内科リウマチ科 福間クリニック

リウマチの薬物療法

リウマチの薬物療法

1.治療目的 リウマチの治療目的は、
(1)リウマチ炎症の原因である免疫異常の是正、
(2)リウマチ炎症の抑制・鎮静化、
(3)疼痛とこわばりの軽減・除去、
(4)関節機能の維持・強化、
(5)変形・拘縮・強直の予防をすることです。
これらを総合して、家庭あるいは職場で少しでも生活が快適にできるようにすることが治療の目的となります。
このことを、QOL(Quality Of Life、生活の質/生きがい)を高めるためとわたしたちは言っています。

2.リウマチの薬の種類
1)非ステロイド抗炎症剤(NSAIDs、非ス剤)
2)ステロイド皮質ホルモン)
3)抗リウマチ剤(DMARDs、免疫調整剤、疾患修復剤、寛解導入剤)
4)免疫抑制剤
5)生物学的治療薬

3.リウマチの薬の作用機序

4.非ステロイド製剤
1)特徴
a.炎症を抑え痛みを和らげる作用があります。
b.リウマチを元から治す効果はない。
c.作用の強弱、持続(半減期)の長短、投与経路の違い(経口、坐薬、注射)、副作用軽減の工夫(腸溶剤、徐放剤、プロドラッグなど)で多種多様の薬があります。
d.大きな副作用として胃腸障害、腎障害があります。
e.喘息患者では、喘息の発作を誘発することがあり、注意が必要です。
f.発熱を下げる作用もあり、感染症での発熱を隠してしまうことがあり、また、関節の痛みを軽くするため、つい関節に負担をかけてしまいがちになり、注意が必要です(発熱や痛みは身体の警戒警報)。
2)種類・使い方

5.ステロイド剤
1)特徴
a.炎症を抑える作用と免疫異常を抑える作用があります。
b.重いもの含め種々の副作用がある。(感染症・消化性潰瘍・糖尿病・骨粗鬆症)
c.決して自己判断で増やしたり中止したりしてはいけません。減量時は、ほんの少しずつ減らしていくのがこつです。
2)適用
a.中等度以上の激しい関節炎があり全身症状(貧血、発熱、体重減少)のある場合
b.血管炎を伴う場合
c.社会的生活を著しく脅かす恐れのある場合(失業など)。
d.必要な日だけ服用しすぐ中止できる場合(冠婚葬祭、小旅行など)。

6.抗リウマチ剤
1)特徴
a.免疫異常を是正する。現在では、リウマチの診断がついたら、先ず最初に使う薬とされています。
b.すぐには効かず、効果が出るまで数週〜数ヶ月を要しまう。
c.抗リウマチ薬の種類によって相性があり、効く人と効かない人がいる。
d.副作用は皮膚症状が多いが、腎・肺障害など重篤なものもあり、注意深く使う必要があります。
2)種類

7.免疫抑制剤
1)特徴
a.免疫異常を抑制します。
b.これまで主に癌や移植に使われてきました。
c.重篤な副作用が多い。(骨髄抑制・感染症・肝心障害)
2)種類

7.開発中、または近い将来発売される薬剤
1)抗サイトカイン療法
a.インフリキシマブInfliximab(レミケード):
   抗TNFα抗体の点滴薬。リウマトレックスと併用して使用。
   効果が早く、有効性も高い。関節変形の進行を阻止する報告がある。
   点滴時に蕁麻疹などの発疹やショックを起こす場合がある。
   感染症の危険がある。特に結核が悪化し死亡した報告もあり、注意が必要。
   発癌の副作用については、今後の検討課題。
   関節リウマチの治療薬としても治験が終了し、厚労省の認可待ち。
b.エタナセプトetanercept(エンブレル):
   可溶性TNFα受容体の皮下注射薬。
   効果が早く、有効性も高い。関節変形の進行を阻止する報告がある。
   感染症の危険がある。
   発癌の副作用については、今後の検討課題。
   関節リウマチの治療薬としても治験が終了し、厚労省の認可待ち。
c.アナキンラ(anakinra):IL-1受容体拮抗剤
2)レフルノマイド(Leflunomide):
   リウマトレックスの代替薬として期待されている薬。
   5%に肝障害、また催奇形性があるため妊娠時には禁忌。
   関節リウマチの治療薬としても治験が終了し、厚労省の認可待ち。
3)プログラフ
   臓器移植の薬として開発された。
   リンパ球からのホルモン(サイトカイン)の分泌を抑制する。
   これまでの抗リウマチ薬とは異なる作用機序であり、抗リウマチ薬が無効の時に期待できる。
   関節リウマチの治療薬としても治験が終了し、厚労省の認可待ち。

更新日 :2002/10/1