自分はオーナーのミステル守屋とは別人のニセモノオーナーであったことを告白。さらに同名では紛らわしいということで、これからはアルティメットモーリヤーと改名することを発表した。
元エース候補・松本泰由は第二試合に出場。前回同様、二対一のハンディキャップマッチにチャレンジ(今回の相手は、“アルティメットモーリヤーの太鼓持ち”にいむら藤田と“元ジャフリー”マイケル・プラトーン)。ほとんど良いところを見せられずにあっさりとフォール負けした松本。未だスランプから抜け出せないようだ。
第三試合では、精神年齢が近いせいかチビッ子に人気の“軟派ラテン野郎”レッドウォーリアーとどの辺りが忍者なのかよくわからない“パワフルニンジャ”ザック・ザ・ザッパーは、黒井一郎・五郎の“隠れた仕事人”コンビと対戦したが、黒井兄弟の分断作戦にハマってしまったレッドウォーリアーがフランケンシュタイナーを押しつぶされフォール負けしてしまった。
ベテランのエル・ディアブロと“漆黒のルード”スペル・ネグラの古い因縁対決がセミファイナルで実現。“ルチャ・クロニコ”ディアブロは、ネグラの執拗な攻撃に苦しみながらもその異名通りのテクニックでなんとかしのぎ切り、最後はラ・マヒストラルでフォール勝ちをスコア。その貫禄を見せつけた。
メインイベントは、現在のSTEの中心人物である綾小路響一郎と実力派ルチャドールのキラービーの“怪物”&“ウルティモ・アベハ”組、対、“兄弟一の巨漢”三郎と“ジュニアの実力者”零の黒井兄弟組。終盤、黒井兄弟に捕まったキラービーが流血させられつつもなんとか耐えしのぎ、最後は綾小路がきっちりと締めハゲ&ハチ組が順当勝ちを納めた。
試合後、綾小路は松本に代わる“エース候補の候補”として目を付けている選手がいるとコメント。さらには次回には早速その選手とのシングルマッチを考えているという。
果たして絶対的な主人公は誕生するのか。
次回興行は3/11。
第一試合:三十分一本勝負
×高木 開海 ( 8分40秒 ※ケンカキック
片エビ固め) アルティメット・モーリヤー○
第二試合:三十分一本勝負
×松本 泰由 ( 7分21秒 ※セントーン
エビ固め) にいむら藤田
マイケル・プラトーン○
第三試合:三十分一本勝負
○黒井 一郎
黒井 五郎( 19分03秒
パワーボム) レッドウォーリアー×
ザック・ザ・ザッパー
第四試合:三十分一本勝負
×スペル・ネグラ( 10分11秒 ラ・マヒストラル) エル・ディアブロ○
第五試合:三十分一本勝負
黒井 零
×黒井 三郎( 21分52秒 フライングボディシザースドロップ) キラービー 綾小路 響一郎○