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STE第六回興行ダイジェスト

2000年3月25日(土)
会場:横浜志水ヶ丘公園体育館
観衆:270人(主催者発表)



 元エース候補・松本の失踪。
 そして活動停止の決定。
 開催前にショッキングな出来事が立て続けに起こったSTE第六回興行。
 ようやくデビュー十三ヶ月目月を迎えた“ド新人”高木開海が、“ウルティモアベハ”キラービーに続く第二エース候補としてメインに名を連ねた。これは活動休止が決まる前から決められていたことだという。
 しかし何故、よりにもよって活動休止前最後の今回、それを行うのか。
 綾小路社長は言った。
 活動再開後に繋げるためだ、と。
 


 
 第一試合・第二試合は、キャラクター無断使用の件で逃亡失踪時会社の金を勝手に使い込んだアルティメット=モーリヤーにいむら藤田のバカ二人に対する制裁として、それぞれに“スタイリッシュオーク”ブライアン・ゴードンと“パワフルニンジャ”ザック・ザ・ザッパーというあからさまに格上なスーパーヘビーとシングルマッチが課せられた。
 結果はモーリヤー・藤田とも、当然の如く、しかも両名共に相手がフェバリットホールドを使わないままの惨敗だった。
 

第一試合:使い込みお仕置きマッチ:三十分一本勝負
×にいむら藤田
(
7分00秒
ムーンサルトフォール
) ザック・ザ・ザッパー

 

ザック「活動再開まではアメリカに戻って修行する。次に会うときには進化したニンジャ殺法を見せると約束しよう」


藤田「使ったぶんの金はちゃんと返すって約束したんですよ? それなのに非道いですよ〜」



 

第二試合:使い込みお仕置きマッチ:三十分一本勝負
×アルティメット=モーリヤー (
13分38秒
片エビ固め
) ブライアン・ゴードン

 

ゴードン「それぞれがレベルアップして皆さんの前に戻ってくる。約束しよう」


モーリヤー「なんであんなデブ親父とシングルしなきゃなんねーんだっての。ふざけてるっての、ホントによ」
 



 
 第三試合は、出場予定だったエル・ディアブロスペルネグラの両名がパスポートの期限切れで来日できなくなったため、急遽代理選手が登場するという発表が三日前にあったばかり。
 そして試合当日、黒井零レッドウォーリアーの対戦相手としてリングに姿を見せたのは、元M.O.Wの東京ZIN魚頭玉三郎だった。
 意外過ぎるゲストに大して盛り上がらない観客が見守る中、その観客達に活動再開後にも見に来てもらえる試合にしようとがんばるSTEの二人はもちろん、魚頭もヌルヌルとした気色悪いインサイドワークで真面目に試合を進めた。
 が、しかし。
 試合開始早々「おわり〜!」なぞとのたまうやる気ナッシングな東京ZINがいてはそんな努力も水の泡。相方が場外でボコられていようと知らんぷり。やっと交代してたと思えば相手パートナーにタッチして相手側のコーナーへ引っ込む東京ZIN。これぞ正に明後日ファイト(?)。
 そんな明後日野郎に引きずられてしまったこの試合。見事、時間切れと相成りました。
 

第三試合:三十分一本勝負
黒井 零
レッドウォーリアー
(
時間切れ引き分け
) 東京ZIN
魚頭 玉三郎

 

東京「ここの客は俺様を誰だと思ってんダッツ!!!いや俺様が思うに、ここの愚民どもは俺様の失明しかねない輝度に釘付けになり、寒すぎる寒度に身震いし、声を失っているってことなんだろうがよ。まったくもってシャイな民族だぜ。日本人ってのはよ。 さて、イイカオイ!もうメヒコなんぞに戻らんぞ!みんな〜おれにつうぃ…(ここで魚頭が駆け込んでくる)」
魚頭「ナップ!!!これを見てください(と言って東京に紙切れを渡す)!!」
東京「オイオイオホホ〜イ。教授ともあろうデブが血相かいて何事ダッツ!!で、なんだねこれはチミ…(紙切れを見る)。何々?ちょっと朗読してみましょう。ええ、『このまま日本に居着こうと思ってるんだろうが、そうはいかん。ここでメキシコに帰らないと、貴様らは契約違反で訴えられるぞ。違約金、高いんだろうな。誰が払うんだ。俺は払わんし、誰にも払わせんぞ。さっさと戻れ。I.I』…ってなんダッツネンこれは!!! …お、俺はこんなもので怯えないぞ、これ誰から受け取った?ええおい?」
魚頭「STEのハゲ社長からさっき手渡されました!!」
東京「く、あのハゲもグルか。まあいい。このアイ・アイってイニシャルは奴だろう。あのゾンビ親父め、まだ我々を監視しているようですね。でもな!我々が大人しくメヒコに戻ると思ったら大間違いだぞ。文句垂れながら戻ってやる!大人しくなんかじゃないんだからな!!!キッキー!!!」
魚頭「てなこと言ってるんでメキシコに帰らせて貰いますですぅ」


「やる気なさそうだったからさっさと終わらせようと思ったのに結局逃げ切られちゃったよチクショー」
レッド「相手の懐の深さを攻めきれなかった。良い経験になった。トーキョー、ウォズ、アリガトウゴザイマシター」
 



 
 活動休止前最後の試合となった、第四試合。
 “天然荒くれ野郎”マイケル・プラトーンと組んだ“怪物”綾小路響一郎と対するのは、第一エース候補“ウルティモアベハ”キラービーと、“ド新人”の第二エース候補・高木開海のエース候補二人の即席コンビ。
 プラトーンのラフファイトで開始早々流血させられた高木だったが、それをひたむきなガムシャラさでカバー。キラービーも前回綾小路とのシングルで得た経験から体格・パワー共に到底及ばない相手をスピードとテクニックで撹乱し、決定打を浴びない様試合を進めた。
 それでもその圧倒的な差をカバーしきれず綾小路組に攻め込まれる場面もあったが、最後まで集中力を切らさなかったエース候補コンビは大金星とまではいかないまでも、綾小路という怪物相手に時間切れ引き分けという勝ちにも等しい結果を手にし、エース候補としての手応えを掴みとった。
 

第四試合:三十分一本勝負
キラービー
高木 開海
( 時間切れ引き分け ) 綾小路 響一郎
マイケル・プラトーン

 

キラービー「オレはキョウとやるの三回目だったから。さすがにそう毎回やられてばかりもいられないし。あのキョウにもある程度通じたってことで、やり方次第でヘビーを相手にしも何とかなるってわかったよ。再開までの予定? 夏に近くの神社でやるお祭りのときに選手会で(試合を)する以外は特に(決まっていない)。まあ、たぶんメキシコにいるんじゃないかな」
高木「いろいろ作戦考えてもどうせ役に立たないと思ったんで、頭真っ白にしてぶつかりました。エース候補? これでも今の自分がどんなもんかってくらいわかってるつもりっスから・・・。でもいつか必ず本当にそう思われたいっスね。・・・ッス、シタッ!」


綾小路「開海はエース候補としてどうか、ですか? 見ての通り、まだまだですよ。でも、候補って言い方であれば、全員に当てはまらなくはないですから。その中にはもちろん開海だって入ってるってことです。今回開海を選んだのはこの前のシングル初勝利で満足してこぢんまりとまとまって欲しくないっていう、叱咤激励みたいなもんです。活動再開後はもっとがんばってもらうつもりですから、それにに繋げるためってところですか。キラービーに関しては、今日の試合を見てもらったなら、わかるでしょう? 休止中の予定ですが、メキシコ勢はそのままメキシコ。あとの連中は、アメリカに遠征って形になると思います。まあ、それ以外の希望も可能な限り聞き入れてやるつもりです」
プラトーン「キョーイチローはもちろんキラービーも開海もグッドジョブ。そしてオレはベリーグッドジョブ。」
 



 
 あまりに突然の活動休止。
それは選手達にとっても同じなのは言うまでもない。
しかし彼らに悲壮感を感じている暇はない。
どんな形であれ、既に活動再開というゴールに向けてのスタートは切られたのだから。


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